健康診断で
”謎の影”が見つかった女子大生ー。
原因不明の奇妙な検査結果に、
彼女は困惑するー
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「ーーどうしたの?紗愛(さら)」
お昼の時間ー
大学内の食堂で、何か紙を見つめながら
悩んでいる様子の友達に声を掛けた女子大生ー
声を掛けられた紗愛が「あ!星花(せいか)ー」と、
反応すると、「健康診断で引っかかっちゃってー」と、
言葉を続けたー
「あ~~…そうなんだ」
星花はそう呟きながら、紗羅が座っている座席の
向かい側に座るー。
「何に引っかかったの?」
二人が通う大学では、先日、健康診断が行われたー。
紗愛は、その健康診断で異常が見つかったのだー
「ーーーなんか、”影”が見つかったんだって」
紗愛が健康診断の異常を知らせる紙を、星花の方に手渡すー
紙を受け取った星花がそれを見つめると、表情を歪めたー。
「原因は、分からないのー?」
星花の言葉に「うんー」と、紗羅は呟くー。
紗愛は、とても綺麗な”美人”という感じの女子大生で、スタイルもとても良いー。
見た目からは”ちょっと近寄りがたい雰囲気”を感じさせることもあるものの、
とても気さくな性格で、
周囲から”キモオタ”などとバカにされている男子から声を掛けられても、
イヤな顔ひとつせずに、気さくに対応したり、
相手の趣味に合わせた話をしたりするような一面も持ち合わせていたー。
そんな紗愛が、今日は珍しく悩んだ様子だー。
紗愛が引っ掛かった検査はX線の検査ー
普通はないはずの”影”が検査で見つかったのだー。
「ーーまぁ、でも、ほら、検査で変なのが映って
再検査したら何ともなかった、って話もよく聞くしー」
星花が言うと、
紗愛は「うん…そうだといいんだけどー」と、微笑むー。
紗愛は、近いうちに”再検査”を行う予定になっていたー。
”正体不明の影”
検査では、時として、検査時の環境や状況などによって、
”異常があるように見えてしまう写り方”をすることもあるー。
再検査の結果、何ともなかったー、ということも
珍しいことではないー。
けれどー
紗愛は、”正体不明の影”にワードに強い不安を感じていたー。
そのせいか、検査結果を聞いてからは、連日頭痛にも襲われているー。
「ーーー…大丈夫大丈夫!紗愛は健康的な生活を送ってるんだし、
紗愛みたいな、善人の塊~!みたいな人が、そんな病気に
なるわけなんてないよ!」
笑いながら紗愛を元気づけようとする星花ー。
そんな星花に対して、紗羅は「ーーうん。ありがとうー」と
優しく微笑んだ。
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夜道ー
男は、笑みを浮かべていたー。
笑みを浮かべながら、男は、指輪を自分の指にはめるー。
”死のう”
男は、そう思っていたー。
こんなクソみたいな人生、もう終わりにしようー、と。
周囲からバカにされ続けた人生だったー。
父親は3年前に亡くなり、母親も半年前に亡くなったー。
40代中盤の男は、両親が死んだ今、
もう、何の未練もなかったー。
元々”両親が死んだら、死のう”と、
彼はそう考えていたのだー。
そして、彼は母親の一通りの葬儀関係を終えると、
自分のオタク趣味で集めたグッズを全て売り裁きー
手に入れた金で、豪遊し始めたー。
彼なりの”終活”と言ってもいいー。
自分が死ぬつもりなのであれば、
もうグッズを手元に残しておく必要もないのだー。
40代までの人生で手にしたグッズの数々を売ることで
大金を手にした彼は、
世界各地の旅行も楽しんだー
そしてー
お金は次第に減っていきー
”この海外旅行が最後だな”と思っていた時にー
男は、それと出会ったー
指にはめられた指輪ー。
それは、彼が中東で手に入れた謎の指輪ー
”人を皮にする”力を持った指輪ー
下校中の女子高生の背後を歩きながら
彼は笑うー。
