<憑依>おじさんリベンジ②~復讐~

美人局にひっかかり、
全てを失った男。

憑依薬を手に入れた彼は
あの日の10人に対する復讐を開始するー

・・・・・・・・・・・・・・・

「ー善治と紗枝が自殺したってよー」

梨奈の彼氏である赤い髪の男、健一(けんいち)が煙草を吸いながら言うー。

その横には、一見すると真面目そうな綺麗な黒髪の梨奈が立っているー。

「ーーマジかよ!あいつら、何か悩んでたのかなぁ?」
鼻ピアスの男がそう言うと、いかにもギャルな女が
死んだ紗枝のことを笑うー。

「だが、あいつらに自殺する理由などあるか?」
サングラスにオールバックの男がそう言うと、
「ーー誰かに殺されたんじゃね?」と、
ガムを噛みながら茶髪の男が呟くー。

ガム男の彼女である、スタイル抜群の女が
「こわ~い!」と、茶化すようにして言うー。

彼女は”魔女”の異名を持つ女で、
とにかく男を誘惑して落とすことに快感を覚えているー。

「ーーーあのおっさんが、二人を殺した犯人だったりしてな?」
ガムの男がそんな冗談を口にすると、
「ーいやいや、それはないっしょ。あんなおっさんに何ができるんだよ?」
と、鼻ピアスの男がそれを否定したー。

「ーーー」
そんな仲間たちの会話を聞きながら、
あの日、幸助を騙した張本人である梨奈は、少しだけ表情を歪めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あっはははははは~~~!
 わたしは痴女でぇ~す!」

ゲラゲラ笑いながら、自分の痴態を配信する女ー。

彼女はー、鼻ピアスの男・孝義(たかよし)の彼女・愛唯(めい)ー

愛唯はコスプレが趣味で
いつもSNS上にコスプレの写真を上げたり、
彼女の孝義の前でそれを披露して、孝義とお楽しみをしたりー、
コスプレ三昧の日々を送っていたー。

そんな愛唯が、”きわどい衣装”も、含む色々な格好を
SNSに上げているのを知った幸助は、
彼女を次の”天誅”の対象に選んだー

「ククククー 
 どうせ見せるなら、全部見せちゃえよ、おら!」

愛唯に憑依した幸助は、
「見られてゾクゾクしてるんだろ?」と、鏡の中の愛唯に
言い放ちながら、服を全て脱ぎ捨てて
その姿を配信したー

”デジタルタトゥー”とも言われる、
ネット上に一度晒してしまった”黒歴史”は
二度と消えることはないー。

人間に伝染するウイルスのようにー
一度広がれば、二度とそれを根絶することはできないのだー。

Aを退治しても、BとCに増殖するー。
デジタルタトゥーも同じー。
例え、自分のSNSからそれを消しても、
既に色々なところにその”黒歴史”は拡散するのだー

良い方向でも、悪い方向でも大炎上してしまう愛唯ー。

愛唯の過激な動画に喜ぶ人間もいればー
”頭おかしいだろこの女”みたいなコメントも大量についているー。

「ーーくくくくー
 こんな姿を晒して、二度と表を歩けねぇだろうなー」

愛唯の身体で幸助はそう呟くとー
さらにはそのまま家から飛び出したー

服も着ずに外を歩く愛唯ー。
街中が呆然となりー、
その姿がネット上に拡散されるー。

”生き地獄”ー
最初に始末した紗枝と善治の二人は
憑依で”自殺”させたー。

だが、人間は死の瞬間に恐怖を感じても、
死ねば恐怖も何もなくなるー
それだけで終わりなのだー。

苦しむ時間はたったの数十秒ぐらいでしかないー。

だから、幸助はやり方を変えたー
”憑依で死なせるだけで済ませてしまう”
これでは、優しすぎるとー。

「ーほら!わたしは痴女よ!もっともっと騒げ!騒動を大きくしろ!
 あはっ…あはははははははっ!」

街中でそう叫ぶと、十分に騒動になり、
パトカーから警察官が下りて来たのを確認してー、
愛唯は、そのまま笑みを浮かべー、失神したー

”クククー はい人生終了~”
幸助は笑いながら、路上で失神している愛唯を見つめるー。

続いては鼻ピアスの彼氏だー。

そう思いながら、鼻ピアス男・孝義に憑依するとー、
幸助は孝義の身体で、愛唯と同じことをしたー。

服を着ずに外を歩くー。
”愛唯”の身体でやった時とは周囲の反応がだいぶ違う感じでー
罵声が多かった気がするがー、
まぁ、そんなことは関係ないー。

この鼻ピアス野郎の人生もこれで終わりだー。

肉棒を晒したまま、路上に倒れ込むと、
意識を取り戻した孝義が悲鳴を上げながらー
そのまま警察に連行されたー

この二人はー
そのうち警察から出ては来れるだろうー。

だが、ネット上に晒されたこの痴態は、
永遠に消えることはないー。
そう、永遠にー、だ。

この二人は永遠に苦しむことになるー。

「ーーあと6人ー」
自分の身体に戻って来た幸助は静かに笑みを浮かべたー。

最後の一人は、梨奈と決めてあるー。
究極の生き地獄を、あの女に味合わせてやろうー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーおいおいおい…なんなんだよー…」
茶髪のガム男が、怯えた表情で叫ぶー。

