マスクを利用して憑依する男は、
快楽の日々を送っていたー。
そんなある日、
男は”ある人物”と再会を果たすー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー茂美ーーー」
男は、思わず立ち上がったー。
偶然だったー。
ここ数年は一度も連絡も取り合っていない妹の茂美が、
どういうルートから手に入れたのかは知らないが、
ポゼッションマスクを身に着けているらしく、
その映像が映し出されていたー。
”わたし、あんたみたいな変態じゃないから”
妹・茂美の蔑むような目を思い出すー。
妹の茂美とは、非常に仲が悪く、
男が大学生になって家を出るまで、毎日のように
蔑まれていたー
目を合わせれば睨まれてー
口を開けば文句を言われるー
そんな感じの間柄だったー。
男は、前から”憑依”で女を乗っ取りたい!と公言しており、
妹の茂美から、嫌悪されていたのだー。
当然と言えば、当然だろうー。
そして、男は家を出る前ー
もう、5年以上前になるだろうかー。
その時のことを思いだす男ー
「ーやっとあんたが出て行ってくれてせいせいする」
当時、女子高生だった茂美が、実家暮らしを終える兄に向って
言い放った言葉ー
「ーーへへへ 俺は必ず憑依を実現させてみせるぜ」
男は、笑みを浮かべながら茂美に対してそう言い放つー
「はぁ?まだそんなこと言ってるのー?」
妹の茂美は、とても可愛らしい子だが、
性格が少しキツめでー、
このような言い合いは日常茶飯事ー。
いやー
違うのかもしれないー
友達に接しているときの茂美はとても穏やかだったー
兄である自分に対してだけ、きつく当たってきていたのかもしれないー。
「ーーそんなことできるわけないでしょ?頭おかしすぎ!」
妹の茂美に言われたきつい言葉を思い出すー。
「ーーははは 言いやがったな」
男は、笑いながら茂美のほうをまっすぐ見つめたー。
「ーもし俺が”憑依”の技術を作ることに成功したらー
まずは茂美に憑依してやるー」
そう言われた茂美はーー
「うわっ…ホントキモすぎ」と、少しだけ怯えた表情を浮かべながらも、
”憑依なんて絶対できるはずがない”と思ったのか、
玄関から出ていく直前の兄に向ってこう言い放ったー。
「ーあんたのそんなおかしな妄想は、
ぜ~~~~ったい、叶うことなんてないから!
この変態!」
とー。
玄関先で振り返った男は、笑いながら言ったー
「はははははは 憑依されたときに後悔しても、遅いぜ」
とー。
それが、妹・茂美との最後の会話ー。
それ以降、茂美とは一度も会っておらずー
会話もしていなかったために、
そんな話をしたことも忘れていたー。
家でのんびりと過ごしている茂美ー
今はー
大学生に進学したのならば、
大学生だろうかー。
男は静かに笑みを浮かべるー。
「ー茂美…ククク…お前は確か俺に”絶対叶うことはない”って
言い切ったよなー?」
男はそこまで言うと、
笑いながら機械のようなマスクを装着したー
「ーでもなぁ…残念!俺の夢は叶っちまったんだ!」
回転式の椅子を回転させて、モニターのほうを向くと、
茂美のマスクに仕掛けられているカメラの映像を確認するー。
「ーーさぁ約束通り、お前の身体も楽しませてもらうぞ、茂美ー…」
笑みを浮かべた男は、機械のようなマスクの横についたボタンを押してー
いつものように”憑依”を開始したー
「ーーーーっあっ」
ビクンと震える茂美の身体ー
「ーーぅ… あ…ふ…ふふふふふふ…」
茂美の身体の感触が伝わってくるー
「ーーはははは!茂美の身体だ…へへへへへ…
はははははははっ!
まさか本当に憑依されちゃうなんて、夢にも
思ってなかっただろうなぁ…!」
茂美に憑依することに成功した男は、
マスクの位置を調整してから、
鏡で茂美の顔を確認するー
「ーおや~?俺が実家にいたころよりも、
もっと可愛くなったんじゃねぇか?」
茂美の声でそう呟くと、
周囲をキョロキョロと見まわしたー
実家ではないー。
茂美も既に大学卒業間近な年齢になっており、
雰囲気的に一人暮らしを始めているのだろうー。
「ーーーへへへ 俺のこと散々バカにしやがって~
ほらほら、どうだ~茂美!
