”自分の魂”を分身させて
他人に憑依させる力を手に入れた男子高校生。
しかし”分身”は彼の意に反して
暴走し始めてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーへへへへーよぉ、”俺”ー」
可愛らしい少女が、笑みを浮かべながら、
そんな言葉を口にしているー
「マ…マ…マジかー…マジで俺なのかー?」
男子高校生の梶原 陸斗(かじはら りくと)は、
表情を歪めながらも、笑みを浮かべたー
「へへへーマジだよー
そう驚くなって」
そう言い放つ美少女はー、
陸斗の妹、梶原 真桜(かじはら まお)ー。
真桜は、陸斗の1歳年下で、
とても可愛らしい雰囲気を持つ女子高生ー。
ただ、プライドもとても高く、
兄のことを小馬鹿にするような態度を取ることも多かったー
そんな真桜が、
今、兄の陸斗に対して”よぉ、俺”などという
奇妙な言葉を口走っていたのだー。
「ーよいしょっと」
スカートを履いたまま、平気で胡坐をかいて部屋のベッドに座ると、
陸斗は「うわっ…」と、顔を赤くしながら目を逸らすー
「ーへへ やっぱり ”俺”はそう言う反応だよなー」
揶揄うようにして笑う真桜。
陸斗は恥ずかしそうにしながらも、
”ホントにー…ホントに”成功”したのかー?”と、
内心で、考えを巡らせたー。
妹の真桜が”こんな状態”になった原因は、
陸斗にはよく分かっているー。
それはー
”自分の魂の一部を発射して他人に憑依させる”
特殊な道具を使ったからだー。
今から半月ほど前ー、
ネットでおかしなものを見つけたー。
それが”憑依リング”と呼ばれる謎の商品だったー。
指輪のような形状をしたそのリングを
自分の指にはめてー、
意識を指先に集中させることによって
”自分の魂の一部”を発射ー、
発射した先にいる人間に、自分の魂の分身を”憑依”させることが
できる、というものだったー。
自分の魂の一部を切り取って、
相手にそれを憑依させるのだー。
”そんなこと、できるものか”
そう思いながらも、どうしても気になってしまった陸斗は
バイトで稼いだお金を全てつぎ込んで、その憑依リングを購入したー。
そして、今日ー、
先程、妹の真桜に対して”憑依リング”を使って
自分の魂の分身を発射したのだー。
だがー
その後も真桜に変化はなく、
諦めて部屋に戻って”バイトで貯めたお金、全部使っちまった”と、
絶望している最中、真桜が部屋にやってきてー、
今に至る。
ニヤニヤしながら雑談をしている真桜ー。
話し方は、完全に陸斗そのもので、
陸斗も”俺の分身が真桜を乗っ取った”と、思ったー。
しかしー、
”待てよー…?真桜のやつが俺が憑依リング買ったことに気付いてて
俺を揶揄ってる可能性もあるな”
陸斗はそう考えると、真桜を見ながら
「本当に、”俺”なのか?」と、真桜に確認をするー。
「はははー疑い深いなー
まぁ、どうせ大方”真桜が揶揄ってるんじゃないか”とか思ってるんだろ?」
真桜がそう言うと、
陸斗は「えぇっ!?なんで分かるんだよ?!」と、声を上げるー。
「そりゃそうだろー
だって今の真桜は”俺”なんだから」
真桜がそう言うと、陸斗は「そ、そりゃそうかー」と、笑うー。
「ーーほら、これで信用できるだろ?」
そう言うと、真桜は突然自分の両胸を揉みながら
気持ちよさそうに声を漏らし始めたー
「うっ…うわっ!?刺激的すぎるー!」
陸斗はみるみるうちに、アレを勃起させて
胸を揉む真桜の姿を見つめるー
「こいつだったら、こんなこと絶対にしないだろ?」
真桜のそんな言葉に、陸斗は顔を真っ赤にしながら
「こ、これは本物だー…」と、嬉しそうに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
「ー大丈夫?なんだか、顔色が悪いけどー?」
心配そうに声をかけて来たのはー
クラスメイトの女子生徒ー、
隣の座席に座っている、杉森 愛優美(すぎもり あゆみ)ー
とても可愛らしい見た目に、
誰にでも優しい性格ー
外見も中身も、陸斗から見て”カンペキ”と思える女子生徒だー。
そんな愛優美に声をかけられてドキッとしながら
「だ、大丈夫ー…ありがとうー」と、返事をするー。
誰に対してでも優しい愛優美は、
陸斗に対しても、例外なく優しいー。
そんな愛優美に、陸斗は一方的に片思いをしていたー。
いやー、片思いをしているのは陸斗だけはないー、
他にも何人か、愛優美のことが好きな男子がいるー。
しかし、そんな愛優美には既に彼氏がいるー。
外見も中身も完璧で、性格も明るい愛優美ー。
そんな愛優美が彼氏を作るのは、それほど難しいことでは
なかったのかもしれないー。
愛優美の彼氏は、隣のクラスにいる
生徒会副会長の男子、竹井 学(たけい まなぶ)ー
とても真面目で穏やかな性格のイケメンだー。
絵に描いたような理想的なカップルー。
だがーーー
陸斗が”憑依リング”を買った最大の理由は
この、愛優美だったー。
愛優美を”俺”のものにしたいー。
そんな歪んだ考えで、憑依リングを買ったのだー。
妹の真桜に”分身”を憑依させたのは
あくまでも”動作確認”のためだー。
真桜を元に戻すことはもうできなさそうだが、
陸斗にそんなことは関係なかったー。
「ーーはぁ…まだ何もしてないのに緊張するー」
愛優美にも指摘されてしまうぐらいに
ソワソワした様子の陸斗ー。
それもそのはずー
憧れの愛優美に”自分の分身”を憑依させて、
”俺の物”にするのだー。
「ーーーうん!大丈夫大丈夫!