「ーーーあの子が、いいなー」
彼は”皮”にするターゲットを、
下校中の少女に定めて、笑みを浮かべるー。
人を皮にすることができる力ー
”皮にした人間”を着ることでー、
その人間になりきることができる力ー。
彼はー
同じく中東の旅行で、怪しげな老婆から購入した
”怪しげな小瓶に入った液体”を手にしながらー
その少女の元に駆け寄っていくー
「ーー君!」
背後から声を掛ける男ー
「えーー…?」
振り返った可愛らしい少女ー
男は、彼女の返事を待つことなくー
彼女の後頭部を掴みー指輪を光らせるとー
「あ… ぁ… ぁ」
と、皮になって崩れ落ちていく少女の姿を見つめたー
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「ーーやっぱり、”影”がありますねー」
医師はそう呟いたー。
「ーー影…」
女子大生・紗愛は、検査結果に悩んでいた翌週ー
再検査を受けたー。
しかし、再検査の結果、やはり、
紗愛の中には、”謎の影”があったのだー。
大学に入ってから最初の健康診断ー
まさか、こんなことで悩むことになるとは、
夢にも思わなかったー
「それで…わたしは、何か病気なのですか?」
紗愛が不安そうに尋ねると、
医師は「う~~~~ん…」とだけ呟くー。
”このような影”は、あまり見られない影で、
一般的な病気ではこういう写り方がするものは
記憶にない、と医師は説明したー。
その上で、紗羅に対して
「何か、気になる症状とかは、ありますか?」と確認する医師。
紗愛は、頭の中で色々考えた結果ー
「そういえば、検査をした日ぐらいから、頭痛がー」と、説明するー。
大学で健康診断を実施して、結果を聞いたあたりから、
頭痛がするのだとー。
医師は「まぁ…十中八九緊張性によるものでしょう」と、
言いつつも、脳の検査、そして心電図による検査を行うことを提案したー
紗愛の不安は増していくー。
”自分は、何か大きな病気なのではないか”
とー。
「ーーー…ありがとうございます」
けれどー
まずは”自分の身に”何が起きているのかを
突き止めなくてはならないー。
病院でー
脳のCT検査、そして心電図の検査をそれぞれ受けた紗羅ー。
「ーーー(少し妙だなー)」
まずは、脳のCTの結果を聞くー。
「ーー目立った異常はないー。
脳梗塞とか、出血とか、そういうものもないー
でもー
ちょっと”ブレ”があってなー」
脳外科の医師が首を傾げるー
「ブレ…ですか?」
紗愛が言うと、脳外科の医師は「あ、いやー」と、言うと
「まぁ、少なくとも脳に大きな異常はないし、
頭痛は片頭痛、あるいは緊張性の頭痛だろうからー」と説明し、
頭痛薬を処方することで対処することを説明したー
少なくとも、
”頭痛が生じるような大きな病気は脳内には、ない”
とー。
そしてー
心電図の結果を聞くー。
「ーーーーーーー」
医師は、心電図を見つめながら険しい表情をしていたー。
「あの…」
心電図の担当の女医に確認すると、
女医は「ーーー…ちょっと、見たこともない感じでー」と、
困惑の表情を浮かべるー。
「それは…どういう…?」
紗愛が言うとー
女医は困惑した表情で、
「病気…ではないと思いますが」と説明した上で
心電図に”通常ではありえない動きがある”と説明した。
紗愛は、説明を聞き終えると、病院を後にしたー
”一般的な大きな病気はない”
けれどー
心電図の検査でも、X線の検査でも、脳の検査でも
”不審な点”が見つかっているー
そのことにー
紗愛は強い不安を覚えるのだったー
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夜ー
男は、皮にした女子高生を見つめながら
笑みを浮かべるー
”お前さんは、新しい人生を送ることができるー
それも、自分の好きな身体でだー
”他人の人生を着る”ことができるんじゃよ”
中東の老婆に言われた言葉を思い出す男ー
男は、笑みを浮かべながら、
