海から突如出現した、
触手型寄生生物ー。
人類は、抵抗も空しく、海の周辺を完全に支配されてしまうー。
それでも生き延びていた人々ー。
けれど、社会科見学中の学生たちを触手の魔の手が襲うー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
資料館の中のトイレから侵入した
触手型寄生生物によって、資料館に憑依していた
生徒・教職員たちは大パニックに陥っていたー。
「今はとにかく逃げるんだ!」
そう言葉を口にしながら、礼司が、
彼女である紀香の手を引っ張ると、
紀香は目に涙を浮かべながら
「海の周辺に行かなきゃ、安全なはずじゃなかったのー!?」と、
そう言葉を口にするー。
「ー分からないー。そうは言ってたけどー…でもー」
礼司は表情を歪めるー。
実はー”こういう事例”は世界的に見れば初めてではなかったー。
既に下水など、そういった場所から触手が侵入して
被害が出ている地域も存在しているー。
が、各国はそれを”隠蔽”したー。
何故なら、”陸地でも触手の脅威がある”と、分かってしまったら
全世界が大パニックになってしまうのが
目に見えているからだー。
触手型寄生生物の脅威と、
世界規模の大パニックー。
それが同時に起きてしまったら、
今度こそ、収拾がつかない状態になってしまうー。
だからこそ、”隠蔽”を続けていたー。
「ーーー!」
触手がマンホールから飛び出してきて、
それが、紀香の足に巻き付くー。
「紀香!」
「ーーれ、礼司くんー!」
紀香が目に涙を浮かべながら声を上げるー
口からー、いや、口じゃなくても体内に侵入されたら終わりだー。
礼司は、幼馴染の愛梨を奪われたばかりの状況で、
紀香まで奪おうとする触手に激しい怒りを燃やしていたー。
「ーーふざけんじゃねぇー!」
礼司はそう叫ぶと、紀香に巻き付いた触手に飛びつくー。
何度も何度も触手を殴りー、
紀香に侵入しようとした触手を思いっきり振り払うー。
そうこうしているうちに、自分自身も触手に
巻きつかれてしまい、ピンチに陥ってしまうー。
紀香は泣きながら「もう、十分だよー」と、
そう言葉を口にするも、礼司は決してあきらめなかったー。
”ふざけるな”
とー、そう叫んで、
「俺はまだこんな気色悪いやつに乗っ取られたくねぇ!」と、
そう言葉を口にするとー、
礼司は自分でも信じられないような、
そんな行動に出たー。
自分に巻きついている触手に思いっきり
噛みついたのだー。
触手にとっても、
不意打ちだったのだろうかー。
巻きついていた触手から体液のようなものが溢れ出て、
礼司は放り投げられてしまうー。
がー、それと同時に紀香を拘束していた触手も
苦しそうに一旦下がっていくー。
「ーーーぁ…」
死ー…”乗っ取られること”を覚悟していた紀香は
自分の拘束が解けたことに、一瞬驚いたような表情を浮かべながらも
すぐに立ち上がると、
触手に噛みついて投げ飛ばされていた礼司に駆け寄るー。
「礼司くんー!」
そう叫ぶ紀香ー。
礼司もすぐに紀香に気付くと、
「よかったー」と、そう言葉を口にしてから、よろよろと立ち上がって、
紀香と一緒に移動を始めるー。
触手の怪物が蠢いているー。
人々の悲鳴がどこからか聞こえて来る中ー、
紀香は怯えた表情を浮かべると、
礼司は「この辺はもうダメだー」と、そう言葉を口にするー。
「ーで、でもー…」
紀香は、クラスメイトや先生たちを見捨てられない、という様子で
「他のみんなと合流した方がー」と、そう言葉を口にするー。
しかし、仮に来た道を引き返しても、みんなが無事である保証なんて
どこにもないー。
”身体”が無事である可能性は確かに高いけれど、
”それだけ”だー。
そこにいる先生やクラスメイトたちは
”もう”礼司や紀香が知っているクラスメイトたちでは
無い可能性の方がずっと高いー。
「ーーー…」
紀香は心配そうに、来た道を見つめていたものの、
礼司は「ここで立ち止まっていちゃダメだー」と、
そう言葉を口にすると、そのまま紀香と共に
移動を始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーふふふふふ♡
人間ー
隠れても無駄よー?
