入れ替わりによる潜入捜査に
漂う暗雲…
追い詰められてしまった彼女に、
反撃の手立ては…!?
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「---!!」
屋上に響き渡った銃声ー
それは、龍治(絵里)が放ったものではなかったー
「---風見さん?」
絵里(龍治)が、少しだけ驚くー
「今の話、聞かせてもらった」
風見と英さんが、絵里(龍治)を取り囲むー
龍治(絵里)が困惑しながら、風見たちを見るー。
「---地下駐車場で話を聞いたあと、
俺たちなりに色々考えたんだー。
それで、絵里を尾行してたー。
今の話を聞いて確信したよー。
信じられんが、本当に入れ替わってるんだなー」
風見が龍治(絵里)の方を見ながら言うー。
英さん「--すまなかった」と、
龍治(絵里)の方を見ながら、謝罪の言葉を口にするー。
「----みんな…」
龍治(絵里)が嬉しそうに言ったー。
「-ー元に戻す方法を必ず見つけてやる
お前は安心しろ」
風見がそう言うと、英さんと共に、龍治(絵里)の方に銃を向けたー。
「---目黒龍治ー
絵里の身体を返してもらおうかー
一旦、身柄を拘束させてもらうぞー」
2対1ー
いや、3対1-。
風見も、英さんも、プロだー。
龍治になっている絵里もそうー。
負けるはずが、なかったー。
「---ふふふふふ…バレちゃ仕方ないー
でもー
”わたし”を撃てるのかしらー?
この、身体を…?」
絵里(龍治)が挑発的に言うー
そしてー
「--!?」
絵里(龍治)が突然服を脱ぎ捨てて、上半身の下着を晒すー。
さらに、ブラまで放り投げて、胸を晒すー
「--!?」
風見が一瞬戸惑ったー
パァン!
「---がっ!?」
わずかな隙をついた絵里(龍治)が、風見の頭を撃ち抜くー
「風見!」
英さんが叫ぶと同時に発砲したー。
だがー
”相手が絵里の身体”という躊躇が、
狙いをわずかに外させー
絵里(龍治)の頭を狙ったはずが、
絵里(龍治)の腕を貫いただけだったー
「--あはははっ!
女の身体は最強だぜ!」
胸を露出することで、風見のわずかな隙を誘った絵里(龍治)-
龍治(絵里)は、発砲できないー
自分の身体を撃つことはできないー
そう、判断しての行動ー
パァン!
「--ぐあっ」
英さんが吹き飛ばされるー
倒れ込んだ英さんに向かって
何発も何発も銃弾を撃ち込むと、
絵里(龍治)は
「気持ちイイ~!最高♡」と興奮した様子で叫んだー
そして、ブラと服を拾うと、そのままそれを身に着けて笑うー
「---そ、、、そ、、そんな…あんた、、、!こんなことして、
ただですむと思ってるの!?」
龍治(絵里)が叫ぶー
絵里(龍治)は服を整えながら笑うー。
「----そうねぇ…?
ただでは済まないかもね…?
でもーーー」
絵里(龍治)が無線を手にしたー
”至急応援を…!銃を持った男と交戦中!至急、、応援を…!”
苦しそうな演技をしながら絵里(龍治)が無線で応援を呼ぶー
一般の警察官たちを呼んだようだー
「--この状況ー
この馬鹿な男たちを殺したのは”お前”ってことになるんだよー
目黒龍治さん?」
絵里(龍治)が挑発的に言うー。
「---!!」
周囲を見渡すー
警官たちがこのビルに駆け込んでくるー
「----絶対…絶対許さない!」
そう叫ぶと、龍治(絵里)は警察官たちが到着する前に、
ビルから逃げ出したー。
犯罪組織アビスを表沙汰にしたくない警察上層部は
目黒龍治を表向きは指名手配しなかったが
血眼になって探し始めたー。
「--くくく…逃げろ逃げろ!」
狂気的な顔芸を披露しながら絵里(龍治)が笑うー
「--この身体はもう俺のものだ!あはははははっひゃははははははははっ♡」
絵里(龍治)は、龍治(絵里)の無様な姿を想像して、
狂ったように笑い続けたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
龍治(絵里)は、賭けに出たー
犯罪組織アビスの悪事を阻止しなくてはならないー。
憑依薬が世界に拡散すれば、世界はー。
アビスの本拠地を知るのは、自分だけー。
班長も、リサも、風見も、英さんももういないー。
自分がどうにかするしかないー
この命に代えてもー。
”幹部会”
他の5人の幹部が集まり、リーダーのアビスがやってくるその場で、
幹部5人とアビス全員を葬り去るー。
「----…」
龍治(絵里)は決意を胸に銃をしまうー
”わたしの意地を見せてあげる…”
龍治(絵里)はそう呟くと、少しだけ微笑んだー
”わたしに、家族なんていないのだからー”
絵里は、過去に家族を犯罪組織絡みの事件により
全員失っているー
友達も、その時失ったー。
恋人もー、だ。
それ以降ー
全てを犯罪組織撲滅に捧げて来たー
強い使命感と、その過去を買われ
若くしてアビス対策班のメンバーとして選ばれたー。
「--わたしは…負けない」
龍治(絵里)はそう呟くと、
アビス幹部会の場へと向かったー
”どうして、合言葉が変更されていたのかー”
”どうして、そのことを知らされなかったのかー”
”そもそも、拘束されていたはずの絵里になった目黒龍治が
どうやって、班長とリサを殺して逃走したのかー”
疑問は残るー
けれどー
やるしかないー。
幹部会が始まったー
黒スーツの冷徹そうな男・アビスがやって来る。
片目に傷のある男・神原
サングラスのスキンヘッド・盛岡
チャイナドレスの女・桜田
優しそうなイケメン・栗本
音楽家風の男・シェパン
全員揃っているー
”チャンスは一瞬ー”
「---憑依薬の初の売買が決まったー
海外マフィアとの取引だ」
アビスが笑うー。
”そんなこと、絶対に、させない!”
