憑依薬とタイムマシンを手に入れて、
憑依で歴史を壊していく男ー。
江戸時代と戦国時代を訪れた彼が
次に向かったのはー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーおや?」
戦国時代から、バイク型のタイムマシンに乗って、
再び時空を超えた修司ー。
修司は、ふと”異変”に気付くー。
「ーこの地図はー…」
修司は思わず笑みを浮かべたー。
”北海道” ”九州” ”四国” ”本州”ー。
それぞれ、別の名前がついていることに気付いたのだー。
「ーーククククー変わっちまったか、歴史ー」
笑みを浮かべる修司。
関ケ原の戦いで、本来敗北するはずだった西軍を勝利させて、
一度”現代”へと戻ってきた修司ー。
関ケ原の前に訪れた江戸時代での”改変”は、
そのあとに関ケ原の歴史を改変したために、
どのような効果があるのかは不明であるものの、
少なくとも、修司の行動が現代の歴史を大きく変えたようだったー。
「おやおやおやー、九州ではまだ豊臣の世が続いているのかー
すげぇなー」
修司は、変わってしまった現代の様子を見つめるー。
石田三成が属していた”豊臣家”の統治は、
現代でもまだ九州で続いているようだー。
しかも、何故か日本は4分割されている状況で、
北海道、本州、九州、四国でそれぞれ別の者が統治
している、そんな状況になってしまっていたー。
「ーークククー…とんでもない状況だなー
でもー、本州の部分は、比較的、元々の現代と似た状況だなー。」
修司は街中を歩きながら
そう言葉を口にするー。
調べた感じでは、歴史を改変したことにより
”本州”は、元々修司がいた”現代”と同じような感じにー、
”九州”は、まだ豊臣家が統治していて”近代化した武士”がいる国にー。
しかも、武士が戦闘機に乗ったりしていて、”現代版戦国時代”のような雰囲気になっているー。
”四国”は、完全に別の国になっている様子で、各離島もこの国に属しているようだー。
何があったのかは分からないが、黒船来航の際とかに、取られてしまったのだろうかー。
”北海道”は、元々いた現代とはまるで違う雰囲気の国になっているがー、
これはこれで平和そうに見えるー。
ただ、鎖国しているのだとかー。
とにかく、江戸時代と戦国時代末期の歴史を憑依でいじったことで
とんでもないことになっていたー。
「ククククー…俺の知ってるやつらも、”産まれてなかったり”するのかなー?へへ」
そう思いながら、修司は”さて”と、再びバイク型のタイムマシンに跨ると、
「次は”もう少し前の戦国時代”に行くぜ!」と、そう言葉を口にしながら
バイクを走らせたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー敵はーー」
戦国時代中期ー。
修司は、”本能寺の変”と呼ばれる出来事が起きる時代にやってきていたー
この前改変した、戦国時代末期ー、
関ケ原の戦いよりも前の時代だー。
当時、天下統一を成し遂げる直前まで進んでいた大名・織田信長が
家臣であった明智光秀の謀反によって討ち取られて、
その後の歴史が大きく変わっていく出来事ー
それが、本能寺の変ー。
”ーおぉぉ…生でこれを見れるなんてなー”
修司はニヤニヤしながら、
明智光秀が”敵は本能寺にあり”と、宣言する場面を目撃するー。
”って、宣言させちまったー”
修司はそう言葉を口にすると、
慌てて、”このままじゃ、正しい歴史通りに進んじまうー”と、
そう言葉を口にしながら、
慌てて、霊体のままその場を移動するー。
憑依する身体を探し回る修司ー。
そしてー
「ーーお父様ー…」
病気の父親を、ボロ家の中で必死に看病している娘の姿を見つけると
「お前でいいかー」と、修司はそう呟きながら、その娘に憑依したー
「うっー」
ビクッと震える娘ー。
「ーー…?」
苦しそうにしていた父親が不安そうに娘の方を見つめると、
娘はニヤニヤしながら
「戦国時代の女の身体で楽しむってのもいいかもなぁ…」と、
突然胸を揉み始めたー。
「ーー…え……ど、どうした…んだ?」
病気の父親が苦しそうにそう言葉を口にすると
「別にどうでもいいだろ?お前はもうどうせ死にそうだし、気にすんな」と、
先程まで目に浮かべていた涙を雑にふき取りながら、
その家を飛び出したー。
織田信長がいる本能寺に、明智光秀の謀反をいち早く知らせるー。
”本来の歴史よりも早く”それを知らせることにより、