お兄ちゃんに憑依されて乗っ取られてる気分は~?」
茂美の声でそう言わせると、
ニヤリと笑みを浮かべながらー
「あ、あんたに憑依なんて…や、、やめて!」
と、茂美のフリをしながら呟いたー
生意気だった妹を屈服させているようなー
そんな気分になりながら、男はさらに続けていくー
「ーわ、わたしが、わたしが悪かったの…
お、、お兄ちゃん…ごめんなさい」
茂美にそう言わせて、支配欲を満たしていく男ー
憑依は、最高だー。
茂美のような生意気な妹でさえ、こうして
従えてしまうことができるー
「ーー本当にわたしに憑依するなんて…
お兄ちゃんのこと、見直しちゃった♡」
甘い声を茂美に出させるー。
茂美が、男のことを「お兄ちゃん」などと呼んでいたのは
随分小さいころまでだー。
最後の方は決まって「お前」「あんた」…
そんな呼ばれ方ばかりだったー。
その茂美が今、男のことを”お兄ちゃん”と呼んでいるー。
「ーーーーん?」
茂美が、近くのスマホに目をやるとー
”あと少しで到着するから”と書かれているメッセージの
存在に気づくー。
「ーーへぇ…」
スマホを確認するとー
どうやら、妹の茂美には彼氏ができていてー
彼氏がこれからやってくるようだったー。
茂美は返信を行うことができないまま
男に乗っ取られてしまったらしく「既読」の文字が
ついているだけー。
それを見て、
「ーーへぇ~~~へ~~~!ふふふふふふふふ」
と、茂美が邪悪な笑みを浮かべるー。
「ーー罰ゲーム…!
彼氏との仲を引き裂いてやるか~」
散々バカにされた”仕返し”だー。
実の妹の人生を壊すつもりはないがー
彼氏との間柄を引き裂くぐらいは
いいだろうー
そんな自分勝手なことを考えながら
男は笑みを浮かべるー。
「ーーさ~て…どうするかなぁ」
ニヤニヤしながら周囲を見渡す茂美ー。
急にエッチな恰好をして出迎えたら
彼氏は驚くだろうかー。
「ーー…って、そんなもんねぇか」
茂美は乱暴な口調でそう呟くと、ため息をついたー。
最近の茂美が、普段どんな振る舞いをしているのかも知らないし、
彼氏とどういう間柄なのかもわからないー。
だからこそー
茂美の身体でエッチな恰好をして出迎えればー
相手に与えるインパクトもすごいだろうー
しかしー
茂美の家に、男が望むようなエッチな衣装はなかったー。
「ーどうすっかなぁ~」
そうこうしているうちに、インターホンが鳴るー
「ーチッ!もう来やがったか まぁいい」
茂美とは思えないような口調でそう叫ぶと、
茂美は、”とりあえず”と、インターホンで応答して、
彼氏を玄関から出迎えたー
穏やかな笑みを浮かべた彼氏が入ってくるー
「お待たせ」
とー。
「ーー(ククク…さぁ、ショータイムの始まりだぜ)」
茂美が邪悪な笑みを浮かべているとー
だがー
突然背後から茂美は髪を引っ張られたー
「ーー!?!?」
邪悪な笑みを浮かべていた茂美の表情からー
一気に笑顔が消えるー
「ーーえ???な、、なに?」
茂美に憑依している男も、驚きながら
背後にいる彼氏のほうを振り向くと、
男は笑みを浮かべていたー
「今日はやけに素直じゃないか」
男が不気味な声で笑うー
「ーーー……!」
茂美は表情を歪めたー
「ーーお、、お前…い、、いや、か、、彼氏だよな?」
茂美のフリをするのも忘れて奇妙な言葉遣いで
そう言うと、男は笑みを浮かべたー
「彼氏?へへ、嬉しいねぇ
そう思ってくれていたのかい?」
男の邪悪な笑みー
茂美に憑依した男は、この男が”妹・茂美の彼氏ではない”と
悟るー。
「ーーな、な、な、なんだお前は!」
茂美が叫ぶと、
男はニヤニヤしながら言ったー
「なんだお前とはご挨拶だなー。
大学の仲間に向かってさぁ…
7回も告白したんだー
それで、君はやっと、俺のことを彼氏と認めてくれたんだろ?」
男はーー
茂美の彼氏ではなく、
茂美に付き纏っている大学の同級生だったー。
茂美が、この男からのLINEを”既読無視”していたのは、
返事をする前に、憑依されたからーではなく、
”意図的に”無視をしていたのだー
「な…なんだお前は…俺の妹に何をするつもりだ!」
茂美の身体で叫ぶー。
「ーーあ?」
茂美の家に上がり込んできた男が表情を歪めるー。
「ーー生意気な妹を屈服させるのは、お前じゃない、俺だ!」
茂美の身体で叫ぶ男ー。
”生意気な妹”とは言えー
このような、どこの誰かも分からないような
馬の骨みたいな男に、
何かをさせるわけにはいかなかったー
「ー(仕方がない 茂美を助けてやるか)」
茂美のマスクを調整するー。
マスクが外れてしまえば、憑依は解除されてしまうー。
「(ー護身術を習っていた俺を舐めるんじゃねぇぞ)」
男はー
”ポゼッションマスク”を作るだけが脳ではないー。
いざというときのために、身体づくりも欠かしていないのだー。
「ーーーーは、、ははははははははっ!
