最近の妹の態度に嫌気が差してしまい、
謎のアプリ”入れ替わりガチャ”を使った兄ー。
彼は身体を転々とした末に…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ー僕も”入れ替わりガチャ”は知ってるー
隠しても無駄だよー。
君は誰だ?」
好青年風の男は、姫梨(紀彦)から
入れ替わりガチャを使えないようにスマホを取り上げると
”入れ替わり登録”を一時的に解除したー。
スマホを取り上げても、入れ替わり登録をしている状態では
”他の入れ替わりガチャを回した人”の入れ替わり相手に偶然選ばれて
逃げられてしまう可能性があるからだー。
「ーーーー…」
姫梨(紀彦)は、表情を歪めてから
観念した様子で
「ー確かに、”入れ替わりガチャ”でこの身体になりましたー」
と、姫梨(紀彦)は、そう言葉を口にするー。
「た、ただー
この身体に危害を加えたりするつもりはなくてー…
そ、それに、この姫梨さんだって
入れ替わりガチャに登録してたわけですから、
入れ替わりたいと思っていたはずですしー」
少し言い訳がましく、そう言い放った姫梨(紀彦)ー。
がー、好青年風の男は
「別に、責めるつもりはないよー」と、だけ言うと、
「ー”僕”も、入れ替わりガチャでこの身体に入った人間だから」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーえ…」
姫梨(紀彦)がそう言うと、
「”この身体”は、”姫梨”の兄の慶介(けいすけ)ー。
元々のこの身体の持ち主は、交通事故の妹さんの世話に
疲れ果てて、入れ替わりガチャに登録したみたいー」
と、姫梨の兄・慶介は言ったー。
「そ、そ、そうなんですねー」
姫梨(紀彦)がそう言葉を口にすると、
「ーーわたし…いや、ごめんー。僕はー、
この身体になって、姫梨を放っておけなくて、
入れ替わり登録を切って、ずっと世話をしてたんだ」と、
兄の慶介の身体を使っている人物はそう言葉を口にしたー。
「ーーーなるほどー」
姫梨(紀彦)がそう言うと、
「そっかぁ…”姫梨”も入れ替わりガチャに登録してたのかぁ…」と、
そう言葉を口にしながら、しばらく考えるような素振りを見せたー。
やがて、”慶介”は口を再び開くー。
「僕ねー。”お兄ちゃん”がいたんだー。
学校でちょっと嫌なことがあって、入れ替わりガチャに登録したら
登録直後に偶然、入れ替わり相手に選ばれちゃってー、
元に戻れなくなっちゃってー。
身体を転々としているうちに、この身体にたどり着いたー。」
慶介の言葉に、
姫梨(紀彦)は少し違和感を抱くー。
入れ替わりガチャの話をしてからー
話し方に少し、違和感を感じるのだー。
「ーーー元々は、”妹”だったのに、
今じゃわたー…いや、僕がお兄ちゃんなんだから、
笑っちゃうよねー」
慶介の言葉に、姫梨(紀彦)は
「え… あ…ーー…ーー…中身は、女の人?」
と、そう呟くー。
「ーーん?あぁ、ははー。
そうそうー。
僕さ、元々は”茜(あかね)”って言う名前でさー」
”姫梨”の兄ー、慶介はそう言葉を口にしたー。
その言葉に、姫梨(紀彦)は目を見開くー。
「え…?あ、茜ー…?」
それもそのはずー…
”茜”とは、紀彦の妹の名前だからだー。
「ーーえ…?」
慶介(茜)は戸惑いながら、姫梨(紀彦)の方を見つめるー。
