念願の憑依薬を手に入れた男子高校生ー。
しかし、肝心の憑依のタイミングでミスをして、
彼は親友の母親に憑依してしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーこれはー、
え~っと、こうしてこうして…
あとは、こうするといいかな~」
教室の入口付近でクラスメイトの
津森 萌香(つもり もえか)が、
そんな言葉を口にしているー。
その様子を、自分の座席から見つめながら
少しニヤニヤしていた男子高校生がいたー。
”ーー津森さんって誰にでも優しいよなー”
そんなことを思いながら、
生徒会長の萌香が、何かを聞きに来た後輩の
男子に色々教えているのを
微笑ましそうに見つめるー。
がー、
その”目の保養”の時間を打ち壊す者が現れたー。
「望月(もちづき)ー何ニヤニヤしてたんだよ」
揶揄うような口調でそう言葉を口にしながら
近付いて来たのは、
彼の親友でもある男子生徒・笹島 源太(ささじま げんた)ー
そんな親友からの指摘に
生徒会長の萌香を見つめていた男子生徒・
望月 俊平(もちづき しゅんぺい)は
少し顔を赤らめながら
「う、うるせー…昨日呼んだ漫画の内容を思い出してたんだよ」と、
咄嗟にそんな言葉を口にするー。
そう言いながら、落ち着かない様子で
朝に買ったペットボトルのジュースを飲み始める俊平。
そんな俊平を見つめながら、親友の源太は
少しニヤニヤとすると、
「へへへへーそうは見えなかったけどなー。
どうせ、津森さんを見てエロいことでも考えてたんだろ?」
と、そんな言葉を続けるー。
「バッ…!お、おまっ…声が大きい!」
俊平は慌てた様子で源太の口を塞ぐと、
生徒会長・萌香のほうをチラッと見つめるー。
が、幸い、萌香は後輩の男子に何かを伝えている最中で、
こっちの話には全く気付いていない様子だったー。
「ーふぅ…セーフ…」
俊平がそう言葉を口にすると、
源太はニヤニヤしながら
「ーまぁでも、津森さんは可愛いしいい子だからなー」と、
そんな言葉を口にするー。
その上で
「俺たちみたいな適当に生きてる男子は相手にされないだろうけどー」
と、そう言葉を口にする源太ー。
俊平と源太は別に不良というわけではないー。
それなりに普通に高校生活は送っているものの
”真面目”でもないー。
二人ともそれなりに適当で、いい加減だー。
だから、自分たちのようないい加減な男子が、
真面目な生徒会長の津森さんから相手にされるわけがない、と、
源太はそう言葉を口にしたのだったー。
「ーわ、わ、分かってるよ俺だってそんなことー」
俊平はそう言葉を口にすると、
源太は笑いながら、
「まぁそう気を落とすなって。
寂しい時は俺が側にいてやるからさ」と、
揶揄うような言葉を続けるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー。
「ーーマジかー」
いつものように学校生活を送っていた俊平は、
帰宅後、部屋でスマホをいじっている際に、
”あるもの”を見つけたー。
それはー
”他人に憑依することができる”薬だったー。
「ーー…自分の身体を霊体へと変換して
他の人の身体に憑依することができるー…?
