<入れ替わり>入れ替わりガチャ①~相手は運次第~

”入れ替わる相手は運次第”
謎のスマホアプリ”入れ替わりガチャ”ー。

ある日、そんな謎のアプリと出会ってしまった
男子高校生の運命はー…?

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高校2年生の男子高校生、
田山 弘樹(たやま ひろき)は、
”自分のこと”が、あまり好きではなかったー。

家庭環境が悪いわけでもないし、
学校でいじめられているわけでもないー。
特に現状に大きな不満があるわけでもないー。

だがー
どうしても自分のことが好きにはなれなかったー。

「ーーどうせなら、俺ももうちょっとイケメンに生まれたかったなぁ~」

晩御飯を終えて、家でのんびりしていた弘樹が、
妹の紀香(のりか)が見ていたテレビを見つめながら
そう呟くー

紀香は「ーえ、なになに?お兄ちゃんイケメンになりたかったの?」
と、小馬鹿にするようにして笑うー。

「ーなんだよその言い方~」
決して、容姿が極端に悪い、というワケではないものの
少し小太りで、お調子者な感じが滲み出ている顔立ちー

学校では男友達は多いものの、異性との交流はほとんどないー。
そんな、状態だったー。

弘樹自身、別に喉から手が出るほど彼女が欲しいわけでもなかったし、
別に今のままでも良かったのだが、
思春期故、だろうかー、何となく”自分が嫌い”だったー。

「ーーお兄ちゃんはそのままでいいと思うけどなぁ~」
紀香が、そう言いながらテレビを消して、
スマホを手に自分の部屋に戻ろうとするー

1歳年下の妹・紀香は何かと口うるさいものの、
基本的に仲は悪くないー。
こうして、普通に兄の弘樹とも口を利いてくれる関係性だー。

「ーー適当なこと言って…
 例えば俺がクラスメイトだったら、紀香だって彼氏にしたくないだろ?」

弘樹がそう言うと、
紀香が「ーーまぁね~彼氏はちょっとって感じ」と、笑うー。

「ーおいおいー何の遠慮もなく言うかふつうー?」
拗ねる弘樹ー。

そんな弘樹に対して、階段を上りかけていた紀香が
「ー彼氏って言うより、気軽に雑談できる友達として仲良くしたい感じ!」
と、兄をフォローする言葉を掛けると、
そのまま紀香は自分の部屋のある2階に向かって行ったー。

「ちぇ」
弘樹は、そう呟きながら、
消えたテレビに反射した自分の顔を見つめるー

「はぁ~」
自分のことを好きと思ったことは一度もないー。

みんな、そんなものなのだろうかー。

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「ーなぁなぁ田山!」

翌日ー
昼休みの最中にクラスの友人の一人、富原 卓(とみはら すぐる)が
声を掛けて来たー

「どうせまたくだらないやつ見つけたんだろ?」
弘樹が、呆れ顔でそう呟くと、
卓は「いやいやいや、マジですごいんだって!見てくれよ!」と叫ぶー。

卓は毎日のように”下らないスマホアプリ”や”一風変わったスマホゲーム”を見つけては
周囲に見せつけていて、その都度周囲から呆れられているー

少し前には、下ネタのサイコロのゲームを見せられたり、
刺身に飾りの花を盛り付けるゲームを見せられたりしたし、
変なアプリもたくさん見せ付けられたー。

刺身のやつは、実は弘樹も少しはまってしまったのだが、
それはさておき、卓が見せて来るものは10個中8個ぐらいは
下らな過ぎて苦笑いしてしまうようなものだー。

「ーーーやべぇんだよーほらこれ」
卓が言うと、弘樹は
「やべぇのはお前だよ」と冗談を口にしながら、
期待をせずに卓のスマホの画面を見たー。

そこにはー
”入れ替わりガチャ”と、書かれていたー。

「ーなんだよこれ?課金ゲーか何か?」
弘樹が言うと、卓は「いや、ゲームじゃないー」と、だけ呟き、
弘樹に小声で囁いたー

”登録者同士で身体を入れ替えることができるアプリ”だよー、と。

「ーーは、はぁ!?ぜ、絶対詐欺だろ!?」
あまりに突拍子もない説明に、弘樹は思わず呆れて、そう叫んでしまうー。

「まぁ聞けよ」
卓はそう言うと、入れ替わりガチャ、という謎のアプリの
説明を表示する。

登録は無料、
”入れ替わり登録”するには登録料で3000円が必要ー。

そう書かれているー。

そして、入れ替わり登録したもの同士で、
”ガチャ”を回す(1回1000円)ことで、入れ替わることができるー。
ただし、入れ替わり対象は”入れ替わり登録した利用者の中からランダム”ー。

