<入れ替わり>潜入刑事③~意地~(完)

入れ替わりによる潜入捜査に
漂う暗雲…

追い詰められてしまった彼女に、
反撃の手立ては…!?

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「---!!」
屋上に響き渡った銃声ー

それは、龍治(絵里)が放ったものではなかったー

「---風見さん?」
絵里(龍治)が、少しだけ驚くー

「今の話、聞かせてもらった」
風見と英さんが、絵里(龍治)を取り囲むー

龍治(絵里)が困惑しながら、風見たちを見るー。

「---地下駐車場で話を聞いたあと、
 俺たちなりに色々考えたんだー。

 それで、絵里を尾行してたー。
 今の話を聞いて確信したよー。
 
 信じられんが、本当に入れ替わってるんだなー」

風見が龍治(絵里)の方を見ながら言うー。

英さん「--すまなかった」と、
龍治(絵里)の方を見ながら、謝罪の言葉を口にするー。

「----みんな…」
龍治(絵里)が嬉しそうに言ったー。

「-ー元に戻す方法を必ず見つけてやる
 お前は安心しろ」
風見がそう言うと、英さんと共に、龍治(絵里)の方に銃を向けたー。

「---目黒龍治ー
 絵里の身体を返してもらおうかー
 一旦、身柄を拘束させてもらうぞー」

2対1ー
いや、3対1-。

風見も、英さんも、プロだー。
龍治になっている絵里もそうー。

負けるはずが、なかったー。

「---ふふふふふ…バレちゃ仕方ないー

 でもー
 ”わたし”を撃てるのかしらー?
 この、身体を…?」

絵里(龍治)が挑発的に言うー

そしてー

「--!?」
絵里(龍治)が突然服を脱ぎ捨てて、上半身の下着を晒すー。

さらに、ブラまで放り投げて、胸を晒すー

「--!?」
風見が一瞬戸惑ったー

パァン!

「---がっ!?」
わずかな隙をついた絵里(龍治)が、風見の頭を撃ち抜くー

「風見!」
英さんが叫ぶと同時に発砲したー。

だがー
”相手が絵里の身体”という躊躇が、
狙いをわずかに外させー
絵里(龍治)の頭を狙ったはずが、
絵里(龍治)の腕を貫いただけだったー

「--あはははっ!
 女の身体は最強だぜ!」

胸を露出することで、風見のわずかな隙を誘った絵里(龍治)-

龍治(絵里)は、発砲できないー
自分の身体を撃つことはできないー

そう、判断しての行動ー

パァン!

「--ぐあっ」
英さんが吹き飛ばされるー

倒れ込んだ英さんに向かって
何発も何発も銃弾を撃ち込むと、
絵里(龍治)は
「気持ちイイ~!最高♡」と興奮した様子で叫んだー

そして、ブラと服を拾うと、そのままそれを身に着けて笑うー

「---そ、、、そ、、そんな…あんた、、、!こんなことして、
 ただですむと思ってるの!?」
龍治(絵里)が叫ぶー

絵里(龍治)は服を整えながら笑うー。

「----そうねぇ…?
 ただでは済まないかもね…?

 でもーーー」

絵里(龍治)が無線を手にしたー

”至急応援を…!銃を持った男と交戦中!至急、、応援を…!”

苦しそうな演技をしながら絵里(龍治)が無線で応援を呼ぶー
一般の警察官たちを呼んだようだー

「--この状況ー
 この馬鹿な男たちを殺したのは”お前”ってことになるんだよー

 目黒龍治さん?」

絵里(龍治)が挑発的に言うー。

「---!!」
周囲を見渡すー
警官たちがこのビルに駆け込んでくるー

「----絶対…絶対許さない!」
そう叫ぶと、龍治(絵里)は警察官たちが到着する前に、
ビルから逃げ出したー。

犯罪組織アビスを表沙汰にしたくない警察上層部は
目黒龍治を表向きは指名手配しなかったが
血眼になって探し始めたー。

「--くくく…逃げろ逃げろ!」
狂気的な顔芸を披露しながら絵里(龍治)が笑うー

「--この身体はもう俺のものだ!あはははははっひゃははははははははっ♡」
絵里(龍治)は、龍治(絵里)の無様な姿を想像して、
狂ったように笑い続けたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

龍治(絵里)は、賭けに出たー

犯罪組織アビスの悪事を阻止しなくてはならないー。
憑依薬が世界に拡散すれば、世界はー。

アビスの本拠地を知るのは、自分だけー。
班長も、リサも、風見も、英さんももういないー。

自分がどうにかするしかないー
この命に代えてもー。

”幹部会”
他の5人の幹部が集まり、リーダーのアビスがやってくるその場で、
幹部5人とアビス全員を葬り去るー。

「----…」
龍治(絵里)は決意を胸に銃をしまうー

”わたしの意地を見せてあげる…”
龍治(絵里)はそう呟くと、少しだけ微笑んだー

”わたしに、家族なんていないのだからー”

