<憑依>僕の新しい身体は 大嫌いなあの子の身体①~困惑~

いじめが原因で
事故に巻き込まれて命を落としてしまった彼ー。

しかし、”あの世”で、彼は告げられるー。
”本来、命を落とすのはいじめっ子の方であった”ことをー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあんた、マジでキモいー!」

同じクラスの皆口 春奈(みなぐち はるな)に、
そんな辛辣な言葉を投げかけられていたのはー、
どちらかと言うと、いつもクラスの端っこにいるようなタイプの
男子生徒ー…丸山 恭太(まるやま きょうた)ー。

彼は
通っている高校で”いじめ”を受けていたー。

きっかけは、何だったのかは分からないー。
ただー、何かが彼女の気に障ったのだろうー。

春奈と、その友達からの嫌がらせが続き、
恭太はそれに”耐える”日々を送っていたー。

「ぼ、僕、何もしてないじゃないかー…!」
恭太が不満そうに言い返すー。

大人しい性格ではあるものの、
何かを言われた時には言い返すー。
そんな恭太の反応が、春奈を余計に刺激するー。

「ーーーいつもあたしの方、じろじろ見てー
 そういう反応もキモい!」

気の強い性格の春奈は、そう声を上げながら
恭太の机の上に乗っていた筆箱を取り上げて、
それを教室の端っこの方に放り投げるー。

「ーな、何するんだよ!」
恭太がそれを拾いに行こうと立ち上がるとー、
今度は恭太に足を引っかけて恭太を転倒させるー。

「ーぷっー…いい気味ー」
春奈が倒れ込んだ恭太のことを鼻で笑うー。

恭太は涙ぐみながら、春奈の方を向いて睨むと、
そのまま痛みに耐えながら筆箱の方に向かって行くー。

皆口 春奈は
気の強い性格の”お嬢様”ー。
父親が経営者だとか何だかで、お金持ちの家に生まれて
小さい頃からワガママ放題だったためか、
そんな性格がにじみ出ているー。

「ーーーーも~~丸山くん可哀想~」
そう笑いながら、春奈の近くにいた女子生徒のうちの一人、
金村 沙耶(かなむら さや)が言葉を口にするー。

いつも、SNS映えする場面を見つけては喜んでそれを撮影しー、
SNSでは万単位のフォロワーを抱えている女子だー。

「ーー!」
そんな沙耶が、恭太の拾おうとしていた筆箱を拾うと、
「ーーはい、丸山くんー」
ふと、恭太にそれを差し出したー。

自分のことを可愛いと信じて疑わないー
そんな性格の沙耶ー。

しかしーー
その性格はーーー

恭太が”期待せずに”筆箱を受け取ろうとすると、
案の定、沙耶は直前で筆箱をサッと、恭太の手から遠ざけると、
「あー手が滑っちゃった!ごめんねー!テヘッ」などと言いながら
筆箱の中身をその場でわざとらしく、床にばらまいたー。

「ー~~~~~~~」
沙耶と、いじめの中心的存在の春奈が笑う中、
恭太は悔しそうに散乱した筆箱の中身を拾っていくー。

そんな中ー、

「ーーねぇ…春奈ー
 もうやめてあげようよー」
春奈と沙耶以外に、もう一人、いつも一緒にいる
眼鏡とツインテールが特徴的な女子生徒・高沼 愛唯(たかぬま めい)が、
言葉を口にするー。

愛唯は、大人しくて物静かな女子生徒ー。

三人の中で”唯一”、恭太のことをある程度
庇ってくれている子だー。

恭太は、そんな会話を聞きながら、
筆箱の中身を拾い終えると、
春奈は「まぁー今日のところはこのぐらいにしておいてあげる」と、
そう吐き捨てると、そのまま立ち去って行ったー。

大人しい性格の愛唯が
”止めてくれる”と、いつも大体いじめは終わるのだー。

彼女が三人組の”ブレーキ役”なのかもしれないー。

そんなことを思いつつ、恭太は自分の座席に
着席すると、いじめのリーダー格である春奈の方を
悔しそうに見つめながら呟いたー。

「ー皆口さんなんて、大っ嫌いだー」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の放課後ー。

高校から出て、いつものように学校から徒歩数分の
木々が生い茂る場所を歩いていた恭太ー。

少し長い下り階段に差しかかかるところでー、
ふと、近くの木に寄りかかっている春奈の姿が見えたー。

「ーーーーーー」
春奈はーー
恭太を待ち伏せしていたわけではなく、
何か、不快そうな表情でスマホを見つめているー。

「ーーー」
当然ー、
恭太は、春奈に声を掛ける気などないしー、
出来る限り、関わりたくないー。

そう思いながら、足早にその場から立ち去ろうとするもー、
恭太は、不運にも春奈に気付かれてしまったー。

「ーー何見てんのよー?」
春奈がそう言いながら近づいて来るー。

「ーー…え、べ、別にー」
恭太がそう返事をすると、
「なんか文句があるなら、言ってみなよー」と、
春奈は、恭太に絡むようにして、そんな言葉を口にしたー。

「ーべ…別に何もないって言ってるじゃんか!」
恭太がそう言いながら立ち去ろうとすると、
春奈は「あたしがあんたのせいで、どれだけ迷惑してるかー分かってんの?」と、
不満そうに言葉を口にしながら、恭太の腕を掴んできたー。

