<寄生>寄生虫を飼う男~引き裂かれた絆編~(前編)

大学で”ナンパの魔術師”と呼ばれる男がいたー。

そんな彼に狙われた”彼女”の物語と、その後ー…。

※寄生虫を飼う男の後日談デス~!
 先に本編を見て下さいネ~!

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その大学には、
”ナンパの魔術師” ”歩くハーレム”
そんな異名を持つ糸村 宗太郎(いとむら そうたろう)という名の男子がいたー。

決してイケメンでもなく、
性格も決して良くないー。
そんな彼は、いつも複数の女子と一緒に行動していたー。

そんな宗太郎と同じ大学に通っている
高藤 将司(たかふじ まさし)と、その彼女・天野 琴音(あまの ことね)も、
宗太郎に対して、あまり良い感情を抱いてはいなかったー。

そんなある日ー、
宗太郎は、将司に対して”宣戦布告”をしてきたー。

”お前の彼女も、俺の彼女にしてやろうか?”
とー。

将司は困惑しながらも、そう言われたことを
すぐに琴音に相談するー。

そんな相談を受けた琴音は思わず笑ってしまったー

「ーないないないないない!糸村くんでしょ?
 ナンパとかされても、絶対ないないないない!」

他の子が、どんな理由で宗太郎と付き合っているのかは知らないー。
けれど、琴音からすれば、
あんな感じの悪い男子と付き合うつもりは毛頭なかったし、
そもそも、琴音には将司がいるー。

そんなこと、絶対にあり得ないと笑いながら
「わたしは将司一筋だからね!」と、そう言葉を口にしたー。

しかしー
その夕方ー…

「ーーー俺の彼女にならないか?」
突然、琴音に声をかけて来たナンパの魔術師・宗太郎は
そんな信じられない言葉を口にしたー。

その言葉に、琴音は思わず心の中で思うー

”はぁ…?何言ってるのー…?
 わたしに、彼氏いるの知ってるんでしょ?”

と、そう思いながらも、
それは表に出さずに言葉を口にするー。

「ーごめんね。わたし、既に彼氏がいるし、
 彼以外と付き合うことは絶対にないから。

 糸村くんだからじゃなくて、これは誰から告白されても同じ。
 だから、ごめんね」

とー。

そして、立ち去ろうとする琴音ー。

”ーわたしは、将司がいるし!
 っていうか、どうしてこんなに自信満々になれるんだろうー?”

そう思いながら立ち去ろうとしたその時だったー。

「ーーーお前の返事なんか関係ないー。
 お前は俺の彼女になるんだ」

宗太郎が突然、琴音の腕を掴むー

「えっ!?」
琴音が驚きの表情を浮かべると同時に、
宗太郎は琴音に強引にキスをしたー

「~~~~!?」

”な、な、なにを考えてるの!?”
いきなりのことに、琴音は激しく動揺しながら、
宗太郎を振り払おうとしー、
さらには、周囲に助けを求めようとするー。

だがーーー
宗太郎の体内に潜んでいた”寄生虫”が、
宗太郎から、琴音の身体の中に入り込んでいきー、
琴音は苦しそうに咳き込み始めるー。

”ーーま…将司ー…わ、わたしー…”
必死に抵抗しようとする琴音ー。

しかし、その”想い”がまるで食べられてしまったかのように
急速に消えていくー。

顔を上げたその先には、
琴音の”大好き”な宗太郎の姿があったー。

「ーーわたし、宗太郎の彼女になるー…♡」
興奮した様子でそう呟く琴音ー。

将司への想いが急速に消え失せー、
目の前にいる宗太郎への想いが急速に膨らんでいくー。

そんな様子を満足そうに見つめると、
宗太郎は静かに呟いたー。

「ーククク お前も今日から俺の彼女だー。」
とー。

そして、琴音の方を見つめながら言うー。

「でも、いいのかー?
 さっきまで”将司”がどうのこうの言ってたのに」
ニヤニヤする宗太郎ー。

「ーー将司?」
琴音は一瞬”大切なモノ”を口にしたような気がしながらも
すぐにその想いは消えて、
鼻で笑うー

「ーーそんなのどうでもいいのー
 わたしには、宗太郎しかいないんだからー…」

琴音が嬉しそうに、うっとりとした表情で言うー。

「ーーークククー
 俺と付き合いたいなら、”ちゃんと”
 そいつとは別れるんだぞ?