「ーー…い…いや…
”茜”って、俺の妹の名前と同じでー」
姫梨(紀彦)はそこまで言うと、困惑した表情を浮かべるー。
「ーーーえ…ほ、本当ー…?」
慶介(茜)はそこまで言うと、
姫梨(紀彦)は意を決して、名前を口にしたー。
「ーーー…”瀬川 茜”ーーーー」
自分の、妹の名前をー。
「ーーーー!!!」
慶介(茜)が表情を歪めるー。
「ーーーーー…瀬川…紀彦?」
兄の名前を呟く、”慶介”の身体を使っている茜ー。
「ーーーそー…そう、お、俺だよー紀彦だよ!」
姫梨(紀彦)が嬉しそうに言うと、
慶介(茜)は「お……驚いたーー…ぼ、僕ーー」
と、そう言葉を口にしながら、
首を横に振るー。
そして、目に涙を浮かべながら
「お兄ちゃんー…わたし、もう会えないと思ってたー」
と、慶介(茜)はそう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーまさか、身体を転々として
偶然、また兄と妹になっちゃうなんてなー」
姫梨(紀彦)が言うと、
慶介(茜)は「まぁ、今は逆だけどねー」と、笑うー。
「ー確かにー」
姫梨(紀彦)がそう言うと、
「ーー…じゃあ、茜はずっと前からもう、茜じゃなかったのかー」と
そう言葉を口にするー。
「ーうん…学校で嫌なことがあって
興味本位でアプリに登録したら、その直後に入れ替わり相手に
選ばれちゃってー」
慶介(茜)がそう呟くー。
つまりー、紀彦が”最近、妹に嫌われた”と思っていたのはー、
”茜”に嫌われたのではなく、
”茜の中身がそもそも別人になった”ことによるものだったのだー。
「ーー…俺、”茜”が嫌で入れ替わりガチャ、回したんだー」
苦笑いする姫梨(紀彦)ー。
「ーご、ごめんねー
急に中身が変わったらびっくりしちゃうよねー」
慶介(茜)が言うと、
「ーまぁ…俺はずっと茜だと思ってたけどー」
と、入れ替わりに気付かなかったことを、
笑いながら口にしたー。
「ーーー」
二人は、久しぶりの再会を喜び、
色々な雑談を交わすー。
「わたしが入れ替わりガチャに登録したのは
お兄ちゃんが嫌だったからじゃないし、
また会えてよかった!」
慶介(茜)は笑いながら言うー。
「ーこんな風にすぐ入れ替わるなんて思ってなかったしー、
なんかこうー
簡単に元に戻れるような感じがしちゃってー、
甘く考えてたって言うかー…そんな感じー。」
慶介(茜)の言葉に、
姫梨(紀彦)は「ーー…そうだー…入れ替わりガチャ…
登録解除しないと」と、そう言葉を口にするー。
「え?」
慶介(茜)が不思議そうに首を傾げるー。
慶介になった茜は既に入れ替わりガチャの登録を
とうの昔にいったん解除していて、
現在は勝手に入れ替わる心配はない状況だー
「ーーほ、ほら、身体は違っちゃっても、
せっかくまた茜と会えたんだしー」
姫梨(紀彦)がそう言うと、
慶介(茜)は「ーーえ…でもいいの?姫梨ちゃんの身体はー」と、
事故で歩くことができない状態の姫梨(紀彦)の方を見つめるー。
「ーーーいいさいいさー…
も、もちろん、茜が嫌じゃなければ、だけどー」
姫梨(紀彦)がそう言うと、
慶介(茜)は笑いながら、
「イヤなんてことはないよ、あえて嬉しいし!」と、
嬉しそうに言葉を口にしたー。
「ーーあ、もちろん、この身体で出来ることは探すしー、
茜の負担がないようにするから、心配しないでいいからなー?