無理して返さなくていいよ」
シャーペンを失くした友達に、自分の予備のシャーペンを
渡してそんな言葉を口にしている愛優美ー。
その姿を見つめながらますます我慢できなくなった陸斗は、
昼休みー、
”それ”を実行に移したー。
人目につかない廊下を歩いていた愛優美の背後からー、
憑依リングをはめた手で、鉄砲のような形を作りー
指先に精神を集中させてーーー
自らの魂の分身を放ったー。
「うっ…」
びくっと震える愛優美ー。
そしてーー
愛優美が振り返るー
愛優美が振り返ったことで、今度は陸斗がビクッとしてしまうもののー、
愛優美はすぐに笑みを浮かべたー
「へへーー…そんなびびるなってー、”俺”ー」
愛優美がそう言うと、陸斗は
「ほ、本当に”俺”なのか?」と、愛優美に確認するー
「ーへへー もちろんー
何なら今からキスでもするか?」
愛優美がニヤニヤしながら言うー。
陸斗はドキドキでどうにかなってしまいそうになりながら
やっとの思いで「す、する…!」と言い放つとー、
すぐに愛優美は、近くの使われていない教室を指差して
その中に入ると、躊躇うことなく、陸斗にキスをしたー
「~~~~~~~~…!」
憧れの愛優美とこんなにあっけなくキスできてしまうなんてー
陸斗はそう思いながら、
ニヤニヤと笑うー
「ーへへへー やべぇなー 最高だぜ」
愛優美もニヤニヤしながら笑うー。
愛優美に憑依した”分身”にとっても、
身体は違えど、初めてのキスのはずー。
陸斗と同じように興奮しながら
何度も何度もキスを繰り返すー。
やがてー、
昼休みが終わりに近づくと、
陸斗は笑みを浮かべながら、愛優美に言い放ったー
「なぁ”俺”ならー、分かってるよな?」
陸斗がそう言うと、愛優美は「ん?」と、太もものあたりを
嬉しそうに触りながら、笑みを浮かべたー。
「ー”彼氏”と別れろって言うんだろ?」
愛優美のそんな言葉に、陸斗は「さっすが俺!」と、笑うー。
「ーへへ、そりゃそうさー
俺があんな奴と付き合う必要は、ないからなー」
愛優美がゲラゲラと笑うと、
その日のうちに、愛優美は彼氏の学を呼び出してー
そのまま学のことを振ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーおじゃましま~す」
愛優美が笑顔で、陸斗の家にやってくるー
母親が、愛優美を見ると同時に驚くー。
陸斗が”女子”を連れて来るなど、
夢にも思っていなかったのだー。
「ーーだ、誰その子ー!?」
母親が言うと、陸斗が得意気な表情を浮かべながら
「俺の彼女」と、だけ答えたー。
愛優美も微笑みながら
「陸斗くんの彼女の愛優美です♡」と、
母親にそう伝えたー。
そのまま部屋に向かう二人ー。
部屋に行くと、妹の真桜が
「お、ついにやりやがったか!」と、
笑みを浮かべながら、陸斗と愛優美を出迎えたー。
「いやぁー、杉森さんに”彼女です”とか言われると
もう、それだけで幸せすぎて昇天しそうだぜ」
陸斗がそう言うと、
愛優美は「へへへー俺も俺からなー、俺が好きそうな言い回しは分かるぜ」と
得意気な言葉で言い放ったー
「ーしかし、夢みたいだなぁ、杉森さんが彼女だなんて」
妹の真桜が腕組みしながら言うと、
陸斗は「真桜の彼女じゃないだろ~?」と笑いながら言うー。
「うるせー!身体は真桜でも俺は俺なんだ!」
真桜がそう言うと、
陸斗は「へへ…っていうか、俺の”分身”ってどんな感じなんだ?」と、
真桜と愛優美の二人に確認するー
「ーいやぁ、ほら、本体の俺からすると、不思議な感じでー。
俺がどんどん増殖してるみたいな感じでさ」
陸斗がそう言うと、
妹の真桜は「う~ん…俺からすると、”俺は分身だ”って認識はないな」と、笑うー。
「ーー俺もお前と同じように、今までは普通に陸斗として
生きて来た記憶もあるし、本物とか分身とか、そうじゃなくて
