<憑依>頭に咲いた花①~異変~

少女は乗っ取られていくー

自分の頭に咲いた”花”にー。

頭に花が咲く憑依モノ、第1話!

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大学生の榎本 佳織(えのもと かおり)は、
ごく普通の女子大生。

ごく普通の日々を送り、
そして、将来のこともほどほどに考える、
どこにでもいるような女子大生だった。

現在は親元を離れてはいるものの、
両親との関係も良く、
実家にいる高校2年生の弟とも、よく連絡を
取り合っているー。

先週も実家に一度帰って、
その時に、弟や両親と顔を合わせていたー。

「---え~、本当に大丈夫?」
佳織が心配そうに電話先の相手に向かって言う。

”まぁ、大丈夫だと思うけど、
 ここのところはね~”

母親の篠子(しのこ)が言うー

弟の勝(まさる)が、風邪を引いて
それが長引いて寝込んでいるのだと言う。
先週、会いに行ったときは元気だったのにー

そんな弟のことも心配する佳織ー。

佳織はとても優しく、
しかも、とても綺麗なため、
大学でも人気があった。

本人は、自分の容姿のことを自慢するようなこともせず、
明るく、それでいて、他人に気遣いをすることもできるタイプなため
友人も多いー

同じ大学に彼氏もいるー。

「--う~ん、今度の休みに勝のお見舞いにでもいこうかな~」

そう思いながら
”って、風邪ならもう治ってるか”と、佳織は一人笑いながら
そのまま、明日の大学の準備を始めるのだったー。

しかしー
そんな平穏であったはずの彼女の日常に
”異変”が起きたのは、
翌日のことだったー。

朝ー
髪を整えていると”何か”が引っかかったようなー
そんな気がしたー

「あれ?」
佳織は違和感を覚えて、頭を触るー。

すると、少しボコっとしているような部分があったー

「たんこぶ…かな?」
佳織は、頭を寝ている間にぶつけたのかな?などと
思いながら、そのまま髪を整えるー

特に、外から見る限り異常はないように見えるー
少し腫れている気はするけれど、
特に痛みもないー

「--う~ん?しばらく様子見かな」

この時はまだ、その程度にしか思っていなかったー

「おはよ~!」
親友の井島 志乃舞(いしま しのぶ)に声を掛けられる佳織。

「あ、おはよ~!」
この日も、いつも通りー

志乃舞と雑談をしながらー
授業を受けー
お昼には食堂で彼氏の川島 節也(かわしま せつや)と
楽しく話をしながら、安らぎのひと時を過ごしたー

しかしー
帰宅して、佳織は戸惑ったー

「え…?」
朝、違和感を感じた部分からー
”芽”のようなものが出ていたのだー

「--なにこれ?」
佳織は戸惑う。
頭から草が生えてきた?

「--う~ん…ナニコレ?謎…」
佳織はその芽のようなものを触ってみるー

最初は、ごみが付着しているだけかと思ったが、
どうも、頭から生えてきているようなー
そんな風に見えるー

佳織は迷った末に、
髪を掻きわけて、なんとか、それをハサミで切断したー

やはりー
緑色の小さな草のように見えるー

「--頭から草が生えて来るなんて~…
 なぁにこれ」

苦笑いしながら切り取った草をごみ箱に捨てる佳織ー

佳織は、細かいことで悩んだりしないタイプなこともあり、
頭から生えた草のこともー
特に深くは気にしていなかったー

しかしー

「----え」
佳織は唖然としたー

翌朝ー
頭に”花”が咲いていたのだ。

小さな花ー
道端に咲いている本当に小さなサイズの花ー

あれが、1本ー
頭に咲いているー

昨日、芽のようなものを切り取った部分からー

「--ちょっとちょっと…」
佳織は、流石に戸惑ったー

頭に花をつけたまま大学に行ったら
やばいやつだと思われかねないー
この大きさなら遠くからならばれないだろうけれど
近くで親友の志乃舞や、彼氏の節也と話をすれば
確実にばれるだろう。

