夏休み突入早々、
大学生の彼は”親友の父親”に呼び出されたー。
その親友とは幼馴染で父親とも面識がある彼は
特に何も気にせず、話を聞きに行くー。
しかし、彼はそこで”息子の彼女になって欲しい”と、
とんでもないお願いをされるのだったー。
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「哲也(てつや)は、夏休み、何か予定はあるのか?」
同じ大学に通う親友の三木 隆介(みき りゅうすけ)が、
そんな言葉を口にするー。
その言葉に、松島 哲也(まつしま てつや)は、
「俺ー?そうだなぁ~…お盆の時期には1回、実家に帰るけどー」と、
そんな言葉を口にするー。
「ーーはは、そっかー
俺はあんま実家帰りたくないんだよなぁ~」
隆介のそんな言葉に、
「へ~そりゃどうして?」と、哲也は歩きながら言うと、
隆介は「親父がさ~、彼女作れ作れうるさくてさ~
この年で恋愛経験0はどうのこうのってさ」と、愚痴を口にするかのように
そんな言葉を口にするー。
「ははは、そりゃ大変だなー
そんなこと言う人には見えなかったけどー?」
哲也と隆介は小さい頃からの幼馴染ー。
今は互いに、一人暮らしをして、それぞれ実家から離れているものの
小さい頃はよく、お互いの家に遊びに行ったりもしていたため、
隆介の父親・宗助(そうすけ)とも面識があるし、
小さいころはよく遊んでもらったりしたこともあるー。
「ーーーそれは、まぁ~、人の子供の前でそんなこと言わないだろ?」
苦笑いする隆介ー。
「ま、それもそうかー」
哲也も頷くと、「隆介は確か”生涯独身”希望だったもんなー」と、
そう言葉を続けるー。
「そうなんだよ!どうせモテないのもあるけどさ、
彼女とかコスパ悪いし、時間の無駄だから、
一生恋愛する気もないしー…
だから、あんま実家帰りたくないんだよなぁ」
隆介が改めてそう言葉を口にすると、
「ははー同情するよ」と、哲也は静かに頷いたー。
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そしてー…
夏休みが始まり、哲也は
「とりあえずー…今日はのんびりするか!」と、
初日をダラダラと過ごし始めるー。
エアコンの効いた涼しい部屋で、ゴロゴロとしながら
目を覚ましては少しスマホをいじるー。
そうこうしているうちに寝落ちしてー…を、
繰り返すうちに昼になったー。
哲也は苦笑いしながら起き上がると、
ふと、スマホが鳴ったー。
「ーーえ?」
少しだけ首を傾げるー。
何故なら、スマホに表示されていたのは、
親友・隆介の実家の番号だったからだー。
高校時代に、隆介の携帯が繋がらないとき用にと、
隆介の実家の番号も登録していて、
その番号が、表示されていたー。
「隆介の実家からー…?何だー?」
戸惑う哲也ー。
隆介は実家に帰りたくないと言っていたし、
まだ初日だー。
夏休み初日にいきなり実家に帰って
実家から電話をかけて来るとは考えられにくいー。
しかしー…
かと言って隆介の実家の人間が、哲也に用があるとも
考えられにくいー。
確かに、面識があるとは言え、
去年、実家に帰った時についでに少し顔を見せたぐらいで、
それ以上のことはしていないー。
「ーー…もしもしー?」
戸惑いつつも、電話に出る哲也ー。
別に電話を無視する理由はないし、
何かあったのかもしれないー。
そう思いつつ、相手の返事を待つと、
電話の向こうからは、隆介の父親である宗助の声が聞こえて来たー
”お~松島くん、久しぶりー。
元気にしてたか?”
家族ぐるみの付き合いがあったため、宗助の声は
よく覚えているー。
少し懐かしさを感じながら、哲也は
「どうもーお久しぶりですー」と、そう言葉を口にしたー。
”ーー急にすまないねー。”
宗助の言葉に、「隆介に何かあったんですか?」と、
哲也は心配そうに言葉を口にするー。
親友・隆介の父親がわざわざ哲也に電話をかけて来るということは、
一番考えられるのは、隆介に何かあったのではないか、ということだったー。
”ーーあ、いや、隆介に何かあったわけじゃないんだー。
ただー、少し松島くんに相談があってねー。”
隆介の父・宗助のその言葉に「相談、ですかー?」と、
そう言葉を口にするー。
”あぁ、松島くんの都合の良い時で構わないからー、
近いうちに会えないかなー?
