謎のアプリ”入れ替わりガチャ”ー。
入れ替わる相手は運次第のアプリが引き起こす
新たな騒動…。
妹を避けるため、
アプリを使って別の身体になった彼の運命は…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーはぁ…」
”入れ替わりガチャ”を使った紀彦の妹・茜は
深々とため息をついていたー。
「”お兄ちゃんがいるって”思ったよりウザすぎー」
茜はそんな風に呟くー。
そのスマホにはーー
”入れ替わりガチャ”のアプリが表示されているー。
「ーーま、この子可愛いから我慢してるけどさー。
”次”ガチャ回した時にもっとクソな身体になるかもしれないからね」
茜は、そんな言葉を口にしたー。
兄・紀彦は知らないー。
妹の茜は”紀彦よりも先に入れ替わりガチャ”によって
他人と入れ替わっていてー、
”既に中身は別人”であることをー。
兄・紀彦が
”茜が高校生になった頃から急激に関係が悪化した”と
思っていたのはそのためー。
茜が思春期に突入したーーとか、そういうことではない。
茜の”中身”自体が入れ替わりガチャによって
変わってしまっていたのだー。
「ーーふふー…”可愛い子”は、女から見ても、素敵だもんー」
茜はクスッと笑うー。
今の茜の中身はー、
30代後半の独身女性・百恵(ももえ)ー。
入れ替わりガチャを3度ほど回した結果、
茜と入れ替わりー、それ以降、茜の身体で生活をしているー。
茜自身は、興味本位で”入れ替わりガチャ”をダウンロードして、
”入れ替わり登録”をしたものの、自分でガチャを回す前に、
別の場所でガチャを回した百恵の入れ替わり相手にランダムで偶然
選ばれてしまい、今はもう”別の身体”で過ごしているー。
「ーーーあの兄さえいなければ、最高だったんだけどねぇ」
茜(百恵)が、そう言葉を口にしながら鏡を見つめるー。
「ーわたし、かわいくなかったからー、こういう可愛い子見てると
ムカつくけど、
まぁ、自分のものになるなら、ねー」
茜(百恵)は満足気に微笑むと、
そのまま「そうだー、そろそろお風呂に入ろうかなー」と、
そんな言葉を口にしながら、部屋の外に出ようとしたー。
がー
その時だったー。
「ーーー…!」
部屋の扉が突然開き、兄の紀彦が中に入って来たー
「ーはぁ!?ちょっと!ノックもせずに一体、何のつもり!?」
茜(百恵)がそう言葉を口にすると、
紀彦は言ったー。
「ーーこ、こ、ここ、ここはどこですかー?」
とー。
「ーーはぁ?」
茜(百恵)がなおも不快そうに言うと、
「す、すみませんー落ち着いて聞いて下さいー」と、
紀彦はそう言葉を口にしながら、
スマホを見せて来たー
「ーー!!!」
茜(百恵)は表情を歪めるー。
そこには”入れ替わりガチャ”の画面が表示されていたからだー。
「ーーーえ……もしかして、”中身”変わったー?」
茜(百恵)がそう言うと、
紀彦は驚いた様子を浮かべながら
「え……」と、表情を歪めるー。
「ーーも、もしかして、入れ替わりガチャのこと、知ってるんですかー?」
紀彦になった”愛華”はそう言葉を口にするー。
父親に暴力を受けている最中に”紀彦”と入れ替わって、
彼女は紀彦の身体になって、今、ここにいるー。
「ーーー…うーーー…うんー
わたし…身体はこの子ー…瀬川 茜だけどー
中身は違うからー」
茜(百恵)がそう言いながら、
「この子の”お兄ちゃん”には気付かれないようにしてたけどー、
中身が変わったならちょうどよかったー」と、
笑みを浮かべながら、茜(百恵)は笑ったー。
「ーそれでー?
あなたは”誰”ー?」
茜(百恵)がそう言うと、
紀彦になった愛華は、自分が高校生であること、
そして、親から暴力を振るわれていて
イヤになって入れ替わりガチャに登録したことを告げたー。
「ーへ~!中身、女の子なんだ~!