俺は俺のこと、陸斗だと思ってるし」
真桜がそう言うと、
愛優美も「俺も!」と、笑うと、
「ーっていうか、本体面すんなよ!」と、陸斗に対してそう言い放ったー
「ーぐぐ…」
陸斗が少しだけ表情を歪めると、
「ーむしろ、”本体様”だけ、エロい身体持ってないんだから
俺たちの方が優秀だよな」と、妹の真桜が言い放つー。
「そうそうー。お前は元の俺の身体のままなんだし」
愛優美にそう言われた陸斗は、
「お、おい!お前らが可愛い身体になれたのは俺のおかげなんだからな?」と、
少し不満そうに呟いたー。
険悪なムードが流れていることに気付いた愛優美は、
「ま、いいや!ほら、早速、愛優美とヤろうぜ!」と、笑みを浮かべるー。
「ーずっとずっと、ヤッてみたかったんだろ?
今日は俺の童貞卒業日だ!」
愛優美がそう言いながら、笑みを浮かべるー。
「ーへへへーそうこなくっちゃー」
機嫌を取り戻した陸斗はドキドキしながら愛優美のほうを見つめるー。
まさか、杉森さんとこんな夢のような関係になれるなんてー。
そう思いながら、陸斗と愛優美は、
愛優美が正気であれば絶対にあり得なかったであろう関係に発展してしまったー
「ーふふふふー
お前たちが終わったら、次は俺が愛優美ちゃんと、なー」
妹の真桜が笑いながら言うー。
「おいおい、それじゃー、なんだっけ…ゆ、百合だっけ?に
なっちまうんじゃ?」
陸斗がそう言うと、
真桜は「俺だって、身体は女になったけど、杉森さんとやりたいし!」と、
ゲラゲラと笑いながら答えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
憧れの子と、妹ー
その二人を”俺”にして、最高の生活を送り始めた陸斗ー。
だがー
やがてーー…
”問題”が起き始めたー。
”人気者”の愛優美に憑依した分身は
その可愛さと人気で、調子に乗り始めてー
色々な男と身体の関係を持ち始めたー。
”美少女”の立場を利用することが
楽しくなってしまったようだー。
さらにー
妹の真桜になった”俺”は、
その美少女っぷりから調子に乗って、SNSで大問題を起こしたー。
あまりに過激な写真を載せすぎて”炎上”したのだー。
しかも、”何でも人のせいにする性格”の陸斗の性格を受け継いでいる”分身”は、
”お兄ちゃんに命令されて”と、言い逃れをSNSでし始めたー。
「ーーくそっ!俺がネットで叩かれてるじゃねぇか!」
陸斗が不満そうにそう呟くー。
だがー
”愛優美”に憑依した分身の行動も、
”真桜”に憑依した分身の行動も、
よくよく考えると、”俺ならやりそうなことだ”と、
何となく気持ちは分かってしまう陸斗ー。
自分が愛優美になったら調子に乗るだろうし、
真桜になっても、やっぱり調子に乗るだろうー。
そして、自分が”真桜になった分身”の立場なら
やっぱり”お兄ちゃん”のせいにするだろうー
「くそっ…
分身が美少女になってもー
俺は、俺のままじゃねぇかー…」
陸斗は”自分の分身”が憑依できるだけの憑依リングに
少し不満を抱きながら、
静かにそう呟いたー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
自分の分身を憑依させるタイプの憑依モノですネ~!
元々性格難な部分の多い陸斗くんなので、
その陸斗くんの分身が憑依した
憧れの子と妹が、どんどん嫌な感じになっていくのは
避けられない運命(?)デス…!
どうなってしまうのかは、また明日のお話を
楽しみにしていて下さい~★!
今日も引き続き、昨日と同じく18時に
合作も掲載されるので
そちらもぜひ楽しんでくださいネ~!☆
(昨日から、4日間の間「通常更新」+「合作」の2本立てで
更新中デス~!)
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