「お前は鳥だー」
少女たちを洗脳し、飛び降りさせるー
そんな、恐怖の事件は、
まだ、終わっていないー
※「お前は鳥だ」の後日談デス!
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屋上ー
”少女たちが飛び降りる”
事件を調べていた刑事ー
達本 義明(たつもと よしあき)は、事件の真相にたどり着いていたー
義明は、娘の千里(ちさと)を抑えながら、
犯人の方を見るー。
娘の千里も洗脳され、今、鳥のように羽ばたかせられようとしているー
「--わたしも、”ブレイン”に通っていたんです。
そこで、洗脳術を身に着けたー。
最初はただの興味本位でした。
ブレインで教えているのは、ほんの催眠術程度の術ー。
でもー…
福森善治が悪用する方法を思いついてしまった。
彼が、娘をいじめた子たちを飛び降りさせていると知ったわたしはーー
彼の”真似”をしたんですー
彼が殺したのは、彼の言ってた通り、
”娘を死に追いやった女子たち”だけー。
残りは、わたしが洗脳して、飛び降りさせました」
犯人はー
同僚の女刑事ー美津代ー。
飛び降り事件の犠牲者たちの
”半分”は、
福森善治という娘を失った男がやったことだったー。
娘を自殺に追いやった少女たちを、洗脳して
飛び降りさせていたのだー
しかし、
残りの”半分”は-
”模倣犯”
同僚の刑事の、美津代ー。
「---お前は鳥」
美津代がほほ笑むー
「---やめ…」
義明は鳥のように羽ばたきー
そしてーー
転落したーーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”これで、邪魔者はもういないー”
美津代は、屋上で気絶していた義明の娘・千里にも
「お前は鳥よ」と囁くと、
千里がどうなったのかも確認せず、
そのまま屋上から立ち去って行ったー
・・・・・・・
千里が一人、屋上で羽ばたくー
鳥のようにー
完全に洗脳されている千里は、
屋上から飛べば自分が死ぬことも分からず
「わたしは、鳥ー」
と呟くー
「---」
千里が両手を羽のようにして、
笑いながら屋上の端の方に向かうー
しかしー
「--っぶねぇ!」
男が、千里にタックルしてー
千里を吹き飛ばしたー
「ぁぅ…」
千里が、羽ばたこうとしながら倒れているー。
「---間に合ったか。アイツは?」
義明の同期の刑事・源五郎が、
美津代の行動に違和感を感じて
後をつけてきたところー
千里が飛び降りようとしている
現場に駆け付けたのだったー
「おい…お嬢ちゃん。目を覚ませ」
源五郎が千里の頬を叩くー
だが、千里はなかなか目を覚ましそうにないー
そしてー
「--くそっ!」
救急車はまだか!と、内心で舌打ちするー
同期の義明が、洗脳されて
飛び降りてしまったー
助かるだろうかー
源五郎はそう心配しながら、
美津代を指名手配する手続きを始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
千里が、笑いながら鳥のように、
屋上から飛び降りていくー
「千里…千里!」
義明が必死に娘の千里を助けようと
屋上の端の方に走っていくー
けれどー
義明の足は、間に合わずー
ギリギリのところで、千里の手を
掴むことができずー
そのまま、千里は笑いながらー
屋上から転落してしまうー
”楽しいー”
同僚の女性刑事・美津代が笑うー
”あはは…楽しい…!”
美津代が笑うー
「貴様ああああああ!」
義明が美津代の方に突進していくー
”お前は、鳥ー”
「やめ……やめろぉおお!」
義明が両手を鳥のように羽ばたかせてー
そしてーーー
「はっ……!」
飛び起きる義明ー
「----ここは!?」
身体が痛いー
だがーー
義明は、生きていたー
「–病院…?」
義明は、思い出すー
娘の千里が洗脳されてー
”洗脳”少女たちを飛び降りさせていたもう一人の犯人はー
仲間の刑事、美津代であったことをー。
「---!!」
病室の扉が開くー
そこには、同期の刑事ー
源五郎がいたー
「生きてたか。しぶてぇな」
源五郎はそう言うと、お茶を義明に差し出したー
「---堤…」
源五郎の方を見ながら、義明が「俺の娘は!」と叫ぶー
「無事だよ」
源五郎は、そう呟いたー
洗脳も解けて、今は、警察の保護下にあるのだと言う。
「俺は…なんで…」
義明の言葉に、源五郎は煙草を吸いながら、
「お前が落ちた場所が、花壇の上だったからなー
衝撃がいくらかマシになったらしい」
と、呟くー
「--…!」
義明はさらに”美津代が犯人だ”と伝えようとしたがー
源五郎が先に呟いた。
「もう手配はしてある。心配すんな」
とー。
”娘をいじめていた少女たちへの復讐”という
信念を持っていた福森善治とは違い、
美津代には、それがないー
”ただ、楽しいからー”
美津代の理由はそれだー
同じ”人殺し”だとしてもー
後者の方が、非常に危険な存在であることを
義明も源五郎も察していたー
「---しばらくは俺に任せろ」
源五郎が言う。
義明は「俺も行く!」と起き上がろうとするも、
身体に激痛が走って、起き上がれないー
「くそっ!」
義明の言葉に、
源五郎は「無理すんじゃねぇよ」と、肩をポンポンと叩くー
美津代は、必ず、また、やるー。
その時が、抑えるチャンスだー。
”でもなぁ…”
病室から出た源五郎は表情を暗くするー
”俺も、鳥にされちまう可能性もあるからな”
源五郎は考えるー
何か”洗脳”に対する対処法はないのか…?
