”1週間先まで未来が分かる”
そんなアイテムを手に入れた女子大生は
事前に未来を予測し、悪い未来は”自分の行動を変えること”で回避、
無敵の人生を堪能していたー。
しかしー…?
※作品の性質上「ジャンル」(憑依なのか入れ替わりなのかその他なのか)を
事前に明かせないタイプの作品デス
一体何が起きるのかを含め、お楽しみください~!
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大学に通う、間宮 亜咲美(まみや あさみ)は、
今日もご機嫌だったー。
「亜咲美ってば最近なんかツイてるよね~」
友達の鈴(すず)の言葉に、亜咲美は「そんなことないよ~」と、
笑いながら微笑むー。
ここのところー
亜咲美は周囲から見ても良いこと続きだー。
亜咲美はとても可愛らしい容姿の持ち主である一方で、
”どこか抜けている一面”があり、
うっかりミスをしたりすることも多い子だったー。
だが、最近はその”うっかり”が無くなり、
”いいこと続き”の日々を送っていたのだー。
鈴と雑談をしながら亜咲美は昼食を済ませるために、
食堂へと足を運ぶー。
「わたしは何を食べよっかな~」
鈴が座席に座ったのを確認すると、亜咲美も同じテーブルの席に
座ろうとするー。
しかしー
その時だったー。
「ーーー!」
”ラーメンが服にかかる”と
亜咲美の脳裏に文字として浮かんできたのだー。
「ーーー鈴」
亜咲美が鈴の名前を呼ぶー
「え?」
「ーあっちの席にしない?」
亜咲美が言うと、鈴は不思議そうにしながらも
「え?う、うんーいいけど?」と呟くー。
座席を移動した二人ー。
移動後に昼食を食べながら
亜咲美は”元々自分たちが座っていた座席”のほうを見つめるー。
その座席には、既に別の男子生徒2名が座っているー。
そしてー
そこにラーメンを自分の座席に運ぼうとして歩いていた男子生徒が躓いてー、
座っていた男子生徒の服にラーメンがこぼれてしまうー
「あっちぃ!?」
叫ぶ男子生徒ー
そんな光景を遠目から見つめながら
亜咲美は”あぶなかったぁ…”と心の中で呟くー。
もしも、あの座席にそのまま鈴と座っていたら
今頃は亜咲美にラーメンがこぼれされていたー…
亜咲美は事前に”未来”を知り、行動を変えることで
その”未来”を変えたのだー。
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一人暮らしの亜咲美は、帰宅すると
ポケットに入れていた”石”を見つめたー
4か月前ー
亡くなった祖父の蔵を整理している際に見つけた
綺麗な光る石ー。
亜咲美はなんとなく”綺麗”という理由で
それを持ち帰っていたものの、
ある日ー
気付いたのだー
この石を持っているとー
”未来”を知ることができるー、
とー。
”漠然とした内容”しか分からないー。
だが、亜咲美はこの石を持っていると、
”1週間先”まで未来が分かることに気付いたのだー。
”その日の大きな出来事”
それが、脳裏に浮かび、”知る”ことができるー
例えばー
今はー
” ”
今日に関しては、特にもう何も浮かんでいないー。
これは、この4か月の経験上から、
”このあとは特に何も特筆すべき出来事がない”ということを
意味しているー。
つまりはー
いつも通りの1日になる、ということだー。
そしてー
”車の水しぶきでスカートが濡れる”
これは、明日の出来事ー。
確かに明日は雨の予報だー。
亜咲美はなんとなく”不幸体質”だったが、
こうして先の未来を知ることで、
それを変えることができるー。
亜咲美は”未来の出来事”がイメージできるようになった、
ということを知ると、
”あること”を試したー。
”未来を変えることができるのかどうか”
だー。
そして、それは”可能”だったー。
今日の昼もそうー。
脳裏に”ラーメンが服にかかる”と浮かんだ亜咲美は
すぐに座席を移動したー。
その結果、脳に浮かぶ”この先の出来事”が、
”ラーメンが服にかかる”から”ラーメンが服にかかる男子を見つめる”に