パァン!
龍治(絵里)は素早い動きで銃を取り出すと、発砲したー
驚く幹部5人ー
アビスの頭に、穴が開いているー
「がっ…」
そのまま、アビスが倒れ込むー
「--な、、貴様ぁ!」
イケメン風の幹部・栗本が豹変して、怒りの形相で、銃を放つー
素早く、テーブルに隠れながら、
銃を”まだ状況を飲み込めていない幹部”に向かって発砲するー
音楽家風のシェパンと、スキンヘッドの盛岡が、
悲鳴を上げて倒れるー。
”あと3人ー”
龍治(絵里)は震えていたー
やっぱり、死ぬかもしれないのは、怖いー
けれどー
「うあああああああああ!」
イケメン風の栗本が、隠れていたテーブルの裏側から
襲い掛かって来るー
龍治の身体で格闘する絵里ー
”わたしの身体より、はるかに動きやすいー”
背負い投げして、栗本を吹き飛ばし、
倒れた栗本に銃を放つー。
パァン!
「--ぐっ!」
龍治(絵里)の肩に銃弾が当たるー
片目に傷のある幹部・神原の放った銃だー
チャイナドレスの女・桜田も襲い掛かって来るー
三人が入り乱れた状態で激しく撃ちあうー
そしてー
銃声は鳴りやんだー
「はぁ…はぁ…」
2発の銃弾を受けた龍治(絵里)は苦しそうに壁に寄り掛かったー
視線の先には、
血を流して動かなくなった神原と桜田の姿があるー。
「はぁ…はぁ…」
首領のアビス、5人の幹部ー
全員を葬り去ったー。
「--これで…よかったのよね…?」
龍治(絵里)が呟くー。
犯罪組織アビスには多数の構成員もいるー。
アビスと、5人の幹部を葬っただけでは、
壊滅はしないだろうー。
とは言えー
大打撃であることに違いはないー。
憑依薬の売買も大幅に遅れるだろうー。
警察上層部の中には、犯罪組織アビスの存在を知るものは
まだ多数いるはずー。
きっと、きっと、誰かがーーー
「---おめでとう」
聞き覚えのある声がして、幹部会をやっていた部屋の扉が開いたー
部屋に入って来た人物を見て
龍治(絵里)は表情を歪めたー。
「-----久しぶり」
笑う眼鏡の女ー
その女はー
アビス対策班の一人・リサだったー
班長と共に、”入れ替わりによる潜入捜査”を知っていた人物の一人ー
警察上層部の男の娘と噂されていたー
絵里よりもさらに若い女性ー。
「--え…リサ・・・?」
龍治(絵里)が戸惑うー
どうして、リサがここに?
アビスの本部にいるのかー?
そもそもリサはー
”わたしです!リサです!先輩!!あいつが、、あいつが、、”
”パァン!パァンパァンパァン!!パァン ガシャン”
「--リサ…あなた、、、死んだんじゃ?」
苦しそうに龍治(絵里)が言うー
確かにあの時、緊急の連絡で、リサは死んだはずだー
リサはほほ笑むー
無線機をも持ちながら、リサは叫んだー
「わたしです!リサです!先輩!!あいつが、、あいつが、、」
そう言いながら銃を床に向かって放つリサー
「---!!」
龍治(絵里)は表情を歪めたー
「--わたし、死んでませんよ?