もちろん、僕の方からそちらに顔を出すようにするー”
宗助の言葉に「ーそうですねー…ー」と、
哲也は、自分のスケジュールを確認するー。
ひとまず、明日か、3日後は何の予定もないー。
それを伝えると、
”じゃあ、明日のお昼ごろにどうかなー?
駅前にファミレスでもあれば、そこでご飯でも食べながらー”
と、宗助はそう言葉を口にしたー。
「ー分かりましたー。では、お待ちしていますー」
哲也はそれだけ言うと、少しの間雑談を交わしてから
電話を終えるー。
”ー話ってなんだー…?”
電話を切る直前には、”隆介には言わないでほしい”と、
そう言われたことも気になるー。
「ーまぁ…明日会ってみれば分かるかー。
隆介のおじさんにも、大分世話になったからなー」
哲也はそう思いながら、少しだけ不思議そうな表情を浮かべると、
「ま、とりあえず今日は、のんびりするか!」
と、そう言葉を口にしたー。
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翌日ー。
約束通り、隆介の父・宗助がこちらの地方にやってきて、
駅前で合流したー。
「お~~…随分大きくなったなー。
立派な大学生って感じだ」
宗助が関心した様子で言うと、
「ははー…案外、見た目だけですけどね」と、苦笑いしながら
哲也が、宗助と共に歩き出すー。
最近の近況や、
隆介は元気にやってるかー?などなど、
そんな会話をしながらファミレスに入ると、
「僕が全部払うから、好きなものをどんどん食べていいよ」と、
宗助はそう言葉を口にしたー。
やがて、適当なものを少し遠慮がちに注文してから
ひと息つくと、宗助は言葉を口にしたー。
「うちの息子が、生涯独身宣言をしていて、
恋愛もしないって言ってるのは、知ってるかなー?」
とー。
「ーーえ…?あぁ、はいー」
哲也はついこの間、親友の隆介とそんな話をしたことを
思い出し、すぐに納得したかのように頷くと、
「実は、そのことで相談があるんだー」と、宗助はそう呟くー。
「ーーー…ーーそ、相談ですかー?
あ、でも、俺にも紹介するほどの異性の友達とかはいませんよー?」
哲也は戸惑いながら、先手を打つようにしてそう言葉を口にすると、
隆介の父・宗助は「ははー…それは大丈夫ー」と、そう言葉を口にしながら、
真剣な表情で哲也を見つめたー。
「ー息子に”恋愛経験”を積ませたいー。
だから、夏休みの間だけでいいー。
息子の彼女になってやってくれないかー?」
宗助の言葉に、哲也は口をぽかんと開けたまま
「はいー…????」と、首を傾げるー。
「ーー恋愛経験を積めば、隆介の気も変わるかもしれないし、
この先、結婚しなかったとしても、何かの役に立つかもしれないー。
だから、どうだろうかー。
隆介のために、夏休みの間だけ、彼女になってくれないだろうかー」
宗助の”息子の彼女になってほしい”という言葉は
どうやら聞き間違いではなかったようだー。
哲也は、戸惑いながら「ーーえっとーー…え?俺、男…ですよ?」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。
「ーーーー…まさか、女装しろと…?」
哲也が苦笑いすると、
宗助は「いやいやー、さすがにそれはないよー」と、そう言うと、
「ー松島くんには、女子になって欲しいー」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーーー……」
ぱちぱちと瞬きをしながら言葉を失う哲也ー。
”息子の彼女になってほしい”
”松島くんには女子になってほしい”
”女装ではないー”
その言葉の数々に、混乱せずにはいられないー。
「ーーー………あのー…すみませんー
何をお願いされているのかよく分からないですー」
困り果てた表情で哲也はそう言いながら、
「ーもちろん、親友の力になれることがあれば
なりたいとは思いますけどー、
本人がそれを望んでいるのかどうかも分かりませんしー」と、
そんな言葉を口にするー。
隆介の父・宗助のことも”小さい頃よく遊んでくれたおじさん”的
存在ではあるし、今でもその思い出は記憶の中に残っているー。
ただ、隆介が”生涯独身”を貫きたいのであれば
それを無理して邪魔しようとは思わないー。
「はははー、いや、ごめんごめん。