変わったー。
そうー。
この”光る石”はおぼろげながら未来をイメージすることが
できるだけではなく、
その未来を知り、行動を変えることで、未来を変えることも
可能なのだー。
亜咲美が石を握りしめたまま目をつぶるー
亜咲美の脳裏に”7つのイメージ”が浮かぶー
” ”
”車の水しぶきでスカートが濡れる”
”食べすぎで寝込む”
”風邪を引く”
”風邪が悪化して大学を休む”
”風邪が治る” ”友達の鈴に風邪がうつる”
” ”
”スマホを落として画面がひび割れ”
この先1週間の出来事が、亜咲美の中にイメージとして浮かぶー。
一番最初は”今日”の出来事ー
そして、その先の7項目が1日先、2日先、3日先、であることも
亜咲美は既に理解したー。
最初は色々手探りだったが、この数か月で
”光る石”の力を亜咲美は完全に理解していたー。
” ”
何も浮かばない日は、”普通の1日”であり、特筆すべきことは起こらないー。
5日先の
”風邪が治る” ”友達の鈴に風邪がうつる”は、
複数の特筆すべき出来事がある、ということを示している。
そして、これらの未来は、亜咲美が”本来、未来を知らない状態のまま行動したとき”に
そのまま起こることを示しているー。
しかしー
亜咲美が”未来を知った上で行動”を変えれば
未来を変えることもできるー。
「でもーーー」
亜咲美は”風邪を引く”という
3日後の未来として頭の中に表示されている文章を考えるー
「これは…なかなか消えないなぁ…」
昼間のラーメンのように、途中から急に文章が
表示されたりすることもあるが、
基本的にはそういったことは少ないー
目を閉じて、亜咲美は”風邪を引く”という未来を考えるー。
当然、この未来も7日前の時点で把握していたー。
”7日先”の時点から表示されていたからだー。
そのためー
うがいの回数を増やしたり、
色々試してみたが、
”風邪を引く”が消えることなく、
3日後にまで迫ってしまっていたー。
「やっぱ、アレかなぁ」
原因として考えられることを色々と対処したが
”風邪を引く”が消えないところを見ると、
亜咲美がこの数日で試したことは原因ではなかったー…
と、いうことになるー。
石を持った状態ー
あるいは身に着けた状態で、頭の中でイメージを浮かべると
7日先までの未来が”簡単な文章”ではあるものの、
浮かんでくるー。
”風邪を引くー”
この未来を打ち消すには、やっぱりアレしかない、
と考えた亜咲美は
「あ、こんな時間にごめんね」と、
彼氏である栄太郎(えいたろう)に電話をかけたー
”あ、うんー大丈夫だけど…どうしたの?”
栄太郎は、亜咲美の彼氏で、
心優しく、大人しいタイプの男子大学生だー。
去年の学園祭の時に色々と一緒に作業することが
多く、親しくなり、こうして付き合い始めたー。
「ーーーあのさ…明日、なんだけどー」
亜咲美は、栄太郎とデートする約束をしていたー。
”そのデート”こそが、3日後に風邪を引く原因なのではないかと
考えた亜咲美は、”本当は栄太郎とデートしたかった”けれど、
それをキャンセルしたのだー。
もちろんー
数日前から”デートが原因かなぁ”とは薄々感づいていたー。
だが、栄太郎とデートしたい亜咲美は
”風邪を引く”という未来が、それ以外の原因によるものだと
信じて、色々試してきたー。
しかしー
色々試してもその未来は消えずー
”やっぱ、明日のデートが原因なんだよね”と、諦めて
栄太郎に断りの連絡を入れたのだったー。
「本当に、ごめんねー」
栄太郎にそう言い放つと、亜咲美は
残念そうにしながらスマホでの通話を終えるー
そしてー
頭の中で未来を浮かべるー
するとー
” ”
”車の水しぶきでスカートが濡れる”
”食べすぎで寝込む”
” ”
”彼氏と喧嘩する”
” ”
” ”
”スマホを落として画面がひび割れ”
に、変わったー。
「ーーーあ」
亜咲美は表情を歪めるー
風邪関連の未来が全て消えたー。
つまり、デートをキャンセルしたことにより、