信長は本能寺を脱出するはずだー。
「ーーー…何者だ?」
娘の身体で、織田信長がいる本能寺に駆け込んだ修司ー。
”これが、信長ー”
なるほどー。
物凄い迫力を感じるー。
そう思いながらも、娘の身体で、修司は
明智光秀の謀反を伝えるー。
「ーー光秀が謀反ー?」
信長は、”見ず知らずの娘”からそう聞かされて表情を歪めるー。
「ー光秀殿が謀反を起こすはずなどなかろう!」
「貴様!何を言うか!」
周囲の兵士たちが声を上げるー。
”チッー、こんな得体の知れない娘の身体じゃー、
信用してもらうのも無理かー”
修司はそう思いながら、”こうなったら明智光秀本人にー”
と、そう心の中で呟くー。
がー、その時だったー。
「ークククー面白いー。
うぬの言葉を信じてやろうー」
信長は、そう言葉を口にしたー。
「ーー信長様!?」
周囲の家臣たちが戸惑っているー。
「ーーーあ、ありがとうございますー」
病気の父親を放置して、ここまでやってきた娘の身体で
修司は嬉しそうにそう言うと、
「ーーただしー」
信長が、娘の側までやってきて、言葉を口にしたー。
「ー戯言であった場合は、覚悟はできておるな?」
とー。
「ーーー……~~~~」
修司は、あまりの迫力に気圧されて、
その場で、うっかり漏らしてしまったー
「ーやべっ…勝手にこの娘の身体で漏らしちまったー」
そんなことを呟きながら、信長の方を見返して
「ーーす、全て事実ですー。もし違ったら好きにして頂いて結構ですー」と、
そう言い返す。
信長は不敵に笑いながら
家臣たちに即時、本能寺からの脱出を指示ー、
光秀の軍勢が到着した際には、既に本能寺に信長の姿はなくー、
信長が配置していた兵士たちによって、火計が行われてー、
明智光秀の軍勢は逆に打撃を受け、そのまま逃亡したー。
逃亡後、光秀は信長が放った追っ手により捕らえられてー、
信長の前に引き立てられたー。
「ーいったい、どうしてー…」
光秀が呆然としているー。
信長は笑みを浮かべながら
「ーこの者が危機を知らせてくれたー」と、
修司が憑依している娘の方を示したー
「ーき、貴様ー… 貴様はいったい、誰だー
何故、我々の謀反を知っていたー!?」
光秀がそう叫ぶー。
修司は、笑みを浮かべながら
娘の身体で言葉を口にしたー。
「ーわたしは未来からやってきたからですー」
とー。
「ー本来の歴史では、あなたは信長様を討ち取りー」
”本人”が横にいるため、一応”様”をつける修司ー。
「ーそしてーー、そのすぐ後に、秀吉との戦いに敗れて
命を落としたー。
後の歴史では、三日天下とか呼ばれてますー」
クスクスと笑う娘ー。
光秀は表情を歪めるー。
”未来から来た”
”本来は成功していた”
”成功したとしても、自分はその後すぐに敗北する”
そんな、事実の嵐に光秀は困惑するー。
「ーークククー
未来から来た娘ー
面白いであろう?」
信長はそう言葉を口にすると、
満足そうに笑みを浮かべたー。
”本能寺の変”は未遂に終わったー。
各地で抵抗を続けていた他の大名も、信長を前に降伏しー、
本来の歴史とは異なるー、
”織田信長の天下統一”によって、戦国時代は幕を閉じたー。
「ーーーーーー」
”ただの貧しい村の娘”に過ぎなかった、菊(きく)は、
未来からやってきた女として、
信長に重用されていたー。
「ククククー」
菊に憑依している修司は、笑みを浮かべながら
城から町を見下ろすー。
「これが、戦国時代の”上から下々の民を見る”光景かー」
嬉しそうに笑みを浮かべる菊ー。
「ーーククッ…いい……病みつきになりそうだー」
邪悪な笑みを浮かべる菊ー。
もう、病気の父親の看病をしていた頃の面影はないー。
「ーーふふふふふ…歴史も、権力も、身体も思いのままー
ーククク ははははははっ!」
狂ったように笑う菊ー
がー、
そんな様子を、信長の家臣が密かに見つめていたー。
「ーーほぅー。確かに”身体も”と、申したのだなー?」
その日の夜ー。
その家臣は、信長に”報告”をしたー。
「はい。確かにそう言葉を口にしていました」
家臣がそう言葉を口にすると、
信長は立ち上がるー。
「ーーあの娘の素性は調べたー。
あの娘自体は、未来からやってきた存在などではないー。
それが、どうして光秀の裏切りを事前に察知できたのかー。
ーーーあの者から目を離すなー」
信長のそんな”命”に、家臣は静かに頷いたー。
信長の洞察力や判断力は、さすがのものだったー。
がー…そんな信長でも、この時代からすれば
