<入れ替わり>潜入刑事②~絶望~

”入れ替わり”により、
犯罪組織に潜入した女性刑事ー

しかし、”そのことを知る人物”が
消されてしまってー?

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「---…ふ、ふざけないで」
銃を構える龍治(絵里)-。

しかし、絵里(龍治)は不敵な笑みを浮かべたー

「-こんな美人な身体が手に入るなんて、
 へへへ…最高だぜ…?
 なぁ?」

胸を揉みながらイヤらしい笑みを浮かべる絵里(龍治)-

「わ、わたしの身体に触らないで!」
龍治(絵里)が叫ぶー

「おやおや…
 ”入れ替わり”を仕掛けてきたのは、お前だろ?
 自分から身体を入れ替えておいて、
 その言い方はないんじゃないかなぁ?」
絵里(龍治)が笑うー

こんな挑発的な声ー
わたし出せるなんだ…

と思いながら龍治(絵里)は、銃を構えるー。

「--……今すぐ、アビス対策班の本部に戻りなさい」
龍治(絵里)が言う。

早くこの男を拘束しないと、潜入捜査が台無しになってしまうー

「はははは…まだ自分の立場が分かっちゃいないようだな」
絵里(龍治)が、ニヤリとほほ笑んだー。

「--”班長”も”リサ”も俺がぶっ殺した」
絵里(龍治)が、ペロリと唇を舐めながら笑うー

「と、いうことは…お前は今、どういう状態なんだ?」
絵里(龍治)の言葉に、龍治(絵里)は背筋が凍るような
思いを味わうー。

男の言わんとしていることは分かるー。

絵里が”入れ替わって”捜査していることを知っていたのは
”班長”と”リサ”だけー。
つまり、”入れ替わり”を証明する手立てがない、
と言いたいのだろうー。

アビス対策班には他にも
”英さん”というおじさんと、
”風見”というエースの異名を持つ若手男性刑事がいるー。

しかし、班長の言葉から、
英さんと風見は、そのことを知らないのだろうー

「--上が、知ってるわ」
龍治(絵里)が言うー。

「--上…ねぇ…
 あのエロジジイなら、さっきこの魅力的なボディで
 手ごまにしてやったところだ」

絵里(龍治)が笑うー

「--なっ…」
龍治(絵里)は唖然とするー

上層部の男も、既に手なずけられてしまったのだと言うー。

「--お前、いい声で喘ぐよなぁ?
 実際にこの身体で喘いでみて、滅茶苦茶興奮したぜ!
 最高だよ!

 それに、女のトイレってなんか新鮮でいいよなぁ~」

絵里(龍治)が、ズボンの上から、
アソコのあたりを手でいやらしく撫でるー

「ここに、何もついてねぇって、すっげぇ不思議な気分だよ!
 はははははははっ」

絵里(龍治)の笑い声ー。

龍治(絵里)は
「わたしの身体を返しなさい!」と叫んで、
銃を向けるー。

「--班長とリサを殺したのはどっちにしろ、あなたよ!
 そのことを自白して、大人しく対策班の本部に戻りなさい!」

龍治(絵里)が言うと、

「---あ~~あ、おバカさんだなぁ
 まだ自分の立場を完全に把握できていない」
と、絵里(龍治)は笑ったー

その時だったー
車が絵里と龍治のいる広場にやってきて止まるー

その中からー
アビス対策班の仲間、
英さんと風見が出てきたー

二人ともー
龍治(絵里)に向かって銃を構えているー

「動くな!」
風見が叫ぶー

「え…ちがっ…」
龍治(絵里)はほほ笑むー

絵里(龍治)が勝ち誇った様子で笑っているー

「---!!」

”射殺許可”が
アビス対策班には出ているー

「--英さん~、風見さん~!
 アビスの幹部の目黒です!」
絵里(龍治)がわざとらしく叫びながら指をさすー

英さんと風見が、龍治(絵里)の方に向かってくるー

銃を構えているー

”撃たれる”

そう思った龍治(絵里)は、咄嗟に走り出していたー。
銃声が響き渡るー

必死に街の方に向かって走ったー

”アビス”の存在も
”アビス対策班”も、
警察は世間には公表していないー

さすがに、街中で銃を放つわけにはいかないはずだー。

風見と英さんが、龍治(絵里)を探しているー

裏路地に隠れた龍治(絵里)は、なんとかやり過ごすと、
そのまま一旦、アビスの本部へと戻っていったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「--近いうちに、面白れぇことが起きるー」