 俺は、浮気は許さない主義だからな」

ニヤニヤしながら言う宗太郎ー。

一瞬、琴音の表情に不安の色が浮かぶー。

”まだ”
寄生されたばかりで支配された脳が
わずかながら抵抗している様子が見えるー。

だがー
そんなものはーーー

「ーーー」
宗太郎は、琴音を抱きしめてそのままキスをするー。

今度は、寄生虫を送り込むためではないー。
琴音を、心の底から支配するためー。

「ーー宗くんー…」
嬉しそうに宗太郎のことをそう呼ぶと、
琴音は幸せいっぱいになって、顔を赤らめながら、
「大好きー」と、何の疑問もなく、そう答えたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した琴音は、不満そうに
自分の部屋を見つめるー。

「なんでわたし、こんなつまんない奴とー」
彼氏である”将司”の写真を見つめながら
不満そうに呟く琴音ー

”わたし、将司一筋だから!”
そんな言葉を口にしたことを思い出し、
「ーマジでキモい」と、吐き捨てるように呟くー。

ふと、スマホに”将司”からの連絡が来ていることに気付いた
琴音は、面倒臭そうに適当な返事を返すー。

「ーアイツとの連絡とか、時間の無駄なんだけど」
それだけ呟くと、不機嫌そうにー、
けれども”宗太郎”のことを思い出しながら幸せそうにー、
そんな言葉を口にしたー。

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翌日ー

大学にやってきた琴音は、
”他の彼女たち”と共に宗太郎と一緒に
嬉しそうに歩いていたー。

もう、何も不安なんて感じていなかったー
今はただ、幸せだったー。

「ーーわたしは宗くん一筋だもん♡」
嬉しそうに言い放つ琴音ー。

「ーへへーだったら”今日中に”ちゃんと別れろよ?」
宗太郎が笑みを浮かべながら言うと、
琴音は「もちろん!あんなやつとは今日でお別れ!」と、
何の迷いもなく、そんな言葉を口にしたー。

そしてーー
昼休みー。

琴音は、彼氏である将司を呼び出して、
冷たい口調で告げたー。

「ーわたし、新しい彼氏ができたのー。
 だから、将司とはもうお別れ」

その言葉に、彼氏の将司は当然、
困惑の表情を浮かべるー。

「ーあ、新しい彼氏ってー…
 え…こ、琴音…ど、どういうことだよ?」

ほんの一瞬ー…
ほんのわずかだけー、将司の悲しそうな顔を見て、
”何か”を思い出しそうになった琴音ー。

けれど、既に脳に巣くう寄生虫は、
琴音に”余計な思考”は許さなかったー。

「女の子はね…魅力のある男の人の方に行くの」
クスッと笑いながら、琴音は言い放つー。

「将司より、宗太郎の方が魅力的だったってことー。
 わたしをドキドキさせてくれるのが、宗太郎だったってことー」

とー。

宗太郎の名前を口にしているだけで、
興奮してくるのを自分自身でも感じながら
琴音は嬉しそうに息を吐き出すー。

「わたしはもう、宗太郎のことしか考えられないー」

興奮した様子でそう言い放つ琴音ー。

戸惑う将司に対して、
琴音は自分の意思なら絶対に言わなかったであろう言葉を口にしたー。

「さよなら」
とーーー。

そして、その日を最後に琴音は将司と疎遠になったー。

その日の夜にはー、
宗太郎から「ーじゃあ、早速俺とヤろうぜ」と、言われて
宗太郎に自分の身体を捧げたー

とってもー
とっても気持ちよくてー、幸せな時間ー
今までに味わったことのない最高の快感ー

琴音は気が触れたように喘ぎ狂い、
身体中に走る幸せに溺れたー。

もう、元の自分に戻ることなんてできないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー!」

数週間後ー。
大学の食堂で”偶然”再会した琴音と将司ー。

化粧が濃くなり、服装も派手になった琴音を見て
将司は目を逸らすー。

「ーーー」
琴音も、そんな将司に声を掛けずに、
そのまま立ち去ろうとするー。

がーー
将司は気まずい状況ながら、勇気を振り絞って声をかけたー。

「ーーーまだ、アイツと付き合ってるのかー…?」
とー。

「ーー…ーーーわたしの勝手でしょ」
琴音は不快そうにそれだけ言葉を口にするー。

将司は、あれからも”ナンパの魔術師”の異名を持つ宗太郎の
”嫌な噂”ばかりを耳にしていたー。
従えた女たちをまるで自分のしもべのように扱ったり、
モノ扱いするような言動をしていたりー、
そんな噂だー。

「ーー…アイツの悪い噂ばっかり聞くんだー…」
将司は悲しそうな表情で言葉を口にするー。

ついこの間はー、
宗太郎の”彼女”の一人が妊娠したという噂が流れていたー。
しかし、妊娠を知った途端、宗太郎はその彼女を遠ざけて、
今は宗太郎の元にその彼女の姿はなくなっているー。