連絡しながら、銃を床に放っただけですよ?」
リサがクスリと笑ったー
「--あなた…一体…?」
龍治(絵里)が戸惑うー。
何故”死を演出”する必要があったのかー
そもそも、リサがどうしてここにいるのかー。
「--チンピラ6人、射殺して、満足ですか?」
リサが笑いながら、倒れているスキンヘッドの幹部・盛岡を蹴り飛ばすー
「チンピラ?…」
龍治(絵里)は苦しそうにしながら戸惑うー
「ここにいる人たちは、幹部なんかじゃありません。
幹部のふりをした下っ端ですー。
そこに倒れているアビスも、リーダーのふりをした下っ端です」
リサはそう微笑みながら呟いたー
「--え」
龍治(絵里)が戸惑っていると、
リサは悪魔のような笑みを浮かべたー
「--わたしが、目黒龍治を逃がしましたー」
とー。
「--!!」
リサが絵里になった目黒龍治を逃がしー
班長を射殺させたー
そして、絵里が入れ替わる前日に合言葉の変更を決めたのは、リサー。
リサが班長に進言し、
合言葉を変更させたー。
全員に伝える役割のリサが”あえて”絵里にだけは伝えなかったー
「え…なんで…あなた、、、いったい…?」
龍治(絵里)が、強面の顔を乙女のように
弱弱しく輝かせながら言うー。
絵里(龍治)が、リサの方を見て頭を下げると、
リサが微笑んだー
「--わたしが、アビスの首領だー」
と、凶悪な笑みを浮かべながらー
「-------!!!!!!」
龍治(絵里)が絶望の表情を浮かべるー
「この施設にいるのはチンピラと雑魚ばかりー。
ここはアビスの本部なんかじゃないー。
本部は別の場所にあるー。
ククク…
絵里さんのおかげで助かりましたよぉ~
警察が秘密裏に開発していた入れ替わりの技術も
盗めましたし、アビス対策班も壊滅状態、
し・か・も
なにより
わたし自身が滅茶苦茶、楽しかったんでぇ~!
あはははははっ」
リサは笑うと、部屋の出口に向かっていくー
絵里(龍治)が笑うー
「--これからは、俺が絵里ー
お前が目黒龍治だー
ただしー
お前はもう、、、”アビス”から破門だー。
警察からも追われー
アビスの一員としても生きることはできないー
元アビスの凶悪犯罪者目黒龍治として
お前は生きていくんだよ!へへへへ!
スタイルの良いボディは俺が組織のために
有効活用してやるぜぇ!」
絵里(龍治)がかわいい声でげらげら笑うー
龍治になった絵里はー
”入れ替わり”を誰にも信じてもらうことが出来ずー
警察官としても、絵里としてもー
そして、アビスの一員としても生きることはできないー
絵里としても、龍治としても生きることはできないー
「----んふふふっ♡ ありがとうございます」
リサから”ご褒美のキス”をしてもらって
嬉しそうに顔を赤らめる絵里(龍治)
龍治(絵里)は、血を流しながら
絶望の表情で叫んだー
「---リサちゃん!なんで!!!!!どうして!!」
とー
リサは振り返ったー
「---リサちゃんは…乗っ取られちゃったの…♡」
ー!?
リサは笑うー
アビス対策班が設立された当時は、リサはリサだったー
けれどー
少し前に、アビスの首領が、テスト中だった憑依薬を使い、
リサを拉致、リサに憑依して乗っ取ったのだとー。
「--じ、、じゃあ、、リサは…」
絵里(龍治)が言うと、
リサはほほ笑んだー
「半年前から、ずーっと乗っ取られたままですぅ~♡ あはははっ!」
馬鹿にしたように笑うと、
リサが「おい!行くぞ目黒!」と、叫んで、そのまま部屋の外に出ていくー
絵里(龍治)が笑うー
「--へへへへ、この施設にはもうお前だけだ
ここで出血多量で死ぬも良し。
俺の身体で警察とアビス、両方から追われる人生を送るもよしー
あ、いや、
俺の”彼氏”にしてやってもいいんだぜぇ?
はははははっ」
絵里(龍治)はアソコのあたりを服の上から触りながら笑うー
「-ーーばいばい」
絵里(龍治)がにっこり微笑むー
立ち去っていく絵里(龍治)-
「ま、、待って…わたしの、、わたしの身体…」
偽の幹部たちに撃たれた傷を押さえながら、
龍治(絵里)は、その場で叫んだー
「うああああああああ…!」
絶望ー。
自分の身体を奪われー
仲間を奪われー
龍治として生きる道すら奪われー
何もかも、奪われたー
「---あ…あああああ…」
龍治(絵里)は、頭を抱えながら、
その場で一人、誰にも届かない泣き声をあげたー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
潜入捜査失敗…!!
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
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うわぁ。まさかのww
ダーク最高っすねー。
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コメントありがとうございます~!
元の自分としても生きられませんし、
組織側からは、入れ替わりがバレてるので、
組織側でも生きられないので…
地獄ですネ~…!