<憑依>ボディオークション③~ボディオク~(完)

ボディオークションが世界を牛耳っているこの世界。

ボディオクは、人々の支えでもあり、
人々にとっての”悪魔”でもあるのだ…。

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50年前ー
未曽有の事態が発生し、
世界規模で経済は崩壊したー。

経済が崩壊した世界では、
犯罪が爆増し、
まさに”世紀末”と言える世界が
広がっていたー。

しかしー
”憑依薬”の出現が全てを変えたー。

憑依薬を使った”ボディビジネス”が、
広がり、経済はそれにより、爆発的に回復した。
ボディオークション”通称・ボディオク”により、
全てが回りだしたのだー。

金銭的に困窮した世帯が、
子供をボディオク事務所に出品して、
お金に変えるー。

ボディオク事務所から振り込まれる礼金と売上ー。
それにより、困窮世帯は、最低限の生活ができるようになるー。

売られた身体を買い求める落札者たちー。

経済は回るー。

ボディオクに出品する身体を作るために、
人々は、出産するー。
出産して売れば、
数年間生活できるほどの、お金を手に入れることも
できるのだからー。

出産ビジネスが蔓延するー。
偽装結婚や、小作りビジネスが蔓延するー。
金が回るー。
潤うー

”偽りのうるおい”がそこにあるー

世界はいつの間にか
国際企業ボディ・オークションに支配されていたー。

各国のトップも、国際企業ボディ・オークションに
逆らうことはできない。
何故ならー
憑依薬を製造しているのも、
憑依薬に対する”予防接種”を製造しているのも
全て、国際企業ボディ・オークションだからー

「---我々人類の夢ー
 国際企業ボディ・オークションは、
 なりたいあなたになれる、
 そんな世界を応援しますー」

たくさんのモニターに映し出される
ブロンドの美女ー

国際企業ボディ・オークションの
CEO・キャサリンが、妖艶な笑みを浮かべるー

”CEO”の正体は不明ー。
キャサリンは、憑依された女子高生の身体の名前であり、
”CEO”が何者なのかは分からないー。

・・・・・・・・・・・・

「ーーーはぁ…♡ はぁ…♡ はぁ…♡」

娘の香菜に憑依してから3年ー
高校を卒業した香菜は、
高校時代の同級生を誘惑してー
付き合っていたー。

エッチを繰り返す日々ー

「--子供…♡ つくっちゃお…♡」

娘の身体で、娘として出産するー。
父である正宗は、そのことになぜか
猛烈な興奮を覚えていたー

娘の身体で、子供をうんじゃうー

その響きだけでゾクゾクしてたまらないー

香菜はニヤニヤしながら
「--雅人(まさと)の、子供ほしいよぉぉぉぉぉぉ♡」と
叫びながらエッチを続けるー

雅人は、香菜の高校時代の同級生。
香菜がボディオクに出品されたことを
知っているが、この世界では、あまりそのことを
気にする人間はいない。

ボディオクに出品されることは
”日常茶飯事”だからだ。

出席停止や忌引きなどの他に
学校では”出品休み”が認められている。
出品休みは欠席扱いにならない。
最長で2か月まで可能だ。

なかなか売れずに、それ以上経過した場合は
”価値のない身体”として、
学校は強制退学になるが、
この世界では”2か月も売れない身体”は
”そこら辺の生ごみ”と何も変わらないー
だから、そういう扱いで、何の問題もないのだ。

社会人もそう。
育児休暇と同じように出品休暇が認められている。
こちらも、2か月以内であれば、
給料も発生する。
給料は”ボディオク事務所”が、立て替えするシステムだ。