じゃ、わたしと仲良くしよ?」
茜(百恵)がそう言葉を口にすると、
紀彦(愛華)は安堵した表情を浮かべながら
「は、はいー!よろしくお願いします」
と、そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
同じ大学に通う親友・江沢 智樹の妹、
江沢 由紀奈と入れ替わってしまった紀彦は
戸惑いの表情を浮かべていたー
「ーーや…や、やべぇー…
江沢の妹になっちまったー…!」
由紀奈(紀彦)は困惑しながら鏡を見つめるー。
まさか、”運悪く”と言うべきだろうかー。
親友の妹という”直接知っている人間”と入れ替わるなど
夢にも思わなかったー。
知らない相手と入れ替わるなら罪悪感のようなものも、
恥ずかしさもあまりないけれどー、
”知っている人間が身近にいるような”
そんな立場の人間と入れ替わるとなると、妙にドキドキするー。
「ーーー……ゆ、由紀奈ちゃんってすっごい可愛いんだよなー」
部屋の鏡を見つめながらドキッとする由紀奈(紀彦)ー
「ってーー…」
ふと、”あること”を思い出して、由紀奈(紀彦)は
青ざめるー。
そう、ここに来る前の状況だー。
”愛華”と入れ替わった紀彦は
意味不明なまま、愛華の父親から暴力を受けて、
そして、逃げるようにして入れ替わりガチャを起動して、
ここにやってきてしまったー
そのことを思い出して、由紀奈(紀彦)は
冷や汗をかいてしまうー。
ダラダラと汗を流し始める由紀奈(紀彦)ー
「ーーや…やべぇ…由紀奈ちゃんの身体で汗だくになっちまうー」
そんなことを考えながら深呼吸をしつつ、
入れ替わりガチャの操作を始めるー。
”入れ替わりリセット”とか、
そんな項目がないかどうかを必死に探しているのだー。
しかし、お目当ての項目は見つからず、
焦った様子で、部屋を飛び出すと
「お?由紀奈ーどうした?」と、兄の智樹と遭遇してしまったー
「え…江沢!」
びっくりしてついそう声を上げてしまう由紀奈(紀彦)ー。
妹にいきなり名字で呼ばれて「え?」と、
困惑した表情を浮かべる兄の智樹ー。
由紀奈(紀彦)も、その状況を前に
戸惑いながら、半分パニックになったような表情を浮かべるー。
そしてー、
なんとかこの状況を切り抜けようと色々必死に考えた結果ー、
咄嗟に口から飛び出した言葉がー
「お、お兄ちゃんのことなんて大っ嫌い!」
だったー…
「え…?」
呆然とする智樹を無視して、部屋に引き返す由紀奈(紀彦)ー。
”そういや、江沢のやつ、俺たちと違って
妹と仲良くて羨ましいよなー”
と、前から思っていた本音が
ついつい咄嗟に爆発して、
”妹からつらく当たられる気持ちを思い知らせてやる”
みたいな言動を取ってしまったー。
「ーって、そんなこと言ってる場合じゃねぇー」
由紀奈(紀彦)は汗をぬぐいながら、
”なんとか由紀奈ちゃんを助けないと”
と、そんなことを考えるー。
恐らく、入れ替わりガチャを起動して
紀彦自身が由紀奈になったということは、
由紀奈は、さっきまで紀彦が使っていた身体ー…
つまり、”愛華”の身体に入っているはずだー。
しかし、愛華は父親から殺される勢いで
暴力を受けていたー。
このままだと、由紀奈が死んでしまうー。
そう思いながら、パニック状態の由紀奈(紀彦)は
「と、と、とにかくもう1回だー」と、
1000円課金して再び入れ替わりガチャを回したー。
入れ替わり対象は、
”登録者”の中からランダムー。
どのぐらいの利用者がいるのかは知らないがー、
もう1回ガチャを回したところで
都合よくまた”愛華”と入れ替わるなんて可能性は
ほぼ0に等しいー。
しかしー、
それでも、入れ替わらずにはいられなかったー。
課金して、”入れ替わりガチャ”を回した
紀彦はーーー
「ーーーっ……!?」
ベッドの上で目を覚ましたー。
「ーーーえ……」
小鳥のさえずりが聞こえる中、
戸惑いの表情を浮かべるー
「ーー!」
手を動かすと、長い黒髪に色白の手が見えたー。
”また、女の身体かー”
紀彦はそんな風に思うー。
最初は”登録者”は男ばかりなのではないか、と
そんな予想もしていたし、
入れ替わりガチャを回したら
いきなりおっさんになるぐらいのことは
覚悟していたー。
が、これまで3回の入れ替わりは全て
おっさんどころか、入れ替わり対象は女だったー。
最初の愛華は、”父親らしき男に暴力を振るわれていて”
2番目の親友・智樹の妹・由紀奈は理由は分からないがー、
3番目のこの子はーーー
「ーーー…っ…?」
紀彦はその身体で表情を歪めるー。
起き上がることができないー。
「ーーえ……な、なんだよー」
そう言葉を口にしていると、