とー。
義明のような強い正義感を持つ警察官であっても、
洗脳されてしまい、躊躇なく飛び降りてしまうのだー
源五郎も、同じ目に遭う可能性は高いー
「ってことは、やはり、まずは、”ブレイン”のほうかー」
催眠術を教えている”ブレイン”という怪しげな団体ー
そこに調査に入り、洗脳術の対策を聞き出すしかー
”堤さん!”
LINEで連絡が入ったー
源五郎が目にかけている部下からのLINEだー。
”ツイッター、見てください”
とー。
「---!」
源五郎は表情を歪めたー
トレンドー
”鳥”
ー「--!!!」
源五郎は走り出したー
・・・・・・・・・・・・・・・
遊園地
美津代は笑みを浮かべながら歩いていたー
「お前らは鳥ー」
「あなたたたちは、鳥ー」
遊園地の利用客たちが、次々と虚ろな目になっていくー
美津代はー
愉快犯だったー
だがー
福森善治が捕まったことにより、
義明たちが”ブレイン”の顧客リストを調査すると
言い始めたー
だからー
美津代は暴走したー
ブレインの顧客リストを調べられたら
美津代の名前も、そこにはある。
そうなれば、
美津代も当然、疑われるー
義明は優秀な刑事だー
美津代も”刑事として”は、憧れていたー
自分の罪を隠し通すことはできないー
そう考えた美津代は暴走したー
こっそりと、洗脳して楽しむだけのつもりだったのにー
福森善治が逮捕されて終わるはずだったのにー
「あなたは鳥よ」
「お前は鳥」
「あんたも鳥」
「鳥よ!鳥よ!鳥よ!」
遊園地を堂々と歩き、美津代は次々と
遊園地の客を洗脳していくー
どうせ終わりならー
最後にたっぷり楽しませてもらうから…
「ほら!飛びなさい!」
美津代が笑うー
「高いところに行って、飛ぶのよ!あなたたちは鳥!
ほら!飛びなさい!飛べ!飛ぶのよ!」
美津代が叫ぶー
洗脳されたカップルや
女子高生グループ
家族連れー
色々な人たちが高い場所を目指すー
全員、羽ばたきながらー
”やべぇ…”
洗脳を逃れた利用客たちが
その様子をツイートする。
ツイッターのトレンドに”鳥”と上がったのは
このためー
「くそっ…」
義明の同期・源五郎も、現場にかけつけていたー
だがーうかつに姿を現すことができないー
観覧車の前の広場で、
美津代が笑いながら、
鳥のように羽ばたく仕草をしているー
「ほら!飛べ!飛びな!!ほら!あっははははは!」
美津代が周囲の人を次々と洗脳していくー
「くそっ…洗脳の条件が分からねぇ」
源五郎は舌打ちするー
とりあえず、今のところ自分は正気だー
美津代の洗脳の条件が分からないー
うかつに手が出せないー
美津代の視線に入った瞬間洗脳される可能性もあるー
いや、声が条件かー
距離かー。
ここから飛び出して、美津代を抑えるまでにー
自分が洗脳されてしまっては
意味がない。
源五郎も鳥になってしまうー
「あっはははははは!」
宙から笑いながら女子高生が降って来るー
ぐしゃっ、と音がするー
「くそっ!…早くなんとかしねぇと」
源五郎は焦るー
次々と飛び降り始める人々ー
このままでは、最悪の事件になってしまうー
「--やめろ!!!」
叫び声がしたー
隠れている源五郎ー
そして、遊園地の利用客を洗脳している
美津代がその声の方を見るー
そこにはー
病院にいたはずの義明の姿があった。
「--っ、あいつ!」
源五郎が、”病院で大人しくしてろって言っただろ!”と
思いながらも様子を見守るー
義明は、隠れることなく、
美津代の方に向かっていくー
「--こ、来ないで!」
美津代が叫ぶー
「---た、達本さんも、もう一度洗脳しますよ!」
美津代が叫んでいるー
義明は、それでも美津代をまっすぐ見つめー
そして、美津代の方に向かって歩いていくー
「--おい!気ぃ付けろ!」
源五郎が物影から叫ぶー
だが、義明は、美津代の方にまっすぐ向かっていくー
怒りの形相でー。
同じ刑事としてー
悪を憎みー
平和を守るために戦ってきたと、
そう思っていたのにー
美津代は、義明が普段見せないような
怒りの形相を見せていることに動揺しながらもー