人知を超えた出来事に対応できるはずはなかったー。
「ーさぁて、現代がどうなっているか、見に行くか!」
既に、”菊”に憑依している修司は城から出て、
タイムマシンであるバイクのような乗り物に乗ると、
そのまま、この時代から去って行ってしまったー。
この時代の信長は、その後、二度と”修司”と会うことはできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー!!!」
現代に戻ってきた修司は、ふと「やべっ!」と、言葉を口にするー。
戦国時代の娘・菊の身体のまま戻ってきてしまったー。
「ーへへ…まぁいっかー」
菊は笑みを浮かべながらそう言葉を口にするとー、
表情を歪めたー。
戻ってきた”現代”では、まるで戦国時代のような格好の
人々が暮らしていたー。
江戸時代の歴史を変えた時とは異なりー、
日本は”ひとつ”だったがー、
”武士がそのまま現代に来たような世界”になっていて、
武士がスマホのようなものをいじりながら会話をしているー。
「ーうぉぉぉ!?なんだあれ!?」
修司が憑依している菊は、武士たちが持っている、
”刀と銃が合体したような武器”を目に「すげぇ」と、言葉を口にするー。
戦国時代ー
本能寺の変を阻止して、信長が天下統一した後の未来に変わった
”現代”では、武士がそのまま近代化したような世界になっていたー。
「すげぇ…武士がパソコンをいじってるー」
「ー城がやべぇー。未来と戦国時代の融合って感じだー」
菊は、そんな言葉を口にしながら、
「さてー」と、ひと息つくと、
再び”過去”に戻るためにタイムマシンに跨るー。
菊の身体から抜け出し、戦国時代から持ち帰った菊をそのまま放置すると、
「今度はー…戦国時代の前半にでも行くか!」
と、そう言葉を口にしながら、
「またな現代!」と、叫び、再び時空を超えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やってきたのは、戦国時代の”前半”にあたる時代ー。
まだ若い織田信長が、当時有力だった戦国大名の今川義元(いまがわよしもと)に
奇襲攻撃を仕掛けて勝利ー、
そこから、信長の快進撃が始まっていく時代ー。
修司は”この”歴史を変えようとしていたー。
今川義元を勝たせて、
信長をここで敗北させるー。
そうなれば、歴史はガラリと変わっていくはずだー。
「ーー何事だ!?」
信長が声を上げるー。
桶狭間の戦いと呼ばれるその戦いー。
信長の奇襲が始まる前に、次々と兵士に憑依しては
味方を攻撃ー、大混乱を発生させたー。
「ーわ、分かりません!兵士たちが次々と錯乱しー
うっ!?」
側近の武将も憑依されて、
そのまま刀を振るい始めるー。
大混乱が起きる中、信長は今川義元を奇襲することも
できないまま、大敗を喫して
そのまま撤退したー。
「ーークククー しかし、兵士の鎧ってのは重いもんだな」
兵士に憑依した修司は、そう言葉を口にすると
「これで歴史は変わるぞー。もっともっと変わっていくぞー」と、
嬉しそうに笑みを浮かべるー。
やがてー、
今川義元が織田信長の軍勢を滅ぼし、
そのまま勢力を拡大ー。
実際に起きた戦国時代とはまるで違う時代が到来しー、
とある商人の娘に憑依して、行方末を見つめていた修司は
笑みを浮かべたー。
江戸時代を変えー、
関ケ原の戦いを変えー、
本能寺の変を変えたー。
そして今、戦国時代の始まりも変えたー。
もちろん、これまでの3つの時代での行動は、
”さらに前の時代”である今を変えたことで、
なかったことになっているだろうー。
この時代を変えたことで、
本能寺の変も、関ヶ原の戦いも、そもそも起こらない未来に変わっただろうし、
江戸幕府も存在しないかもしれないー。
だがー、別にそれはそれで構わないー。
彼は”この世界はクソゲー”としか思っていないー。
未来がどうなろうと関係ないー。
とにかく、滅茶苦茶にしたいだけだー。
「ーさて、次はー」
商人の娘の身体を捨てた修司は、バイク型タイムマシンに乗り込むと
再び時空を超えて、別の時代へと向かったー。
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!
なりふり構わず憑依薬とタイムマシンで
歴史を壊していく男…。
最後にはどうなってしまうのか、
ぜひ見届けて下さいネ~!
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