「--ふふ…♡ふふふふふ」
やがて、香菜は妊娠したー。

「--香菜の身体で…赤ちゃんを産んじゃう…」
涎を垂らしながらほほ笑む香菜。

「--…香菜」
夫になった雅人は、香菜の身を案じるー。

「--産んだ子供は、どうするんだ?」
雅人の言葉に、
香菜は、にっこりとほほ笑む。

「もちろん、ちゃんと育てるよ!」

4年が経過してー
香菜として振舞うことにもすっかり慣れたー

あれから2年後ー
正宗の”元・妻”が
なぜかボディオクに出品されていたがー
きっと”滞納”したのだろうー。

相変わらず、馬鹿な女だ。

”おばさん”でしかない元妻は落札されず
やがて”出品リスト”から消えたー。

それが意味することを香菜は知っているー。

この世界での”滞納”は、自分の破滅を意味する。
公共料金の支払い
家賃の支払いー
あらゆる支払いを滞納すると
”ボディオク事務所・回収班”が家に乗り込んできて
強引に拉致されて、
ボディオクに出品されるー。

それにより、
”支払いできない人間”は淘汰され、
ボディオク事務所が、金をばらまいているー

恐らく、元・妻は、元々金遣いが荒かったために
娘の香菜を売った礼金でも足りずに、破滅したのだろう。

自業自得だー

”落札されずにリストから消えた”
ということは
”解体(バラ)された”ことを意味するー。
臓器は、闇社会でよく売れるからだー。

それも、国際企業ボディ・オークションの収入源のひとつ。

「---俺は、あいつとは違う」
元妻の顔を浮かべながら笑う香菜ー。

正宗は、娘の身体で出産した
”孫”を、ちゃんと育てるー

「ひひ…」
自分の部屋に戻った香菜は、
自分のタイツに包まれた足を触りながら
ニヤニヤと笑みを浮かべるー

「自分で孫を出産するなんて…
 ぐひひ…ひひひひひひひひひ」

正宗は、香菜の父だ。
娘である香菜に憑依して
父でありながら娘そのものになり、
さらに今ー
娘の身体で、孫を出産しようとしているー

「うふふふふふふ…」
自分のお腹を撫でる香菜ー

興奮するー
ゾクゾクするー
自分の孫を、娘の身体で出産することになるなんてー

・・・・・・・・・・・・

さらに時は流れてー
正宗が考えていた以上に想像以上の苦しみを
味わいながら
正宗は香菜の身体で出産したー。

「--えへへ…俺のまごぉ♡」
幸せそうな笑みを浮かべる香菜ー。

香菜は、孫に正美(まさみ)と名付けた。

表向きは、夫である”雅人”の名前をもじったものだったが
実際は、香菜に憑依している”正宗”自身の名前を
もじったものだー。

夫の雅人は香菜に誘惑され切っていて、
香菜に全面的に服従しているー

「ふふん」
香菜は、自分の美貌を楽しみながら
孫である正美にも全力で愛情を注いだー。

しかしー…
香菜は次第に、あることを考え始めるー

”老いー”

20後半になった香菜は、
香菜の身体が老いてきているのに気づく。

もちろん、まだ若い。
だが、全盛期のような輝きは、ないー。

香菜は夜の仕事でお金を稼いでいたが、
店長が、最近こう言い出したー

”香菜ちゃんさぁ、そろそろ”落札”して
 乗り換えれば?”

