人を皮にする力を手に入れた男ー。
彼はその力を使って憧れの子を”皮”にしたものの、
その現場を目撃されてしまうー。
彼は必死に誤魔化そうとしたものの、
”誤魔化す”のが壊滅的に下手で…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーどうしたの?大丈夫ー?」
「ーーえ…?」
教室で、一人ソワソワした様子を見せていた
男子高校生・柿沼 大輔(かきぬま だいすけ)は、
そんな声を掛けられてドキッとした様子を見せたー。
声を掛けてきたのは、
現在、生徒会副会長を務めている女子生徒・湯村 梨奈(ゆむら りな)ー。
真面目で明るい性格、かつしっかり者で
見た目も可愛いという、大輔から見れば
”全てを兼ね備えた子”であると同時に、
大輔が密かに好意を寄せている子でもあったー。
ただー…最近、その莉奈に”彼氏”がいることを知ってしまったー。
しかも、その”彼氏”というのは梅田 浩太(うめだ こうた)という
気弱な性格の男子生徒でー、
大輔は口には出さなかったものの
”あんなやつより、俺の方が絶対に湯村さんを幸せにできるのにー”と、
そんな不満を抱いていたー。
が、そうは言っても、どうすることもできないー。
大輔も、梨奈に彼氏がいると知った以上は
そこで諦めるしかなかったー。
少なくともー、
”この前までは”そうだったー。
しかしー…
大輔は出会ってしまったー。
”人を皮にする注射器”と呼ばれる悪魔のような品物とー。
ネットで偶然、それを見つけた大輔は
迷わずにそれを購入したー。
何故なら”人を皮にする注射器”を使えば、
他人の身体を”乗っ取る”ことができるからだー。
これを使って”湯村さんの身体を乗っ取るー”ー
大輔は、力と出会ったことで、そんな欲望の道を
歩み始めようとしていたー。
そしてー、
数日前にネットで注文した
”人を皮にする注射器”が到着するのが”今日”なのだー。
だから、大輔は朝からソワソワしていたー。
が、それをよりによって、
明日、身体を乗っ取るつもりの梨奈に指摘されてしまうとはー。
大輔はドキドキしながら
「べ、べ、別にどうもしないよー」と、
あまりにもソワソワしている大輔を心配して
”どうしたの?”と、そう声を掛けて来てくれた莉奈に
そんな返事を返したー。
大輔は、少なくとも表向きは”ごく普通”の
少し騒がしいタイプの男子生徒で、
特別素行が悪いとか、そういったこともないー。
梨奈にも、特に嫌われているとか、
そういうことはなく”普通のクラスメイト”として
認識されている状態だー。
がー、
”別にどうにもしないよ”と言いつつも
ニヤニヤとドキドキが止まらない大輔は
ソワソワしながら顔を真っ赤にして、
しかも、”明日乗っ取る”莉奈の前で
ニヤニヤしてしまうという不気味な振る舞いをしてしまったー。
「ーーほ、ほ、ホントに大丈夫?」
梨奈のその言葉に、
「だ、大丈夫大丈夫ーちょっと興奮してるだけだからーへへへー」と、
大輔は誤魔化そうとしてそう言葉を口にしたー
「ーこ、興奮ー…?」
梨奈が戸惑いの表情を浮かべるー。
大輔はー…
”人を誤魔化す”のが壊滅的に下手だったー。
喋れば喋るほど、墓穴を掘っていきー、
何か行動を起こせば起こすほど墓穴を掘っていくー。
彼は、そんな人物だったー。
「あぁ、いやいやー
明日にはスカート履けるなぁーって」
大輔本人としては誤魔化そうとしているー。
が、さらに余計な一言を言ってしまい、
梨奈は困惑の表情を浮かべながら
「ど…どういうこと…???」と、首を傾げるー。
大輔は”やべっ”と思いつつ、
「いや、ははー注射器の話だよ!」と、
懲りずにさらに墓穴を掘っていくー。
がー、その時だったー。
「ーーあ、梨奈!いたいた!