出て来なさい!」
触手型寄生生物に”寄生”されてしまった
女子生徒が、そう言葉を発しているー。
資料館から逃げ遅れた生徒は、
ほとんどが”触手型寄生生物”に寄生されてしまい、
支配されてしまったー。
もう、逃げる道はないー。
「ーーーく、くそっー…
ーーーこ、ここは俺がなんとかするー」
柔道部の副部長を務めている男子生徒・乃木(のぎ)が
そう言葉を口にすると、
背後にいた気弱そうな男子生徒の中川(なかがわ)と、
ボブカットの女子生徒・南(みなみ)が、困惑の表情を浮かべるー。
「ーーな、なんとかするってー…どうするのー?」
不安そうにそう言葉を口にすると、
乃木は「ーへへー…俺が乗っ取られたやつらを引き付けるー。
だからお前たち二人で、外に逃げろってことさー」と、
自信満々にそう言葉を口にしたー。
そしてー
物陰から飛び出そうとした乃木は
少しだけ思い出したかのように立ち止まると、
「そういえばー、寄生されたやつらー」と、そう言葉を口にしたー。
「ーー寄生されたやつらーー…唇をよく舐めてるー」
そう言葉を口にする乃木に対して、
身を隠している二人は「どういうこと?」と聞き返すー。
すると乃木は、”寄生したやつらの癖なんだろうよー”とした上で
寄生されたクラスメイトや、先生たちが
時々唇を舐めるような仕草をしているのが目についたー、と
そう言葉を口にしたー。
「ーー…本当にー?」
ボブカットの女子生徒・南が不安そうに言うと、
「へへー間違いねぇよー。俺は人間観察が趣味だからなー」と、
そう呟くー。
そしてーー
「ーーじゃあなーここは俺に任せろー行け!」と、
そう叫ぶと、男子生徒・乃木は近くに落ちていた棒を手に
「うおおおおおおおおおお!」と、寄生された生徒たちに
向かって走り出したー。
「ーー乃木くんー!」
ボブカットの女子生徒・南は悲しそうに声を上げるも、
気弱そうな男子生徒・中川は、
「ー乃木くんの想いを無駄にしちゃだめだよ」と、
そう言葉を口にして、一緒に資料館の外に向かって
走り始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
触手型寄生生物の陸地への進出ー。
海の周辺を完全に我が物とした
触手型寄生生物は”当然”ー、それだけで満足するつもりなどないー。
地上の人間を完全に支配し、
この星の支配者は誰なのかを、宇宙に誇示しようと、
そう思っているー。
「ーーこっちだー」
礼司は、彼女の紀香と共に路地を抜けていくー。
すると、その先には、海が見える場所が広がっていたー。
「ーー!」
紀香が不安そうな表情を浮かべるー。
礼司も「海ー」と、それだけ呟くと、
その先に、幼馴染である愛梨の姿が見えたー。
「ーー!」
しかし、愛梨は先ほど、資料館に向かう途中で
触手型寄生生物に乗っ取られてしまっているー。
邪悪な笑みを浮かべながら”他の仲間”に指示を出している愛梨は、
もう、愛梨であって、愛梨ではないー。
がー、しばらく様子を見ていると、
やがて、愛梨が一人になり、
愛梨が浜辺から道路の方に向かって上がって来たー。
「ーーーーー」
紀香は、彼氏の礼司のためにも、愛梨を助けようと
一人飛び出したー。
「ー紀香!」
礼司がそう叫んで、後から紀香を追いかけるー。
「ーーあらーーまだ無事な人間がいたのー?」
クスクスと笑う愛梨ー。
そんな愛梨を見て、悲しそうな表情を浮かべると、
紀香は十分に距離を取ったままー、
「目を覚まして!」と、言葉を口にするー。
が、愛梨は笑いながら、
触手を自分の身体に巻きつけると、嬉しそうに触手を撫でながら、
「人間は、わたしたちの”器”になるのー
わたしたちに利用され続ける、器にー」と、
そう言葉を口にするー。
「ーわたしたちなら、人間よりも上手に、
地球の支配者になることができるー」
愛梨の言葉に、紀香は「そ、そんなことー」と
反論しようとするー。
しかし、乗っ取られている愛梨は、笑いながら
「人間は愚か」だと、そう断じたー。
「ー終わらない争いー、環境破壊ー、
地球はー、数十億年の後には、膨張する太陽に飲み込まれて
死の惑星になるー