確かに、いきなりこんなことを言われても困っちゃうよなー」
宗助はそれだけ言うと、
「ー単刀直入に言うと、”同年代の女性の身体に憑依して、
その子のフリをして、夏休みの間だけ息子の彼女になってほしい”」
と、そう言葉を続けたー
「ーー!?!?!?!?!?!?」
ますます意味の分からない言葉に、哲也は「はい?今、何てー?」
と、そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
「ーーー……~~~~~~…」
哲也はー、
女子大生・藤咲 詩織(ふじさき しおり)に憑依して、
親友・隆介と接触する機会を伺っていたー。
”つーか、俺の方がドキドキしちゃってそれどころじゃないんだけどー…”
詩織に憑依した哲也は、詩織の身体が自分の視界に入る度に
ドキドキしてしまい、平常心を保つのがやっとだったー。
最初ー”憑依”という言葉には戸惑ったもののー、
隆介の父・宗助は医療関係の仕事をしていて、
憑依対象の子は、ある事故で昏睡状態に陥っていて、
”ずっと昏睡状態”だと身体機能が低下してしまうため、
”憑依”して、哲也が身体を動かすことは、
その子のためにもなる、とのことだったー。
憑依対象の詩織は、”ある事情”で、既に身寄りもいないー。
それが嘘ではないことも、確認は取れているー。
最終的に、哲也はある”条件”を出して、宗助のお願いを受け入れたー。
その条件とはー
”隆介が彼女とか、そういうの嫌がったら
その時点で終了”と、いう条件だー。
「宗助おじさんのお願いでも、本人が彼女を作ることを
望んでないならー、
俺に、無理矢理望んでないことをさせることはできないのでー」
と、宗助にも説明したー。
「ーーそうだねー。うん。分かったー。
それでいいよ。隆介が嫌がったら、哲也くんは憑依を
終えてもらっていい」
宗助も、それは承諾してくれたー。
”ーーさっさと、”彼女とかいいんで”と言われて終わりにしよう”
そう思いつつ、哲也は詩織の身体で隆介が働いている
バイト先に足を運びー、
”客”として商品の質問をしたりして、隆介との接触を始めたー。
夏休み前半の1,2週間を使い、隆介と親しくなるつもりだー。
そしてー…
2週間が経過したタイミングで、詩織に憑依した哲也は、
”連絡先”を、隆介に渡したー。
「えっー?」
戸惑う隆介ー。
「ーーあの…もしよければー…連絡くださいー」
”別人”として、しかも”異性”として親友に話しかけるー…
2週間経過した今でも、違和感がぬぐえないー。
妙に恥ずかしくなりながらも、
”やれるだけのことはやったし、宗助おじさんに筋は通した”と、
心の中で思いつつ、
あとは”連絡がない”か、”振られる”、
そのどちらかを期待したー。
がーー
”連絡先交換なんてー、嬉しいですー!
初めてなので、びっくりしましたけどー!”
「ーーは?」
帰宅した詩織は表情を歪めるー。
妙にハイテンションな隆介からのメッセージが届いたのだー。
「ーー…いや、彼女いらないんじゃー?」
詩織の身体、哲也は困惑しながらそう言葉を口にするー。
しかしー、
隆介と少し連絡のやり取りを続けると、
嬉しさを隠しきれていないメッセージが、繰り返し届きー、
ついには3日後に”プライベートで”会うことになってしまったー
「おいっ!俺を振れよ!
ってか、コスパの無駄とか言ってなかったっけ!?」
哲也は、親友・隆介の思わぬ反応に戸惑い、
詩織の身体で困惑の声を上げたー…
②へ続く
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コメント
夏休みの間、知らない子の身体に憑依して
親友の彼女として振る舞うことになってしまうお話デス~!
憑依した直後の反応や、
憑依するまでの部分は②以降でももう少し詳しく触れます~!☆
(①で全部描くと、憑依する前に①が終わっちゃうので~笑)
今日もありがとうございました~!☆

コメント
隆介は純太と同じ匂いがするような…しないような…純太は不純太でしたが笑
隆介もヤバそうな感じが…笑
憑依のコトも詳しく書いてくれるんですネ!
楽しみに待ってます(^o^ゞ
感想ありがとうございます~~~!☆
不純物扱いの純太くん…☆!
隆介は…純太くんと違うことを祈るのデス…!