<女体化>影武者アイドル③~行方~(完)

失踪したアイドルの影武者としてー
アイドル活動を続ける彼ー。

その先に、待ち受けていた、真実は…!?

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雅史は、自分の部屋の写真を見つめるー

そこには、優しそうなおじさんが映っているー

雅史は、”両親の顔”を知らない。
生まれてすぐに親戚に預けられて
その親戚のおじさんの元で育ったからだ。

親戚のおじさんの紹介で、高校卒業後すぐに、
今の事務所スターロード・プロダクションで働き始めることになったー

雅史は、亜希奈そっくりの女体化した自分を
鏡で見つめてー
外出モードに身なりを整えていくー。

本当の両親が、誰かは、知らないー
彼にとっては”おじさん”が親なのだー。
経済的な理由で、これ以上子供を育てることができなかったんだよ、と
おじさんから聞かされたことはあるが、
それ以上のことは知らないー。

雅史は、おじさんの写真を見つめながら
”行ってきます”と呟いて、
事務所に向かうー

雅史の育ての親のおじさんは、既に数年前に他界している。

・・・・・・・・・・・・

「---おい!どういうことだ!」
健次郎社長が叫ぶ。

「はっ?」
雅史が戸惑う。
亜希奈っぽい姿で事務所にやってきたとたん、
健次郎社長の罵声を浴びせられたのだ。
状況が理解できない。

社長秘書の麗が言う。

「--これを」
麗が持っていたのは、週刊誌ー

そこにはー
”雅史の家”に入っていく雅史の姿があった

「--これが、何か…?」
雅史は首をかしげるー

”俺が、俺の家に帰って何が悪い?”
”ってか、なんでこれがスクープ?”
とー。

しかし、雅史はすぐに気付いた。

「あっ!」

「-馬鹿野郎!」
健次郎社長が週刊誌を叩くー

女体化して、亜希奈そっくりの見た目になっている雅史ー

”亜希奈の影武者”とは知らずに、亜希奈を尾行していた
週刊誌記者が、”亜希奈っぽい姿の雅史”が、
雅史の家に毎日入っていくのを見て
”勘違い”してしまったー

本当は、女体化した雅史が、自分の家に帰っているだけー、なのだが、
週刊誌記者は、当然、女体化のことなど知らないから、
”亜希奈が雅史の家に毎晩通っている しかも朝まで出てこない”と
判断したー。

「--くそっ!スキャンダルだ!
 マネージャーとの熱愛報道なんて」
健次郎社長が頭を抱えるー

「--で、、でも…俺の家に帰っただけで…」
雅史がそう言うと、
「いや、そりゃ分かってるけどよ!でも、くそっ!」
と、健次郎社長は呟いた。

亜希奈の家に入るのは、流石にまずいし、
鍵も持っていない。
亜希奈は留守にしていることだけは確認していて、
亜希奈の所在はまだ確認中である今、
勝手に亜希奈の家に入ることはできなかった。

「ったく、ホテルに泊まるとか、そういう選択肢はないのか!」
健次郎社長が八つ当たりをしてくる。

「-そんな給料…俺、貰ってないですし」
雅史が苦笑いするー
女体化した雅史は、本当に亜希奈そっくりでかわいい。

元々、”亜希奈の男版”と言われただけのことはあるー。

「---経費って手があるだろ!」
健次郎社長の言葉に、
雅史は「でも、うち、そんな大きな事務所じゃないですし、
社長、たぶん、却下しますよね?」と笑うー。

「--…うぐぅ」
健次郎社長は論破されて、戸惑う。

「とりあえず…待機してろ!」
健次郎社長に、今日は亜希奈としての活動はしなくていいから
事務所の中で事務作業をしてろ、と指示をされた。
雅史が女体化する前にやっていた”通常業務”のひとつだ。