ーーー…」
そんな説明を読みながら、
俊平は、気付けば生徒会長の萌香のことを
頭の中で考えながら、
いつの間にかニヤニヤしてしまっていたー。
「ーいやいやいやいやいや」
すぐにハッとして、首をぶんぶんと横に振る俊平ー。
”憑依薬”なるものを見つけたことで、
萌香に憑依してあんなことやこんなことをするイメージを
ついうっかりと、頭の中で思い浮かべてしまったー。
あの清楚な萌香の乱れ切った姿や、挑発的なポーズ、
そして本人が絶対に言わないような言葉の数々を言わせたりー、
色々なコスプレをさせてみたりー、
そんな妄想が頭の中で止まらなくなってしまうー。
「ーあぁ、くそっー俺は変態じゃねぇ」
自分自身に言い聞かせるかのように、
そんな言葉を吐き出した俊平は、
今一度深呼吸をすると、
「よし、もう見るのをやめよう」と、
”憑依薬”について書かれたページを閉じるー。
このままずっと、憑依薬がどうこう、という記述を
見ていると、頭がおかしくなりそうになるー。
そんなことを思いつつ、
「ふぅ」と、深呼吸をしながら
スマホを置くー。
そして、数秒間、放心状態のような状態で考え込むと、
「ーー憑依薬ー…憑依薬ッ!」と、やっぱり雑念を
振り払うことはできなかったのか、
スマホを手にすると、先ほどの”憑依薬”について
書かれたページを再び開いてしまうー。
そして、ニヤニヤしながらスマホを操作すると、
ついに、俊平はその怪しげな薬ー、”憑依薬”を
注文してしまうのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
「マ、マジで届いたー」
”そろそろアレが届くはず”と、
学校が終わって真っ先に帰宅した
俊平は、到着した憑依薬を手に、
ドキドキしたような表情を浮かべながら
そう言葉を口にするー。
まさか本当に”憑依薬”が届くとは思わなかったー。
いやー、もちろん、”憑依薬”という名前の
水か何かが届いただけで、
実際に飲んでも何も起こらず、お金だけ無駄に取られる、
ということは分かっているー。
けれど、俊平は”憑依薬”という欲望に満ちたソレを前に
買わずに我慢することはできなかったー。
到着した憑依薬の容器を前に、
ゴクリと唾を飲み込む俊平。
緊張した表情を浮かべながら
俊平はようやく意を決すると、
ひと思いに”憑依薬”を飲み干したー。
すると、自分の身体が”薄くなっていくような”
そんな奇妙な感覚を覚えたー。
俊平自身もどう表現していいのか分からなかったけれど、
とにかく”自分が薄くなっていく”と言うしかないような、
そんな奇妙な感覚だったー。
その感覚に戸惑っていると、
やがて、自分が宙に浮き始めたことに気付くー。
「ーーう、うわっ… えっ…?」
俊平は浮かび始めた自分の身体に驚きー、
手を動かして”自分自身”を触ろうとすると、
スカッ、と自分の身体をすり抜けたことに気付くー。
「えっ……す、すげぇ…」
そうー。
憑依薬を飲んだ俊平は、説明に書かれていた通り、
本当に”霊体”になって、
宙を漂っている状態になっていたー。
自分の身体が抜け殻として残るタイプではなく、
自分の身体そのものが霊体に変換されるタイプで、
自分が座っていた場所には既に”何もない”状態ー。
憑依薬が入っていた容器だけが、
床に転がっているー。
「ーって、やべっー…」
そんな状況を見て、霊体になった俊平は、
自分の部屋に容器を転がしたままにしておくのは
何だか後々、面倒なことになりそうな気がして
それを回収しようとしたー。
しかしー、
自分の身体は既に霊体になっていて、
転がってしまった憑依薬の容器を
拾うことは出来ない状態だったー。
「ーし、仕方ないー1回元に戻ってー」
俊平は霊体のままそう言葉を口にするー。
が、そのタイミングで「ん?」と、
きょとんとした表情を浮かべると、
戸惑いの表情を浮かべながら首を傾げたー。
「ーーー俺、どうすりゃ元に戻れるんだー?」
とー。
自分の身体が下に横たわっていれば、
このままの状態でもう一度、その身体に戻れば
良いと分かるー。
けど、自分の身体が消滅しているー。
この場合は一体どうすれば良いのだろうかー。
そんなことを思いつつ、
「まぁいいやーとにかく津森さんに憑依してから考えようー」と、
学校に向かって霊体を移動させ始めるー。
自宅の壁をすり抜けて、上空を物凄い速度で
移動しながら、俊平は思わず”スゲェ…”と、
憑依以前に、この状況を楽しむような表情を浮かべるー。
そして、そうこうしているうちに、
目的地である学校へと到着したー。
当然、目的はクラスメイトの津森 萌香ー。
「俺は津森さんに憑依するんだー
俺は…俺は、やるぞ!」
そう言葉を口にしながら、俊平は
学校内を霊体の状態で浮遊して回るー。
浮遊して回っているうちに、
「お!」と、別の可愛い子も見つけて
一瞬、その子に憑依したいという気持ちが
膨らんで来てしまったものの、
何とか自分の中でそれを抑え込むと、
深呼吸をしながら
”俺はー津森さんに憑依するためにここまで来たんだ”と、
自分の中での”浮気”とも言える欲望を何とか抑え込むー。
萌香に憑依して、胸を揉んだり、
萌香が絶対にしないような表情をしたり、
絶対にしないような挑発的なポーズやセクシーなポーズをしてみたりー、
そしてー…
”うへへへへへー”
まだ憑依する前だと言うのに、興奮を隠しきることが
できないという様子でだらしのない笑みを浮かべてしまう俊平。
ようやく気を取り直して、
再び霊体のまま校舎内を徘徊し始める俊平。
そして、ついにー…
見つけたー
綺麗な黒髪に、スラッとしたスタイルの良い身体ー。
「ーーへへへへー津森さんみっけー」
ニヤニヤしながら俊平はそう言葉を口にすると、
「ーこういのは勢いだからなー。早速お邪魔させてもらうよー」と、
そう言葉を続けながら廊下を歩いている萌香に向かって
自分の霊体を突進させ始めるー。
憑依する前に、変に色々と考えてしまうと、
罪悪感のようなものが膨らんで来てしまったり、
そんなことになってしまう、と、そう判断してのことだったー。
”ついに、俺が津森 萌香になれるんだー!”
