<入れ替わり>潜入刑事~復讐編~

犯罪組織・アビスへの潜入捜査ー。

その果てに”入れ替わり”により
全てを奪われてー

”絶望の淵から始まる復讐劇”-!

※「潜入刑事」の後日談デス!
先に本編をお読み下さい!
本編はこちら

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裏社会で暗躍する
”犯罪組織・アビス”

他人に憑依する薬を開発しているという
その組織を壊滅に追い込むため、
秘密裏に警察内部に設立された
”対アビス対策班”

その中のひとりであり、
潜入捜査に長けていた若き女性刑事・絵里(えり)は、
前代未聞の”入れ替わり捜査”を行う事になり、
確保したアビスの幹部・龍治(りゅうじ)と入れ替わり、
犯罪組織アビスに潜入したー。

しかしー
絵里の身体になった龍治が突如として脱走、
”班長”をはじめとするメンバーが次々と命を落としていきー
最終的に”潜入捜査”には失敗ー

最後の賭けとして
幹部会の最中に銃を放ち、
アビスの首領と、その場にいた5人の幹部を射殺したもののー

それらは全員”囮”でありー
対アビス対策班のひとりであった、リサが姿を現したー。

リサは、既に”犯罪組織アビスの首領”に憑依されて
乗っ取られていたー。
そして、陰から対アビス班を壊滅に追い込んだのだったー。

笑いながら立ち去っていくリサと
絵里の身体を奪った龍治ー

対アビス対策班は壊滅しー
絵里は自分の身体を奪われー
さらには、犯罪組織アビスも、逃がしてしまうのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから数カ月ー

龍治(絵里)は、夜のバーで酒を飲んでいたー

「くそっ!」
不機嫌そうな龍治(絵里)-

絵里として、警察に復帰することは出来ないー
絵里として、知り合いを頼ることも出来ないー
一方で、龍治として犯罪組織アビスに行くこともできないー

何も、できないー

夜のバーで飲み、
犯罪組織アビスの息がかかっていない別組織の
”闇の仕事”をたまに引き受けることで
生き永らえているー。

「--こんなはずじゃ、なかったのに!」
龍治(絵里)が叫ぶー

既に龍治の身体は指名手配されていて、
裏社会で生きる以外に方法はないー。

”平和を守るために警察官になった絵里”が、
”平和を乱すための裏の仕事”を請け負って
それをこなしているー

あまりにも皮肉すぎる展開に、
龍治(絵里)は苛立ちを隠せずにいたー。

そんな、ある日ー

「---元アビス幹部の龍治さんですね」

背後から理知的な雰囲気の女性が
ハイヒールをの音を立てながら近づいてくるー。

「---何の用だ?」
龍治(絵里)がすっかり慣れた
”男としての口調”で返事をすると
女性はほほ笑んだー

「--あなたにお話がありますー
 ----絵里さん」

女は、龍治の姿になっている絵里に対して、
そう言い放ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

犯罪組織・アビスの本部では、
間近に迫った”憑依薬の大規模販売”を前に
幹部たちが結集して、話し合いを行っていたー。

「--ーー我々が社会を牛耳るときが来たのだ」
リサが笑みを浮かべながら宣言するー

犯罪組織アビスの首領に憑依されてしまったリサは、
今も身体を使われているー

スーツ姿で、スタイルの良さを強調した服装のリサが、
それぞれの幹部を見つめるー

その中には絵里の身体を奪った龍治の姿もあったー。

絵里(龍治)は、
髪を短く切りー、動きやすいラバースーツ姿で活動していたー

まるで、髪型のせいもあってか、絵里の面影は
もはやそこにはないー

口紅で赤く染まった唇を舐めながら
不気味な笑みを浮かべる絵里(龍治)-

”この女、今頃どうしてるんだろうな?”

