<寄生>寄生虫を飼う男

大学内で”ナンパの魔術師”と呼ばれている男がいたー。

”俺に落とせない女はいない”

そう豪語する男ー。

しかし、彼はー”寄生虫”を体内で飼いならす危険な男だったー

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「ーーははは、それでさー」
大学内の広間の一角でベンチに座りながら
彼女と楽しそうに話している
男子大学生・高藤 将司(たかふじ まさし)ー。

「ーえ~?ほんとに~?」
同じ大学に通う彼女・天野 琴音(あまの ことね)も、
将司とのひと時を楽しそうに過ごしているー

二人は、小さい頃から面識があり、
幼馴染の間柄ー。

あまりにも距離が近すぎて、
中学時代は、恥ずかしさから一時的に
関係がギクシャクしたこともあったものの、
大学で再会してからはお互いに素直になって、
こうして彼氏・彼女の関係に発展したー。

「ーーあー…」
そんな天音の話を聞いている最中に、ふと視界に
入った男子生徒を見て、将司は表情を歪めたー

「ーどうしたの?」
琴音もそう言いながら、将司の視線の先を見つめるー。

そこには、三人の女子生徒を従えるかのように
歩く男子生徒の姿があったー。

”ナンパの魔術師”だとか
”歩くハーレム”に異名を持つ
糸村 宗太郎(いとむら そうたろう)ー。

”どんな女でも俺は落とすことができる”などと
豪語している男なのだが、
顔がイケメンなわけでもなく、
正確も悪いー。

同性の友達はほとんどいないような男だー。

「ーーあ、いやー。
 アイツ、感じ悪いなってー」

将司が宗太郎のほうを見ながらそう呟くと、

「あ~糸村くんね」
と、琴音も苦笑いしながら言うー。

「ーわたしも、あんまりいい印象ないかなぁ…」
琴音の言葉に、将司は
「彼女が何人もいるって自慢してるみたいだけど、
 それって浮気だよな」と、呆れたような笑いを浮かべるー

「ーー将司は、ナンパの魔術師になっちゃダメだからね?」
揶揄う様にして釘を刺す琴音ー。

「し、しないよ!大体俺は昔から琴音一筋だし!」
将司が言うと、
琴音は「嘘つき~!小学生の頃は、大野さんのことが好きだったでしょ!」と、
笑いながら言い放った。

「そ、それは~!小さい頃の初恋!もう忘れてくれ~!」と、
将司は、琴音のほうを見ながら笑ったー。

「ーーーーーー」
その広間にいた別の女子生徒が、そんな会話を聞きながら
静かに呟いたー

「ーーー”ご主人様の悪口”ー許せないー」
とー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーへぇ…」

宗太郎が立ち上げた
”天体観測”のサークルが利用している大学の一室で、
宗太郎はまるで”王様”のように椅子に座りながら
周囲に彼女を4人並べていたー

「ーーー糸村くんー」
そこに、一人の女子が入って来るー

さっき、広間で将司と琴音の会話を聞いていた女子生徒だー

「ー実はさっきー、わたし…糸村くんの悪口言っている人たちを
 見ちゃったの」

そう告げ口する女子生徒ー

「へぇ~」
宗太郎は、ニヤニヤしながら周囲の女子たちと順番に
キスをしていくと、
「ーで、そいつら誰?」と、聞き返すー

独特な顔立ちで、とてもイケメンとは言えずー
別に清潔感があるわけでもないー。
寧ろ、髪はボサボサで不潔ー。

それでいて、性格が良いわけでも
優しいわけでもないー。

正直、糸村宗太郎が”何故”モテているのか。
それは、宗太郎と付き合っている彼女たち以外には
全く理解できないことだったー。

しかも、宗太郎に文句を言おうとしたり、
宗太郎に嫌がらせをしようとしたりすれば
”その女子たち”が敵意をむき出しにして
宗太郎を守ろうとするため、
誰も宗太郎に手出しできずにいたー

「ふぅん~そうかそうか」
宗太郎はそう呟くと、
横にいた女の一人が
「ねぇねぇ、その子も”彼女”にしてあげたら?」と囁くー。

「ーーくふふふ…それもいいかもなー
 ”お前たち”のようになー」

そう呟くと、宗太郎は、口からしゅるしゅると舌のようなものを出すー。

いや、それは舌などではないー。
宗太郎は、”蠢く寄生虫”を口から、飛び出させながら
不気味な笑みを浮かべたー

そしてー
部屋にいる”彼女”たちが虚ろな目になるー

「クククククー
 俺は”ナンパの魔術師”だー。
 どんな女だって、俺の手に掛かれば簡単に落ちるー」

部屋にいる彼女4人と、後から報告に入ってきた彼女ー
計5人の彼女はー、
全員”宗太郎のことなど好きではなかったー”