絵里は、過去に家族を犯罪組織絡みの事件により
全員失っているー
友達も、その時失ったー。
恋人もー、だ。

それ以降ー
全てを犯罪組織撲滅に捧げて来たー

強い使命感と、その過去を買われ
若くしてアビス対策班のメンバーとして選ばれたー。

「--わたしは…負けない」
龍治(絵里)はそう呟くと、
アビス幹部会の場へと向かったー

”どうして、合言葉が変更されていたのかー”
”どうして、そのことを知らされなかったのかー”
”そもそも、拘束されていたはずの絵里になった目黒龍治が
 どうやって、班長とリサを殺して逃走したのかー”

疑問は残るー

けれどー
やるしかないー。

幹部会が始まったー
黒スーツの冷徹そうな男・アビスがやって来る。

片目に傷のある男・神原
サングラスのスキンヘッド・盛岡
チャイナドレスの女・桜田
優しそうなイケメン・栗本
音楽家風の男・シェパン

全員揃っているー

”チャンスは一瞬ー”

「---憑依薬の初の売買が決まったー
 海外マフィアとの取引だ」

アビスが笑うー。

”そんなこと、絶対に、させない!”

パァン!

龍治(絵里)は素早い動きで銃を取り出すと、発砲したー

驚く幹部5人ー
アビスの頭に、穴が開いているー

「がっ…」
そのまま、アビスが倒れ込むー

「--な、、貴様ぁ!」
イケメン風の幹部・栗本が豹変して、怒りの形相で、銃を放つー

素早く、テーブルに隠れながら、
銃を”まだ状況を飲み込めていない幹部”に向かって発砲するー

音楽家風のシェパンと、スキンヘッドの盛岡が、
悲鳴を上げて倒れるー。

”あと3人ー”

龍治(絵里)は震えていたー
やっぱり、死ぬかもしれないのは、怖いー

けれどー

「うあああああああああ!」
イケメン風の栗本が、隠れていたテーブルの裏側から
襲い掛かって来るー

龍治の身体で格闘する絵里ー

”わたしの身体より、はるかに動きやすいー”

背負い投げして、栗本を吹き飛ばし、
倒れた栗本に銃を放つー。

パァン!

「--ぐっ!」
龍治(絵里)の肩に銃弾が当たるー

片目に傷のある幹部・神原の放った銃だー

チャイナドレスの女・桜田も襲い掛かって来るー

三人が入り乱れた状態で激しく撃ちあうー

そしてー
銃声は鳴りやんだー

「はぁ…はぁ…」

2発の銃弾を受けた龍治(絵里)は苦しそうに壁に寄り掛かったー

視線の先には、
血を流して動かなくなった神原と桜田の姿があるー。

「はぁ…はぁ…」
首領のアビス、5人の幹部ー
全員を葬り去ったー。

「--これで…よかったのよね…?」
龍治(絵里)が呟くー。

犯罪組織アビスには多数の構成員もいるー。
アビスと、5人の幹部を葬っただけでは、
壊滅はしないだろうー。

とは言えー
大打撃であることに違いはないー。

憑依薬の売買も大幅に遅れるだろうー。

警察上層部の中には、犯罪組織アビスの存在を知るものは
まだ多数いるはずー。

きっと、きっと、誰かがーーー

「---おめでとう」
聞き覚えのある声がして、幹部会をやっていた部屋の扉が開いたー

部屋に入って来た人物を見て
龍治(絵里)は表情を歪めたー。

「-----久しぶり」
笑う眼鏡の女ー

その女はー
アビス対策班の一人・リサだったー

班長と共に、”入れ替わりによる潜入捜査”を知っていた人物の一人ー
警察上層部の男の娘と噂されていたー
絵里よりもさらに若い女性ー。

「--え…リサ・・・?」
龍治(絵里)が戸惑うー

どうして、リサがここに?
アビスの本部にいるのかー?

そもそもリサはー

”わたしです!リサです!先輩!!あいつが、、あいつが、、”
”パァン!パァンパァンパァン!!パァン ガシャン”

