使用済みマスクの出品を続ける
”憑依された女子大生”ー
本人が自覚しないまま、
彼女は”身体”を悪用されていく…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーふふふふふふふ…」
憑依された女子大生は、
メイド服姿で誘うような挑発的なポーズをしながら
自撮りを続けているー。
「ーへへへ…これとかエロイじゃんー」
見た目からは全くイメージのつかないような口調で
そう呟くと、
彼女は、その自撮りを躊躇することなく
ネット上に上げていくー。
もちろん、”自分の意思”で、
自分のコスプレ写真をネット上に上げていく人間はいるし、
本人が自分で納得しているのであれば、
それはそれで、何も問題はないー。
だがー
この女子大生の場合は、そうではないー
コスプレ趣味なんてないし、
自分の写真をネットに上げるなんてことを
普段はしたこともないー。
しかし、今の彼女は
メイド服を着て、嬉しそうに自撮りして、
ニヤニヤしながらそれをネットに載せているー
「へへへへ…たまんねぇな…このポーズ…」
自撮り写真を満足そうに見つめながら、
自分の写真で興奮した彼女は
”マスク出品してます”という宣伝ツイートと共に、
自分の自撮りツイートを混ぜて
男たちを誘惑していくー
「ーくっくくくく…」
彼女は、身体を知らない男に乗っ取られていたー
”憑依能力”を持つ男に身体を乗っ取られー
自分の意思とは関係なくメイド服を買いー、
自分の意思とは関係なく自撮りをしてー
自分の意思とは関係なく、ネットにそれを載せて、
さらには使用済みマスクの販売までさせられていたー。
しかも、その彼女に自覚はないー。
翌朝ー
彼女は眠そうな目をこすりながら、
自分の通う大学へとやってきたー。
”憑依されている自覚”がないままー。
昨夜ー
自分がメイド服を着たこともー
自撮りをしたことも、
自分自身が使用済みマスクの出品をしていることも
何も、覚えていないー。
”クククーいつも夜は楽しませてもらってるぜー”
彼女に憑依している男は、彼女の中で笑みを浮かべているー。
明るいうちはー
”彼女の中”で寝ていることが多いー。
彼はー
憑依薬を使った際に、自分の身体を失ってしまったー
今や、本体は”霊体”の状態ー。
最初はただ、”遊び”のつもりだった彼はー
”自分の身体を事実上失った”ことに
最初は驚いたものの、
すぐに”別にクズな俺の身体なんていらねぇじゃねぇか”と、
開き直ったー。
そして、今では”使用済みマスク”を売り捌くことに
快感を覚えているー。
”男の自分ではありえないこと”に、
優越感を感じー、
ついでに遊ぶための金を手に入れているー。
特に、彼のような男の場合、
使用済みマスクを出品しても、絶対に売れるわけがないのだー。
それがー
”この身体なら、売れまくるんだから、たまんねぇよなぁ”
何も知らない彼女の中で、男はそう思うと、
静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「おはよ~!」
智香が幼馴染の瀬奈に声を掛けるー。
最近”寝落ち”に悩まされているのに
”寝不足”が続いている瀬奈は、
今日もとても眠そうにしていたー。
「ーーあ、おはよう…」
瀬奈が眠そうにそう返事をすると、
智香は「大丈夫?」と、心配そうに瀬奈のほうを見つめたー
「ーーう~ん…昨日も寝落ちしちゃってー
でもやっぱり、何だか身体が疲れてて」
その言葉に、智香はさらに心配そうな表情を浮かべるー。
「ーーーやっぱり1回、病院で診てもらった方がいいんじゃない?」
智香がそう呟くー
瀬奈は「うん…」と言いながらも、不安そうだー。
「ー寝落ちって…急に倒れたりとか、食べてる途中に
寝落ちしてるとか、そういうことじゃないよね?」
智香が言うと、瀬奈は「うんー…そう言う時は大丈夫だけど」と、
不安そうに返事をするー。
瀬奈によれば、
寝落ちするのはスマホを見ながらゴロゴロしている時や、
本を読んでいる時、何もせずにのんびりしている時ー、
などだというー。
「ーー…そっか~…それなら病気って感じはあまりしないケド、
疲れが取れないのは気になるね…」
智香がそんな心配を口にすると、
瀬奈は、戸惑いながら頷いたー。
「ーーわたしにできることがあったら何でも相談してー!
