「暴走憑依男」は、完結したのですが、
「まだ書いて欲しい」という要望が多かったので、
ひとまず「暴走憑依男」の番外編を!
Ⅰの第3話(こちら)のあと、
第2部の第1話(こちら)までの間の物語です。
過去の暴走憑依男は
↑からどうぞ!
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とあるゲームショップでアルバイトをしている女子大生・
市川さくらは、
その店の常連であるオタク男に、憑依されてしまい、
店内で”暴走”した。
恥かしい格好をさせられ、
自分の恥ずかしい行為を映した動画をネットに流され、
そして…、同じバイトの「木藤」の前で、
オタク男の体と激しいエッチを繰り広げて絶頂に達してしまった。
男はー。あのあと目覚めなかった。
さくらから出て行ったあと…
オタク男の体は倒れたままで、そのまま死亡が確認されたー。
「はぁ……」
さくらは家で一人、ため息をついた。
自分のエロ動画は、バイトの木藤孝雄が消してくれた。
少し広がってしまったみたいだけど、
なんとか最悪の事態を免れることができた。
「---今日、バイトか…」
さくらは呟いた。
あんな恥ずかしいことをさせられてしまった自分はー、
再びみんなに受け入れてもらえるのだろうか。
木藤さんにー
山西さんー
風香ちゃんー。
「……うん、大丈夫」
さくらは微笑んだ。
さくらは、明るくー
そして強い子だったー。
一度のことではめげたりしない。
”あんなこと”があったけど、
今日もまた、いつものように頑張ろう―。
さくらはそう思って身支度を始めた。
いつものような控えめなメイク。
トレードマークの髪型。
そして、準備を終えたさくらは微笑んだ。
「今日も頑張れ、私!」
一人、自分を勇気づけて玄関から出たさくらー。
しかしーーー
脳内に声が響いた
「ふへへ…前向きだなぁ、さくらちゃんは」
ーー!?
さくらがハッとして振り返ったが、
そこには誰もいない。
「だ…誰!?」
さくらが叫ぶー
「フフフ…僕だよ、君に笑われた
そうーー君たちから見れば
”キモいオタク”の僕だよー」
ーーオタク男!?
さくらの体から抜けたあと、オタク男は意識を
取り戻さなかった。
そしてそのままオタク男は死んだー。
そう思っていたーー
けれどーー
「甘いなぁ、、甘いよ 市川さくらちゃん!
僕はね…君たちに徹底的に復讐したいんだ。
まさかあんなもので終わったと思ってもらっちゃ困る!」
さくらが恐怖に身を震わせる。
「まずはお前だ
市川さくら。
僕を侮辱した罪を償ってもらう。
僕はずっと、君の中に居たんだよ…ふふふ…
一時的に君に体を返しただけだ」
脳内から響くオタク男の声。
「やめて!出ていって!」
さくらが叫んだー。
だが、オタク男は不気味に笑った。
「君の行くところはバイト先じゃない。
まずは、僕の趣味につきあってもらうよ…くひひ…!」
オタクのその声が聞こえた直後―、
さくらの意識は奪われたー。
さくらが不気味に笑みを浮かべる。
「うふふ・・・やっぱり私ったら可愛い♡」
うっとりした様子でかばんから手鏡を出して
自分を見つめるさくら。
「--こんな可愛い”わたし”を絶望のふちに叩き落とす…
うふふふ…ゾクゾクする」
興奮した様子で、声を震わせながら言うさくら。
その表情には”興奮”がにじみ出ていた。
これから、この”市川さくら”と、
あそこのバイト先に居た残り5人を
粉々に粉砕するー。
さくらをぶっ壊したあとは
”山西明美”
次に”白崎風香”
そしてーー残りの3人もー。
「ふふふふふふふ」
さくらはこれから始まる復讐を思い浮かべて
興奮のあまり涎を垂らしながら不気味な笑みを浮かべていた。
さくらは銀行を訪れた。
記憶を読み取り、銀行からほぼすべての貯金をおろす。
「ふふっ、将来のための貯金なんて
私には必要なくなっちゃった!
これから私は、罪滅ぼしの為にご主人様の為に生きるんだから!」
そのお金を手に、さくらは、
イヤらしい服や、オタク男の好みのアイドル風衣装や
コスプレ衣装を買いまくった。
「---あはははははは!
女の子の体で散財するの、超たのしいんだけど!」
さくらは愉快そうに笑いながら家へと帰宅した。
帰宅後、
スマホを確認すると、
バイト先の木藤孝雄や山西明美からLINEが届いていた
”あんなことがあって辛いのは分かるけど…
俺たち待ってるから”
”市川先輩…連絡もなく休むなんて…大丈夫ですか?”
