<入れ替わり>それでもお前は元に戻りたいのか?①~発見~

”入れ替わり”で身体を奪われて半年ー。
ようやく見つけた自分の身体ー。

しかし、”元の自分の人生”は既に滅茶苦茶にされていたー。

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”やっと、やっと見つけたー”

男は”ある場所”に向かっていたー。

この半年間ー。
地獄のような日々だったー。

それでもー…
それでも諦めずにここまでやってきたー。

”この先”に、
半年間、探し続けた人物がいるー。

中年の冴えない風貌の男ー、
森澤 修二(もりさわ しゅうじ)は、
荒い息を吐き出しながら、
その場所へとたどり着いたー。

「ーーーー…」
嫌な予感はしていたー。
でも、案の定だったー。

やってきた場所は、
怪しげな雰囲気のクラブのような場所ー

彼女は、ここに入り浸っているのだと言うー。

「ーーー…」
それでも、ようやく見つけたー。
例え、”今”どうなっていようともー

修二はそう思いながら、
息を吐き出すと、静かに言葉を口にしたー

「ーーわたしの身体ー…返してもらうからー」
とー。

そうー
彼はー
いいや、”彼女”は、
半年前に”自分の身体”を奪われたのだったー。

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半年前ー

高校3年生の春ー…

”春”と言っても、高校3年生になったばかりではなく、
間もなく”卒業”を控えている春ー。

既に高3の三学期ということもあり、
学校でやることもなくなっていて、登校日も残り少ないー…
そんな日々を、彼女は送っていたー。

「ー卒業式の日も入れて、あと3日かぁ…」
心の中でそう思いながら帰りの電車に揺られていた
彼女ー、深山 香織(みやま かおり)は、
”こうして帰るのも、あと3回だねー”と、感慨深そうに、
窓の外の景色を見つめたー。

既に”進路”も決まっていて、
香織は大学に進学することになっているー。

しかし、大学の方向は現在通っている高校とは反対方向のため、
”この電車”に乗るのは、高校卒業までの間ー。
つまりはあと3回なのだー。

「ーーーー」
友達から届いたLINEに返事をしながら、
のどかな景色を見つめー、
ついついウトウトしてきた香織はそのまま電車で寝落ちしてしまうー。

「ーーーーー」
だがー、その様子を見つめていた怪しげな男がいたー。

それがー…
森澤 修二だったー。

ニヤリと笑みを浮かべながら、修二は何食わぬ顔で
香織の隣に着席するー。

電車内の座席はガラガラなのに、
女子高生の横に座る修二ー。

当然、周囲からすれば”怪しく”見られることもあるかもしれないー
しかし、女子高生の隣に座っただけで罪に問うことは当然できないし、
乗客自体が少ないこともあって、
修二の行動に違和感を抱く者はいても、それ以上の行動を起こす乗客はいなかったー。

「ーーー」
修二は鞄から、赤い糸を取り出すと、
他の乗客から見えないように、香織の手にそれを握らせるー。
香織は眠ったままで、起きる様子はないー。

修二はそのまま赤い糸を自分の指にくくりつけてー、
何かをボソッと呟いたー。

そして、そのまま修二は眠りに落ちるー。

「ーーー…」
ぱちっ、と目を開いた香織は、
少しだけ笑みを浮かべると
”横にいる知らないおじさん”に気付いて、
わざとらしく驚くような表情を浮かべると、
そのまま”寝ている修二”から離れた場所に移動してー、
嬉しそうに足を組んで、自分の足を見つめ始めたー

「クククー…入れ替わり成功…」
小声でボソッと呟く香織ー。

電車で寝落ちした香織はー、
寝ている間に香織の身体を狙っていた男に
”謎の赤い糸”で身体を入れ替えられてしまったのだー。

組んだ脚を”主観視点”で見つめることに
興奮する香織(修二)ー

スカートから覗く自分の足を
指でなぞりながら、イヤらしい笑みを浮かべるー。

やがてー、次の駅に電車が到着すると、
香織(修二)は、まだ寝ている状態の修二(香織)を見つめてー、
「ーこの身体は貰ってくぜー」と、小声で呟いてから
そのまま駅へと降りて行ったー。

「ーーーーー!!!!!!」
修二(香織)が目を覚ますー。

慌てて「あっ!…」と、窓の景色の外を見つめると、
まだ自分が降りる駅まで2駅あることに気付いて
安堵のため息をついたー。

「ーー?」
が、そこで異変に気付くー。

”自分の手”が、おかしいー。

「え?」
自分の手が、自分の手じゃないー。

そんなことに気付いて、困惑の表情で手を見つめているとー、
やがて、”手”だけではなくー、
色々な異変に気付いたー。

妙に謎の解放感があると思ったら
自分の長い髪が短くなっていて、
脚もなんだかゴツイー。
そもそも着ている服も違うし、
そういえば、さっき”え?”って言った時の声もー