皮にした女子高生を掴むー
「マジで、この子になれるのかー」
期待と興奮でゾクゾクしながら男はそう呟くと、
たった今”指輪”の力で皮にした女子高生を掴みー
それを”着た”
驚くように身体にフィットして、
自分の身体が、その少女の皮のサイズに合うような、
そんな感覚を感じながらー
まるで、着ぐるみショーの着ぐるみを着るような形で、
その少女の皮を身に着けたー。
「ーーーー!」
少女の姿になった男は、手をグーにしたり、パーにしたりして
その動きを確認するー。
そして、満足そうに笑みを浮かべると
今度は、頬のあたりを引っ張ったりしてー
”ちゃんと少女の皮が自分になじんでいるか”を
確認するー
最後に後頭部のあたりを触りながら
「すげぇ…」と、小さく、少女の声で呟くと
「これなら、誰からも分かりやしない…」と、
嬉しそうな笑みを浮かべた…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうだったのー?」
大学では、親友の星花が、紗羅を見つけて
”病院での再検査”の結果を確認していたー。
「ーーそれがー…」
紗愛は、昨日の検査結果を答えるー。
大きな異常や、病気が見つかったわけではないけれど、
X線でも、心電図でも、脳の検査でも、それぞれ
病院の先生が首を傾げるような”違和感”があったのだとー。
「ーーーーふぅん…でも、病気じゃなかったってことだよね?」
星花がそう尋ねてくるー。
「まぁ…そうみたいだけど…」
紗愛はそう呟くと、不安そうに考え込むー。
”病院の先生でも首を傾げてしまうような部分”が
複数の検査で見つかっているのだー。
それもー
脳や心臓ー…
どの部位も、ヘタをすれば命に係わるかもしれない
危険な部位であることに違いはないー。
「ーー…それで、今後も診察は続けるの?」
星花の言葉に、紗羅は「とりあえず経過観察みたい…」と呟くー。
来月、もう一度検査を行い、
あとは症状に変化がなければ普通にしていて
良いのだと言うー。
しかしー
異様な検査結果を聞かされて、
気持ちの良いものではなかったのも事実だー。
「ーー大丈夫だって!
頭痛以外はどこも調子悪くないんでしょ!?」
星花が、紗羅を元気づけようとして、そう言葉を口にするー。
「ーーうん…」
紗愛は、頷くと、
病院の先生から、頭痛は”緊張性”と言われたことを思い出して、
”あまり、気にしすぎるのも、よくないのかな”と、
少しだけ、心を落ち着かせて、星花のほうを見るー。
「ーーありがとう。星花のおかげで気持ちが少し楽になった」
紗愛がそう微笑むと、星花は「え?そ、そう?どういたしまして!」と、
嬉しそうに笑ったー。
その日からー
紗愛は、”あまり考えすぎないように”しながら
いつも通り元気に大学で振る舞ったー。
だがー
自分の身体の”奇妙な検査結果”についても、
やはり気になるときは気になるー
そんな中ー
近所の脳神経外科の前を通りがかった紗愛は、
なんとなく、その場所が気になったー
”ここなら、わたしの異常の原因が、わかるかもー”
という、直感が働いたのかもしれないー。
妙に気になるその脳神経外科
”鳥淵脳クリニック”を見つめながら
”今度、時間があれば診察を受けて見ようかな”
などと、紗羅は考えるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
女子高生になった男は、
女子高生が鞄の中に持っていた手鏡を手にー
”皮を着た自分の姿”を
見つめて、嬉しそうに笑みを浮かべるのだったー
②へ続く
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コメント
今のところ、検査結果だけではなくて、
お話も奇妙ですネ~笑
続きはまた明日デス~!
今日もありがとうございました~!
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