「ーー……」
弘樹はそれを見つめると、
「ーじゃあ、なんだ?4000円で誰かと入れ替われるってことか?」
と、呟くー。

「あぁ、そうみたいだなー
 登録料は最初だけだから最初に3000円払っちまえば
 あとは1000円で入れ替わりができるみたいだ」

卓がそう説明するー。

「ーでもこれ、入れ替わり登録ってのしたら、
 自分も知らないうちにガチャを回したやつの入れ替わり対象に
 なって、急に入れ替わっちゃう可能性もあるんだよな?」

弘樹の言葉に、
卓は「まぁ…そうだろな」と、呟き、さらに
「でも、入れ替わり登録するようなやつは大抵、自分から
 ガチャ回すだろ?」と、笑うー。

「ーーーーーこれを回せばイケメンとか美少女になれる
 可能性もあるってことか?」

弘樹がだんだんと興味津々になって呟くー

「ーま~そういうやつらがこのアプリに金払って登録するとは
 あんま思えないけど、もしいれば、そうなるだろうなー。

 でも逆におばあさんとかじいさんとか、気持ち悪いやつとか、
 余命あとわずかの人とか、そういう人もいるかもしれないぞ?」

その言葉に、弘樹は「そしたらまたガチャを回せばいい」と、
すっかりこのアプリに興味を持って笑うー。

「ーど、どこでダウンロードできるんだ?それ?」
弘樹がそう呟くと、「あぁ」と、卓はダウンロードできるサイトを
弘樹に教えたー。

弘樹は、説明をさらに詳しく読みながら笑みを浮かべるー。

もし、もしも、この”入れ替わりガチャ”とかいうアプリが
本物ならー

”俺は、イケメンかかわいい子になることができる?”

そんな、考えが浮かんでくるー。

入れ替わる相手がランダムなのは微妙だが
もし、気に入らない相手と入れ替わった場合は、
もう一度ガチャを回せばいいしー、
お気に入りの相手と入れ替わった場合は
”ランダムで選ばれる側”になってしまう前に
入れ替わりガチャのアプリの”入れ替わり登録”を解約すれば
その身体をゲットすることができるー…
ことになるー。

元々このアプリに登録する人間は
”自分の身体があまり好きではない”人たちばかりだろうし、
そうしても問題ないと規約にも書いてあるー

「ーーー……やべぇ…人生、変わるかもー」
弘樹は笑みを浮かべながら、入れ替わりガチャのアプリを
嬉しそうに見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した弘樹は、スマホをいじりながら
”入れ替わりガチャ”のアプリを見つめるー。

これを使えばー
もう、自分の身体に戻れないかもしれないー。

”ランダムに選ばれた相手”が弘樹の身体に入り、
その相手の身体に弘樹が入るー。

だが”入れ替わりガチャ”で起きた入れ替わりのキャンセルは
”入れ替わったもの同士”両方が1日以内に”キャンセル”を
する必要があるようで、
自分が戻りたいと思っても、相手が戻りたいと思わなければ
元に戻ることはできないー

もちろんガチャを回し続ければ、
”入れ替わり相手”として、また自分の身体が選ばれる可能性は
あったものの、登録者数も予想以上に多いみたいだし、
確率的にはかなり低いー。

つまりー
入れ替わりガチャを使えば、
もう二度と自分の身体に戻れなくなる可能性はあるー。

「ーーーー」
弘樹は、自分の家での生活、家族、学校、友達、趣味ー
色々なことを考えるー。

しかしー
それでも、最終的に弘樹が下した決断はー
”入れ替わりガチャを回す”という決断だったー

「ーーーえ?マジ?」

翌日ー
入れ替わりガチャのことを教えてくれた卓にだけは
入れ替わりガチャを回す決断をしたことを伝えるー

「あぁ、お前にだけは伝えておこうと思って」
弘樹が言うと、卓は
「他の奴には言わないのか?もう自分の身体に
 戻れないかもしれないんだぞ?」と、笑うー」

「ーいやいや、親とか妹に言っても本気にされるわけないだろ?
 それにー、もし本気にされても、絶対反対されるだけだし」

弘樹の言葉に、卓は「まぁ、そうだろうな」と頷くと
「いや、でもなぁお前ー」と、言葉を続ける。

「ー俺も試したことないから分からないけど
 絶対ネタ的なアプリだぞアレ?