”用が済めば、捨てられるー”
アイツは、そういう奴なのだと、将司はそう思っているー。

噂によれば、将司と別れたあとの琴音は
宗太郎と身体の関係も持っているようだー。
それも、かなりの頻度でー。

「ーーー自分のこと、大事にしてくれよー…頼むからー」
将司が悲しそうにそう言うと、琴音は
笑いながら振り返ったー。

「ーーー元カレの癖に、うるさいんだけどー」
と、失笑するように言葉を口にしながらー

「お…俺はただ…琴音が心配で!」
将司がそう叫ぶと、
琴音は「あ~~はいはいはいはい そういうのいいから」と、
笑みを浮かべながら、将司に対して辛辣な態度をとるー。

「ーー余計なお世話ー。
 あんたの言葉なんてうざいだけー。
 つまらない男のくせにー」

琴音の言葉に、将司は「何でそんなこと言うんだよ…!」と、
悲しそうに言葉を口にするー。

「ーわたしはこういう人間なの。
 嫌なら、もう関わらなければいいでしょ?」

琴音の言葉に、将司は心底悲しそうに首を振るー。

「ーーーーー分かったよー…
 もう、勝手にすればいいだろ」

将司がそれだけ言うと、
琴音は「ふふふーウザいから二度と話しかけないでね」と、
立ち去っていく将司に対してそんな言葉を口にするー。

「ーーーーふふふふふー
 わたしは、宗くんだけのものだもんー」

一人になった琴音は、そう言葉を口にして微笑むー。

その日以降も、
どんどん”宗太郎色”に染まっていく琴音ー
宗太郎の好きな髪型、好きな髪色、好きな服ー、好きな振る舞いー
何もかもが、”大好きな宗くん”のモノに染まっていくー。

やがてーー
月日が経ち、将司と琴音の絆が修復されることもないままー、
大学の卒業の時も迫っていたー。

「ーー俺はもう彼女とかはいいかなぁ」
将司が苦笑いしながら、友達の恭一(きょういち)に対して
そう言葉を口にするー。

「ー何だよ~勿体ない。三木谷(みきたに)さんといい感じじゃないか」
恭一がそう呟くー。

”琴音に裏切られた”あとの将司は
同じサークルの三木谷 萌(みきたに もえ)という女子と親しくなっていたー。

がー、将司は決して恋愛関係に発展させようとせずに、
萌からの告白も断っていたー。

「ーいやぁ……琴音のこともあるしー俺はもういいかなー
 女子の考えてることがよく分からなくて」

将司が苦笑いすると、
恭一は「まぁ…あんなことがありゃ、そうもなるかー」と、
ため息をつくー。

琴音とはあれからほとんど喋っていないー。
たまに顔を合わせても、特に会話も起きないし、
少なくとも、将司は”今の琴音”のことは嫌いだったー。

「ーーホント、酷いやつだったよー。
 今思い出しても、辛いしー」

将司は、ため息をつきながら
そんな言葉を口にしたー。

もう、恋愛なんて二度とごめんだー。
女子の考えていることなんて、全く理解できないー。

強い女性不信に陥ってしまった将司は
二度と彼女なんて作らない、と、そう心の中に誓っていたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーへへへへへへー
 卒業しても、お前たちのことはたっぷり可愛がってやるからなー」

ニヤニヤしながらそう叫ぶ
”ナンパの魔術師”宗太郎ー。

だがーーー

”この人間の使い道は、もうないー。
 繁殖の中心として利用するにはーーー”

宗太郎に寄生している寄生虫は
”あること”を考え始めていたーー。

かつてー

”我々の繁殖を手伝ってほしいー
 代わりにお前には、良い思いをさせてやるー”

そう、持ち掛けて宗太郎の中に巣くった寄生虫ー。

だがー、
この数年、宗太郎を利用しているうちに思ったー。

”寄生を広げていくには、コイツのような人間ではなく、
 美貌を持つ女性こそ、より効率的に寄生を広めることができるー”

とー。

「ーーー宗くん♡」
今日も嬉しそうに宗太郎に身を委ねている琴音ー。

そんな琴音の方を、宗太郎の中にいる寄生虫は
宗太郎の目で見つめながらー、

”ハーレムの中心を”変更”するかー”
と、静かにそう囁いたー…。

<後編>へ続く

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コメント

1話完結だったお話の琴音視点&続編デス~!☆!

「琴音視点のお話が見たい」というコメントを頂いたので、
続編とミックスしてこうして書いて見ました~!

続きの後編は来週になりますが、
(※火曜日は毎週予約投稿の都合上…☆)楽しみにしていて下さいネ~!

今日もありがとうございました~!

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寄生<寄生虫を飼う男>

コメント

  1. 匿名 より:

    時代は入れ活の続きもお願いします

    • 無名 より:

      ようやく執筆時期が決まったのでお知らせしておきますネ~!

      時代は入れ活の続編は5/21スタート予定デス~!☆

      もう少しの間、待っててくださいネ~!!