「僕は、きみそのものになりたいー
きみという概念になりたいー」
狂気の男が、ごく普通の女子高生に、迫るー!?
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高校2年生の百川 紗理奈(ももかわ さりな)は、
コンビニでアルバイトをしていたー。
自分のお小遣いが欲しい、という目的ももちろんあったが、
母親が体調を崩し、家計が少し苦しくなっているため、
少しでもそれを支えたい、という願いもあったー。
真面目な紗理奈は、コンビニの店長からも
信頼され、バイトの先輩たちからも
とても可愛がられていたー。
しかし、最近の紗理奈には悩みがあったー。
それはーーー
コンビニにやってくる常連客のひとりだー。
名前は、堂島 義康(どうじま よしやす)-。
薄汚い感じの男で、近所のアパートで独り暮らしの男だー。
何故、紗理奈がそんな個人情報を知っているのかと言うと、
堂島義康自身が、聞いてもいないのに自己紹介をしてきたからだー。
最初は”気さくなおじさん”だと思っていたー。
だが、違ったー。
堂島義康は、ある日、紗理奈に告白してきたのだー。
年齢は、少なくとも30代後半ー
義康が、自分で”君の2倍以上生きている”と言っていたからだー。
紗理奈は、当然、告白を断ったー。
店長にすぐさま相談し、話し合った結果、店長が
紗理奈の代わりに、義康に返事を伝えてくれたー。
だがー
堂島義康は、揺るがなかったー。
紗理奈に告白を断られてから、
堂島義康は、紗理奈がレジをやっている時間帯に
わざわざエロ雑誌や、コンドームを購入するようになったー。
店長の配慮で、堂島義康の姿が見えると、
店長がレジを交代してくれるようになったが、
それでも、義康の行動は止まらなかったー
「--おつかれさまでした~!」
紗理奈が店から出ると、
コンビニ前の駐車場で、フランクフルトを手に、
義康が笑みを浮かべていたー
「ーーーきみに、俺のフランクフルトを咥えてほしいな」
義康の言葉に、
紗理奈は恐怖を感じて、そのまま走り去るー
「へへへへ」
義康は、紗理奈に”一目ぼれ”していたー。
真面目な性格で、可愛く、愛想も良いー。
しかも、体調を崩した母親のために、バイトをしているとなれば、
なおさら、”がんばっているね”という気持ちになるー
そんな紗理奈の助けになってあげたいー
心の支えになってあげたいー。
「---僕が、きみを支えるんだー」
義康は、そう呟きながら、笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した紗理奈は、
両親にも、コンビニの常連客のことを相談していたー
店長はよく助けてくれていることを話しつつも、
”このままだと、あそこのバイト辞めないといけないかも”
とー、紗理奈は、両親に相談するー
「-何かされたり、ってことはないのか?」
父親が不安そうに聞いてくるー。
「--うん。それはないんだけど…
この前も言った、変なものをわたしがレジやってるときに
わざと買いにくるぐらいー」
紗理奈の言葉に、
母親は「気持ち悪い人ねぇ…」と呟くー
「--……何かされそうになったら、すぐに助けを呼ぶんだぞ」
父の言葉に、紗理奈は「うん」と頷くー。
今の時点で警察に相談したところで
「暴力」も「暴言」もないわけだし
紗理奈に触れているわけでもなく、
警察が動くのも、現実的には難しいだろう、と
父親は考えるー。
紗理奈は不安そうにしながらも
「とにかく、もうちょっと頑張ってみるね」と呟くー。
紗理奈も、怖いという気持ちはあったー。
けれど、一方で、今のバイト先のコンビニは
店長も含めて、本当にいい人たちだし、
なんとか、バイトは続けたいー。
そんな風に考えながらー
ある日、高校から下校しているとーー
「---!」
紗理奈の前に、突然真っ白な軽自動車が止まったー
紗理奈が驚いていると、
中から出て来たのは、真っ白なジャケット姿の義康だったー
白い車に白い服装ー。
「--きみの、白馬の王子様だよー」
義康は、にっこりと、そう微笑んだー
「---!!!」
紗理奈は恐怖を感じて、そのまま義康を無視して
立ち去ろうとするー。
「---ごめんね、紗理奈ちゃんー
きみのために、白馬の王子様になろうと
努力したんだけどさー
さすがに白毛の馬は手に入らなかったよー
だから白の車と僕が白くなったからー
ね?これで許してよ」
義康が叫ぶー。
自分が白馬の王子様だと叫ぶ義康を
無視して早歩きで歩く紗理奈ー。
しかしー
義康は、小太りな体格では信じられないほどの
猛ダッシュで走って来ると、紗理奈の前に立ちはだかったー
「-まってよー
僕は、きみを支えたいんだー
きみの、王子様になりたいんだー
ぼく、きみのために一生を捧げるからー」
義康の言葉に、紗理奈は「ごめんなさい」と頭を下げて
そのまま横を通ろうとするー
「--!」
その時だったー
義康が紗理奈の腕を掴んだー
”直接”触れられるのは、これが初めてー
紗理奈はパニックになって「やめて!」と、義康を振り払ってしまうー。
尻餅をつく義康ー。
「あーー、ご、ごめんなさい」
暴力など振るったこともない紗理奈は、思ったよりも
義康が吹き飛んだことに驚いて、つい、手を差し伸べてしまうー
だがー
この”優しい”性格があだになったー。
「---わたし、お付き合いとか、できませんので」
紗理奈はそう言い放つと、そのまま立ち去っていく。
「---えへへ…」
一人残された義康は笑みを浮かべたー
”手を差し伸べてくれたー”
紗理奈のやさしさにーーー
義康の感情はさらに高ぶったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
コンビニのバイト中に、義康はやってきたー。
店長が、「--百川さんは下がって」と、
紗理奈を後ろに下げるー。
店長は、40代の男性だが、
とても穏やかで、気配りも出来ているー。
紗理奈のことを変な目で見たりすることも全くなく、
本当に頼れる存在だー。
「---ぼくはー!」
レジの前で、控室にまで聞こえる大声で叫ぶー
「きみという概念になりたい!!