 お前に見せた俺が言うのもアレだけどさー
 身体が入れ替わるなんて絶対にあり得ないー

 登録料とガチャの料金合わせて4000円ー取られるだけだと思う」

卓は”単にネタとして”見せただけで
まさか弘樹が本当に入れ替わりガチャを使おうとするとは
夢にも思っていなかったのだろうー。

少し慌てたような様子でそう言い放つー。

「ーーーそれならそれで、4000円無駄遣いしたな~ははっ!でいいし」
卓が止めても、弘樹は止まる様子がないー

「ーー…仮に本物だとしてーーー…
 お前の狙うようなイケメンとか、可愛い子とか
 そういうやつらが”入れ替わりガチャ”に登録してるとは思えんー。

 3000円払って入れ替わり登録してるやつからランダムで
 入れ替わるんだからー
 絶対ー…アレだぞ?そういう奴らはいないと思うぞ?」

卓はなおも説得を続けるー。

けれどー
弘樹の意思は変わらなかったー。

「仕方ないなー…そこまで言うならもう止めねぇよ」

卓が少しため息をつきながらそう言うと、
弘樹は「へへへ…いいモノを紹介してくれてありがとなー。
どんな結果になっても、お前のこと恨んだりしないしー
あ、そうだー。入れ替わったらお前にだけは連絡するよー」と、
笑いながら軽い調子で呟いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した卓は、”入れ替わりガチャ”のアプリを起動するー

既に無料登録は昨日済ませてあるー。

そして、今ー。
3000円を支払いー
”入れ替わり登録”を終えたー。

この時点で、他の人間が”入れ替わりガチャ”を回した際に
自分が”入れ替わり相手”として選ばれて突然入れ替わる可能性が
あるようだー。

しかしー
選ばれなければ、入れ替わらないー。

登録しても、すぐに何か起こるわけではないー。

「ーーーーさて」
弘樹はため息をつくー。

ここからが本番ー。

”入れ替わり登録”をしてこのまま待っていれば
いつかは入れ替わりガチャを回した人間と勝手に
入れ替わるかもしれないー。

しかしー。
弘樹は”自分から”行くつもり”だったー。

1000円払って入れ替わりガチャを回しー
”入れ替わり登録”した人間とランダムで入れ替わるー

入れ替わりガチャを回す画面にして、
両手を合わせる弘樹ー。

イケメンー
美少女ー
美人ー
お金持ちー

「ーーーどうか!どうか俺のガチャ運ー!」
そう叫ぶと、
弘樹は目を見開いて、
1000円を支払い、入れ替わりガチャを回すボタンをタップしたー。

1秒ー
2秒ー
3秒ー

何も、起こらないー

「ははーやっぱ卓の言う通り、金をぼったくるアプリだったのkーーー

そこまで言いかけてー
弘樹は突然気を失い、その場に倒れ込んだー

そしてーー

「ーーーーか」

!?!?!?!?!?!?

”だったのか”の最後の”か”だけ、”別の声”で呟くことになった弘樹は
困惑しながら周囲をキョロキョロするー

そしてー、
驚いた様子でベッドの目の前にあった鏡を見つめるとー
そこにはー
可愛い雰囲気の女性が映り込んでいたー

「ーーえ」

弘樹は唖然とするー

「ー俺、本当に入れ替わった…のかー?」

女の声で、そう呟いた弘樹はー
自分の身体を見つめながら入れ替わったことを確信しー
しかも、まあまあ可愛らしい雰囲気の女性が鏡に映っているのを見てー
嬉しそうに笑みを浮かべたー

②へ続く

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コメント

入れ替わりガチャによる入れ替わり…!
まずは順調な出だしに見えますネ~!

次回からが入れ替わり本番デス~!
お読み下さりありがとうございました~!

コメント

  1. 匿名 より:

    どんなに容姿がよくても、なんらかの悩みがあったりとかして、他人と入れ替わりたいという美少女だって、普通にいると思いますけどね。例えば、虐待、いじめとか、家庭環境とかに問題があったりとか、あるいは別作品であったみたいに余命僅かだったりとかしたなら。

    何にしても運の要素は大きいですけどね。

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆

      弘樹くんのような子の場合、
      (健康ですし、大きな不満もない環境)
      ガチャを回したら逆にマイナスになってしまうことも方が
      多そうな気がしますネ~!

      もう回してしまったので手遅れですケド…笑

  2. 匿名 より:

    この立場で回す彼の肝の座り方が半端ない…

    • 無名 より:

      コメントありがとうございます~!☆
      良い結果になりそうな感じはしないのに回してしまう彼…★!
      大変なことになりそうデス…!

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