憑依小説 元カノの報復③

彼の中の違和感は次第に増幅されていく。

優奈の様子に違和感を感じる。

そう思いながらも、彼は、優奈と共にファミレスへと入っていった…。

---------------------------------------------—-

優奈と手近なファミレスで昼食をとることにした。

「…あ、これとこれ食べた~い!」
優奈がねだるようにして俺を見る。

優奈はどちらかと言うと、いつも遠慮していて、
俺の方が申し訳なくなるぐらいだ。

だが、今日の優奈は違う。
俺を上目遣いで見て、甘い声を出し、
俺におねだりをしている

「ねぇ…優奈のお・ね・が・い!」
近くでそうささやかれて俺はドキッとした

「ハハ、いいよいいよ、頼んでいいよ」
俺が言うと、
やったー!ありがとう!と言って、
優奈はちょっと高いメニューを注文した。

どうして急にこんなに積極的になったのだろう。

そしてさっきの映画館でのあの怒りようは?

優奈が、優奈じゃないみたいだーー

まるで、、理沙みたいだー。

俺はふと、元カノの理沙と優奈が重なって見えた。

「…どうしたの?」
俺は怖い顔をして優奈を見ていると、不思議そうな顔で
優奈が訪ねてきた。

「いや・・・」

優奈が理沙…?
あの顔の打撲は…??

理沙に何かされたのか!?

「…優奈、、お前・・・理沙に何かされたのか?」
俺がそう問いかけると、優奈は笑った

「理沙?別に何も。
 よく考えたらあの子も可愛いし、良い人だから
 私に何かしたりなんてしないよ!」

昨日まで理沙の事を不気味がっていた
優奈が意外な事を口走った

「義信もさ、もう少し理沙さんのこと、
 大切に思ってあげたら?」

優奈が諭すように言う。

おかしい。

絶対に。

「なぁ、理沙に何かされたんだろ?
 相談してみろよ。
 俺が必ず優奈を守るからーー。

 あんな女の好きにはさせないからー」

俺は力強く言い放った。

理沙が優奈に何かしているのであれば
俺は全力で優奈を守る。

「チッーーー」
優奈が舌打ちをした

「え…?」
俺はあっけにとられた。
あの優奈が舌打ちをしなかったかーー?

「バッカじゃないの。
 そういうの、私、嫌いなんだよね」
優奈が俺を睨みつける

「…な、何だよ…どうしたんだよ」

わけが分からない。
何で優奈が怒りだすんだ?

生理中か何かか?

俺は混乱した

「お待たせいたしました」
店員が料理を運んできた。

しかし、店員は優奈が注文したものを
間違えていた

「ちょっと!私、これ頼んでないし!」
優奈が攻撃的に言う

「ねぇ、おなかすいたんだけど!!!
 早くちゃんとしたの持ってきなさいよ!」

優奈にそう言われた店員ーー
まだ高校生に見える店員は、
慌ててキッチンの方に戻っていった。

「おい、優奈ーー
 言い過ぎだよ」

俺が諭すと、優奈がこちらを睨んだ

「どうして?
 あの女がいけないんでしょ!」

優奈はそう言うと乱暴に水を飲んだ。

どうしたんだ一体??

理沙に何かされたのかと思ったが違うようだし、
何でこんなに不機嫌なんだ??

それに・・・彼女の服装にも違和感がある。

こんな、派手な子だったか?

前にクレームをつけてる別の客を見て
「ああいうの、嫌だな…」って
言ってなかったか?

「…何?」
優奈は俺の視線を感じたのか不機嫌そうに言い放った

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

食事を終えた俺らはファミレスから出た。

食事中になんとか優奈の機嫌ももとに戻ったようだ。

「次は、ショッピングだったっけ?」
俺が訪ねると優奈がほほ笑んでコチラを見た

「ねぇ…ホテル行こ…?」
優奈が甘い声で誘惑する

「あ・・・?なんだって?」
俺は信じられなかった。

優奈はそういう行為に対して敏感で、
恐怖心があると言っていた。

だから俺も優奈の事は大事だったし、
求めたりせず、二人の時間を大切にした。

なのに、自分から俺を誘っているのか?

「ねぇ、、、私が欲しくないの?」
優奈が言う。わざと俺に密着してくる。
完全に俺を誘っている

「…な、、何だよ急に…
 どうしたんだよ?」

俺は別にイヤではない。
だが、優奈のこの変わりようは?

「私、義信が好きでたまらないの!
 義信の為なら、私の全部をささげてもいい!」

優奈が言う

「ねぇ…行こ、、、
 あっ……」

優奈は自分で自分の体を触り興奮しているようだ

「おい、やめろ・・・他の人が見てるから」

俺は何とかそれを止めさせると
優奈と話し合おうと、場所を変えた。

ふとビルのモニターに流れているニュースが目に入った。

”女子大生 トイレで変死”

「・・・・・・」

そしてそこには、俺のよく知る名前が表示されていた

”坂野 理沙”

ーーー元カノの名前だった。

④へ続く

PR
憑依<元カノの報復>

コメント