<入れ替わり>くらいふたり③~未来~(完)

②にもどる!

暗い性格の二人の入れ替わりー。

図書委員の女子生徒が手伝ってくれる中、
二人はお互いの両親に
入れ替わっていることを打ち明けようとするもー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
「ーーーーーー」
「ーーーーーーー」

”入れ替わり”の事情を説明するために、
美優の家にやってきた三人ー。

しかし、美優(健太)が、二人を連れて来たのを見て、
美優の姉・美咲は
”健太(美優)”を妹である美優の彼氏だと、
そして、付き添いの梨穂のことを”彼氏の姉”だと
勝手に勘違いしたー。

その上で、強引に部屋に招かれてしまった三人は
戸惑いの表情を浮かべていたー。

「ーご、ごめんなさいー…
 ぼ、僕が彼氏扱いになっちゃってー…」
美優(健太)が心底申し訳なさそうに言うと、
健太(美優)は「姉はー…思い込みが激しいからー」と、
それだけ言葉を口にしたー。

二人の付き添いでやってきた梨穂は
「ー信じて貰えるかどうか以前の問題だったねー…」と、
そう言葉を口にするー。

程なくして、美優の姉・美咲が
飲み物を3つ持って、部屋にやって来ると、
「美優に彼氏ができるなんて驚いたよ~!」と、
派手な風貌の姉・美咲が笑うー。

その上で、「でも、あんまりイケメンじゃないね?どっちかって言うと、根暗ー?」と
平気でそんな言葉を口にするー。

美咲に悪気は全くないー。
一言で言ってしまえば”馬鹿”なだけだー。

が、言われた美優(健太)は少しだけ表情を曇らせるー。

気まずそうに別のクラスの女子生徒・梨穂もそんな行方を見つめていると、
美優の姉・美咲は今度は”健太の姉だと思い込んでいる”梨穂のほうを見て
「お姉さんの方はこんなに可愛くてエロさもあるのにー」と、そう言葉を口にするー。

「ーは…はぁ…???」
梨穂は戸惑いの表情を浮かべるー。

がーーそんな”姉のやりたい放題”に耐えかねたのか、
健太(美優)が「人の話をちゃんと聞いてよ…!」と、不満そうに言うと、
普段大人しい美優とは思えないぐらいに、不満そうに
”入れ替わったこと” ”こうなるまでの出来事”をハッキリと説明したー。

するとーー
美優の姉・美咲は「あ~~~~~…なるほどー」と、そう言葉を口にすると、
「演劇の練習かぁー…そっかそっかー。
 部長さんと副部長さんかな?」と、また的外れなことを言い始めたー。

健太(美優)は大きくため息を吐き出して
小声で「もういいよー」と、だけそう言葉を口にすると、
姉・美咲は「日程教えてくれたら、演劇部の発表見に行くよ???」と、
そう言葉を続けるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

結局ー、美優の方の家族に”入れ替わり”のことを
分かってもらうことはできなかったー。

続けて3人は、”健太”の家の方に行くー。

「ーわたしが説明してあげるから、二人は見ててー。
 説明とか、そういうのも苦手だと思うし」
梨穂は、健太の家の前でそう言葉を口にすると、
二人を引き連れるかのようにして
家の中へと入ったー。

そして、玄関先にやってきた健太の母親に対して
事情を説明し始める梨穂ー。

しかしーー…

「ーあの…どういうことでしょうかー?」
健太の母親は、”入れ替わり”の説明を終えた梨穂のほうを
見つめながら、心底困惑した様子でそう言葉を口にするー。

もちろん、急に”入れ替わり”などと言われても
そういう反応になってしまうのは、無理もないことだー。

それでも梨穂は必死に”二人が入れ替わってましてー”と、いう
説明を続けていくー。

その言葉を聞いた健太の母は、戸惑いつつ、
健太(美優)に対して
「ー何かあったのー?」と、そう確認の言葉を口にするー。

がー、元々大人しくて人見知りの美優は、
健太の身体で、健太の母親に対してハッキリと
言葉を口にすることが出来ずに
「い、い、入れ替わー…… 大変な状況でー…」
と、小さい声で曖昧に答えてしまうー。

「ーわ、分かったわー。と、とにかくー
 二人はもう帰って貰っていいー?」
健太の母親はそう言葉を口にする
健太(美優)だけを家の中に残して、
美優(健太)と梨穂には、そのまま帰るように促したー