亜希奈の姿で事務作業をしていると
髪が気になるー。

「くそっ!なんかかゆいし、邪魔だぞ!」
雅史は、トホホな感じで呟きながら
髪を何度も何度もかきわけるー

そうしているうちにー
トイレに行きたくなってきたー。

「--は~、女としてのトイレ、慣れないなぁ」
雅史はそんな風に言いながら、
トイレへと向かうー

”仕方がない、AVデビューさせるか?”
健次郎社長の声が聞こえた。

”-ーマネージャーと熱愛報道の亜希奈が
 衝撃のAVデビュー! いけると思わないか?”
健次郎社長が、秘書の麗と話しているー

「----!」
廊下の影から、雅史はその会話を聞いてしまったー

”アイドルの量産計画は、まだか?”
健次郎社長の言葉ー

”はい…間もなく女体化薬の量産化には成功します。
 それを使って、アイドルを量産してー”
社長秘書の麗が言う。

麗は健次郎社長に”計画”を話しているー

それはー
”非・人道的”な計画。
雅史が女体化したときに使った薬を大量生産を進めていて、
それを使い、”アイドル”を大量に作り出す計画ー
孤児や、グレている若者、ホームレスなどを捕まえて
次々と女体化させて、アイドルやAV女優を量産する計画だったー

”亜希奈に、これを知られたのは誤算だったなー”

「--!」
健次郎社長と麗の言葉を聞いていた雅史が表情を歪めるー

”説得はしたのですが、
 ”最後まで”「そんなこと、絶対に許しません」
 でしたからね”

麗が笑う。

”まぁ、馬鹿な女だった。
 秘密を知られたからには”ああする”しかなかったからな”

健次郎社長は、そう言うと、続けたー

”-見つかってないだろうな?”

とー。

”はい。あそこに遺棄すればー
 誰にも見つかりません。ご安心を”

ーーー!!!

「---」
雅史は、震えたー

事務作業をしている部屋に戻るー
トイレに行くのも、忘れてー

”はい。あそこに遺棄すればー
 誰にも見つかりません。ご安心を”

「亜希奈…」
雅史が呟くー

亜希奈は、もう”死んで”いるー?
”遺棄”ということは、
亜希奈は、既にーーー

「いつも、本当にありがとうね…」

亜希奈と最後に会った日を思い出すー

なんだかー
とても寂しそうでー
もう、会えないかのような口ぶりだったー

社長たちの計画ー

それを知った亜希奈は、社長に反論して、
”死ぬこと”を覚悟していたー?

「そんな…」
雅史は震えるー

亜希奈は、失踪したのではないー
既に、消されていたのだー

雅史は、震えながらも、ある決意をするー

”女体化薬ってなんだ?”

もしー
もしも、社長たちが女体化薬で
非人道的なことを行おうとしていたのを
亜希奈が知り、反対して
その結果、亜希奈が消されたのだとしたらー

亜希奈のマネージャーとして
するべきことは、ひとつー

全てを明らかにすることー

雅史は、社長室に隙をついて
潜り込んだー

そこには、
数々の資料があったー

スターロード・プロダクションは、”経営危機”であることー

経営は、万全だと思っていた。
だが、赤字だった。
それ故に、社長は”アイドルの量産”などという行為に
足を踏み入れようとしたのだろうか。

社長秘書の麗は、新興製薬企業の出身ー
”女体化薬”の提供と引き換えに
スターロード・プロダクションに近づいたのだろう。
麗の目的は不明だが、新薬の実験、
あるいは製薬企業側の利益のためだろうか。