別に、妹に介護してもらおうと思ってるわけじゃないから」
姫梨(紀彦)はそう言うと、
慶介(茜)は少しだけ笑いながら、
「でも、姫梨の世話ーずっと”兄”としてしてきたから
少し寂しいかなー」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーーはは…
でも、この子も入れ替わりガチャに登録してたってことはー…」
姫梨(紀彦)の言葉に、慶介(茜)は「そっかー…そうだよねー」と頷くー。
紀彦の入れ替わり相手に姫梨が選ばれたということは
この子も、恐らく不自由な身体から抜け出そうと
自分で入れ替わりガチャに登録していたはずー。
”姫梨”は、今、紀彦がさっきまで使っていた
親友・智樹の妹である由紀奈の身体になっているはずだー。
由紀奈の身体なら、何の不自由もないはずだし、
性別も同じで、年齢もこの姫梨に近いー。
この子からすれば、理想の入れ替わり相手に近いはずだー。
「ーーーーそうそう、わたし、入れ替わってからずっと
”お兄ちゃん”やってたから、外では完璧に男の人に
なりきれるようになったよ?」
自慢気に慶介(茜)がそう口にすると、
「さっきまで、全然”僕”が茜だとは気付かなかっただろ?」と、
お兄ちゃん口調でそう言葉を口にしたー。
「は…はははー…た、確かに全然気付かなかったよ」
姫梨(紀彦)は、それだけ言葉を口にすると、
少しだけ考えたあとに、
「ーー改めて、よろしくー」と、そう言葉を口にしたー。
このまま入れ替わりガチャを回し続けても、
元の身体に戻ることは難しいー。
だからと言って、直接”元自分”の家に乗り込んで行っても、
どうすることもできず、余計に混乱するだけのような気もするー。
”元・自分”がどうしているかは後々見に行くとして、
身体は違えど、こうして兄・妹が再会することができた
この状況を、紀彦は喜ぶことにしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紀彦・茜の二人の元々の身体はー
その後、穏やかに生活していたー。
紀彦になったのは
父親から暴力を受けていた愛華ー。
そして、茜になったのは
30代の独身女性・百恵ー。
元々の紀彦のことは鬱陶しがって
きついことばっかり言っていた茜(百恵)だったものの、
紀彦(愛華)とは相性が合ったのか、
とても可愛がっているようだー。
そしてー、
父親に暴力を振るわれていた愛華の身体になってしまった
紀彦の親友の妹・由紀奈は、
何とか助かり、病院に搬送ー、父親は逮捕されたことで、
ひとまず身の安全は確保されている様子だったー。
その由紀奈になった、事故により足の不自由な姫梨は、
由紀奈として、日常生活を満喫していたー。
今では、慶介(茜)の元に
”お兄ちゃん、ありがとう”と、時々会いに来ているぐらいでー、
また、愛華(由紀奈)とも接点を持って色々連絡を
取っているようだー。
由紀奈の兄で、紀彦の親友でもある智樹は
入れ替わりガチャの存在に戸惑いつつも、
由紀奈(姫梨)のことも、愛華になった由紀奈のことも
可愛がっている様子だったー。
入れ替わりガチャで色々な人と入れ替わり、
色々な入れ替わりを目撃した紀彦ー。
しかし、最終的に紀彦やその周囲で起きた
”入れ替わり”は、関わった人間それぞれが、
幸せを手にしていたー。
「ーそういえば、”その身体”の元の持ち主は?」
姫梨(紀彦)が、パソコンで仕事をしながら
そう言葉を口にすると、
慶介(茜)は「え?あぁ、この身体の人?」と、
自分を指差しながら言ったー。
「そうそうー。そのー、慶介って人は
どうしてるのかなぁってー」
そう言葉を口にすると、慶介(茜)は
入れ替わりガチャで最初に入れ替わって、
元に戻ろうとしてパニックになって
何回かガチャを回したのだというー。
最初は、今の”茜”の中身である”百恵”という30代の女性の身体にー。
その後、数名の身体を転々として、
今の”慶介”になる前は、確か30代の独身貴族の男だったと
慶介(茜)はそう説明したー。
「だから、その後、この人が入れ替わりガチャを
回してなければー…
今のその身体で生活してるんじゃないかなー」
慶介(茜)がそう言葉を口にすると、
姫梨(紀彦)は「そっかー」と、静かに頷いたー。
この身体で生きていくことに決めた紀彦は