”幹部会”で、
アビスの首領・アビスは、笑みを浮かべながらそう呟いたー

重低音の響き渡る、威圧感のある声ー

龍治(絵里)を含む幹部6人が、
アビスの方を見つめるー

「--憑依薬のことかしら」
チャイナドレス女・桜田が派手な扇子で自分を仰ぎながら笑うー。

「--憑依薬とは”別”のものだー
 憑依薬も完成間近だが、そちらも手にすれば
 より、アビスの勢力は増すー」

「--そういや、サツはどうした?色々俺たちのこと
 嗅ぎまわってんだろ?」

スキンヘッドの盛岡が叫ぶー

「--サツなんざ怖くねぇ なんなら俺が全員ぶち殺してきてやってもいいんだぜ!」
迫力のある声ー
半面、いかにも単細胞そうな気もするー

「----」
龍治(絵里)は冷静に、それぞれの幹部の特徴を頭の中に記録していたー

班長とリサが死亡してしまった今、
自分が元の居場所に戻る方法は、今のところはないー

だがー
絵里には勝算があったー

それは、”緊急時の合言葉”

アビス対策班は、戦う相手の犯罪組織アビスが
”憑依薬を開発中”であったことをキャッチしているー
そのため、アビス対策班のメンバー自身が憑依されてしまい、
敵に利用されてしまう可能性についても、当然、認識していたー。

そういった場合に備え
”緊急時の合言葉”をメンバー5人で共有していた。

その合言葉が”エマージェンシー”だー。

それを使えば、
英さんか、風見に信じてもらうことが出来るー

そうなれば、どうにかなるー。

まずは、アビスの情報を探りつつ、
英さんが風見と1VS1で接触する方法を
探さなくてはならないー

「落ち着け 盛岡。武力だけがこの世の全てではない」
アビスはそう言うと、スキンヘッドの盛岡をなだめたー

「-----目黒」
アビスが、龍治(絵里)に話しかけるー。

「---お前に、見せたいものがあるー」
とー。

龍治(絵里)は警戒しながら、アビスの言葉に応じたー。

アビスに連れられて向かった先はー
”大量生産中の憑依薬”だったー

「--憑依薬の最終テストは終わったー
 これを売人を通じて捌くー」

アビスが笑いながら言うー。

「----これを」
龍治(絵里)は唖然としていたー。

これだけの数の憑依薬が世の中に
ばらまかれた場合ー
世の中は崩壊してしまうー。

なんて、恐ろしいことをー。

何の罪もない人が突然乗っ取られて豹変するようになれば、
社会は、なりたたくなるー

誰もが、急に犯罪者になる可能性があるからだー。

「--売人を統括しているのは、目黒。お前だったな。
 来週までに、売人を手配しておけ」

「はっ…」
龍治(絵里)は焦るー。

早くー
早く、このことを対策班に伝えて、
どうにかしないとー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「---はぁ…♡ はぁ…♡ マジで最高…♡」
絵里(龍治)は、イヤらしい下着を身に着けて
ポーズを自宅で決めていたー。

「はぁ…こんな美人の身体を貰えるなんて…♡ はぁ…っ ♡ ひひ」
下着の上から胸を指で触って、感じる絵里(龍治)-

「しかも、優秀な警察官と来た へへへへへっ…」
絵里(龍治)はニヤニヤしながら、
「こういう下着って、完全に見せるために身に着けるものだよなぁ
 男を悩殺するための…へへっ!」

ポーズを決めてさらに興奮する絵里(龍治)-

「この身体をしゃぶりつくしてーー
 エッチしてエッチしてエッチしてエッチして、、
 ヤリまくってやるぜ!ひゃはははははははっ♡」

絵里(龍治)は笑いながらそう答えたー。

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対策班の一人・風見との接触の予定を
取り付けることができたー。