「--う~ん、ちゃんと切れてなかったのかな?」
そんな風に思い、佳織は昨日よりも深く、
頭皮に傷をつけないように慎重にー
花の根本から、頭に咲いた花を切断したー

「これで、よし」
佳織は満足そうにごみ箱を見つめると、
そのまま大学へと向かったー

短めのスカートと黒タイツ姿ー
佳織はおしゃれも好きで、
派手になりすぎないように気を付けながら
程よく色々なファッションを楽しんでいるー

「---おはよ~!」
志乃舞といつものように話しながらー
今日もいつものような1日を過ごすー

大学での1日が無事に終わり、
佳織が、彼氏の節也と一緒に歩いていると、
節也が急に笑った。

「--え?」
佳織が言うと、
節也が佳織の頭を指さすー。

「---頭に、花咲いてるよ?」
節也は笑いながらそう言ったー

「え???」
佳織は凍り付いたー

朝、根っこから切ったはずではー?

頭を触るとー
”朝よりも大きい”手触りの花が
そこにはあったー

「--飛んできた花が頭に乗ったんだろ?」
節也は笑いながらそう言うと、
佳織の頭についた花をどかそうとしたー

節也は、単純に
”佳織の頭に、風で飛んできた花がついた”
ぐらいにしか思ってなかったー

「あいたっ!!!!」
佳織が悲鳴を上げるー

「-え」
節也が驚くー

花を触ると、
思った以上に髪に絡み合ってー

いやーー
土の上で咲いている花のようにー
佳織の頭にーー

「---あ…あ…」
佳織は目から涙を少しだけ出していたー

花を引っ張られた痛みが、
想像以上だったのだー

「ご、ごめん。平気か?」
節也が戸惑いながら言う。

「--え、、あ、、、う、、うん…
 ちょ、ちょっと今日はもう、帰るね」

佳織は、足早に立ち去っていくー

家に帰宅した佳織が鏡を見るとー
佳織の頭には白い花が咲いていたー
朝よりも、大きい、花がーー

翌日ー
休日を利用して佳織は、帽子をかぶった状態で外出ー
そのまま病院へと駆けつけたー

「---頭から、花が」
医師は香織の頭を確認するー

「確かに……頭から咲いているようですね」
医師は戸惑うー

そして、医師の提案で、頭の中にまで
異常がないかを確認するため、
MRIでの検査を行うことになったー。

「----」
医師は、レントゲンを見て考えているー

「--特に、脳の方に異常はないようですね…。」
医師は、レントゲンの映像を見せながら説明するー

「--そうですか…」
佳織はひとまず安心するー

脳に根っこが伸びていたりだとか、
そういうことはなかったー

「--ひとまず、根本から抜き取りますので、
 それで様子を見ましょう」

医師は、佳織の花を根本から取り除きー
そして、頭に塗る気休め程度の塗り薬を出してくれたー。

「--ふぅ」
頭を触る佳織ー
花は、ないー

”なんだったんだろう”
そんな風に思いながら、佳織は安心して、
”いつもの休日”へと戻っていくー

「--わたしも今日、調子悪くなっちゃって~」
佳織が、実家との連絡で苦笑いするー

これじゃ、風邪で寝込んでいる弟の勝と同じだー
とー

”もう大丈夫なの?”
母親が心配そうに言う。

「うん!わたしは大丈夫!」
佳織は安心した様子でそう呟いたー

しかしー

夜ー

「----」
深夜ー
佳織は一人、起き上がって、
鏡の前でー
胸を触っていたー

自分の太ももを撫でるようにして触りー
胸を触るー

はぁはぁと荒い声を出しながらー
佳織はうっとりとしているー

だがー
その目はどこか、虚ろな目ー

寝ぼけているのだろうかー
それとも、夢遊病の類なのだろうかー

自分の手をうっとりと見つめてー
それを舐める佳織ー

佳織の頭にはーー
白い花が咲いているー

昼間、病院で切除したはずの花がー
再び咲いているー

「----わたし… わたし…」
ぶつぶつと呟いている佳織ー

佳織はー
”花”に乗っ取られていたー

まだー
まだ、不完全だー

今はー。

佳織が寝ているときー