萌香の身体に自分の霊体を突進させる直前ー、
そんなことを叫びながら、俊平はいよいよ、自分の身体を萌香に
突進させたー
「ひっ…!?」
ビクンと身体が震えて、そんな声が漏れだすー。
「ーーへ…へへー」
すぐに、”生身の身体”の感覚が自分の中に流れ込んで来て、
俊平は憑依が成功したことを確信するー。
俊平は早速”挨拶代わり”に
胸を揉もうと、手を動かし始める。
しかし、その時だったー
「ーー大丈夫ですか?」
背後から、そんな声が聞こえたー。
憑依した時に「ひっ!?」と、洩れてしまった声を
聞かれてしまったのだろうー。
”そ、そうだー、そういうリスクを考えないとダメだったー”と、
憑依に成功した俊平は、そんなことを思いつつも、
”でもまぁ、憑依なんて誰も信じないだろうし、
いくらでも誤魔化すことはできるからな”と、
そう思いつつ、
「ーあ、えっと、うんーだいじょーーー…」
と、そう答えながら振り返ったー。
がーー
俊平は”ふたつ”のことに衝撃を覚えたー。
ひとつはー、
自分の口から発された声が、”自分の思う声”ではなかったことー。
もちろん、憑依に成功したのだから
”自分の声”が口から出るなどとは思っていない。
しかし、”萌香の声”でもなかったー。
萌香に憑依したのであれば、
今の自分の口からは萌香の声が出るはずなのだ。
なのに、自分の口から出たのは、
萌香の声ではなかった。
綺麗な声ではある。
ただ、萌香の声と比べると、
随分と”歳を重ねた”ー、
そんな風に感じる声だ。
それとー…
”大丈夫ですか?”と話しかけて来たその相手がー
”萌香”だったー。
「ーーえっ、つ、つ、津森さんー!?な、なんでそこにー!?」
自分が萌香に憑依したと思っていた俊平は
思わずそんな声を上げてしまうー。
自分が萌香に憑依していれば
”萌香から話しかけられる”ことなどあり得ないのだー
「ーーーえ…?
な、なんでってー…今日は生徒会の話し合いがあったのでー…」
萌香が戸惑いの表情を浮かべるー。
そんなことを聞いているのではないー。
”憑依”したはずなのに、なぜそこにいるのかを聞いてー…
もちろん、そんなことを萌香本人に聞けるはずはないものの、
そんな風に思っていると、
背後から別の声が聞こえたー
「ーー母さん…?どうかしたかー?」
とー。
「ーーえ…?」
その言葉に、萌香と話している最中だった
”誰かに憑依した俊平”が振り返ると、
そこには俊平の親友の源太の姿があったー。
「え…」
俊平は戸惑いながら自分の身体を見下ろすー。
すると、源太は
「おいおい母さんー、そんな顔してどうしたんだよ?」と、
そう言葉を口にしたー。
その言葉を聞いた俊平は、確信したー…
萌香と間違えて、
親友の母親に憑依してしまった、ということをー…。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
間違えて親友の母親に憑依してしまった…!
そんなお話デス~!!★
あまりにもうっかりなミスをしちゃった
俊平くんの混乱は、②以降で楽しんで下さいネ~!
今日もありがとうございました~!★!

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