笑いながら、絵里(龍治)は自分の胸を揉むのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---どういうことですか?」
龍治(絵里)が、カフェで、謎の女と会話を続けていたー。

「--あなたに”復讐のチャンス”があると言っているんです」
謎の女は、そう呟いたー

どうしてこの女が、絵里が龍治の身体になっていることを
知っているのか、
犯罪組織アビスのことを知っているのかー

色々な疑問が龍治(絵里)の中に湧き上がって来るー。

「---”疑念”を抱いているー
 そんな顔ですね?」

女がクスリと笑うー。

「--疑うにきまってるでしょ。
 わたしはこうして、裏社会の男の身体で
 生きていくはめになったんだし、
 何も信じられないことぐらい、
 あなたにだって想像できるはず」
龍治(絵里)が言うと、
女は再び笑ったー。

「--それもそうですね。

 分かりましたー
 わたしは、”イブ”-」

明らかな偽名を名乗る女ー

「-----」
龍治(絵里)はその女をじっと見つめるー

「--1週間後、
 犯罪組織アビスと国際的な犯罪組織”ガルフ”の
 取引が行われます」

イブと名乗った女はそう呟いたー。

「-目的は”憑依薬の大量売買と、今後の取引のための結託”」

イブは、龍治(絵里)を見つめながらさらに続けたー

「--その時、”犯罪組織アビス”の首領も幹部も、
 ほとんどがその場に揃いますー

 もちろん、あなたの身体を奪った、その男も…ね」

イブの言葉に、龍治(絵里)は
「そんな言葉、信じろって?」
と、イブを睨みつけたー

龍治の身体であるせいもあってか、
とても鋭い目つきー。

「----」
イブと名乗る女は、龍治(絵里)の方を見つめると
クスッと笑ってから、手帳を取り出して
何かを記入したー。

そして、龍治(絵里)にそれを手渡すー。

”犯罪組織アビス”と
”国際組織ガルフ”の取引場所と日時が
記された紙だー。

「---信じるか、信じないかはあなた次第です」
イブはそれだけ言うと、カフェのテーブルから立ち上がるー。

「--けれどー
 これを逃したらもう、あなたにチャンスは二度とないー。

 永遠にその身体で、その男として生きー
 
 あなたの元々の身体は、
 永遠に犯罪組織アビスの目的と欲望のために
 利用され続けるー

 それでよいのかどうかー
 よく、お考え下さいー」

イブと名乗る女は、それだけ言うと、
足早にカフェから立ち去って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----」

龍治(絵里)は考え込むー

龍治になってから、絵里は煙草を吸うようになったー。

自分の身体に戻れない絶望とストレスー

あるいはー
龍治の身体が元々愛煙家だったのかー。

それは、分からないー。

隠れ家で、灰皿に大量の吸い殻を乗せたまま
”イブ”から貰った紙を見つめるー。

確かに、イブの言う通り、
このままずっとこうしていても、
自分の身体を取り返すチャンスもないだろうし、
犯罪組織アビスに接触するチャンスもないだろうー

けれどー
もしこれが”罠”なのだとしたらー
意気揚々と取引現場に向かった龍治(絵里)は
抹殺されるー。

しかしー
もし、イブの言っていた話が本当で
この情報を龍治(絵里)が持っていることを
知らないのだとしたらー

「---」
龍治(絵里)は煙草を灰皿に押し付けるー。

もう、自分の身体を取り戻すことは
難しいだろうー。

アビス対策班の持っていた特殊な技術で
龍治と入れ替わったー。

アビス対策班がまだ残っていれば話は別だったが、
班長も、リサも、もう、みんないないー

上層部は犯罪組織アビスの存在が
世間に出ないように、しか考えていないため、
今更、龍治(絵里)を救うために
もう一度入れ替わりを…などということは
絶対にしない。

