魔王に憑依されてしまったリーア姫。
勇者ライルは、乗っ取られたリーア姫に
次第に精神的に追い詰められていくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーわたしが、わたしの手で、
王国を滅ぼしますー」
鏡の前でそう呟くリーア姫。
もちろんー
本人の意思ではない。
魔王に憑依されて、身も心も完全に掌握されているー。
「ーわたしは、魔王様のためなら、なんでもしますー」
クスッと笑うリーア姫。
今まで散々邪魔をしてきた姫に、
そう言わせることで、魔王は愉悦に浸っていたー
「ーー姫の身体を支配しー
この美貌と聖なる力は手に入れたー。
あとはー…」
リーア姫は笑いながら、部下の魔物を呼び、
着替えを持ってくるように命じるー。
「ーー勇者を味方につけてー
そしてー…」
この身体を使い、王国を支配するだけならたやすいー。
だが、魔族による”永遠の支配”を作り上げるためには
それだけでは足りないー
「ーーリーア姫よ…
お前の肉体ー…
徹底的に利用させてもらうぞー」
そう呟くと、リーア姫は不気味な笑みを浮かべながら歩き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーく…」
牢屋の中で拘束された状態のままのライルは
こんな状況でも”どうリーア姫を助けるか”
それのみを考えていたー。
自分の身よりも、
リーア姫のことを、案じ続けていたライルは、
足音に気づき、顔を上げるー。
「ーーククク…」
チャイナドレスを着たリーア姫が姿を現しー
挑発的に笑みを浮かべるー。
近くの台に足を乗せて、リーア姫の足を見せつけてくる魔王ー。
「ーーなんの…つもりだ…?」
ライルが怒りの形相でリーア姫の方を見つめるー。
「ククク…勇者よ。貴様も暇であろう?
お姫様のファッションショーを見せてやろうと思ってな」
リーア姫はそう言うと、チャイナドレスを脱ぎ捨てて、
部下の魔物に命じ、次の衣装を身に着けるー。
「ーふざけるな…!」
勇者ライルが怒りのまなざしでリーア姫を見つめるー。
「ーわたしがこんな姿をさせられているのはー
あなたのせいー」
リーア姫の口調をまねて、バニーガールの格好をした
姫が不気味に囁くー。
「ーふざけるな!!!いい加減にしろ!姫様の真似はやめろ!」
ライルが怒り狂ったように叫ぶー。
だが、リーア姫はそれを無視して、今度は巫女の服に着替えるー。
「ーーくくくく…わたしの姿を見て、興奮しているのですね?ライルー」
バカにしたような笑みを浮かべるリーア姫。
リーア姫が絶対に見せないような恰好を見て
勇者ライルの身体が反応してしまったー。
下心的なもので、リーア姫を見たことは一度もないー。
それなのにー
あまりの屈辱に「うあああああああ!!!」と雄たけびをあげるライルー。
自分に対する怒りもあったー。
蛇型の魔物に指示をして、
蛇を身体に巻き付けて、胸やアソコだけを隠した
妖艶な恰好のリーア姫がほほ笑むー。
「ーーー勇者ライルー。
わたしを救う方法が、ひとつだけあります」
リーア姫の真似をして笑う魔王ー。
「ーー…ふざけるな…!ふざけるな!ふざけるな!」
歯ぎしりをしながら何度も叫ぶライルー。
「ーーこの”伝説の剣”ー
これで魔王の魂を貫けばー
わたしを救うことができますー」
”伝説の剣”
その話は、勇者ライルも聞いたことがあったー。
人間を傷つけず、魔物のみを圧倒的な聖なる力で
なぎ倒すと言われている伝説の剣ー。
「ーーーククク ほら、取れよ。
我を姫から追い出すことができるんだぞ?」
蛇を身体に巻き付けたリーア姫が、牢屋の外で
伝説の剣を見せびらかすようにして、笑っているー
「ーどうしたのですか、ライル。
ここに剣があるのに…
わたしを、助けてくれないのですか?」
リーア姫が笑うー。
ライルのいる牢屋からは”伝説の剣”が
届かないことを理解しながら、
わざとリーア姫のふりをして、
勇者ライルを揶揄っているー
「ーーククククク
お前に姫を助けることはできないー」
リーア姫が笑いながら、蛇の頭をなでるー。
「ーこの身体はもう、完全に我のものだー。
くくく…ふははははははははは!」
笑いながら立ち去っていくリーア姫。
牢屋のすぐ外には”伝説の剣”
こんなに近くに伝説の剣があるのにー
こんなに近くにリーア姫がいるのにー
今のライルには
剣を手にすることも、リーア姫を助けることもできないー
「俺は…無力だー」