「ーーー追い出されちゃったねー」
梨穂は少しだけ苦笑いすると、
不安そうな美優(健太)のほうを見てから
「丸岡くんのお母さん、信じてくれたのかなぁ…?」と、
そう言葉を口にするー。

相変わらず反応の薄い美優(健太)のほうを見て
梨穂は少しだけ苦笑いをすると、
「ーそういえば、今だと丸岡くんと二人で歩いてると
 周りの人から女子同士に見えるんだよね」と、
面白そうに笑うー。

「えっ…あーー…あ~…」
美優(健太)は少し恥ずかしそうにしながら頷くと、
梨穂はそんな反応を面白そうに笑ったー。

とりあえず今日はこれ以上、どうすることも出来ないー。

「ーーじゃあ、また大変だと思うけど、
 坂浦さんの家で頑張ってー」
梨穂はそれだけ言葉を口にすると、
そのまま立ち去っていくー。

美優(健太)は、”今日も戻ることができなかったー”と、
そう思いながら、そのまま”美優の方の家”へと帰宅していくのだったー。

がーー
梨穂は知らないー。

健太の母親から、”いじめっ子”だと誤解されたことをー。

梨穂が健太(美優)と美優(健太)を引き連れるような形で
家の中に入ってしまったことー、
梨穂が”入れ替わり”などと訳の分からない言葉を口にしたことー、
そして健太(美優)が健太の母親に
オドオドとした対応をしてしまったことで、
健太の母親は”息子がこの女子生徒にいじめられている”と、
そう誤解してしまっていたー。

そしてその翌日ー。
健太の母親から学校側に”いじめの相談”が入ってー、
梨穂は先生から呼び出されていたー。

「ーい、い、いじめー!?わたしがですか!?」
突然の呼び出しに困惑する梨穂ー。

健太の母親から、”いじめ”の相談があり、
さらには健太(美優)に今朝、先生が事情を聞いたところ、
健太(美優)がオドオドした様子で、
”あ、あのー大丈夫ですー”と、しか答えなかったことから、
先生も梨穂による”いじめ”があると、そう判断してしまったー。

「ーあんまり、大人しい子を揶揄うなー。
 な?」

梨穂のクラスの担任の先生がそう言うと、
梨穂は「ち、ちがっ…」と、そう言葉を口にするも、
「大人しい子たちからすると、明るく話しかけてるつもりでも
 負担になってることがあるから」と、
担任の男性教師にそう言われてしまったー。

そこまで言われてしまった梨穂は、
戸惑いの表情を浮かべながらも
”わたしー、本当は迷惑だったのかなー?”と、
内心でそんな風に思ってしまうー。

そしてー、梨穂はこの日を境に
美優(健太)と健太(美優)の入れ替わりの件に
関わるのをやめてしまうのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
健太(美優) も、美優(健太)も
入れ替わりのことを誰にも相談できずー、
ただ単に入れ替わった状態のまま、
”相手のフリ”をして生活する日々を続けていくー。

”相手のフリをする”とは言っても、
元々二人とも暗いせいもあってか、
相手のフリを意識してする、ということをしなくても、
案外、周囲は二人が入れ替わっていることに
気付くことすらなく、
そのまま生活が続いていくー。

そして、ついにー…

高校卒業を迎えてしまったー。

「ーーー…えっと…なんか、ごめんー」
美優(健太)が、健太(美優)に対してそう言葉を口にすると、
健太(美優)も「あ、うんー…だ、大丈夫ー」と、
そう言葉を返したー。

”入れ替わったまま”卒業を迎えてしまった二人ー。

二人は、元に戻ろうとはしつつも、
具体的に積極的な行動を取ることは出来ず、
そのまま時間ばかりが経過して、
最終的に、そのまま卒業の時を迎えてしまったー。

元々、暗い性格だった二人だからかー、
入れ替わっても周囲が気付くこともなく、
ついには家族も気付くことはなかったー。

二人とも、友達はほとんどいなかったし、
家でも、ペラペラと喋るタイプでもなく、
”自分の趣味に浸るタイプ”だったからかー、
入れ替わったままでも、あまり困ることはなかったー。