そしてーーー
「--ん」
雅史は、雅史自身のデータが記された書類を
引き出しの中に見つけたー

そこにはーーー

「-------------」
雅史は、表情を歪めたー

「これは………」

雅史のプロフィールが詳細に記された資料ー
そこにはーー
血縁者の情報が記されていたー

”姉”のこともー。

「---」
雅史は、震えが止まらなくなったー

そこに記されていた”姉”は
亜希奈自身だったー

「--亜希奈が…俺のお姉さん…?」
雅史は震えるー

雅史は、経済的理由で、両親から
生まれてすぐに親戚に預けられたのだと言う。

だから、実の両親も知らないし、兄弟がいたのかも知らないー

だがー
この書類が本当なら、亜希奈は、雅史の生き別れ状態の
姉ということになるー

「--…!」
雅史は、自分が”男版亜希奈”と呼ばれていたぐらいに亜希奈と
どことなく似ていたことー
女体化した自分が亜希奈そっくりなことを思い出すー

「似てたのは…姉さんだったから…?」
雅史は唖然とするー

他人の空似ーではなく、
弟だったからー
だから、亜希奈と似ていたのかー
とー。

女体化したあと、身体を弄ぶ気が一切起きなかったのもー
姉、だったからなのだろうかー

亜希奈は、マネージャーの雅史を”生き別れの弟”と
認識していたのだろうかー

「---見たのか!?」

「-!?」

雅史が振り返ると、
そこには、健次郎社長がいたー

「--…社長」
雅史が悲しそうに言う。

「……見たのか?!!?!?」
もう一度叫ぶ社長ー。

「---」
雅史はどうこたえるべきか戸惑いながらもー
”亜希奈を殺した”関係の書類はここには
なかったことを瞬時に思い出して、答えた。

「はい」
とー。

「---そうか」
健次郎社長は戸惑うー

”亜希奈殺し”の件は、社長室の中には
証拠が存在しない。
さっきの会話を聞かれたなどと夢にも
思っていない健次郎社長は、
亜希奈殺しは知られていない、と、安堵していたー

「--俺の姉さんって……」
雅史が言うと、
健次郎社長は頷いた。

「---あぁ……亜希奈さ。
 お前の両親は、亜希奈とお前を生んで
 経済的理由で、お前を手放したんだ。
 ふたり育てる金はないってな。

 でもな、お前の実の親ー
 そして、亜希奈の両親は、
 借金まみれで、亜希奈を育てることもできなくなってー
 亜希奈を俺に託した。
 親戚の俺にな。

 それが、亜希奈がアイドルデビューした理由だ」

健次郎社長はそう呟いたー。

「------」
雅史は返事をしない。

亜希奈殺しの件ー
女体化薬を使って、アイドルを人工的に作り出そうとしていた件を
ここで追及するべきかどうか、迷っていたー。

健次郎社長には恩があるー。

「------」
あらゆる考えを巡らせた結果ー

雅史は、ある決意をしたー。

亜希奈のためにー
そして、自分のためにー

できることはー。

「--…ま、亜希奈とお前が、姉と弟だったとしても
 今までと何も変わらない」
健次郎社長はそう言いながら、女体化した雅史の肩を
数回叩いてからほほ笑んだ。

「--亜希奈が戻って来るまで、頼むぞ。」
とー。

「---」
”亜希奈はもう、戻ってきませんよね?”

思わず、そう確認しそうになった。
だが、それを必死に抑えると、
雅史は「はい」と答えたー。

今日は”発表の場”があるー。

そこでーーー

「-----」
健次郎社長は、製薬会社の麗に付け込まれたのだろうか。
自分勝手な面はあるが、元々は悪人ではなかった。

だが、亜希奈を殺したー

そのことは、間違いないー。

恩義ある健次郎社長を止めるためにもーーー

「--今日は、新曲ではなく、皆さんに重大な発表があります」

恐らくー
もう、アイドルではいられないー

でも、帰ってくる亜希奈はもういないー

”これで、いいよなー”

亜希奈が生きていれば、きっとこうするー。
社長が暴走していれば、
自分の身をなげうってでも、
亜希奈は、こうするー。
彼女は、そういう子だー

「ーーーわたしは、本物ではありません。
 そして、本物の亜希奈は既にー
 社長に、殺されていますー」

雅史は、報道陣などが集まったその場でー
そう、宣言したー

亜希奈、いや、姉さんー
これで、いいよなー?

そう、思いながら、雅史は続けたー。

死んでしまった亜希奈のために、
マネージャーとして、弟して、してやれることー

そして、恩義ある健次郎社長が暴走したのならー
お世話になった身として、社長の暴走を止めることこそが、
恩返しになると、信じてー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

都合よく、女体化したら見分けがつかないほど、
アイドルに似ているわけが…!
と、思いながら①、②を読んでいた人もいたかもですが、
ちゃんと(?)理由がありました~!

お読み下さりありがとうございました!

女体化<影武者アイドル>
憑依空間NEO

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