勇者ライルの心は、粉々に打ち砕かれていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーククク」
脱ぎ捨てた服を部下の魔物に預けるリーア姫ー。
”さてー…
そろそろ余興は終わりにするか”
リーア姫を支配した魔王は、ここの中でそう呟くと、
”すべてを支配するため”の行動を、
ついに実行に移したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
眠りについていた勇者・ライルがいる牢屋の扉が開くー。
ライルが目を開けると、
そこには、いかにもエッチなことをするためだけに
作られたかのようなー
そんな服装のリーア姫が牢屋の中に入ってきていたー。
「ーーなっ…?」
勇者ライルが戸惑っていると、リーア姫は
突然勇者ライルの身体を触り始めたー
「ーーククク…姫様に誘惑されて、耐えられるかな?」
リーア姫が甘い声、甘い表情で勇者ライルの方を見つめるー
「…ひ、、姫!お、、お願いですから!目を覚ましてください!」
勇者ライルが悲痛な叫びをあげるー。
だがー、
リーア姫は有無を言わさず、勇者ライルの大きくなった
肉棒を口に咥えて、勇者ライルを気持ちよくし始めたー。
「どう?ライル?気持ちイイでしょ?」
甘い声を出すリーア姫ー
今、目の前にいるのは
”魔王に憑依されたリーア姫”であって、リーア姫ではないー
そんなことは分かっているー
でもー
「ーーふふふ」
リーア姫が、手から聖なる光を出すー。
リーア姫の使う、慈愛に満ちた回復魔法ー
回復魔法に包まれたリーア姫の手が
勇者ライルのアレを刺激するー
「んっ…く、、はぁぁあ…」
勇者ライルは必死に耐えようとしたー
姫の前で、こんなー。
リーア姫は、さらに口のあたりに回復魔法を纏わせるとー
口と回復魔法のコラボで、ライルの肉棒を
刺激しようとしたー。
あまりの気持ちよさに
このままではーーー
勇者ライルは、魔王に憑依されたリーア姫に
欲望に突き落とされる一歩手前でーー
踏みとどまったー
「うああああああっ!」
勇者ライルがリーア姫を突き飛ばすー
そしてー
「しまっ…!」
リーア姫が表情を歪めるー。
牢屋の扉を開けたままにして中に入ってきていたリーア姫ー。
勇者ライルが牢屋から飛び出しー、
先ほど、リーア姫が牢屋の外に置いた伝説の剣を手にしてー
「ーーがっ…!」
勇者ライルは、リーア姫の身体をその剣で貫いたー。
「ーーあ、、、あぁ…うぐああああああああああ!!!!」
リーア姫が悲鳴を上げて、身体から紫色のオーラが
噴き出しー、消えていくー。
気を失うリーア姫。
慌てて駆け寄る勇者ー。
目を覚ましたリーア姫は怯えた表情でライルを見つめると、
すぐに、”自分がライルに助けてもらった”ということを理解して
「ライル…本当にありがとうございました」と、頭を下げたー。
直後ー
リーア姫は自分がエッチな恰好をしていることに気づき、
悲鳴を上げたー。
苦笑いする勇者ライルー。
ギリギリのところで、ライルはリーア姫に憑依している
魔王を打ち倒し、リーア姫を救ったのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
城に帰還したリーア姫ー。
魔王を失った魔物は、魔王城に閉じこもり、
人間に危害を加えることはなくなったー。
魔王と内通していた宰相のウィンドルは、リーア姫の命により失脚、
王国で罪人として投獄されたー。
そしてー
リーア姫は勇者ライルとの結婚を発表ー、
王国内は祝福一色に包まれたー。
そんな、ある日ー
地下牢に投獄されていた宰相ウィンドルの元を
リーア姫が訪れたー。
「ーーひ、、姫様…」
すっかりやせ細った宰相ウィンドルが
リーア姫の方を見て呟くー。
「ーーーーふふふ」
リーア姫は、宰相ウィンドルに向かって、光る手をかざすー。
リーア姫の聖なる力による回復魔法だー。
投獄生活で弱っていたウィンドルの身体に
力がみなぎっていくー
「ひ、姫様…?」
宰相ウィンドルは少しだけ嬉しそうにしながら
リーア姫の方を見るー
だがー
リーア姫は、目を赤く光らせていたー
「ーーひっ!?」
驚く宰相ウィンドルー
「ーククク、バカなやつらだ。
姫は今も我に乗っ取られたままー」
リーア姫が低い声で呟くー
「な、、ゆ、、勇者が伝説の剣で、魔王を倒したと…!」
宰相ウィンドルが言うと、リーア姫は笑ったー
「ー我の目的は貴様ら人間を完全に支配するために