「ーー…ぼ、僕のせいでー!?
 ぼ、僕、何かした!?」

恭太が不快そうに反論するー。

「ーーー」
ギリッと歯軋りをする春奈ー。

「僕、皆口さんに何もしてないよねー!?
 それなのに何でいつもいつも、キモいとか、
 そういうこと言うの!?」

連日のいじめに苛立っていた恭太は不満を口にするー。

今は、”相手が春奈ひとり”であることも
反論しやすい環境だったー。

しかし、その言葉に春奈は怒りを露わにして、
恭太の腕を掴むとー、
「ーーーウザいものは、ウザいのー!」と、
恭太を睨みつけるー。

「ーーーーーーっっ…!離せよ!」
恭太も怒りを露わにして、春奈の腕を振り払おうとするー。

がー、
その時だったー。

「ーーあっ…!?」

春奈に突き飛ばされた恭太はーー
階段の方に押し飛ばれてしまい、
そのままバランスを崩し、
春奈の視界から姿を消したー

「ーーーー……ぇ……」

春奈は、一瞬の出来事が理解できずに呆然とするー。

下り階段の側で争っていたふたりー。
春奈に突き飛ばされた恭太はー、
そのまま階段から転がり落ちてしまったのだー。

「ーーー…」
青ざめる春奈ー。

慌てて階段を駆け下りると、
そこには、頭から血を流して倒れている恭太の姿が見えたー。

「ーーち、ちょっとー…う、嘘でしょー!?」
春奈は呆然としながらも、すぐに恭太に近付くと、
「ちょっとーだ、大丈夫ー?」と、そう声を掛けるー。

がー、
恭太は、目を見開いたまま、
微動だにしないー。

「~~~~~」
その光景を見て、春奈はガクガクと震えだすー。

目を見開いたまま、口を半開きにして
頭から血を流している恭太ー。

その血だまりはどんどん大きくなっていくー

「ーーう、嘘ー
 や、やめてーー
 な、なんでーー
 
 ちょ、ちょっとーー!!
 ねぇ、なんでー!?」

春奈はそう叫ぶと、
そのまま、恭太に向かってさらに言葉を発するー

「ねぇ!!!ちょっと!!!冗談やめてよ!!ねぇ!」

春奈の目には涙が浮かんでいるー。

がーー
恭太の血だまりはさらに大きくなりー、
どう見ても、”もう死んでいる”ーー
そんな、状態に見えた春奈は、
パニックになって、その場から逃げるようにして走り去ってしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーーーえ」

恭太が目を覚ますと、
そこはーー
”謎の白い空間”だったー。

「ーーー…ーーえ……ここはーー…?」
不思議そうに表情を歪めると、
背後から声がしたー

「お疲れ」
とー。

「ーー?」
恭太が振り返ると、
そこにはボサボサ頭に、面倒臭そうな表情を浮かべた、
黒い衣をまとった男がいたー。

「え……ど、どちら様ですかー?」
恭太が戸惑いながら言うと、
男は「ん?俺?ーーー俺は死んだ人間をあの世に案内する案内人ー」と、
そう言葉を口にすると、「まぁ、死神って表現すると分かりやすいか」と、
そう続けたー。

「し…死神!?」
恭太が困惑しながら言うと、
「ーあぁ、そうだ。単刀直入に言おう。お前は死んだ」と、
死神を名乗る男がそう言葉を口にしたー。

「ーーえっ!?!?!?えぇっ!?」
恭太がそう言葉を口にすると、
「ー階段から落ちて、頭を打って血を流してその場で死んだ。
 これで理解したか?」と、
死神を名乗る男は、そう言葉を口にしたー。