亜咲美は風邪を引くことはなくなったのだー。
しかしー
代わりに
4日後”風邪が悪化して大学を休む”だった未来が
”彼氏と喧嘩する”に変わっているー
「ーーあ~~~…」
亜咲美は表情を曇らせながら
「栄太郎と喧嘩なんてしたくないなぁ…」と、
どうにかその未来を回避する方法を考え始めたー。
けれどー
回避できない未来はないー。
色々試せば、いくらでもー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
亜咲美は”いつもとは違う道”を通って大学に向かったー
その結果ー
”車の水しぶきでスカートが濡れる”
という未来は消滅したー。
「ーーふ~…」
この力が無ければ、亜咲美は今頃スカートが濡れて
ブルーな気分になっていたのだろうー。
「ー…この力があれば、わたしは無敵かも!」
亜咲美はそんな風に思いながら、
充実した日々を過ごすー。
その翌日の
”食べすぎて寝込む”未来を回避するのは簡単だったー。
「間宮さんー
このあと、参加できるメンバーで、食事に行こうと思ってるんだけど、どうー?」
亜咲美が所属している文科系のサークルの中心的人物の
内堀 竜祐(うちぼり りゅうすけ)から、
そう誘われた亜咲美はー
”あ~…食べ過ぎってこれのこと”とすぐに理解したー。
「あ、うん!じゃあ、わたしも行くー」
”断れば”
確実に回避はできるだろうー。
だがー
”食べすぎにさえ注意すれば”
サークルの集まりに参加しても、問題は、ないー。
当然ー
”食べすぎ”の未来は消えたー。
さらに数日後ー
彼氏の栄太郎と喧嘩する未来も回避した亜咲美は、
栄太郎と楽しそうに雑談していたー。
その後の”スマホを落として画面がひび割れ”も
もちろん回避ー、
亜咲美はこの石のおかげで、
あらゆる危険を回避することが
できるようになっていたー。
だがー
”それ”は起きたー
” ”
”友達から思わぬプレゼントを貰う”
” ”
”自転車がパンクする”
”欲しかったものが手に入る”
”発売日決定”
” ”
”死”
「ーーーーえ」
亜咲美は表情を歪めたー。
7日先の出来事に、とんでもない出来事が浮かび上がってきたー
”死”
「ーーーは…?ちょ、ちょっと…?どういうことー?」
亜咲美は表情を歪めるー。
もしー
もしも、この力が無ければ
亜咲美は7日後に死ぬ…とでも言うのだろうかー。
全く意味が分からないー。
「でもー」
と、亜咲美はすぐに冷静さを取り戻すー。
この力があれば、
仮に亜咲美は7日後に死ぬのだとしても
回避することができるー
今までだって、回避してきたのだー。
亜咲美は、目を閉じて頭の中に浮かび上がる
文章を考えるー。
この力の欠点は”抽象的すぎる時がある”ことだー。
あまり具体的なシチュエーション・状況までは分からないー。
例えば、5日後の”発売日決定”もそうー。
亜咲美にとって関りのある出来事が表示されるということは
”わたしが楽しみにしているアレのことかな?”と想像はできるものの、
具体的な内容までは浮かんでこないため、”何のことなのか”は
自分の状況や行動から読み取っていくしかないー。
「ーー死ぬって言われてもなぁ…」
亜咲美は、原因を考えてみるー
7日後には、特に予定は今のところはないー。
交通事故かー
事件がー
病気かー
それとも、自然災害かー
「ーーーー…よし」
亜咲美は”一つ一つ対処していこう”と、頷くー
”7日後の死の運命ー”
それを回避するために、亜咲美は色々なことを
試し始めるのだったー。
②へ続く
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久しぶりの「ジャンルひみつ」系のお話デス~!
以前の「パンドラの扉」などと同じように
”何が起こるのか”はまだ秘密デス~!
色々想像しながらお楽しみくださいネ~!
今日もありがとうございました~!
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