お互いに、表には出さなかったものの、
最初のうちは異性の身体に戸惑いはしたりしたこともあったー。

ただ、もう、それも慣れてしまった。

健太になった美優は、美優が大好きな”読書”に浸りー、
周囲から見れば”健太はよく本を読むようになった”ー。
けれど、学校でそれに気づく人はほとんどいなかったし、
興味を抱く人もいなかった。
家でも”最近本にハマってるのねー”ぐらいの反応しかなかった。

美優になった健太は、健太の趣味ー…”寝ること”が
多くなったー。
家でもよく昼寝をするようになったものの、
姉・美咲を含めて”最近よく寝るじゃん!”ぐらいしか
反応はなかった。

結果、二人は入れ替わった状態のまま、
誰にも気づかれることもなく、
”卒業”を迎えてしまったのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数年後ー。

大学生活を続ける二人は、
久しぶりに直接会ったー。

「ー最近、どうー?」
”地味だけど可愛い雰囲気”の、美咲(健太)が
そう言葉を口にするー。

特に健太自身は、美咲の身体で特別おしゃれには
していないものの、元が可愛いために、
それなりに可愛く見えるー。

そんな言葉に、健太(美咲)は「ーーう~ん…普通かな」と、
そう返事をするー。
相変わらず、容姿も”地味”だー。

”入れ替わった人間同士”ということで、
二人とも定期的に連絡を取ったり、
会ったりはしているものの、
二人の間に特に恋愛感情が芽生えたりすることはなく、
会話も弾まないー。

この日も、久しぶりに会ったものの、
昼食を済ませて、30分もしないうちに、
「ーーじゃ…頑張って」と、
そのまま二人は帰路につくー。

最近では、”元に戻るため”の方法も試さなくなったー。

高校時代の間に戻れたのであればともかく、
”今更”戻っても…?と、いう気持ちが
二人の中にあったからだー。

別々の大学に進み、
進路は”中身”が決めたー。

つまり、”美優”は、中身である健太が希望する進路に、
”健太”は、中身である美優が希望する進路にそれぞれ進んだことになるー。

そのため、今、元に戻ってしまうと
二人は逆に、自分の希望とは違う大学で
大学生活を送ることになってしまうー。

大学でも相変わらず友達はいないから、
人間関係の面では問題ないけれど、
それでもー…、自分の通い慣れた大学での
生活を”今更”再び失うことは
少し苦しいことでもあったー。

そのせいかー、
”元に戻ろうとする”ことを、二人はしなくなったー。

お互いに、お互いの人生を進もうー、ということを
自然の流れで二人とも決めてしまったー

そんな状態だったー。

やがてー…
二人は社会人になった。

美優(健太)は、勉強は意外に得意だったこともあってか、
それなりに大きな企業の事務職となったー。
”寝ること”が趣味であったためか、
ベッドだったり、布団だったり、そういったものの生産販売を
手がける、それなりに大きな企業の事務職だー。

そして、健太(美優)は、読書好きが高じて
本に関する仕事に就職したー。

暗い性格の二人ではあったものの、
お互いに、勉強だけはそれなりに得意だったことで、
結果的に自分の好きなものに近い仕事をすることになったのだったー。

そしてー…
二人は社会人になって2年目の時に会ったのを最後に、
会わなくなったー。

特に理由はないー。
喧嘩をしたわけでもないし、
”これからはお互いの人生を生きよう”みたいな会話をして
区切りをつけたわけでもない。

単純に”自然消滅”したー。
それだけのことだったー。

それから2年ほどは、季節ごとに1回ぐらいのペースで
連絡も取っていたものの、それも終わったー。

暗い二人の入れ替わりは
”自然消滅”という形で終わり、
ついに二人とも、元に戻ることはなく、
そして、入れ替わった相手との関係性も
自然に消えてしまったのだったー。

ただ、入れ替わったままの二人の人生は
大きく揺らぐことはないまま、
それなりに無難な人生を送っていくー。

この先も、元に戻ることはないままー…。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

暗い二人が入れ替わったらどうなるかな~?を
じっくり考えてみた結果、
こう(?)なりました~!☆

暗い性格…と言っても、もっと動じるタイプの子たちだったら
また展開も違ったかもしれませんネ~!!

ここまでお読み下さり、ありがとうございました~!☆

「くらいふたり」目次

作品一覧

コメント