ぼくは、、きみとひとつになりたい!!
ぼくは、きみと合体したい!
どうかこのぼくのきもちを、受け止めてくれ!!!」
叫ぶ義康ー
「いい加減にしろ」
店長が鋭い口調で言うー
店長が、そんなにきつい言葉を掛けている場面を
紗理奈は見たことがないー。
それだけ、店長は怒っているのだろうー。
「--僕は、、きみの全てがほしい!!!!!!!!」
大声で叫ぶ義康ー。
「---」
店長は警察を呼ぼうと、コンビニの受話器を手にするー。
それでも、義康は動じずに叫ぶー。
「僕はきみのためなら、何にでもなってやる!
きみという存在を、僕はこの世のあらゆるものから守ってやる!」
完全にイかれているー
そう判断した店長は、警察を呼んだー。
すぐに駆け付けた警察ー。
それでも義康は意味不明は言葉を叫び続けていたー。
警察も、さすがに”おかしい”と判断したのか
そのまま義康は連行されたー。
控室で震えている紗理奈を見て、店長は
「--もう、大丈夫だから」と心配そうに呟いたー。
しかしーーー
それでも、義康はあきらめなかったー
「僕は、百川 紗理奈という女子高生の、オタクなんです」
コンビニにやってきて、他のバイトに絡む義康ー。
「---………」
店長が呆れ顔で、他のバイトに「下がってて」と指示をすると、
義康を睨みつけたー
「出入り禁止にしますよ」
とー。
紗理奈は、コンビニの休憩室の奥で、震え続けたー。
紗理奈の方を見ながら、男子大学生のバイト・五十嵐 忠雄(いがらし ただお)は、
心配そうな表情を浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”紗理奈は僕が守らないと”
ついに、狂気が爆発したー。
翌日の夜ー
紗理奈は、驚いて振り返ったー。
「--きみは僕が守るー!」
驚く紗理奈に、注射器のようなものが刺されるー。
全ては、紗理奈を守るためー
紗理奈とひとつになりー
僕が、紗理奈となるー
紗理奈が悲鳴をあげながら”皮”のようになっていくー
着ぐるみのようになった紗理奈を見つめながらー
ニヤリと笑みを浮かべる義康ー。
「---はぁ…♡ はぁ♡ はぁ♡」
紗理奈の皮を手にした義康は、不気味な笑みを浮かべたー
紗理奈の皮を着こんでいく義康ー
「や、、、め、、、、、、」
紗理奈が、必死に言葉を発したー
身体が思うように動かないー
身体が、言うことをきかないー。
それでも、紗理奈は必死に抵抗したー。
なんとか、抵抗しようとー。
「…抵抗しても、無駄だよ」
義康は、ニヤニヤしながら、皮になった紗理奈を撫でるー
紗理奈が、ほとんど聞こえない、乾いた悲鳴をあげるー。
「--皮になってると、
胸の部分のふくらみも分からないなぁ~
でも、大丈夫ー。」
皮になった紗理奈の胸を触る義康ー。
しかし、皮になっているために、ふくらみを感じることは出来ないー。
「-きみのことは、僕が守るから、安心して」
義康が、気持ち悪い甘い声で囁くー
紗理奈は、どうすることもできずー
ついに悲鳴を上げることもできなくなって、
義康を見つめるー。
「ーーーきみの胸は誰にも触らせないー
僕以外の、誰にも、ね。
僕がきみをー
紗理奈ちゃんをしっかり守るから、安心して」
その言葉と同時に、紗理奈は、”自分の中に何かが入って来る”
ような感触を感じたー
義康が、皮になった紗理奈を着ているー。
紗理奈は、どうすることもできないままー
生まれて初めての感触ー
言葉に言い表しようのない感触を感じながらー、
心の中で悲鳴を上げたー
「--くふふふふ…」
紗理奈は不気味な笑みを浮かべると、
そのままゆっくり歩きだしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「-----!!」
紗理奈が自宅で目を覚ましたー
冷や汗をかいている紗理奈ー
「い、、今のは…夢?」
紗理奈が戸惑うー。
すると、頭の中に声が響いてきたー
”きみのことは、僕が守るから、安心してー”
と、いう声がー
「---!!」
紗理奈自身の声と、男の声が混じったような不気味な声が
響き渡って来るー。
「--や、、やめて!わたしの中から出て行ってー!」
紗理奈が叫ぶと、
”僕はただ、紗理奈ちゃんを守りたいだけだよ。
僕の邪魔をするやつは、さっき、紗理奈ちゃんの姿で始末してきた”
と、声が響いたー。
「---ぼくのじゃまをするやつ…?」
紗理奈は、そう呟くと、バイト先でいつも紗理奈を守ってくれていた店長の
姿が浮かんで、ハッとしたー
「--て、店長に何かしたの!?」
紗理奈が叫ぶと、同時にー
”これから僕は君のボディチェックをするからー
おやすみー”
という声が響き渡りー、
紗理奈の意識は途切れたー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
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狂気の男に乗っ取られてしまった彼女の運命は…?
続きはまた明日デス~!
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