「--リサ…あなた、、、死んだんじゃ?」

苦しそうに龍治(絵里)が言うー

確かにあの時、緊急の連絡で、リサは死んだはずだー

リサはほほ笑むー
無線機をも持ちながら、リサは叫んだー

「わたしです!リサです!先輩!!あいつが、、あいつが、、」

そう言いながら銃を床に向かって放つリサー

「---!!」
龍治(絵里)は表情を歪めたー

「--わたし、死んでませんよ?
 連絡しながら、銃を床に放っただけですよ?」
リサがクスリと笑ったー

「--あなた…一体…?」
龍治(絵里)が戸惑うー。

何故”死を演出”する必要があったのかー
そもそも、リサがどうしてここにいるのかー。

「--チンピラ6人、射殺して、満足ですか?」
リサが笑いながら、倒れているスキンヘッドの幹部・盛岡を蹴り飛ばすー

「チンピラ?…」
龍治(絵里)は苦しそうにしながら戸惑うー

「ここにいる人たちは、幹部なんかじゃありません。
 幹部のふりをした下っ端ですー。
 そこに倒れているアビスも、リーダーのふりをした下っ端です」

リサはそう微笑みながら呟いたー

「--え」
龍治(絵里)が戸惑っていると、
リサは悪魔のような笑みを浮かべたー

「--わたしが、目黒龍治を逃がしましたー」
とー。

「--!!」

リサが絵里になった目黒龍治を逃がしー
班長を射殺させたー

そして、絵里が入れ替わる前日に合言葉の変更を決めたのは、リサー。
リサが班長に進言し、
合言葉を変更させたー。
全員に伝える役割のリサが”あえて”絵里にだけは伝えなかったー

「え…なんで…あなた、、、いったい…?」
龍治(絵里)が、強面の顔を乙女のように
弱弱しく輝かせながら言うー。

絵里(龍治)が、リサの方を見て頭を下げると、
リサが微笑んだー

「--わたしが、アビスの首領だー」
と、凶悪な笑みを浮かべながらー

「-------!!!!!!」
龍治(絵里)が絶望の表情を浮かべるー

「この施設にいるのはチンピラと雑魚ばかりー。
 ここはアビスの本部なんかじゃないー。

 本部は別の場所にあるー。
 
 ククク…
 絵里さんのおかげで助かりましたよぉ~

 警察が秘密裏に開発していた入れ替わりの技術も
 盗めましたし、アビス対策班も壊滅状態、
 し・か・も
 なにより
 わたし自身が滅茶苦茶、楽しかったんでぇ~!

 あはははははっ」

リサは笑うと、部屋の出口に向かっていくー

絵里(龍治)が笑うー

「--これからは、俺が絵里ー
 お前が目黒龍治だー

 ただしー
 お前はもう、、、”アビス”から破門だー。

 警察からも追われー
 アビスの一員としても生きることはできないー

 元アビスの凶悪犯罪者目黒龍治として
 お前は生きていくんだよ!へへへへ!

 スタイルの良いボディは俺が組織のために
 有効活用してやるぜぇ!」

絵里(龍治)がかわいい声でげらげら笑うー

龍治になった絵里はー
”入れ替わり”を誰にも信じてもらうことが出来ずー
警察官としても、絵里としてもー
そして、アビスの一員としても生きることはできないー

絵里としても、龍治としても生きることはできないー

「----んふふふっ♡ ありがとうございます」
リサから”ご褒美のキス”をしてもらって
嬉しそうに顔を赤らめる絵里(龍治)

龍治(絵里)は、血を流しながら
絶望の表情で叫んだー

「---リサちゃん!なんで!!!!!どうして!!」

とー

リサは振り返ったー

「---リサちゃんは…乗っ取られちゃったの…♡」

ー!?

リサは笑うー
アビス対策班が設立された当時は、リサはリサだったー
けれどー
少し前に、アビスの首領が、テスト中だった憑依薬を使い、
リサを拉致、リサに憑依して乗っ取ったのだとー。

「--じ、、じゃあ、、リサは…」
絵里(龍治)が言うと、
リサはほほ笑んだー

「半年前から、ずーっと乗っ取られたままですぅ~♡ あはははっ!」

馬鹿にしたように笑うと、
リサが「おい!行くぞ目黒!」と、叫んで、そのまま部屋の外に出ていくー

絵里(龍治)が笑うー

「--へへへへ、この施設にはもうお前だけだ
 ここで出血多量で死ぬも良し。
 俺の身体で警察とアビス、両方から追われる人生を送るもよしー

 あ、いや、
 俺の”彼氏”にしてやってもいいんだぜぇ?
 はははははっ」

絵里(龍治)はアソコのあたりを服の上から触りながら笑うー

「-ーーばいばい」
絵里(龍治)がにっこり微笑むー

立ち去っていく絵里(龍治)-

「ま、、待って…わたしの、、わたしの身体…」
偽の幹部たちに撃たれた傷を押さえながら、
龍治(絵里)は、その場で叫んだー

「うああああああああ…!」

絶望ー。
自分の身体を奪われー
仲間を奪われー
龍治として生きる道すら奪われー

何もかも、奪われたー

「---あ…あああああ…」

龍治(絵里)は、頭を抱えながら、
その場で一人、誰にも届かない泣き声をあげたー。

おわり

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コメント

潜入捜査失敗…!!
お読み下さりありがとうございました~!

入れ替わり<潜入刑事>
憑依空間NEO

コメント

  1. みのむー より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    うわぁ。まさかのww

    ダーク最高っすねー。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!

    元の自分としても生きられませんし、
    組織側からは、入れ替わりがバレてるので、
    組織側でも生きられないので…

    地獄ですネ~…!

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