いずれは終わる運命ー
でも、今のままじゃ、それよりも先に、人間が地球を壊すー
だから、わたしたちが人類を支配して、
新たな地球の支配者となるのー
絶対に、”人間”よりも、上手く、地上を支配できるからー」
愛梨はクスクスと笑いながらそう言葉を口にすると、
礼司が「紀香ー」と、心配そうに、紀香の手を
掴もうとしたー。
がー、
その時だったー
「ーーーダメ!!!」
別の方向から、声がしたー。
資料館から逃げ出した女子生徒・南の姿が
そこにはあったー。
ここまでたどり着く途中で、一緒に逃げていた
気弱な男子生徒・中川も触手の餌食になってしまったものの、
彼女だけは何とか、この場所までたどり着いていたー。
「ーーみ、南さんー…だ、ダメってー?」
紀香がそう言葉を口にすると同時に、
彼氏の礼司が紀香の腕を掴んだー。
「えーー…礼司くんー?」
紀香が不安そうに言うと、
女子生徒の南が叫んだー
「彼ー、唇を舐めてる!」
とー。
「ーー!」
紀香は、礼司のほうを見つめるー。
礼司の唇は妙に乾いていて、
礼司は繰り返し、自分の唇を舐めるような、
そんな仕草をしていたー。
「ーーーーど、どういう…ことー?」
紀香が、不安そうに呟くと、
逃げて来た南は、犠牲になった男子生徒・乃木から伝えられたことー、
”触手型寄生生物に寄生されて乗っ取られている人間は唇を舐める癖がある”
と、いうことを伝えたー。
その直後ー、彼女の背後から別の触手が襲い掛かり、
彼女の口の中に触手が侵入していくー
「み、南さん!」
紀香が叫ぶー。
それと同時に、礼司はニヤリと笑みを浮かべると、
「安心しろー紀香もすぐに仲間にしてやるー」と、
そう言葉を口にしたー。
礼司は、”紀香”を仲間にするため、
仲間たちがたくさんいるこの場所に紀香を”誘導”していたのだー。
「ど、どうしてー…いつの間にー」
紀香が震えながら言うと、
礼司は紀香の腕を掴みながら言ったー。
「こいつが俺たちに”噛みついた”ときだよー」
とー。
「ーーー!!」
紀香は、表情を歪めるー。
紀香が触手に捕まってしまったあのときー
礼司は、紀香を助けるために、触手に噛みついたー。
あの時、触手を撃退できたように見えたものの、
実際には触手を撃退することはできておらず、
逆に、触手の一部が分離されて礼司の中に
入り込んでしまい、礼司はあの場で乗っ取られてしまっていたのだー。
「ーー大丈夫だよ紀香ー。そんな心配する必要なんてないー」
礼司はそう言うと、
反対側にいる、既に乗っ取られている愛梨も、
笑いながらその様子を見つめているー
「ーれ…礼司くんーお願い、目を覚ましてー」
紀香が涙目でそう呟くー。
「ーーーへへへへー俺は正気だぜ?」
礼司が笑いながら言うと、
紀香は「礼司くんから出て行って!」と、礼司に寄生しているであろう
触手型の寄生生物に向かって言い放つー。
それでも、礼司はニヤニヤしたままー
「礼司くんから出て行って!化け物!!」
紀香がそう叫ぶと、
礼司は紀香をグーで殴りつけたー。
「ー人間の癖に、うるさいやつだー」
それだけ言うと、殴られて震えている紀香に対して
礼司はゆっくりとキスをしようとするー。
「ー早く”仲間”になろうぜーそうすりゃ、お前も楽になるー」
礼司は紀香にキスをして、体内で分離させた
触手型の寄生生物を紀香の身体の方にも移していくー。
もがいていた紀香は、やがて立ち上がり、
笑みを浮かべるー。
「ククククーーこれが人間の身体ー」
紀香は嬉しそうにそう囁くと、
礼司と愛梨のほうを見て笑うー。
この日ー…
触手型の寄生生物はさらに”勢力”を広げたー。
封鎖区域が増え、人類は
さらに、さらに、追い詰められていくのだったー
おわり
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コメント
「触手に囚われし者」の続編でした~~!!
どんどん人類側がピンチになって行っている…
そんな気がしますネ~★!
お読み下さり、ありがとうございました~~~!!
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