<皮>奇妙な検査結果②~歪み~

大学の健康診断で”謎の影”が
発見された女子大生…。

不安な日々を送る彼女の身に
起きている出来事とは…!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーよろしくお願いします」

鳥淵(しまぶち)脳クリニックを受診した紗愛ー。

女子大生の紗愛は、大学の健康診断で謎の影が見つかり、
再検査が必要とされて訪れた大病院でも
”奇妙な検査結果”が見つかったー。

友人の星花からの励ましもあり、極力気にしないように
生活はしているものの、とは言え、
頭痛はあれからも続いているし、
診察を受けておいて、損はないー。

”気にしすぎ”と言われるかもしれないけれどー
この前、大病院で受けた脳の検査「CT」の検査の他にも、
脳の検査には「MRI」と呼ばれる一般的な検査もあり、
その検査では、CTでは分からない部分も調べることができるー。

当然、あの大病院にもその設備はあっただろうけれどー、
このクリニックでも、そのMRI検査を受けることができるらしいー

「ーー…頭の病気は、怖いから……無駄にはならないよね」
紗愛は一人、そう呟くー。

紗愛の祖母は、脳梗塞で倒れてそのまま亡くなっているー。
祖母も、確か倒れる半月前ぐらいから、頭痛に悩まされていた、という話だー。

だからこそ紗愛は、余計に慎重になっていたー。

「ーーー次の方、どうぞ」
クリニックの院長・鳥淵 浩一郎(しまぶち こういちろう)が紗愛を呼ぶー。

紗愛が「はい」と返事をして、診察室の中に入るとー
鳥淵医師は、「ん?」と、意味深な言葉を呟いたー。

そして、紗羅のカルテをもう一度見直してから、
紗愛の顔を今一度確認したー。

「ーーー…?」
紗愛が首を傾げるー。

「ーーーどうか…されましたか?」
鳥淵医師の言葉に、
紗愛は少し違和感を感じながらも、
大学の健康診断で謎の影が見つかったことや、
先週、大病院で、脳のCT、X線の検査、そして心電図の検査で
それぞれ言われたことを説明したー。

状況の確認を終えた鳥淵医師は静かに頷くー。

「ーーそれで、頭痛が続いている、とー」
そう呟くと、鳥淵医師は険しい表情を浮かべながら
「ん~~~~~…」と考え始めるー。

紗愛は不安そうに「わたし…どこか悪いんですか?」と、
鳥淵医師に確認するー。

医師に症状を相談して、その医師が、深刻な表情を浮かべていればー
当然、誰だって心配になるだろうー。

鳥淵医師はすぐに「あ、いやいや」とだけ言うと
「CTでは既に検査されている、ということなのでー…
 まぁ…聞いた限りではたぶん問題はないと思いますが
 場所が場所ですし、MRIの検査もしておきましょうー。

 前の病院の先生が言っている通り、
 神経的な頭痛であれば、検査して”異常なし”ということが
 確認できれば、安心できるでしょう」

と、明かるく振る舞いながら呟くー。

「はいー…よろしくお願いします」
紗愛はそう呟くと、鳥淵医師は「では、案内しますので、そちらにどうぞ」と、
看護師に合図をして、紗羅をMRI検査を行う部屋へと案内したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

「ーーー…なるほどなるほど…この家かぁ」

帰宅中の女子高生を”皮”にして、支配した男は
笑みを浮かべながら、
その少女自身の生徒手帳を見つめていたー。

生徒手帳には、少女自身の住所も刻まれているー。

そこに書かれていた住所を頼りに、
”帰宅”した少女は、玄関前で笑みを浮かべるー

「ーーまさか、帰宅した娘の中に
 俺みたいなやべぇやつがいるとは、
 夢にも思わねぇだろうなぁ…ククー」

少女の声で、そう呟くと、
「ただいま~!」と玄関の扉を開くー

「あら、お帰りなさいー」
母親が帰宅した娘に気付き、微笑むと、
少女は、手を洗うために、目に入った洗面台の方に向かいながらー
”このJKの部屋はどこだ?”と、さりげなく家の中を
見渡すー。

