優奈とのデート。
しかし、彼は思う。
”いつもと、何かが違うー”と。
優奈はどうしてしまったのか?
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「おはよう」
待ち合わせ場所に行くと、優奈が待っていた。
「おはよう」
そう言いながら俺は少し優奈に違和感を感じた。
いつもストレートな髪を後ろで結んでいて、
服装もどこか派手な印象だ。
優奈のミニスカート姿なんて初めて見た。。
「なんか、いつもよりかわいいじゃん」
俺がそういうと、
優奈はとてもうれしそうに言った
「でしょ?いつもよりかわいいでしょ?」
そういうと優奈は俺の腕を抱きしめるようにして
寄り添ってきた
「お、おい、どうした今日は?」
奥手な優奈の突然の積極的な行動に俺は一瞬戸惑いを
覚えた。
「…だめ?」
優奈が上目遣いで言う
「い、いやいや!嬉しいよ」
今日は映画を見て、一緒に食事して、ショッピングして、
夜景を見て…という予定だ。
「ん?」
俺はふと気づいた。
優奈の顔にあざのようなモノがある
「優奈?そのあざ…?」
俺が訪ねると、優奈は笑顔で言う
「あ、これ~?
大丈夫、大丈夫!
”私”がちょっと他の人の”大切なモノ”
とっちゃったから、罰があたったの」
優奈が明るく言う
「…よくわかんないけど、本当に大丈夫か?」
「----優奈にずいぶん優しいんだね?」
ふいに優奈が低いトーンで呟いた。
「--え?」
彼女が自分のことを自分の名前で呼ぶのは
初めてだった。
前の彼女、理沙はよく自分のことを
「理沙は○○~」と言っていたが
優奈は自分の事を「私」と言うことが多かった。
そういえば、今日の優奈はどことなくオカシイ。
なんだかとても明るくなった感じがする。
何かを隠すため、無理して明るく振る舞っているようにも…
映画館について、俺と優奈は、
見る予定の恋愛モノの映画の列に並ぼうとした
「…ねぇ、この映画やめない?」
優奈が言う
「え?やめる?どういうことだよ?
この映画見たいって言ったのは優奈じゃ…」
俺が言いかけると、
優奈は微笑んで「気が変わったの!」と言った。
そして、別の映画、
ドロドロとした人間関係を描いた映画を見たいと言い出した
「お前・・・その映画、嫌だって言ってたじゃないか」
見に行く映画を決めるとき、優奈は言っていた。
「この映画は見たくない」と。
何故気が変わったのだろう。
「---ねぇ、義信。
優奈には優しいんでしょ?
お願い♪」
優奈に可愛らしくお願いされて、
俺はしぶしぶ従った。
こんな色目を使うような子だっただろうか?
ますます疑問が増えていく。
「あ、ちょっと待ってて!」
優奈が劇場館内で俺にそう言った。
お手洗いのようだ。
俺は笑顔で頷いて、優奈を廊下で待つことにした
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「あははははは!
ウケる!超ウケるんですけど!」
優奈がお手洗いで一人笑っている。
大人しい優奈には似合わない雰囲気で。
「あ~~~
アイツ、本当に馬鹿ね!
ねぇ聞こえてる?倉橋さん?
アンタの彼氏…
アンタが乗っ取られてるのに全然気づいてないよ」
そう言い、鏡に向かって満面の笑みを浮かべた
「今日の優奈はかわいい…って!」
勝ち誇った笑みを浮かべる。
「…これからは私が倉橋優奈として生きて行ってあげるから!
私の方が魅力的って義信も言ってるし、
構わないよね?」
優奈は一人、鏡に向かって呟いた
「はいーーー理沙さんの好きなようにしてください
…プっ あははははは! ウケる~!」
優奈の芝居をして、一人上機嫌な優奈。
「さ…そろそろ戻らなくちゃね!」
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「お待たせ!」
優奈が戻ってきた。
何やら楽しそうだ
「…どうかしたのか?」
俺が聞くと優奈は「ううん、なんでも!」と笑った。
映画が始まった。
優奈は終始、とても楽しそうに映画を見ていた
時々、興奮して俺の腕をつかみ、
「ホラ!見て!」と嬉しそうにしていた。
今日の優奈はとても活発だ。
映画館を出ると、
スマホがなった。
優奈もスマホに目をやる
ー三条 奈津子…。
大学のサークルメンバーの一人だ。
サークル上の業務連絡だった。
俺は電話に出て、三条さんとの話を終えた
すると、優奈が怖い顔でこちらを見ていた
「---誰?」
「な、何だよいきなり、
ホラ、サークルのメンバーだよ」
俺が言うと、優奈が不機嫌そうに続けた
「誰って言ってんの!」
優奈が優奈らしからぬ雰囲気で怒っている
「--見せなさい」
優奈が手を差し出した
「…お、おい…理沙みたいなこと言うなよ優奈
俺は浮気なんかしないって」
俺が言うと、優奈はなおも迫った
「理沙みたいなこと?は?
ふざけたこと言ってないで早く見せなさいよ!」
優奈がヒステリックにわめいた
「ど、、どうしたんだよ…ホラ」
優奈はスマホの画面を見て、
サークル仲間だと知ると笑顔に戻った
「良かった♪ ごめんね!急に取り乱して」
そういうと、またご機嫌な様子で前を歩きだした
「優奈・・・?」
優奈が優奈じゃない気がする…
そんな思いが俺の中で強くなっていった・・・
③へ続く
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