ちょっと聞きたいことがあるんだけどー」
ボブカットの女子生徒、森坂 千穂(もりさか ちほ)が、
梨奈を見つけてそんな風に声を掛けて来たー。
「ーーえっ?あ、うんーなになに?」
友達の千穂から呼ばれた莉奈は、
大輔との会話を切り上げてそちらの方に向かって行くー
「ふぅ…あ、あぶねぇあぶねぇ…」
普段だったら、”せっかく梨奈に話しかけられたのに”と、
千穂のことを邪魔に思ったかもしれないー。
けれど、”明日になれば梨奈を乗っ取ることができるー”
そんなタイミングである今日は、
”森坂さんナイス!!”と、墓穴を掘りそうだった自分を
間接的に助けてくれる結果となった千穂に、
心の中でそう感謝するのだったー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「ーーーーー」
大輔は昨日、予定通り到着した
”人を皮にする注射器”を手に、
学校にやってきていたー。
そしてー、大輔は梨奈に対して
”生徒会の書記の子のことで少し大事な相談があるんだー”と、
そう言葉を口にして、昼休みに生徒会室に梨奈を
呼び出しておいたー。
朝から心臓がバクバクして止まらないー。
今日から自分が、あの”湯村 梨奈”になれるのだと、
そう思っただけで興奮が止まらないー。
”早くー、早く昼休みになれ!”と、
そう念じつつ、
3時間目と4時間目の間には、
”これで、男子トイレに入るのは最後かもしれないからなー”と、
そんなことを考えながらトイレを済ませたー。
そして、いよいよ待ちに待った昼休みの時間がやってきたー。
大輔はニヤニヤが止まらない様子で生徒会室に
やってくると、
少ししてから、梨奈も生徒会室にやってきたー。
「書記の子の話って言ってたけどー…
何かあったー?」
”生徒会の書記の子の話”と嘘をついて
梨奈を呼び出した大輔ー。
梨奈は、まさか大輔が梨奈の身体を乗っ取ろうとしているなどとは、
夢にも思わずに、心配そうにそう言葉を口にしているー。
そんな梨奈を前に、大輔は心臓をバクバクとさせながら
梨奈を今一度見つめるー。
”へへー…へへへへーついにこの時が来たんだー”
そう思いながらも、梨奈を前に、身体が動かないー。
無意識のうちに、”人を皮にする”という行為に対して
罪悪感のようなものを感じてしまっているのかもしれないー。
がー、そんな自分に言い聞かせるようにして
大輔は心の中で叫んだー
”湯村さんの身体をとっとと乗っ取るんだー!俺!!”
とー。
そして、大輔はついに意を決して
行動を実行に移したー。
「湯村さんーーー
ーーーそ、その身体をくれ!」
そう叫ぶ大輔ーー。
「えっ!?!?」
突然の言葉に、梨奈は
驚くー…というよりも、
”意味が分からない”と言いたげな表情を浮かべるー。
それと同時に大輔は隠し持っていた人を皮にする注射器を手に、
それを梨奈の首筋に打ち込んだー。
「ーーぁ…… な…なに…するのー…?」
梨奈が戸惑いの声を上げると同時に、
急速に全身から力が抜けて行き、
その場に崩れ落ちるー。
倒れ込んだ梨奈は既にほとんどペラペラではあったものの、
まだ意識があるのか、瞳を震わせながら、
大輔のほうを見つめて来たー。
「ーーっ…」
大輔は、そんな梨奈の視線に耐え切れなくなりそうになりながらも、
「は、早く皮になれ!!皮になれよ!」と、
そう言葉を吐き出すと、
程なくして、梨奈はそのまま完全に”皮”となって、
完全に動かなくなったー。
「ーへ…へへへへー
こ、これを、これを着れば、俺はーゆ、湯村さんにー」
想像しただけでゾクゾクしながら、
大輔はそう言葉を口にすると、
そのまま興奮した表情を浮かべつつ、
梨奈の皮を身に付けて行くー。
「ーへへへっーーへへへへへー
ついに、ついに俺が湯村さんにー」
梨奈の皮を半分ほど着終えた大輔は、
ニヤニヤしながら”もう半分”も身に付けようとするー。
がー…
その時だったー
「り…梨奈ー…?」
そんな声が聞こえたー。
「ーーーえっ…?」
”皮”にした梨奈を半分着た大輔が
思わず振り返ってしまうと、
そこにはー…梨奈の友人である千穂の姿があったー。
「も、森坂さーー…」
梨奈の”皮”を半分着た状態で思わずそんな反応を
しかけてしまう大輔ー。
が、すぐに”見られてはいけない場面を見られてしまった”と、