勇者・姫・魔王、この3つの血を引き継いだ
悪魔の子を産むことー
そのためには、乗っ取った姫の身体で勇者との子供を
出産する必要があるのだー。」
リーア姫の言葉に、
宰相ウィンドルは震えるー。
そのために、魔王は”あえて”油断して倒されたフリをしたー。
わざと牢屋の前に置いておいた”偽物の伝説の剣”で、
勇者ライルに攻撃されて”消滅したフリ”をしたのだー。
実際には、魔王がリーア姫の記憶を読み取り、
リーア姫に成りすましているだけー。
”命を救ってくれた勇者と結婚するー”のであれば、
勇者も、周囲も誰も不審に思わないー。
全て、魔王の計画通りー。
「ー宰相ウィンドルー
貴様は、我と内通し、我に姫の身体を提供したー。
故に、姫に我が憑依している貴様を始末する必要もあったー。
そのためにも、こうして、”正気を取り戻した姫”のフリをして
王宮に戻る必要があったのだー。」
リーア姫の冷たい口調に、宰相ウィンドルが悲鳴を上げるー
先ほどからずっと回復魔法をかけ続けられている宰相ウィンドルの身体に
異変が起き始めたー
「あ、、、…ァ…??」
宰相ウィンドルの身体がどんどん活性化して、
身体が急激な回復に追い付かなくなるー。
「ー知ってる?わたしの聖なる力も、浴びすぎれば毒になるのー。
ふふふ…人を救うはずの力が、凶器になるのー」
どんな良薬も、使い方を間違えれば毒となるー。
リーア姫の聖なる魔法も同じー。
リーア姫が”ちゃんとした使い方”で使うからこそ、
人々を癒し、守ってきたー
「ーほら、、ウィンドル、
ずーっと、回復魔法を浴びてる気分はどう??」
リーア姫が凶悪な笑みを浮かべながら言うー。
「あ、、、、ぁ、、、、ぁ…ぁあぁあひぃぃぃ」
身体が溶け始める宰相ウィンドルー。
「ーくくくくくく
我はリーア姫の身体で勇者との子供を産むー。
我が魔王の血と魂も継承した、
貴様らの王国を血に染める赤ん坊を、なー。
我はその母として、共にこの王国を、
人間を、血に染めるのだー!」
リーア姫の言葉が宰相ウィンドルに届いたかは分からないー。
ウィンドルは、溶けて骨になり、そのまま消滅したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー姫様は思ったよりも積極的なのですね」
勇者ライルが、笑いながら呟くー
姫と、一勇者、立場の違いからか、
今でも気を使い、勇者は敬語で話すことが多い。
「ー”王国の女王”って立場でも、神様じゃないし、
一人の女であることには変わりないから」
勇者ライルとの夜のお楽しみー。
リーア姫は思った以上に積極的で激しくー
勇者ライルは戸惑いと同時に、うれしさも感じていたー
「ー早く、勇者の子が欲しいしー」
リーア姫がボソッと呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・
それからしばらくしてー
リーア姫の妊娠が判明したー。
リーア姫は、おなかを触りながら微笑むー。
「ーー喜べ愚かな民衆どもー
我が出産したときがー
貴様らの、悪夢の始まりだー」
邪悪な笑みを浮かべるリーア姫ー。
勇者もー
民衆もー
これから始まる悪夢を、まだ、知らないー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
王国に待ち受けるのは恐ろしい未来…!
に、なりそうですネ~!
お読みくださりありがとうございました!!
コメント
ここの作品では希少な久しぶりのファンタジー異世界モノ、とても楽しませてもらえました。
先行きが不穏すぎるダークな結末が素晴らしいです。この続きとかも見てみたいですね。
ところで、ここのファンタジー異世界モノって、勇者、魔王、姫とかみたいな、特別な立場のキャラがメインの話が多いですよね?
さらにいうと、世界征服とかみたいなスケールの大きな話が多いです。
たまにはまた別のファンタジー異世界モノが見てみたい気がしますね。なんというか、普段、主にやってるような方向性の話の、ファンタジー異世界版みたいな感じの(もちろん、魔法とか魔物とか、ファンタジー異世界的な要素を加えたモノで)。
メインのキャラが勇者とかじゃなくて、町人とか村人、冒険者とかみたいな一般的な人だったりしたら、かなり新鮮だと思うのですが。
コメントありがとうございます~!
確かにファンタジー世界を舞台とした
「普通の人たち」のお話がなかったですネ~!
面白そうなので前向きに考えてみます☆!!