みんな心配している。
さくらはそれを見て不気味にほほ笑んだ。
「あなたたちはこれからのこと心配しなさいよ…
うふふっ♡」
さくらはオタク男の好きなアニメキャラのコスプレ衣装を
身にまといながら、
カップラーメンを口にしていた。
さくらは普段、カップラーメンなど食べない。
だがー、
オタク男はカップラーメンが大好きだった。
「うふぅ…女の子の体で食べる
カップめんはうまいな~ぁああははは!」
わざとらしく舌で唇を舐めながら笑うさくら。
そしてさくらはカップ麺のスープを全て飲み干すと、
その容器を乱暴にゴミ箱に投げ捨てた。
「くふふ・・・
僕がさくらちゃんの全てを支配しているー。
こんな格好させてーー
くふふふっふふふ・・・
たまんねぇ…たまんねぇよ!」
さくらは発情しきった表情で
自分の体を抱きしめたーー
そしてーー
「っと、いけない。
”絶望”を味あわせなくちゃな…」
さくらが目をつぶる…
そして、ビクッとした後にさくらは目を開いた
「うっ……わ、、、わたし…」
オタク男の意識が奥へと引っ込み、さくらが意識を取り戻した。
「ひっ・・・な、、何よ…この格好!?」
さくらは自分の着ているコスプレ衣装を見て声をあげた。
男が喜びそうな、露出度が高めの衣装だった。
そしてー自宅に積まれたアイドル衣装やコスプレ衣装を見て
声をあげる。
「きゃあああ!な、何これ・・・」
さくらが半分パニックになって、近くに落ちていた通帳口座を見る。
口座はーーー
ほぼ0になっていたーー
将来のために貯金をしていたさくらー。
そのために、バイトもしていたのにー
さくらは通帳を手に涙ぐんでその場に膝をついた。
「お願い――
もうやめてーーー。。
もう…やめて…
わたし……
お願いします…
もう、、許してください」
さくらが泣きじゃくる…
だが、オタク男は答えなかった
より深い絶望にさくらを落とすためー。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日。
さくらは無気力は様子で家の中、
一人座り込んでいたー
「私ーーもう…」
バイト先からの連絡。
だが、連絡がある都度、オタク男に憑依されて、
返事を阻止されてしまう。
木藤や明美に助けを求めようとしても、
連絡しようとすると憑依されて阻止されてしまうー。
「---……(どうにかしないと)」
さくらはそう思いながら、洗面所に向かって
鏡を見たー。
するとーーー
”自分の顔”が
オタク男の顔になっていた。
「いっ・・・いやああああああああっ!」
さくらが泣き叫ぶ―。
あまりの恐怖にその場に座り込んでしまう。
ー脳に居座るオタク男が、
さくらの脳に”偽の情報”を送った。
顔はー、ちゃんとさくら本人のもののままだ。
だが、オタク男に、脳への信号をいじられたさくらには、
自分の顔がオタク男のモノになってしまっているように見えた。
「---あ・・・あ…イヤ…イヤ…助けて」
さくらが涙をこぼす。
パニック状態で自分の机の方に向かうー。
そして、机の上に飾ってある写真の1枚を見つめる―。
バイトメンバーが、さくらの誕生日を祝ってくれた時の写真だ。
優しい木藤ー
可愛い後輩の風香ー
おしとやかな明美ー
包容力のあって面白い店長ー
時々爆弾発言をする男バイトの我妻ー。
「---みんな…助けて……」
さくらが涙をこぼす。
だがーーー
その写真のみんなの顔がまたーー
”オタク男”の顔に見えた
「ひっ…いやっ!」
さくらは写真を遠くに放り投げた。
「----!!」
さくらは自分の右手を見て、身を震わせた。
手にーーー
”オタク男”の顔が浮かび上がっていたーーー
もちろん、幻覚なのだが、さくらは気づかない。
「さくらちゃぁぁぁん!
僕のことキモいって言ったよな?