翌日ー。
赤い髪の男・健一は、
昨晩、仲間の孝義と愛唯が”同じような奇行”に走り、
逮捕されたことを仲間に告げたー。

”これは…天誅だ!”
ネットに出回った”憑依された愛唯”の映像を再生する健一。

愛唯は、動画配信の際にそんな言葉を口にしているのだー。

「ーなんだよ天誅ってー」
茶髪ガム男が、怯えた表情で再び呟くー

動画の愛唯の様子は明らかにおかしいー
まるで、愛唯が愛唯でないようにすら見えるー。

同じような動画を配信している孝義もそうだー。
どう見ても”本人の意思”とは思えないー。

「ーー……」
サングラスにオールバックの男が、表情を歪めるー。

その彼女のギャル・梨々花(りりか)が、
「ねぇ、あたしらもヤバくない?」と、困惑しながら言うー。

美人局の張本人・梨奈、その彼氏の赤い髪の男・健一、
サングラスにオールバックの男・隼吾(じゅんご)、彼女のギャル・梨々花ー、
そしてガム男・浩明(ひろあき)と、魔女の異名を持つ、萌奈(もな)の6人は、
”さすがにおかしい”と感じ始めていたー

仲間のうち、4人の身におかしなことが起きたー。
”誰か”に狙われているのかもしれないー。

「やっぱ、あのおっさんじゃね?」
ガム男がそう言い放つと、ギャルの梨々花は
「あんなおっさんに何ができるっての?ありえないでしょ?」と、
苛立ちを露わにするー。

確かに、あの男に何かできるとは思えないし、
最初の二人が、仮に”自殺に見せかけた殺人”だとすればともかく、
昨日の二人のような行動は、強制することは流石にできないはずだー。

「ーおっさんに脅されて、お前は服を脱いで外を歩くのか?」
サングラスにオールバックの隼吾が腕組みしながらそう言うと、
ガム男・浩明は「い、いやー…脱がねぇよ流石にー」と、頷くー。

「だろ?だったらあの男は関係ないはずだー」
サングラスにオールバックの隼吾はそう呟くと、
ガム男の浩明も静かに頷いたー。

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その日の夜ー。

隼吾が、彼女の梨々花から呼び出されたー。

「ーこんな時間にどうしたんだよ」
隼吾が、そう言いながら梨々花のほうを見るとー
ギャルの梨々花は、にやりと笑みを浮かべながら
振り返ったー

「ーえへへへ…あたし、”憑依”されちゃったぁ~!」
梨々花が笑いながらそう言い放つー

顔は少し赤らんでいて、服が乱れているー。
梨々花に憑依した幸助は、彼氏である隼吾が
ここにやってくるまで、梨々花の身体で
色々とお楽しみをしていたようだー。

「ーな、なにを言ってー?」
いつも冷静な、サングラスにオールバックの隼吾は
困惑の表情を浮かべるー。

「ーあたし、これから”彼氏殺し”の女になるの~!
 くくっ…うふふふふふふふ」
笑いながら梨々花がそう言い放つと同時にー、
梨々花が、隼吾に突進したー

「うっ!?」
隼吾は驚いた表情を浮かべながら、
梨々花のほうを見つめるー。

「ーーな……な…に…?」
その場に崩れ落ちる隼吾ー。

しかしー、梨々花は”あえて”急所を外していたー

苦しそうに倒れ込んだ隼吾を見つめながら
「ーどう?自分の彼女に刺された気分は?」と、煽るような口調で言うー。

「な……なんで…」
サングラスを落とした状態で、うめく隼吾ー。

苦しそうにうめく隼吾を見て、
その弱っていく様子を”楽しむ”彼女の梨々花ー。

「ーーーーーぐ…」
隼吾はすぐに”梨々花が急におかしな行動”を取ったことで
先日、”突然自殺した二人”と、
先日、異様な行動を動画で配信した挙句、服も着ずに外を徘徊し
逮捕された二人のことを思い出すー