とー。

香菜の身体ではもう需要がない、と
店長がそう言っているのだー。

「---」

香菜に憑依している正宗は、
”孫”である正美の方を見るー

まだ、小さな女の子だー。

「---ぐふ…
 今度は”孫”になるってるのもいいな」

「ママ~」
正美が香菜に抱き着いてくる。

香菜はほほ笑みながら正美を抱きしめるー

ーー香菜の父親であり、香菜でもありー、
孫でもあるー

ククク…

「--じゅるり」
思わず涎を垂らしてしまう香菜ー。

「おっと、いけねぇいけねぇ」
もう少し、香菜の身体も楽しみたいー。
入れ物になったとは言え、
香菜は娘なのだからー。

翌年ー
香菜は解雇された。
夜の世界において、香菜にはもう需要がなかったー

夫の雅人も、会社を首になり、
急激に経済状況が悪化するー

だがー
香菜は第2子を出産したー。

”売る”ためにー

さっそく、ボディオク事務所に連絡して
生まれたばかりの子供を
ボディオクに出品する。

赤ん坊は、高く売れるー。

結果、70万で落札されたー。
この売上以外に
ボディオクから毎月”礼金”が振り込まれるようになるため、
これで当分生活できるー。

ーそう思っていたー

だがーーー
雅人が裏切ったのだ。

雅人が、突然、香菜との離婚を叫び出した。
第2子をボディオク事務所に提供した名義は
夫の雅人名義。
離婚すれば、ボディオクからの礼金も
全部雅人のものになる。

「--ちょ、、ちょっと!雅人!」
香菜が怒りの形相で叫ぶー。

「--どうせ、中身はおっさんだろ?」
雅人が言う。

「俺、ずっとずっと分かってたんだ。
 香菜がオークションに出品されてるの、当時見てたし、
 落札した人物のユーザー名も見てた。
 だから、中身はおっさんなんだろうなぁって」

雅人はそこまで言うと、荷物を全部まとめて呟いた。

「だからさ、香菜が若いうちだけは、って決めてたんだ」
雅人が笑う。

「--そんな…!ふ、、ふざけんな!
 娘を弄んだのか!」

香菜が思わず叫ぶ。

「--娘?」
雅人があきれたように笑う。

「まさか、実の娘を落札して、憑依したのか…?
 とんだ変態だな…

 娘を弄んだ…
 確かにそうかもな…
 でも、それはあんたも同じだ」

それだけ言うと、雅人はそのまま家出をしてしまったー

「くそっ…!くそっ!」
頭を抱える香菜ー。

このままでは”支払い”が出来なくなる。

家賃ー
公共料金ー

何もかもー

香菜は慌てるー

なんとかお金のやりくりをしようとするー

何もかも忘れてー
必死に生きようとするー

「---」
ある日、鏡を見つめると
そこには髪がぼさぼさで、服も乱れて
やつれた香菜の姿が見えたー

「--…くそっ…くそっ!」
香菜が傷んだ黒髪をイライラしながら掻きむしる。

「くそっ!俺は…くそっ!!!!」

香菜の美貌は失われて
目の下に隈が出来た、哀れな香菜の姿が
そこにはあるー

「---…はは…もうだめだ…
 払えねぇ…」

香菜は破産を覚悟するー

破産すればー
待ち受けているのはーー

数日後ー

「ひゃははははははははははっ♡」
下着姿で、香菜は、ビールの空き缶だらけの部屋で
だらしなく寝ころんでいたー。

寝ころびながらビールをぐびぐびと飲んで
空き缶を放り投げて自暴自棄に笑うー

「--はははははっ!もうどうにでもな~れ!!!」
狂った笑みを浮かべる香菜ー。

唾を吐き捨てながら
ビールを1本、2本と飲み干していくー

そしてー

誰かが入ってきた。

”ボディオク”と書かれた覆面を被った人間たちー。

ふたりは女、ひとりは男だろうか。

”ボディオク回収班”だ。

香菜に憑依している正宗も、同じ、運命をたどるー。

「ひひひひひ…!な~にがボディオクだ!くそくらえ!」

香菜が笑いながら叫ぶー

ぷすっ!

注射を打たれて、香菜が虚ろな目になってだらーんと
その場でぐったりする。

ボディオク回収班は香菜の身体を回収してー
何かを香菜の耳にねじ込むー

ストローのようなもので、
何かを香菜から吸いだしたボディオク回収班。

”香菜に憑依している正宗”を吸いだしたのだ。

吸いだした正宗の霊体を
そのまま握りつぶすボディオク回収班ー。

そして、ぐったりした香菜の身体をそのまま回収しー
闇へと消えたー

その1週間後ー
香菜の身体は、まだ若かったこともあり
再び出品されることになった。

洗脳されて、ポーズを決める香菜。

出品用の写真が撮影されていくー

そしてー
”中古1”として
オークションに出品されるのだったー

おわり

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コメント

憑依するための身体を購入する世界を舞台とした
お話でした~!

恐ろしい世界ですネ…!

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