言ったよな!?」
手の甲のオタク男の顔が喋り出す。
「--やめて!やめて!やめて!」
さくらが頭を抱えて目をつぶって泣き出す。
「許さないよ…
お前ら全員、僕の奴隷にしてやる。
まずは君だー。さくらちゃん」
オタク男が言う。
”お前ら全員”
他のバイトメンバーにも手を出す気なのか。
その言葉を聞いたさくらはー、
今一度”強い心”を取り戻したーー
「ダメ!木藤さんや山西さん、風香ちゃんには手出しさせない!」
ー大切なバイト仲間への思いがー
さくらを立ち直らせた。
「---あなたの好きにはさせない!」
さくらが叫ぶ―。
そしてーーー
さくらの強い意思は”幻覚”をも消し去った。
「----私は…負けない…
脳にあなたが居るのなら…私があなたを消す!」
さくらは決意を胸に、そう叫んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
さくらは、オタク男との戦いを続けていた。
定期的に憑依されては、好き勝手されている。
けれどー
負けるわけにはいかない。
今日からは大学もある―。
「----私は、負けない」
もうバイトには戻れないー
2日間も無断欠勤をしてしまったー。
それに、オタク男はバイトにはもう行かせない気だろう―。
「----ごめんなさい…木藤さん」
さくらは、内心、バイト仲間の木藤孝雄に好意を抱いていた。
さくらは知らないことだが、木藤もさくらに好意を抱いていて、
”両想い”だった。
後に―、
全てが滅茶苦茶になって、二人が炎に消える瞬間までー、
二人はそれに気づけなかったのだが…。
「私はーー負けないから」
さくらは、大学へと向かった。
大学で友人達と話して、いつも通り楽しい時間を過ごした。
講義なども順調にこなしてみせた。
「あれ?さくら、バイトは?」
親友の飯淵 鳴海(いいぶち なるみ)が訪ねる。
「---うん。。ちょっとね…」
さくらは悲しそうに言う。
すると、鳴海は心配そうにさくらを見つめた
「何かあったのー?
なんか、今日、元気ないみたいだし…」
鳴海が”心から”心配そうにさくらを見る。
飯淵 鳴海は、
早くに父を亡くして母と二人。
母のために早く立派になりたいと必死に頑張る
女子大生だった。
「---ごめん…色々あって」
さくらがそう言ったその時だったー。
突然、さくらの体がビクンと震えたーー。
「---ひひひ、そう、色々あってねぇ!」
さくらが笑うー
「----えっ?」
鳴海が突然豹変したさくらに戸惑う。
だがーーー
戸惑うと同時に、さくらは鳴海に強烈なキスをしたーーー。
さくらがその場に倒れ、
鳴海が、、放心状態で立ち尽くす―。
オタク男が鳴海に憑依したのだー。
「---うっ…」
目をさました さくら。
鳴海が邪悪な笑みを浮かべて
さくらを見下ろしているーー
この笑みはーー
「あ・・・あなた…まさか!」
さくらが叫んだ。
すると鳴海は笑ったー。
「アンタが大学に来るからよ…。
これから”アンタ”が大学に登校するたびに、
大切な友達を一人ずつ、壊していってあげる・・・」
鳴海の言葉にさくらは凍りついた。
「ほら!こんな風に!わたしの人生!
壊しちゃう!」
鳴海は大学キャンバス内で、
自分の服を笑いながら破り捨てた。
「や・・・やめて!やめて鳴海!」
だがー
オタク男に支配された鳴海は
狂ったように笑ってさくらに耳打ちした。
「ーーあなたのせいで、私の人生、壊されちゃう!
うふふ♡」
そして…
鳴海は、さくらをその場で押し倒した…
さくらの精神はーー
限界を迎えようとしていたーー
②へ続く
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コメント
暴走憑依男を久々に書きました!
初代の第3話 と 2部の1話の間の話です。
さくらがバイトに来なくなり、
壊されるまでには色々あった!というお話ですね。
実は後付でなく、最初から脳内では構想はあったのですが
テンポが悪くなりそうなのでカットした部分だったりします(笑)
結構ツイッターなどで続編希望のお声を頂いたので
続編ではありませんが、とりあえず番外編を・・・ということで
今回無事に文章化されたわけです!
コメント
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いつも楽しく読ませてもらってます!
暴走憑依男大好きです!今回の話も最高でした!
今度は第2部(梓vs風香)をかいてほしいです!!次の予定に加えてもらえると本当にうれしいです!
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> いつも楽しく読ませてもらってます!
> 暴走憑依男大好きです!今回の話も最高でした!
> 今度は第2部(梓vs風香)をかいてほしいです!!次の予定に加えてもらえると本当にうれしいです!
ありがとうございます!
第2部も脳内構想中です!もう少しで形になりそうです!
楽しみにしていてください^^
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こんな感じのことになってたのか……
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> こんな感じのことになってたのか……
そうですねー。
ずっと頭の中にはあった話です!