”これは天誅だ”
愛唯の、動画内での言葉を思い出すー。

愛唯は、明らかに正気を失っていた気がするー。

「ーーーふふふふふ…♡ こいつもなかなかいいじゃねぇか♡」
梨々花がそんなことを口走りながら、
倒れている隼吾を他所に、胸を揉みながら笑っているー。

「ーーく…く…くそっ…!お前は……あの時のおっさんなのかー!?」

何故だか、そんな気がして、隼吾は力を
振り絞って叫ぶー。

梨々花はニヤッと笑みを浮かべながらー
「目の前でお前の彼女に憑依して、人殺しをさせるなんてー
 最高の復讐だよな?」と、言葉を囁いたー

「ーテメェぇ…!!!!」
隼吾がうめき声を上げながら立ち上がり、
近くにあった重そうな本を手に、襲い掛かって来るー。

だがーーー

「ーーえっ!?」
突然、梨々花が正気に戻るー

本で殴りつけられた梨々花が悲鳴を上げて、
すぐに怯えた表情を隼吾に向けるー。

しかも、その隼吾が血まみれ、という状況に悲鳴を上げるー。

「ーはぁっ…はぁっ…はぁっ……」
最後の力を振り絞って立ち上がっていた隼吾は、
その場に倒れ込んで苦しそうな息をし始めるー

「じ、隼吾!?」
梨々花が叫ぶー。

隼吾はそんな梨々花の様子を見て、
梨々花が正気に戻ったことに気付くと、
「に…逃げろ…!」と、うめき声を上げるー。

この場にいたら、憑依されてしまうー、
いいや、殺人犯にされてしまうー

とー。

がー、幸助は既に、再び梨々花に憑依していたー

しかもー
今度は”梨々花の意識を残したまま”ー

「ーーひっ……?」
梨々花が怯えた表情を浮かべるー

”へへへー
 今からお前の手で彼氏にとどめを刺してやるー。
 お前は自分の彼氏をその手で殺すんだー

 今からやるぞー?
 この感触ーよ~く覚えておくんだなー
 人殺し!”

幸助が煽るようにして言うと、
梨々花は泣きながら「やめて!やめて!」と叫ぶー。

強気だったギャルの顔は、もはや怯え切っているー。

梨々花の”手”に、彼氏の命を奪う感触が伝わってくるー

「本当はこいつにも生き地獄を味合わせてやりたかったけどー
 まぁ、仕方ないなー
 お前は楽にしてやるよ」

梨々花の口で勝手に喋りながら、
隼吾を何度も何度も切りつけるー。

彼氏を刺す感触やー
彼氏の血の感触が伝わるー。

そして、最後にー
その様子を動画で撮影して
”あたし、これから自首します”というタイトルで
動画も投降したー。

警察に自ら電話をして、そのまま梨々花の身体から
抜け出した幸助は、
放心状態になっている梨々花を見て笑うー。

”彼氏殺しの女として、一生生きていきなー
 苦しみながらさー ククー”

幸助はそれだけ呟くと、
”あと4人だー”と、宙を舞い、その場を離れたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーくそっ!またか!」
赤い髪の健一が表情を歪めるー。

ギャルの梨々花が、彼氏の隼吾を殺したー。
そんなことを、本人が自分の意志でするわけがないー

”なにか”が起きているー

ガムを噛んでいる茶髪の浩明と、祖の彼女・萌奈も怯えた表情を浮かべるー。

「梨奈のやつとも、電話がつながらねぇ」
健一がそう呟くー。

彼女の梨奈の身にまで何かが起きたというのだろうかー。

そう思いながら、健一は「絶対に単独で行動しない方がいい」と、
ガム男・浩明とその彼女、”魔女”の異名を持つ萌奈に言い放ったー。

・・・・・・・・・・・・・・

「ーーわたしまで巻き込まれるとか、そんなの困るからー」

一方、幸助を美人局で騙した張本人の梨奈は、
”まだ”憑依されたわけではなかったー

10人のうち6人の身に異変が起き、
身の危険を感じた梨奈は、
彼氏である健一や、残りの仲間を”切り捨てて”縁を切りー、
そのまま逃亡しようと画策していたー。

「ーー何が起きてるのか分からないけどー
 わたしは無関係よ」
梨奈は自分に言い聞かせるかのようにそう呟くとー
そのまま電車に乗ってどこかへと移動し始めたー

”ー逃がさねぇよー へへ”

だがー、
そんな行動は、復讐鬼となった幸助には
お見通しだったー

③へ続く

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次回が最終回デス~!
復讐の果てに待つ結末をぜひ見届けて下さいネ~!

お読み下さりありがとうございました~!

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