笑みを浮かべたー
「-わたしは鳥」
「--わたしは鳥」
「--俺は鳥」
遊園地の利用客たちが続々と羽ばたこうと、高台に向かっているー
そしてー
ザッー
義明が”射程範囲内”に入ったー
洗脳できる範囲内にー
「----あなたも、鳥になるの!」
美津代が叫ぶー
義明を見つめるー
これで、終わりー
今度こそ、羽ばたいてー
そしてーー
「-!?!?」
美津代が表情を歪めたー
義明は、鳥のように羽ばたくことなく、
美津代の方にまっすぐ向かってきているー
「-え?!?!?なんで!?」
美津代が叫ぶー
「---!」
物影からその様子を見ていた源五郎も
表情を歪めるー
「-ーあいつ」
義明は、洗脳されることなく、まっすぐ美津代の方に歩いていきー
そしてーーー
「---もう、やめろ」
義明が美津代の方を見て言うー
「--い、、今更、もう、遅いですよ!
みんなみんな鳥になって飛び降り…」
「もう、、やめろ!!!!!!!!!!!」
義明が、今まで聞いたこともないような恐ろしい声で美津代を怒鳴りつけたー
「---ひっ!?!?」
美津代が、尻餅をつくー
「--頼む。やめるんだー」
義明が、美津代を睨みながら言うとー
美津代は周囲を見渡してから、ため息をついてー
そしてーー
周囲の人間の”洗脳”を全て解除したーー
「あれー?」
「え???」
「うわああああああああああ!」
正気を取り戻した客たちがパニックを起こすー
「--…わたしは…わたしは…」
美津代が地面に座り込みながら、
ブツブツ呟いているー
「---ー」
義明は、美津代の名前を口にするとー
”殺人容疑で逮捕する”と、
手錠を美津代の手にかけたー
・・・・・・・・・・・・・・
「--ったく、無茶しやがって」
源五郎が、ペットボトルのお茶を病室に3本持ってきて、
うち1本を自分が飲み、
残り2本を入院中の義明と、その娘、千里に渡すー。
美津代に洗脳されて飛び降り直前だった千里も
今ではすっかり元気を取り戻しているー
「---いや、洗脳にもインフルエンザみたいに一度やられたら
抵抗力できるんじゃないかって思ってな」
義明が言うと、
源五郎は呆れた様子で、「ったく、どこからそんな自信が出るんだか」
と、苦笑いしたー
「家族がいるんだから、もうちょっと慎重にな。
もし、あそこで洗脳されてたら、今度こそくたばってたかもしれないんだからな」
源五郎の言葉に、
義明は「でも、されなかっただろ?洗脳」と、笑ったー
源五郎はやれやれ、という様子で苦笑いするー
「も~!お父さん、堤さんの言う通りだよ~!
わたし、泣くからね!?」
千里の言葉に、義明は「俺は死なないさ」と自信満々に言うー
源五郎と義明は同期で、
義明の娘・千里と源五郎も面識があるー。
「---まぁ…でも、無事でよかったな」
源五郎はそう言うと、
催眠術を教えていた怪しげな団体”ブレイン”への
立ち入りも終わり、その代表を逮捕したのだと、義明に伝えたー
「---そうか」
義明は頷くー
「--じゃ、俺は午後から取り調べがあるから、これで。
今度は病院抜け出すんじゃねぇぞ」
源五郎はそれだけ言うと、そのまま病室から
立ち去って行ったー。
「----も~~!あんまり無茶しないでね~!」
千里の言葉に、
義明は「ははは、わかったわかった」と笑いながら答えるー
娘が無事で本当によかったー
義明は、今、こうして
自分と娘が無事でいられることに、感謝しつつー
これからも平和を守って行こうと誓うのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
「お前は鳥だ」の後日談でした!
無事に、事件は解決できましたネ~!
同期で口は悪いけど、仲間想いな刑事・源五郎は、
前に書いた入れ替わりモノ「痴漢X冤罪」にも出てるので、
もしよければ見てみてくださいネ~笑
今日もありがとうございましたー!
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