リハビリをしながら、家の中でパソコンを使った仕事を始めているー。
いつかは、足が動くようになると信じて、リハビリも開始し、
通信制の学校にも通っているー。
「ーーお兄ちゃん、無理してない?」
慶介(茜)がそう言うと、
姫梨(紀彦)は「いや、全然ー」と笑いながら答えるー。
「ーーそれにしても、俺と茜のこの姿で、
”お兄ちゃん”って呼ばれると不思議な感じだなぁ~…」
姫梨(紀彦)がそんな風に笑うと、
慶介(茜)は「普通は逆だもんねー」と、楽しそうに笑ったー。
ひとまず、”元・自分たち”も上手くやっている様子で、
親が混乱するような事態にもなっていないことも
先日、確認してきたー
親に打ち明けようかどうかは迷ったものの、
紀彦と茜の身体を使っている二人をまた巻き込んでしまうし、
二人はそれなりに上手く生活してくれているようであったために、
何も言わなかったー。
この家は、両親は既に亡くなっているために、
”慶介”と”姫梨”の二人暮らしー。
二人の中身が”茜”と”紀彦”でも、特に問題はないー。
やっぱり、二人でいると落ち着くなぁ、と
お互いにそんな風に思いながら、
二人はお互いに穏やかな笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー”入れ替わりガチャ”?ー」
とある場所ー。
疲れ果てた様子の女子大生が、そんなアプリを見つけたー。
そしてまたーー
どこかで一人、”入れ替わりガチャ”の利用者が増えるのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
入れ替わりガチャの続編でした~!☆
本編の最終回の時に
”また別のエピソードを書けそう~”と言った(ハズ)なのと、
コメントで”読みたい”というご意見も頂いたので
前と同じアプリを登場させつつ、
前とは違う物語を描いてみました!★
お読み下さりありがとうございました~~!

コメント
すごく面白かったです!
まさか入れ替わった先の女の子の兄が妹さんだったとは…
最終的に自分達の体に戻ってきたけど兄妹が入れ替わってたけどこのままの生活を受け入れようってのを想像してましたが、この結末もまた面白いです
リーフさま~!
ありがとうございます~!☆
最後に兄妹が入れ替わった状態で元通り…!
確かにそれも面白かったかもですネ~~!!
最後まで読んで下さってありがとうございます~!!
最後に兄妹が入れ替わった状態で元通りみたいな感じで書いてみたいです
イメージとしては無印の入れ替わりガチャと兄妹編を足して二で割ってオリジナルを足したような感じの話のつもり
それは面白そうですネ~!
完成したら私も見てみたいデス~!
補足
紀彦と茜が、入れ替わった元の体の子とデートする話も面白そう…。
わわ!色々な夢が膨らんで…★!
補足の追記
「実質兄妹でデートする」みたいな
それも確かに面白いかもしれないですネ~★★!
やっぱり、前回の話と同じで、入れ替わりガチャに登録してるような人物は何かと訳アリの身体が多いみたいですけど、今回は全体的にハッピーエンドよりに、なんとか丸く収まりましたね。
不自由な姫梨の身体を受け入れた紀彦の決断もすごいですよね。
まあ、下手にあと何回か入れ替わったら、その内もっととんでもない身体に当たった可能性も十分にあるだろうし、正しい判断だったとは思いますが。
ギャンブルは引き時が重要ですからね。
感想ありがとうございます~!☆
ランダムで入れ替わるアプリなので、実際にあっても
訳アリの人が多いかな~?と思うので、こうしてます~笑
これ以上、入れ替わり続けると破滅しちゃうかもしれませんし、
紀彦くんはちょうどいいところで、ストップできました~★!
前回の中編の時点で大変な展開でしたよネ!★
兄妹が逆になって登録解除するとは…
入れ替わりガチャは訳ありな人が多くてリスク高いですネ!
また別な人が主人公のストーリーとかできそうですネ!
リクエストではないですが
『入れ替わりマッチングアプリ』とか面白そうですよネ~!☆笑
リクエストではないのでご安心を…(*´艸`)笑
わわ~!
確かに入れ替わりマッチングアプリも面白そうですネ~!
結婚相談所みたいな入れ替わり相談所のお話は
前に書いたので、今度はそれをやってみるのもいいかもデス…!