やがて、扉が開いたー。
そこに入って来たのはーー
優しそうな雰囲気の好青年だったー。
「ー姫梨(ひめり)ー。
どうしたー?そんな顔してー」
その言葉に、姫梨と呼ばれた紀彦は
”それがこの子の名前かー”と、
そう心の中で呟くー。
「ーーあ…い、いえー」
姫梨(紀彦)がそう言葉を口にすると、
好青年風の男は
「ーあまり無理しちゃだめだぞー」と、
そんな風に笑ったー。
話をしていくにつれて、
どうやら、この姫梨という子は、
交通事故によって、身体が麻痺していて
足は全く動かず、上半身も不自由な状態になってしまっていたー。
「ーーー……」
”ーーぐ…この子には悪いけど、早くまたガチャを回さないとー”
そんな風に思いながら、姫梨(紀彦)は
「わ…わたしのスマホー」と、そう言葉を口にするー。
その言葉を聞いた好青年風の男は「あぁ、スマホならここにー」と、
そう言葉を口にして、姫梨(紀彦)にスマホを手渡してくれたー。
あとはー…
この男が立ち去ったら、また入れ替わりガチャを回すー。
そう思いつつ、姫梨(紀彦)は男が立ち去るのを待つのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーご………ごめん…なさいー」
病院に搬送された愛華(由紀奈)ー。
紀彦が”最初に入れ替わった”親から暴力を受けていた愛華ー。
紀彦が2回目に入れ替わった際に
親友・智樹の妹である由紀奈と入れ替わりが発生ー、
由紀奈は、愛華の身体で何の意味も分からないまま
父親から暴力を振るわれー、最後には刺されて病院に搬送
されてしまっていたー。
幸い、父親は逮捕、愛華(由紀奈)は助かりはしたものの、
そんな言葉を口にしていたー。
智樹の妹・由紀奈は
”過保護なお兄ちゃん”に嫌気がさして
軽い気持ちで入れ替わりガチャに登録した。
その結果が、これだー。
「ーーーーー」
自分の環境がいかに恵まれていたのかを知った
愛華(由紀奈)は心底申し訳なさそうに
「ーお兄ちゃんのところに、帰りたいー」と、
そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
姫梨(紀彦)は、
また入れ替わりガチャを回そうとしていたー。
親友・智樹の妹、由紀奈の安否も心配だし、
この子の身体では、行動が限られてしまうー。
可哀想だとは思うけれど、
入れ替わりガチャを回せる状況にあれば、
他の身体と入れ替わりたいと思うのは
仕方がないことー。
この子自身が、入れ替わりガチャのアプリに登録していたのも
やはり、入れ替わりたいと願ったからなのだろうー。
そんなことを思いつつ、
入れ替わりガチャのアプリを起動するー。
がー
その時だったー。
「ーーー…!」
部屋に、好青年風の男が戻ってきたー。
慌てた拍子にスマホを手元から落としてしまうー。
しかし、この姫梨の身体では拾うことが出来ずー、
「ーー姫梨ー落ちたよ?」と、そんな言葉を口にしながら
好青年風の男が、姫梨(紀彦)がたった今、
”入れ替わりガチャ”を起動しようとしていたスマホを
拾ってしまったー。
「ーーー…入れ替わり…ガチャー?」
好青年風の男は、そう言葉を口にしたー。
「ーーえ……あ、そ、それはー」
姫梨(紀彦)が戸惑いながら
そう言葉を口にするとー、
好青年風の男は言ったー。
「ーー”姫梨”と入れ替わったのかー?」
とー。
「ーーー…え…いやーーあ、あのー」
姫梨(紀彦)は焦った様子で視線を逸らしながら
そう言葉を口にするー。
すると、好青年風の男は言葉を続けたー。
「ー僕も”入れ替わりガチャ”は知ってるー
隠しても無駄だよー。
君は誰だ?」
そんな言葉に、
スマホを取り上げられてしまった姫梨(紀彦)は
困惑した表情を浮かべながら、
少し間を置いてから、言葉を口にしたー…
<後編>へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が入れ替わりガチャ~兄妹編~の
最終回デス~!
今度はどんな結末が待っているのでしょうか~?★
答えはまた来週デス~!
(※毎週火曜日の作品は続きはまた次の火曜日になります~!)
今日もありがとうございました~!
コメント
自分が書こうと思ってましたが、待っていました!すごく嬉しいです
自分より年下の女の子の身体になった女性も男の子の身体になった女性も好き(もちろん焦ってるのも好き)なのですごく嬉しいです!
(厳しそうだけど)弘樹と紀香の登場にも期待してます
リーフさま~!ありがとうございます~!☆
あの時の会話を覚えていたので
書いてみました~!☆笑
登場はあるのかどうかは…来週のお楽しみデス…!