憑依小説 暴走憑依男 第2部①

暴走憑依男の続編です。

男に弄ばれたさくらが、店を去ってからしばらくして…
店に再びさくらが訪れた…

前作→暴走憑依男

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ーーとあるゲームショップ。

木藤孝雄は一人落ち込んでいた。

密かに好意を寄せていた後輩バイト、
市川さくら が
オタク男に体を乗っ取られたあげく、
散々もてあそばれた。

そして、彼女はそのショックからバイトを辞めてしまった。

ーー当然だ。

あの男に乗っ取られた彼女は自分の恥ずかしい行為を
嬉々としてネットに投稿してしまった。

俺はすぐに消したが手遅れだった。
それだけネットの拡散力というのは恐ろしい。

「…はぁ…」

「…大丈夫ですか、先輩…」

後輩バイトの山西 明美が言う。

彼女も”あのとき”現場に居合わせた子の一人だ。

乗っ取られて、暴走するさくらを前に、
彼女は震えていた。

俺はなんとしても、彼女だけは守らなければならない。
あのとき、そう思った。

さくらの事は守れなかったが、
結局、あの男はさくらの肉体から離れたあと、
そのまま死んでいた。

帰らぬ人となったのだ。

「…大丈夫。ちょっとあの時のことをさ…」
俺が言うと、明美が悲しい表情をした

「市川さんが……あんなことになっちゃうなんて」
明美は続けて言う。

「あの時…私、、何もできなかった。
 自分も、、市川さんみたく されてしまうんじゃないかって怖くて…」

彼女が涙ぐむ。

少なからず責任を感じているのかもしれない。

「…山西さんは、悪くないよ」
俺が言った。

奥からもう一人の後輩バイトが
イチャイチャしてんじゃねーよ!という目でこちらを見ている。

俺は気まずそうに仕事に戻ろうとした。

ーーーその時だった。

「市川…先輩?」
明美がつぶやいた。

その表情は驚きに満ちている

そして、俺が店の入り口のほうを見ると、
辞めた市川さんが笑みを浮かべて立っていた。

しかし、その服装は小悪魔風のミニスカートと、
上着を着ており、さくらが着るとは思えないものだった。

「---久しぶり」
さくらが笑う。

「……さくら…もう大丈夫なのか?」
俺が訪ねると、さくらは馬鹿にしたように笑う

「大丈夫??あはは…
 大丈夫に決まってるじゃない…

 だってさ、、この娘はもう心を閉ざしちゃったんだから」

さくらは満面の笑みで言う

「ま…まさかお前・・・!」
俺はハッとした。
まさかあのオタク男…

「ピンポーン!
 僕はずっと中に居たのさ!あはは!」

さくらが狂ったように笑う。

周囲の利用客が何事かという目で見ている。

「この娘、あの後、ネット上の動画の件で
 死ぬほど苦しんでさ…
 最後には心を閉ざして廃人みたくなっちゃったんだよ

 だ・か・ら
 もうこの体は僕…いや、ワタシのってわけ」

さくらが言う。

「貴様…」
俺は今にも目の前にいるさくらに殴りかかりそうだった。

だが、そんなことをしても傷つくのはさくらだけだ。

「せ、、先輩!!」
明美が叫ぶ

「しっかりして下さい!ねぇ!先輩!」

さくらがいやらしい目で明美の方を見る

そして…

「今日、ここに来たのはさ…
 そろそろこの女にも飽きちゃったから…
 引っ越ししようと思ってさ…」

さくらが邪悪な笑みを浮かべた。

その言葉の意味するところを理解した俺は凍りついた。。

②へ続く

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憑依<暴走憑依男>

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