まさか「わたしの部屋、どこだっけ?」と
聞くわけにもいくまいー。

そう思った男は、さりげない行動をしながら、
少女の部屋を探しー
やがてー、少女の部屋を見つけたー。

部屋に入った女子高生は、
嬉しそうに鞄を放り投げると

「ー今日から俺は女子高生だ!」
と、嬉しそうに叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鳥淵脳クリニックを受診していた
女子大生の紗愛は、
MRI検査の最中だったー。

寝台の上にあおむけになり、
ヴォンヴォンとうなるような音と、
ピポパポと不思議な音を立てている
装置の音を聞きながら、
紗愛は”何もなければいいけど…”と心の中で
何度も何度もそう願うー。

やがてー
MRIの検査が終わり、検査結果が出るまで
少しかかる、と待合室に案内されると、
紗愛は、待合室で検査結果が出るのを待ったー。

そしてー
紗愛が再び呼ばれるー。

鳥淵医師から伝えられた検査結果はー

”特に、問題ありませんね。大丈夫ですよ”

と、いうー
紗愛にとって一番うれしい言葉だったー

「本当ですか!?」
紗愛が嬉しそうに反応すると、
鳥淵医師は、優しく頷くー。

机の上に表示したMRIの検査結果を示しながら、
「特にお話にあったような異常だとか、そういうものは見当たりませんー。
 大病院で検査された際に、脳には「ブレ」があったとのことですが、
 そういう表現をするようなものもー…
 特には見当たりません。
 心電図やX線の結果に関しては、当院では確認することはできませんがー
 少なくとも、脳には異常はない、と考えてよいでしょう」
と、説明したー

「ーありがとうございます ありがとうございます」
何度もお礼の言葉を口にする紗愛ー

「頭痛に関しては、前の先生が言われていた通り、
 検査結果が気になって、少し頭痛という形で
 出て来てしまったのでしょうー。

 特別酷い痛みなら、心配ですが
 軽い頭痛レベルであれば、それほど心配する必要はないかと」

鳥淵医師の言葉に、
紗愛は重ねてお礼の言葉を口にし、
診察室を後にしたー

「ーーーー」
診察室から紗愛が出て行ったのを確認すると、
鳥淵医師は、そのMRI画像を見つめながらー

「ーーこれが、彼女のためだー」
と、静かにそう呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぅっ…♡ あ…♡ これが…おっぱいか…♡ うへへ…♡」

夜ー
下校中に皮にされてしまった女子高生は、
男に着られて、男の意のまま、自分の両胸を
制服の上から揉んで、笑みを浮かべていたー。

”死のう”
そう考えていた男は、
中東で手に入れた謎の指輪を使い、
女子高生を乗っ取ったー。

今の彼は、死のうなどとは、
もはや微塵も考えていなかったー

「手に入れた最高の人生ー」
少女は鏡の前でポーズを決めると、
「たまんねぇ…♡」と、はぁはぁ言いながら、
一人、呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・

「そっか~!よかったね~!」

大学ー
親友の星花が、紗愛と雑談しながらそう呟くー。

「ーおばあちゃんが、脳の病気で死んじゃったから、
 どうしても、頭だけは心配だったからー」

紗愛が言うと、星花は「うんうん」と頷くー。

”奇妙な検査結果”が出たのは、
脳だけではないー
心電図やX線の検査でも”奇妙な結果”は出ていたー。

しかし、紗愛はひとまず「脳」の部分だけでも
不安が解消されたことに、安心していたー。

「ーーあ、そうだ、この前の話だけど~」
星花が、他の雑談を振り始めるー。

紗愛は、楽しそうに、そんな星花と会話を続けるー。

けれどー
紗愛はまだ知らないー
”奇妙な検査結果”が、
何を示しているのかーー

その、恐るべき事実をー。

帰宅した紗愛は、いつものように、
後片付けをして、スマホを眺めたり、
本を読んだり、”これほしい~”と、
ネットショッピングをしたり、
星花の他の友達と、LINEで話をしたりしながらm、
家で過ごすー。