まぁ、…お医者さんじゃないから、
大したことできないかもしれないけど」
智香がそう呟くと、
瀬奈は少しためらってから
「今度ー…わたしの家に来てくれないかな?」と、
恥ずかしそうに呟くー
「え?瀬奈ちゃんの家に?」
智香がそう返事をすると、
瀬奈は少しだけ気まずそうに
「あの…わたしがちゃんと寝ているか、見ててほしくてー」と、
無謀なお願いをしたー
つまりー
”わたしの家に来て、智香は寝ないでわたしの様子を見ていて”という
ことになってしまうー。
しかし、そんなことを理解しながらも智香は「うん!わかった!いいよ!」
と、快く返事をすると、スマホで自分のスケジュールを確認しながら
「来週の土曜日なら空いてるけど、どう?」と笑うー。
「ーあ、うんー…で、でも、そのー」
申し訳なさそうにする瀬奈に、智香は
「瀬奈ちゃんに助けてもらったこともあるし、いいのいいの!」と、
笑みを浮かべたー
小さい頃から、智香が、瀬奈のことを助けるほうが多かったものの、
瀬奈も、それなりに智香を助けたりしているー。
宿題を忘れた智花にノートを見せたりー、
勉強が得意な瀬奈が智香に勉強を教えたりー、
瀬奈なりに、恩返しを智香にしてきたつもりだー。
智香は、”友達同士なんだから、助け合って当然だし、わたしも心配だし!”と、
申し訳なさそうにする瀬奈に対してそう言い放つと、
”来週の土曜日”に瀬奈の家に行く約束をして、
そのまま立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーねぇ、これ、うちの大学の生徒じゃない?」
智香の彼氏・翔貴が、昼休みに廊下を歩いていると、
ふと、そんな声が聞こえて来たー。
女子同士が、自動販売機近くのスペースで
スマホを見ながら何やら話をしているー。
”あ、ホントだー…これ…うちのー…”
相手の女子がそう呟くー。
別に聞くつもりはなかったが、
自動販売機でジュースを購入しようとしていた
翔貴は、そんな会話の全貌が聞こえてしまったー
どうやら、最近
オークションに”使用済みマスク”を大量に出品している
女子大生が”うちの大学の生徒なのではないか”という
話だったー。
聞けば”コスプレ自撮り写真”の隅っこに
”うちの大学で配布されたもの”が、わずかに写っているのだとかー。
「ーーえ~…でも、麻帆(まほ)の勘違いじゃないの~?」
「ーーそんなことないよ~!ほら、ここにあるし!樹奈子(きなこ)
ちゃんにも見えるでしょ!」
自販機からジュースを取り出しながら、
翔貴はそんな会話を耳に入れるー。
その場にとどまる理由もなかったし、
それ以上、会話を聞くことはできなかったがー
”使用済みマスク大量出品の女子大生”は
うちの大学の生徒なのではないか、という言葉が
妙に引っかかっていたー。
そしてー
この前、智香とマスクの話題で話をした時に、
智香が妙にソワソワしているのが
気になっていたー。
「ーーまさかなー」
別に、犯罪を犯しているわけではないー。
そうは思いつつもー
”自分の彼女が使用済みマスクを大量出品するような女の子だったら嫌だな”と、
翔貴は思っていたー。
改めて、その女がツイッター上に公開している、
”自撮り”の写真を確認するー
顔は映っていないがー
確かにー…
何とも言えないー。
これが”智香”だと言われれば、
そんな気もするし、
違うような気もするー
「ーいや…何を考えてるんだ俺はー
智香がやってないって言ってるんだー
疑っちゃだめだろー」
自分に言い聞かせるようにそう呟くと、翔貴は
そのまま心配そうに、表情を曇らせたー。
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”女子大生”を自称する女による
マスクの出品は続くー。
ツイッターの写真からも、
女子大生であることはほぼ間違いないー。
だが、その正体は依然として
不明のままだったー。
”憑依されている女子大生”による使用済みマスクの出品は
本人に自覚がないまま、行われているー。
何も知らない彼女は、
今日も、普通に大学に足を運びー
まさか”自分が”そんなことを
させられているなどとは、夢にも思っていないー。
智香の彼氏・翔貴が、使用済みマスクの話をすると、
智香の会話の歯切れが悪くなることを気にする日々が続く中ー、
その智香が、”最近寝落ちすることが多くなり、寝ても疲れが取れない”
幼馴染の友人・瀬奈の家に遊びに行く約束の日ー
”土曜日”がやってきたー。
時刻は夕方ー。
”夜”瀬奈が寝ている間に異変がないかどうかを
確認するー、という目的があるため、
午前中からではなく、日没近くの時間になってから
智香は瀬奈の家にやってきたー。
瀬奈は、家に智香を招き入れると同時に、
瀬奈は申し訳なさそうに、智香にお詫びの言葉を口にするー
「いいのいいの。明日も休みだし、
瀬奈ちゃんとは、昔からの付き合いでしょ!