「ーーえっ!?」
ふと、反対側の窓に自分の姿が反射して、
修二(香織)は驚いて立ち上がるー。

”自分が座っているはずの場所”に、
自分の姿が写っていないー。

しかも、自分が座っているはずの位置には、
見慣れぬ中年おじさんが座っているのだー。

「ーー!?」
混乱しながら、修二(香織)は自分の手を動かしたり、
顔を動かしたりするー。

やはり、窓に反射している”知らないおじさん”は、
自分と同じ動きをしているー。

「え……い…一体どうなってるの?」
修二(香織)が困惑の表情を浮かべるー。

しかし、何度確認しようとー
”窓に反射しているおじさん”が自分と同じ動きをしていてー、
周囲に”自分”の姿は見当たらないー。

”わ、わたし…おじさんになってるー…!?”
寝ている間に身体を入れ替えられてしまった修二(香織)は、
”自分の身体を持ち逃げされた”ことにも気づいていなかったー。

困惑しながらも、
ひとまず家に帰宅して、親に事情を説明しようとする修二(香織)ー

だがー、親に信じてもらうことは出来ずー…
必死に手を打ったものの
家族にも、友達にも”怪しいおじさん”扱いされてしまうー。

”香織”の個人情報を家族や友達に伝えて
”わたしが香織”だと信じて貰おうとしたりー、
出来ることは色々としたー。
その最中に、香織はようやく
”わたしがおじさんに変身してしまったのではなく、
 身体を入れ替えられてしまった”と、いうことに気付くー。

しかし、”入れ替わり”に気付いても、どうすることもできず
香織になった修二は、香織に成りすまして、
ついにはそのまま高校を卒業ー。

程なくして、香織(修二)は両親に”一人暮らしを始めたい”と
伝え、実家を離れてしまったため
”所在”も不明になってしまったー。

あれから、半年ー。
修二(香織)はようやく見つけたー。

入れ替わってしまった当初ー、
まさか”こんなに長く”この身体で生活することに
なるとは思ってもみなかったー。

もう、”わたし”を見つけることができないんじゃないかー、
そんな弱音を吐きそうになったこともあったー。

けれどー…
ようやく、見つめたー

”今の香織”は、このナイトクラブのような場所に
入り浸っているー

そんな情報を、手に入れたのだー。
そして、それはどうやら事実のようだったー。

この扉の先に”わたし”がいるー。

「ーーーー……」
修二(香織)は嫌な予感を覚えつつも、
ついに扉に手をかけるー。

このおじさんに身体を奪われたと気付いた時から、
嫌な予感はしていたー

その嫌な予感とはー
”イヤらしいことに身体を使われているのではないか”ということだー。

そして、その予感はやはり的中していたー。

でも、とにかく身体を取り戻さないといけないー。

ナイトクラブの扉を開くと、
そこには柄の悪い男女がいたー。

そんなに規模の大きなお店ではなく、
仲間内のたまり場になっているかのような、
そんな感じの小さなお店だー。

「ーーー何だよ、おっさん」
男の一人が明らかな敵意を向けつつ、声をかけてくるー。

「ーーここに、深山香織さんはいますか」
修二(香織)は、あくまでも丁寧な口調で尋ねたー。

この店の中にいる男たちが
香織の身体を奪った男の仲間なのか、
それともただ単に”何も知らずに”一緒にいるだけなのか、
あるいは偶然”同じ店に居合わせているだけ”なのかー、
分からない以上は、いきなり敵意を向けるべきではないし、
争いにならずに済むのであれば、それが一番だー。

「あ?みやまかおり?」
男は首を傾げながら「あんたの娘か何か?」と、
小馬鹿にしたような、そんな笑みを浮かべるー。

「ーーいやー…どうしても話があるんだ」
修二(香織)は、入れ替わりのことは持ち出さずに
そう言葉を口にするー。

この半年間で”男”として振る舞うことは身についたー。
もちろん、このまま修二の身体で過ごすつもりはないが、
それでも、元に戻れるまでの間、”元の自分と同じ振る舞い”を外でもしていれば
不審者扱いされる可能性もあるし、イヤでも目立つことになってしまうー。