”エース”の異名を持つ風見は
まだ30代で、柔軟な対応と
臨機応変の判断能力に優れるー。

その風見であれば、
入れ替わりのことも理解してくれるだろう。

早く、アビスの計画を伝え、
アビス本拠地に、突入してもらう必要があるー。

「---どこにいくんだ?」
片目に傷のある幹部・神原が声を掛けて来るー。

「---悪だくみさ」
龍治として振舞う龍治(絵里)-

「--へへ…だろうな」
神原は笑いながらそのまま立ち去って行ったー

”嘘”はついていないー
ある意味、”悪だくみ”だー。

神原は恐らく”組織のための悪だくみ”と勘違いしてくれたのだろうー。

「---」
龍治(絵里)は、そのまま、アビス対策班の風見との合流地点に向かったー

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街のはずれの地下駐車場ー。

そこに車を止める龍治(絵里)-

「---あぁ、もう…身体が全体的に大きいから
 なんか運転もしにくいし」

龍治(絵里)は愚痴を呟きながらー
車から外に出たー。

すぐに、白い乗用車がやってきてー
中から男が出て来るー

対アビス対策班の仲間・風見だー。

「----…例の件…本当なのか?」
風見が言うー。

「--ええ…わたしが、絵里よ」
龍治(絵里)が手短に言うー。

”入れ替わり”のことは、広めないようにー
という班長の言葉だったが、
班長とリサ、入れ替わりのことを知っている二人が
殺されたとなれば、別だー。

せめて、残る仲間・風見と英さんには伝えておく必要があるー

「---合言葉は?」
風見が言うー。

”エマージェンシー”

緊急時用の合言葉だー。

「----わかった」
風見は頷くと、
龍治(絵里)に向けて銃を構えたー。

「---!?!?!?!?!?」

「---え、、どうして!?」

龍治(絵里)が叫ぶー。

風見は「入れ替わったのは12日だと言ったな?」
と、呟くー。

「---そうよ!」
龍治(絵里)の言葉にー
風見は続けたー

「--11日に、合言葉の変更があったはずだー。
 お前の言う”入れ替わる前”だー。
 
 エマージェンシーは、10日まで使われていた合言葉ー。
 情報が古かったようだな?
 目黒龍治!」

風見の言葉に愕然とする
龍治(絵里)

「--ちがう!わたしは!」

銃声が響くー

咄嗟にそれを回避した龍治(絵里)ー

風見が「英さん!」と叫ぶー。
ワゴンカーが駐車場に突入してきて、龍治(絵里)をひき殺そうとするー。

アビス対策班は、
犯罪組織アビスメンバーの”殺害”許可が出ているー

龍治(絵里)は慌てて銃を、風見たちに当てないよう、
威嚇の意味合いで放つと、そのまま車の方に駆け込むー。

風見と英さんが銃を放つ中ー
慌てて龍治(絵里)は車で地下駐車場から飛び出したー

”どういうことー?”

確かに、11日は、まだ入れ替わってなかったー
だが”合言葉の変更”など聞いていないー

”わたしにだけ、伝えられていなかったー?”

「---」
龍治(絵里)は、そのまま”自分の入れ替わりを知る”
あと一人の人物、警察上層部の男の居場所に向かって車を走らせたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「-----!」
龍治(絵里)は唖然とするー。

警察上層部の男が、自ら命を絶ったー。
警察が騒ぎになっていたー

近くのビルの屋上からそれを確認して絶望する龍治(絵里)-

「--ククク」
背後から女の声がするー。

絵里の身体を奪った龍治だー。

「--…あなた…まさか」
龍治(絵里)が言うとー

「-お前の身体ー、美貌を駆使すれば、
 あんな男、破滅させるのは簡単だったぜ」
と、絵里(龍治)が髪を触りながら笑みを浮かべるー。

「---…わたしの身体を返しなさい!」
龍治(絵里)が銃をつけつけるー

絵里(龍治)が笑うー。

「--撃てるのか?自分の身体をー?
 クククー
 両親も、友達も、恋人も、悲しむぜ?」

絵里(龍治)は銃を突き付けられながらも、笑うー

「---」
龍治(絵里)が表情を歪めるー

「-撃てるのか?
 いいや、

 撃てるの?ふふ、犯罪者さん♡」

甘い声を出して挑発する絵里(龍治)-

「----ない…---」

「--ん?」
絵里(龍治)が笑みを浮かべながら、龍治(絵里)の発した言葉を聞き返すー

「--わたしにー
 家族なんて、いない!」

「---!?」
絵里(龍治)が表情を歪めたー

「--うああああああああ!」
龍治(絵里)は、叫び声をあげるー

そして、屋上に銃声が響き渡ったー

③へ続く

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コメント

絶望に追いやられた彼女の運命は…?

次回が最終回デス~!

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入れ替わり<潜入刑事>

コメント

  1. みのむー より:

    SECRET: 0
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    これは、続きが気になります。

  2. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!☆
    最終回も頑張ります!!

  3. 飛龍 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    結末が気になります~!

  4. 無名 より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    コメントありがとうございます~!☆

    結末は…意外な結末…かも?デス!