中途半端な状態で操るのが限界

しかしー

もう少し”育てば”-

・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌朝ー

佳織は、唖然としていたー

再びー
再び、あの”花”があるー。

「--うそ…」
佳織は怯えるー

頭に咲いた花が、昨日よりも成長していたー

病院に行って取り除いてもらったはずなのにー

脳に、何の異常もなかったはずなのにー

どうしてー?

明日からは再び大学に行かなくてはいけない。

今日は休日だから、人目につかないようにすることはできるがー
それでもーーー

「--病院も今日はやってないし…」
佳織は、頭の花をハサミで切断するー。

「--もう!わたしの頭は土じゃないの!」
怒りを感じながら、佳織は、花をごみ箱に
放り投げるー

「--は~~~~」
なんだか、身体が疲れているー
昨日は、早く寝たはずなのにー

「----なんだろ…」
佳織はぐったりと椅子に座りこんだー。

育ってきたら、切り取ればいいー
身体に害がないなら、別にそれでもー。

でも…

「--きもちわるいなぁ…」
佳織は呟くー

スマホを使って、ネットでいろいろと調べてみる

”頭に花 咲く”
そんな風に検索してみた。

だがー
そんな情報、出て来るはずがなかった。

物語だったり、
ふざけた発言だったり、
ゲームの攻略方法だったり、
そんな情報しか出てこない。

「--も~~」
佳織は、辛そうな表情を浮かべながら呟くー

「---本当に、何なんだろう…」
不安の気持ちが大きくなっていくー
けれど、今はこれ以上、どうすることもできないー

佳織は、”とにかく!今日はせっかくの休日なんだから”と
花のことを考えるのをやめて、
普通の休日を楽しみ始めたー

なるべく、花のことを思い出さないように、しながら…

・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

佳織は、シャワーを浴びていたー

「んふふふふふふ…♡」
佳織の頭には、”また”白い花が咲いているー

花は、シャワーのお湯を浴びながら
嬉しそうだー。

「--ひひひひ♡ うひひひひひひひひ♡」
佳織は、自分の胸のまわりを何度も何度も
重点的に洗っていた。

「あひっ♡ あぁぁぁっ♡」
胸をいやらしい手つきで触ってはー
ゾクゾクとしている佳織ー

佳織は、”乗っ取られて”いたー。

花を通じて”何か”にー、
乗っ取られているー

「あぁぁぁ…おっぱい洗うの…気持ちぃぃぃぃ♡」
シャワーを出しっぱなしにしたまま、
歪んだ笑みを浮かべて自分の胸を洗い続ける佳織ー

「--あぁぁぁ…この花…最高ぅ…」
優しく花を撫でる佳織ー。

”今は”
まだー
決まったタイミングでしか佳織を乗っ取ることができないー

佳織本人の意識が眠っているときー
そして、花が活性化するー
そう、お風呂や、雨の日ー
水にさらされているときーーだ。

そして、最後にはーー

「くくくくくっ♡~~」
涎を垂らしながら震える佳織ー

”この身体は最高だー”

「----……あ」

佳織が意識を取り戻すとー
3時間も経過していたー

のぼせている感じがするー

「---あれ…?」
佳織は、周囲を見渡すー

「あれ…?わたし、お風呂に入ったはずなのに…?
 寝ちゃったのかな…?」

そう呟く佳織の頭には、
綺麗な白い花が咲いていたー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

頭に花が咲いてしまう憑依モノデス~

頭に花が咲く…
ホラーによくありそうな気がしますネ~笑

今日もありがとうございました!!

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憑依<頭に咲いた花>

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