”元に戻る”という最大の目的を果たすためにも、
そんなことになってしまうわけにはいかなかったー。

「ーーーまぁいいや、ちょっと待ってろ」
男の言葉に、修二(香織)は少しため息をつくー。

少なくとも、いきなり殴りかかって来るような攻撃的な
相手ではないことに安堵したー。

「ーお~い!誰か”深山香織”って知ってるか?」
男の言葉に、店の奥で飲んだり、踊ったり、楽しんでいる若者たちに
声をかけるー。

「みやまかおり~?知らねぇな」
「ーここにはいないんじゃね?」

そんな声が聞こえて来るー。

確かに”香織になった修二”はこの店に出入りしていると、
そういう情報を手に入れたー。

だが、今日はいないと言うことだろうかー。

そんな風に思っているとー、
奥から一人の女が姿を現したー。

「ーあ~卓也(たくや)ー」
その女は、修二(香織)が声をかけた男に
何やらボソボソと耳打ちすると、
卓也と呼ばれた男は「へへ、わかったーじゃ」と、笑いながら
そのまま店の奥の方へと向かっていくー

派手で嫌な感じの女だー。
そんな風に思いながら修二(香織)は
「深山香織って知ってますか?」と、言葉を口にするー。

入れ替わった直後、
必死に周囲に対して”入れ替わり”のことを分かってもらおうと、
そのことを叫んだー。

でも、誰も信じて貰えなかったー。

相手が”わたしのフリ”をしている以上ー、
そう簡単に信じて貰うことはできない…
それをイヤというほど味わったー。

だから、今は”入れ替わり”のことは”ここぞというとき”にしか
言葉を口にしないようにしているー。

「ーーー深山香織ー」
相手の女は、そう呟くと笑みを浮かべたー

「ーー”お前”目の前に自分の身体がいるのに、分からないのか?」
とー。

「ーー!?!?!?!?」
修二(香織)は困惑しながら相手の女を見つめるー

髪の一部分だけを赤く染めた黒髪ー
派手なメイクに、耳にはピアスー
真っ赤に染まった唇にー、
派手な服装と、派手なネイルー

「ーーえ…」

かつての”自分”とはまるで違う容姿にー、
目の前にいるのが”自分の身体”であると、修二(香織)は
言われるまで気付けなかったー

「ーーへへへーわたしが深山香織ですけどぉ?
 まぁ、ここでは、雅美(まさみ)って名乗ってるけど」

香織(修二)はニヤニヤしながらそう言い放つー。

「ーー…っっー…
 ……やっと見つけたー…!」

修二(香織)は”今の自分”の姿に嫌悪感を抱きながらも
「わたしの身体を返して!」と、言い放つー。

店の端で、仲間たちには聞こえない距離に立っている
香織(修二)ー。

少し間を置いてから、ニヤニヤと笑うと、
静かに言葉を口にし始めたー。

「大学はやめてー
 今は夜の仕事をしていてー
 毎日夜遊びをしていてー
 親とは絶縁ー
 ”元の友達”とはほとんど縁が切れてー、
 この身体は大勢の男と関係を持ってるー。
 あ、そうそう、警察のお世話になりかけたこともあったっけー」

香織(修二)が、次々と恐ろしい言葉を口にするー。

「ーお前の身体ー、
 すっげぇたくさんの男と、ヤッたんだぜー?へへ」

香織(修二)がそこまで言うと、
修二(香織)は青ざめて、目に涙を浮かべるー。

「へへー
 泣くなよ”おっさん”ー
 おっさんが泣いても、絵にならないぜ」

香織(修二)はそれだけ言うと、
笑いながら「他にもまだまだあるがー」と、呟いてから
言葉を続けたー

「それでもお前は元に戻りたいのか?」
とー。

②へ続く

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コメント

”奪われた自分の身体を見つけた時には、堕ちに堕ちていた入れ替わりモノ”
というところから思いついた作品ですネ~!

半年ぶりに自分の身体を発見したものの、
既に、自分の置かれた立場は大変なことに…☆!

このまま戻るのか、それとも…?
どんな選択をするのかは、次回以降のお楽しみデス~!

コメント

  1. TSマニア より:

    また新アイテム登場ですネっ!

    前にAVで「男女が入れ替わる赤い糸」ってシリーズあったの思い出しました笑

    確か最後の方は変な方向に行って終わったような気が…

    香織からするともうすぐ卒業で安心して楽しい時期にカラダを奪われて最悪ですよね…

    香織は元に戻っても大学辞めてるし見た目も変わってるし

    今回もダークな結末か…

    または…

    • 無名 より:

      わわ~!
      そういうお話があるのですネ~!☆

      大切な時期を奪われてしまった香織ちゃんの運命は…
      明日以降のお楽しみデス~!

      • TSマニア より:

        かなり前にあったAVでシリーズ化して

        確かシリーズ7あたりで終わったと思いますっ!

        最後は多分ネタなくなって路線外れ過ぎて終了になったはずデスっ!

        はいっ(^o^ゞ

        明日、以降も楽しみにしてますっ!

        良い子にして待ってますネ!笑