瀬奈ちゃんが困ってるならー、力になるよ」
智香は笑いながらそう言うと、
ひとまず、久しぶりに遊びに来た瀬奈の家を
興味深そうに見つめるー。
そうこうしているうちに、晩御飯の時間になり、
瀬奈は、智香が心配してくれているお礼に、と
得意な料理を振る舞ってくれたー。
「ーーー瀬奈ちゃんの料理って、本当に美味しいよね~!」
微笑みながら、瀬奈が作ってくれた料理を口に運ぶ智香ー。
瀬奈は嬉しそうに「ありがとう」と言いながらも、
”いつも寝落ちすることが多い”夜が近づいてきたからだろうかー。
その表情には、不安の色が浮かび上がっていたー。
晩御飯を終えると、二人は順番にお風呂を済ませてー
やがてー、
瀬奈は眠そうにウトウトし始めたー
智香と瀬奈は、事前に話し合いをして、
”瀬奈が寝落ちしても、あえて声はかけない”ことにしているー
”寝落ちすることが多く、寝ても疲れが取れない”
そう悩んでいる瀬奈の”悩みの原因”を知るためには、
寝ている間の様子を確認する必要があったー。
「ーーーーーすー…」
瀬奈が穏やかな寝息を立てて、
机に座ったまま、眠りにつくー。
「ーー(瀬奈ちゃん、寝ちゃったー)」
智香はそんな風に心の中で呟くと、
スマホをいじりながら、瀬奈の様子を
時々見つめるー。
彼氏の翔貴と連絡のやり取りをする智香ー。
スマホを操作する智香の画面にはー
”オークション”サイトも表示されているー。
智香は、それを気にする様子もなく、
少しスマホの操作を続けると、
「ーあ」と、一瞬ハッとしたような表情を浮かべて
周囲をキョロキョロするー。
慌てて、”瀬奈ちゃんのこと、ちゃんと見てないとー”と、
思いながら、瀬奈のほうを見つめるとー
智香は「ーー!!」と、表情を歪めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー…へへへへへへ…」
今日も、男は笑みを浮かべるー。
女子大生の身体で、不気味な笑みを浮かべるー。
「ーへへへへ バカなやつらだぜー」
収入を得て、笑みを浮かべると、
”使用済みマスクに人が寄り付くような身体になったこと”に
優越感とゾクゾクを感じながら、
自分の唇を触るー
「へへへへ…金も手に入るしー
たまんねぇぜー」
その容姿とは不釣り合いなセリフを口にして
女子大生は、クスクスと一人、笑い始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
「あ、おはよ~!」
瀬奈がいる隣の部屋で、既に目を覚ましていた智香は、
瀬奈が起きたことに気付いて、微笑みながら挨拶の言葉を口にしたー
「おはよう…昨日、どうだったー?」
眠そうにしている瀬奈が、智香にそう確認するー。
寝落ちが増え、寝ているのに睡眠不足に悩んでいる瀬奈ー。
そんな瀬奈に対して、
智香は少しためらってから、ようやく口を開き、言葉を発したー。
③へ続く
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コメント
憑依されて、使用済みマスクを売る行為を繰り返している
女子大生の運命は…?
次回が最終回デス~!
今日もありがとうございました~!
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