「ーーそ…そんな……」
心底悲しそうな表情を浮かべる恭太ー。

が、死神を名乗る男は
「俺はお前の担当のリクだ。さっさと手続きを済ませるぞ」と、
そう言葉を口にして、面倒臭そうに処理を始めたー。

「ーーえ…ち、ちょっとー…ぼ、僕、ま、まだ死にたくないんだけどー!」
恭太が困惑した様子でそう叫ぶー。

がー
「ーお前は馬鹿か?さっき説明しただろ?
 お前はもう死んだんだ」
と、冷たく言い放つー。

”リク”を名乗るあの世の案内人が、
そのまま手続きを進めようとするー。

がー、そこに小悪魔のような格好をした少女らしき人物がやってくるー。

”リク”と同じくあの世の案内人だろうかー。

「ーー…何の用だー?マーヤ」
リクがうんざりした様子で言うと、
マーヤと呼ばれたその子は不満そうに何かを耳打ちするー。

「ーーー…ーーほぅ…そうか」
リクはそう呟くと、マーヤと呼ばれた子は
「その冷たい感じ、どうにかならないの??
 あの死んだ子も困ってるじゃん~!」と、苦笑いするー。

「ー知るか。」
リクはそれだけ言うと、困惑する恭太の方を向いたー。

そして、悪びれる様子もなく言うー。

「ーーお前が死んだのは、こちら側のミスだったようだ」
とー。

「ーーへ?」
さらに困惑の表情を浮かべる恭太ー。

「ー本来死ぬのは、春奈という女のほうー
 お前をいじめていた方で、
 お前を追いかけようとして足を一人で滑らせて
 頭を打って死ぬ予定だったー。

 ただー、お前ら人間の生死を管理するやつらが
 ミスったようでなー。
 本来死なないはずのお前が死んだ」

リクがそう説明するー。

恭太は不満そうに「え……そ、そんな…」と、呟くと
「そ、そっちのミスってことー?」と、
そう言葉を口にするー。

「ー俺のミスじゃない。お前ら風に言うと、別の部署のミスだ。
 俺は死んだやつを案内するだけが仕事で
 それ以外は管轄外だ」

リクはそう言うと、
恭太は「そ、そんな言い方ー…」と、不満そうな顔をするー。

しかし、リクは「安心しろ」と、続けると、
「ーミスで死んだお前は生き返れる。良かったな」と、それだけ言葉を
口にして、恭太の反応を見る前に、手から光のようなものを放ったー

「ーー!!」
光に包まれた恭太は、そのまま意識を失うのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー!!!!」

ガバッと起き上がる恭太ー。

”な、なんだー…ゆ、夢かー”

一瞬、そう思ったー。
一度死んで、あの世のミスで生き返るなんてあるはずがないー。
きっと、僕は一度家に帰って、そのまま疲れて眠ってしまったのだと、
そう考える恭太ー。

しかしー

「ーーー…?」
恭太の視界に入って来たのは”見知らぬ天井”だったー。

「ーー!?!?」
慌てて起き上がって周囲を見渡すとー、
そこは広々とした可愛らしい雰囲気の部屋ー

「えっ!?ここ、どこー!?」
そう声を発した恭太は、

自分の口から”自分の声”ではなく、
”女の声”が出たことに驚いて、口元に触れるー。

しかも、その声は
なんだか聞き覚えがあるような、そんな声ー

「ーえっ…ど、どういうーー…」
驚いて、近くにあった鏡を見つめるとー、
そこに映っていたのはー

「ーーえっ!?!?!?!?!?」

恭太は思わず声を上げるー。

そこに映っていたのは、
恭太をいじめている女子たちのリーダー格で
恭太が階段から転落する原因を作った女子ー、
皆口 春奈だったからだー

「ーーえ…!?!?え…?????
 な、な、な、なんだこれー えっ!?」

顔を赤らめながらも、
春奈になってしまった恭太は困惑の表情を浮かべながら
身体を動かすー。

身体を動かすたびに、
”鏡に映る春奈”も驚いた表情を浮かべながら、
自分と同じ動きをしているー。

「ーーな…なんでー……?」
呆然とする春奈になってしまった恭太ー。

するとそこに、”あの世の案内人”である死神・リクが
姿を現したー。

「ーーーお前の身体は死んでしまったのでなー
 本来、死ぬはずだったその女にお前の魂を憑依させたー。
 
 まぁ、すぐに慣れるだろ。
 ーーじゃ」

リクはそれだけ言って姿を消そうとするー。

「ーーえぇっ!?ち、ちょっと待って!?
 い、嫌だよこんなやつの身体!」

春奈がそう言い放つと、
リクは面倒臭そうな表情を浮かべてから
春奈の方を見つめたー。

「ーじゃ、死ぬか?」
と、そう言葉を口にしながらー。

②へ続く

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コメント

憑依まで、少し時間がかかったので、
②からが憑依の部分の本番デス!!★

明日以降もぜひ楽しんでください~★!!

…今日は10月なのに、なんだか暑い地域が多いみたいなので、
気を付けて下さいネ~!

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