一人は、宗太郎に”キモイ”と言い放った女子生徒ー
一人は、大人しく、誰とも付き合うつもりのなかった女子生徒ー。
一人は、勉強一筋で恋愛経験のなかった女子生徒。
一人は、彼氏がいたものの、その関係を引き裂いて彼女にした女子生徒。
最後に、宗太郎の秘密を知ってしまった女子生徒。

彼女たちは”全員”
宗太郎の体内で飼いならされている”謎の寄生虫”に
寄生されて宗太郎の忠実なしもべー
宗太郎のことだけを愛する女に変えられてしまっていたー。

「ー今日はお前とヤるかー。このあと、俺の家に来い」
宗太郎がそう言うと「やった!嬉しい…!」と、
かつて宗太郎にキモイと言い放った女子生徒が
心底嬉しそうに叫んだー。

「ーー高藤将司と天野琴音かー。
 前々から俺のこと、軽蔑するような目で見てたもんなー。
 いいさいいさー
 ”天野琴音”お前も俺の彼女にしてやるー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

大学にやってきた将司の前に、
宗太郎が姿を現すー

「ー昨日、俺のこと”感じ悪い”って言ってたんだって?」
宗太郎の突然の言葉に、
将司は「ーー!」と、驚きながらも
「ーーーまぁ…感じは良くないと思うけどなー」と、
臆することなく返事をするー

「だってそうだろ?何人も女子を連れ歩いてるなんてー
 イメージ悪くなって当然だろ?」

将司がそう言うと、
宗太郎は「ははっ!正直に言うねぇー。まぁ、そういうのは嫌いじゃない」と
手を叩きながら笑ったー

「まぁ、お前の言う通りだー。
 何人も彼女がいるなんて、普通は感じ悪いよなー。

 でも、俺の彼女たちはみんな、俺のことが大好きなんだー
 本人たちも”他の彼女”がいることをみんな納得してる。

 それなら、何も問題ないだろ?」

宗太郎の言葉に、将司は「まぁ、好きにしてくれよ」と、
だけ言いながら立ち去って行こうとするー

将司からすれば、別に宗太郎が納得していて、
宗太郎の彼女たちも納得しているのなら、関係ないことだー。

勝手に、ハーレムでもなんでもやっていればいいー

「ーーーでもさ、そうやって陰口叩いてるのには少しイラッとしたからよ」
宗太郎はそこまで言うと、
「それは悪かったよ。でも、お前ーみんなに嫌われてるし、
 少しは気を付けたほうがいいぞ」と、将司が立ち止まって返事をするー

宗太郎は「ーお前の彼女ー」と、静かに呟くー

「え?」
将司が表情を歪めると、
宗太郎は「お前の彼女も、俺の彼女にしてやろうか?」と、笑みを浮かべながら言うー。

「ーおいおい…琴音をナンパでもする気か?
 悪いけどー琴音にナンパしても無駄だから、やめとけ」

将司がそう言うと、宗太郎は「それはどうかな?」と笑みを浮かべるー

「ーいやいやいや、ないないー。時間の無駄だから
 やめておいた方がいいぞ」

将司はそれだけ言うと、そのまま立ち去っていくー。

宗太郎は、そんな将司の後ろ姿を見つめながら、不気味な笑みを浮かべたー。

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「ーないないないないない!糸村くんでしょ?
 ナンパとかされても、絶対ないないないない!」

昼休みー
琴音に朝の出来事を伝えると、琴音は笑いながら
何度も何度も”ナンパされたとしても糸村君の彼女になることはないー”と、
否定を続けたー

「はは、だよなぁー」
将司はそれだけ言うと、琴音は
「実はちょっと、わたしが糸村くんにナンパされたらどうなるかって
 不安に思ってたんじゃないの?」と、揶揄う言葉を口にするー