しかしー
警察に犯罪組織アビスが止められるとは思えないー

仮に罠でもーーー
もう、龍治(絵里)に失うものは何もないー

そして、もし”本当”ならー

自分の身体に”終止符”を打ちー
そして、犯罪組織アビスの憑依薬拡散を阻止することが
できるかもしれないー

「決まりね」
龍治(絵里)は呟いたー

そしてー
その3日後ー
”イブ”を名乗っていた女性の遺体が発見されたー。

「---え」
龍治(絵里)は戸惑うー

計画を中止しようかとも思ったー

だがーーー
龍治(絵里)は、イブが殺されたことで
より”信じる”ことに決めたー。

あの情報が、犯罪組織アビスか
取引相手である国際組織ガルフの罠なら、
イブを始末する必要など、ないはずだからだー。

「---犯罪組織アビスー
 今度こそーーー
 今度こそ、止める!」
龍治(絵里)は呟いたー

前もそう決意して、幹部会で首領と幹部を葬ったー。

だが、それは見破られていてー
その場にいた首領や幹部は全員”偽物”だったー

しかし、今度こそー
今度こそ、取引現場には、本物が来るはずだと信じてー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

イブが殺されたー。

それでも、龍治(絵里)は、犯罪組織アビスと国際組織ガルフの
取引現場にやってきていたー。

人気のない区画の地下駐車場ー。
そこに、多数の車が入っていくー

「---」
龍治(絵里)はその様子を見つめながら、その地下駐車場に
歩を進めていくー

「--すみません 今ここは封鎖中なんですよぉ」
男が笑みを浮かべるー。

だがー
龍治(絵里)は、有無を言わさず、その男を殴りつけて
首をへし折ったー。

”この身体ー
 わたしより動きは滅茶苦茶いいよね”

絵里はそんな風に思いながら奥に進むー

今だけはー
”戦い向き”とも言える龍治の身体に
感謝するしかなかったー。

「----ーーー」
龍治(絵里)が地下駐車場の中を見つめるー

黒い車から出てきたのはー
リサー。
そして、絵里(龍治)ー

リサには”アビスの首領”が憑依しているー

まるで、キャバクラ嬢のような紫色のドレスを身にまとって
車から降りたリサー。

絵里(龍治)は、ラバースーツ姿に短髪と、
だいぶ容姿が変わっているー。

「-----」

一方、反対側に止まっていた海外の高級車から出て来たのはー

国際組織”ガルフ”の幹部ー

「-----例のブツは?」
幹部の男が呟くー。

「--Mrクサナギ。このアタッシュケースの中にある」
絵里(龍治)が笑いながら言うー。

「---金はあっちだ」
クサナギと呼ばれた”ガルフ”の幹部が、同じくアタッシュケースを指さすと、
絵里(龍治)は、リサの方を見て頷いたー。

互いに”中身”を確認しようと歩き出すー。

”ガルフ”の側は、クサナギが別の男に指示をして、
犯罪組織アビスが用意したアタッシュケースの中身を確認し始めるー。

”アビス”は、幹部と思われる白いスーツ姿の男が歩んでいき、
”ガルフ”の現金入りのアタッシュケースを確認するー

「どうだ?」
アビス首領に憑依されているリサが腕組みをしながら邪悪な
笑みを浮かべるー。

「--間違いありません」
ガルフからの現金を確認した白いスーツの男がうなずくと、
リサは笑みを浮かべるー。
絵里(龍治)も笑うー。

”わたしの身体でこれ以上好きにはさせない”
龍治(絵里)は、絵里(龍治)を物影から睨むー

「---これが、”憑依薬”か」
国際組織ガルフの幹部・クサナギは笑みを浮かべると
憑依薬を回収して、笑みを浮かべるー

(ククク…今、この場で憑依薬のテストをさせてもらおうか)
クサナギが内心で笑うー

犯罪組織アビスのメンバーに憑依してー
現金も取り戻すー。

だがー
犯罪組織アビス首領に憑依されているリサもまた、
邪悪な笑みを浮かべたー。

「-----」
その様子を物影から見ていた龍治(絵里)は
意を決して物影から飛び出したー

~激突編~へ続く

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毎週火曜日だけは事前に予約投稿している都合上、
続きはまた来週になりますが、
次で「潜入刑事」の後日談の完結になります~!

ぜひ、楽しみにしていてくださいネ~!

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入れ替わり<潜入刑事>

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