そして、夜になり、紗愛は
「そろそろ寝ようかな」と呟いてー
静かに目を閉じたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

女子高生を皮にして乗っ取った男は、
静かに笑みを浮かべるー

”さてー”
笑みを浮かべる少女ー。

少女が見つめていたのはー
男が少女を乗っ取った時に持っていたー

”液体入りの小瓶”

これはー
人を皮にする力を得た”指輪”と、同じ老婆から
中東で購入した、”もう一つのアイテム”だー。

「ーーこれを使えば、記憶を消すことができるー、か」

その液体はー
”自分が元々、自分であった”という記憶を消して
”乗っ取った本人”になりきることができるー、
というものだったー。

「ーーーーーーー」
彼の人生は、悲惨な人生だった。

だからこそ彼は”死のう”と思ったのだー

正直、思い出したくないー。
忘れ去ってしまいたいー。

この、峰原(みねはら)という女子高生として
永遠に生きていきたいー。

「ーーーでも…」
少女の身体で男は笑うー。

「忘れちまったら、こういうことはできないもんなぁ…」
少女は、自分の胸をニヤニヤしながら揉み続けるー。

満足したらー
元々の自分の記憶をこの薬で消してー…
”女子高生・峰原”として、
生きていきたいー。

だが、それをする前に
もう少しだけー

”男として女子高生を楽しみたい”

この薬を飲んで、全てを忘れてしまえば、
”俺は俺だった”という認識もできなくなるー。

そうなれば、当然
こんな風に胸を揉んでエッチな気持になることも、
なくなるだろうしー
”自分の身体”で、こんな風に激しくゾクゾクすることも
なくなるだろうー。

”自分は元々女子だった”
そういう認識になるのだからー。

もちろん、最終的には、それでいいと彼は思っているー。

しかし、今しばらく、
”男としての自我”を保ったまま、
この身体を存分に堪能しー
十分に満足したら記憶を消そう、と
そう、男は決めて、「今日はひとまずー」と、
”この身体”で存分にエッチを楽しむことを決めるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」

朝ー
目を覚ました紗愛は、表情を歪めるー。

「ーーあ、大学」
一瞬、寝坊して大学に遅刻するかも!と思ったものの、
寝坊したのは10分ほどで、まだまだ全然間に合う時間なんだったー

”なんだか、変な夢を見たようなー”

そんな風に思いながら、紗愛は大学に向かう準備を始めるー

「夢って…すぐに忘れちゃうよねー」
紗愛はそれだけ呟くと、準備を急いで進めて
大学に向かうために外に出たー。

紗愛が感じていた頭痛は、
昨日からだいぶ良くなりつつあったー。

やっぱり、あのクリニックの先生が言っていた通りー、
紗愛の気にしすぎによる頭痛だったのだろうかー。

大学に到着した紗愛は、親友の星花を見つけて
「おはよ~!」と声をかける。

そんな紗愛を見て、星花は「あ、紗愛!おはよう!」と、
返事を返すー。

「ー元気になったみたいで、よかった!」
そんな星花の言葉に、紗愛は穏やかな笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・

鳥淵医院では、鳥淵医師が、
昨日の紗愛のMRIの画像を見つめていたー。

「ーーーーーーー」

昨日ー
やってきた紗愛という女子大生ー

彼女はーー

”あの時の子が、この子かー”
紗愛のカルテを見つめながら、
島崎医師は呟くー。

彼女の”奇妙な検査結果”の原因をー
彼は知っているー

鳥淵医師は、
”原因”を知っているーーー

「ーーーーーーー」
紗愛のカルテを机の中にしまうと、
静かにため息をついて、
鳥淵医師は今日も患者の診察を始めるのだったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

何がどうなっていて、
何が何を意味しているのか、
一見無関係な「紗愛たちのお話」と「女子高生を皮にした男の話」
全てが繋がるのは次回デス~!

PR
皮<奇妙な検査結果>

コメント