「い、いやー」
慌てる将司に対して、琴音は「大丈夫!わたしは将司一筋だからね!」と
先日言われた言葉をそのままお返しして微笑んだー。

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しかしー
その日の夕方ー

「ーーー天野さんー」
背後から”ナンパの魔術師”宗太郎が姿を現すー

「あ、糸村くんー」
琴音は、昼休みに将司から話を聞いていたため、
少し警戒しながらも、愛想笑いを浮かべながら対応するー。

しかしー
宗太郎は、そんな琴音に対して、
すぐに”本題”を切り出した。

「ー俺の彼女にならないか?」
とー。

「ーーえ…?」
琴音は、いきなりの宗太郎の言葉に困惑しながらも、
すぐに返事をするー

「ーごめんね。わたし、既に彼氏がいるし、
 彼以外と付き合うことは絶対にないから。

 糸村くんだからじゃなくて、これは誰から告白されても同じ。
 だから、ごめんね」

それだけ言って立ち去ろうとする琴音ー。

しかしー

「ーーーお前の返事なんか関係ないー。
 お前は俺の彼女になるんだ」

その言葉と同時に、琴音が振り返って反論しようとしたその時だったー

琴音が振り返るよりも前に、
既に接近していた宗太郎が琴音の腕を掴みー
そして、有無を言わさず琴音にキスをするー

振り払おうとする琴音ー。

しかしー

「クククー…俺の”寄生虫”をプレゼントだー」

宗太郎が、家族で海外旅行に行った際にー
洞窟で出会った謎の寄生虫ー。

あの時ー
寄生虫が口に飛び込んできて、宗太郎は死を覚悟したー。

しかし、寄生された宗太郎に寄生虫は脳を通じて
語り掛けて来たのだー

”我々の繁殖を手伝ってほしいー
 代わりにお前には、良い思いをさせてやるー”

とー。

キスされてもがく琴音ー

宗太郎の体内から生み出された寄生虫が、口を通じて
琴音の中に入っていくー

キスが終わりー
咳き込む琴音はー
やがて、ゆっくりと顔を上げて
笑みを浮かべたー

「ーーわたし、宗太郎の彼女になるー…♡」
とー。

「ーククク お前も今日から俺の彼女だー。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

その夜ー、
将司は、琴音からのLINEのやり取りが
露骨に冷たくなったことに不安を感じていたー

何か、怒らせてしまったのではないかとー。

しかしー
翌日ー。

「ーーー!」
将司は表情を歪めたー。

女たちを数名連れて歩く宗太郎の腕に
嬉しそうにしがみついている琴音の姿が見えたからだー

「こ…琴音ー?」
将司は唖然とするー。

そして、その衝撃がまだ冷めない中、
琴音に呼び出された将司は、
昼休みー
”別れ”を告げられたー

「ーわたし、新しい彼氏ができたのー。
 だから、将司とはもうお別れ」

琴音が冷たく言い放つー。

「ーあ、新しい彼氏ってー…
 え…こ、琴音…ど、どういうことだよ?」

将司が問い詰めるー。

しかし、寄生されてしまった琴音に、
もうそんな言葉は届かないー。

宗太郎が新しい彼氏だと、
悪びれる様子もなく言う琴音に、
将司は「は…話が違う!俺、何かしたか?
何かしたなら謝るから!」と、困惑の声を上げるー。

「大丈夫!わたしは将司一筋だからね!」

昨日の言葉は何だったのだろうかー。

混乱する将司に対して、琴音はクスッと笑いながら言い放ったー

「女の子はね…魅力のある男の人の方に行くの」
とー。

「将司より、宗太郎の方が魅力的だったってことー。
 わたしをドキドキさせてくれるのが、宗太郎だったってことー」

琴音はそう言い放つと、
「わたしはもう、宗太郎のことしか考えられないー」と
興奮した様子で呟きながら、
将司に「さよなら」と、冷たく告げてそのまま立ち去って行ったー

「ーえ…え…… え?」
幼馴染の琴音とは、そのまま疎遠になってしまったー。

真実も分からぬまま、
”幼馴染の彼女”にあっという間に裏切られた将司は
”女は怖い”と、いうトラウマだけが植え付けられてー
以降、2度と恋愛はしないと心に固く誓ったのだったー。

おわり

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コメント

1話完結の寄生モノでした~★!

何も疑いもせずに、振られてしまった将司くん…
もうちょっと頑張ってほしい気もするかもですネ~笑

お読み下さりありがとうございました~!

小説
憑依空間NEO

コメント

  1. 柊菜緒 より:

    ( ˘ω˘ )b

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