そう察知すると、慌てて動き出すー。
半分着ていた梨奈の皮をサササっと完全に着終えると、
「ーーも、森坂さんー!どうしたの?」と、
そんな言葉を口にしたー。
”皮を着ている途中”の場面を見られてしまった大輔ー。
が、それを”なかったこと”にして誤魔化そうとしているのか
千穂の目の前で梨奈の皮を着ると、
梨奈のフリをして、そう言葉を口にしたのだったー。
梨奈の身体を動かすことができているー
梨奈の声で喋ることができているー。
そんな状況であるものの、
そのことにドキドキする余裕もないままー、
額に冷や汗のようなものが浮かび上がってしまうー。
「森坂…さん?」
千穂は、目の前でそう言葉を口にしながら戸惑いの言葉を口にするー。
普段、梨奈は”森坂 千穂”のことを”千穂”と呼んでいるー。
その梨奈から”森坂さん?”と呼ばれたことに戸惑っているのだー。
「ーーえっ…あ…ち、違うー、
ち、ち、千穂!千穂ちゃん!あははははー」
梨奈を乗っ取った大輔は”誤魔化す”のが壊滅的に下手だー。
「ーーーー…い、今のはー……なに…?」
呆然とした様子で千穂がそう言葉を口にするー。
目の前にいる”梨奈”のことを、
まるで化け物でも見るかのような目で
見つめながら少しずつ後ずさっていくー。
そんな千穂を見て
「だ、大丈夫大丈夫ー。千穂は夢でも見たんだよ!
俺はほら、元気元気!」と、
そう言葉を口にしてしまうー。
梨奈は普段”俺”なんて言わないー。
もちろん、一人称が”俺”の子もいるけれど、
梨奈はそうではないー。
「ーーお…俺…?
ーーり、梨奈に何をしたのー?」
千穂は青ざめながらそう言葉を口にするー。
「ーー俺???え、えへへへー
そんなこと言ってないよー。
カフェオレ飲みたいなぁ~!って
そう思っただけ!ふふーへへへ…」
梨奈の身体で、何とか誤魔化そうと
そう言葉を続けるー。
けれどー、
大輔の場合は、何か行動を起こせば起こすほど、
口を開けば開くほど、
”墓穴”を掘ってしまうー。
誤魔化すのが、信じられないほど”下手”だからー。
「ーーー梨奈はカフェオレ飲まないでしょ?
牛乳も、コーヒーも苦手なんだからー」
千穂に指摘された、梨奈を乗っ取った大輔は
さらに青ざめていくー。
「ーえ…え~~え…???
え~~?そうだったっけー?
あはーあはは えへへへへー」
強引に笑って誤魔化そうとするも、
千穂は怯えた表情でさらに後ずさるー。
「ーー…り、梨奈じゃないー…
ーーい、一体、誰ー…?」
千穂はそう言葉を口にすると、
「ーり、梨奈はどこにいるのー?」と、
そう言葉を続けるー。
千穂が”目撃”したのは、
既に梨奈はペラペラになったタイミングー。
そのため、”本物の梨奈”は、別の場所にいるという
そういう認識なのかもしれないー。
「ー梨奈ならここにいるよ?」
どこか他人っぽい言い方をしてしまう梨奈を乗っ取った大輔ー。
しかし、千穂は「嘘よー」と、そう言葉を口にすると、
「柿沼くんでしょ?柿沼くんが…梨奈そっくりの着ぐるみを着てるー…」と、
不安そうにそう言葉を口にしたー
「…ッ…」
梨奈を着ている大輔は”俺の顔もやっぱ見られてたかー”と
内心で焦りを覚えるー。
千穂は”こんなに梨奈そっくりな着ぐるみなんてー”とか、
”どうして梨奈の声で喋れるのー?”とか、違和感を抱きつつも、
目撃した時点で既に梨奈は皮になっていたため、
あくまでも”大輔が梨奈そっくりの着ぐるみみたいなもの”を
着ているという認識で、
”本物の梨奈が皮にされて乗っ取られている”とは、思っていないー。
がーーー
「ーあははー、”身体を乗っ取られたり”してないから、
安心してー!
梨奈は、梨奈だよ!えへへー」
梨奈を乗っ取っている大輔は、
またしても、誤魔化そうとして余計なことを言ってしまうのだったー…
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
人を誤魔化すのが壊滅的に下手な彼…
既に、墓穴を掘り続けていますネ~!!
この先どうなるのかは、明日以降のお楽しみデス!!
今日はとっても暑そうなので、
皆様も気を付けて下さいネ~!

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