なんだなんだ急に?
まるで意味がわからないぞ!?
二重人格のフリか?あ?」
マスク越しに笑う男ー
未知の花粉症が流行している現在ー
外出にマスクは欠かせないー。
「ーーーお前が知る必要はない」
茂美はそう言い放つと、茂美に付き纏う男を
制圧しようとするー
「ーー俺の妹に付き纏ったのが、お前の運のつきだっtーーー」
!?!?!?!?
突然ー
茂美が倒れたー
言葉の途中でー。
茂美に付き纏っていた男は、
いきなり”別人のような振る舞い”をし始めた挙句ー
言葉の途中で倒れた茂美を見てー
困惑することしかできなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーーーーーー!!!!!」
男は、目を覚ましたー
自分の身体に戻ったのだー
「ーーなんだ!?」
男は思わず叫ぶー
マスクが外れてしまって憑依が解除されたことは
今までに何度もあったがー、
マスクが外れていないのに、憑依が解除されるとは
いったいー
男は、ふと、自分が身に着けている
”送信機”の役割を果たしている
機械のマスクが外れていることに気づくー。
これが外れたことにより、
妹・茂美への憑依が解除されてしまったのだー。
「ーー…く…」
連続憑依は体力を激しく消耗するがー
あの状況で妹を放っておくわけにはいかないー
そう思って、床に落ちている、機械のようなマスクを
拾おうとしたその時だったー
「ーー瀬本 洋一(せもと よういち)!」
「ーーー!」
マスクを使った憑依人・洋一は名前を呼ばれて驚くー。
「ーーー!?!? !?!?!?!?」
気づけばー
周囲に警察官が4,5人銃を構えて展開していたー。
自分のマスクが憑依中に外れたのはーー
妹・茂美に憑依している間に、自宅に警察官が
乗り込んできたためだったー。
「ーーー…なっ…!」
マスク憑依人・洋一が両手を上げるー。
「ーーー…ようやく見つけたぞー…」
警察官の一人が言うー。
各地で発生していた女性の奇行ー…
被害者の女性の共通点が”マスク”だと分かってー
その出所を調べていたところー
警察は、彼にたどり着いたのだー
「ーーーくっ…」
洋一は表情を歪めながら、モニターに表示している
映像を見つめるー
妹の茂美が、付き纏いの男に乱暴されている映像が
映っているー
「ーま、、ま、まてっ…!
あ、、あと1回だけー」
洋一はそう叫ぶー。
だがー
警察官は、聞く耳を持たずー
”マスク憑依人”である、洋一を逮捕ー
そのまま連行したー
「ーーくそっ…!くそっ!」
連行される最中ー
洋一は何度も何度も舌打ちを繰り返したー
マスク憑依人ー
瀬本 洋一の夢はー
ここで、潰えたのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
意外と珍しく(?)
憑依している人物が、ちゃんと確保される結末でした~!
憑依もやりすぎると、
やがてこうして突き止められてしまう…
かもしれませんネ笑
お読みくださりありがとうございました!!
コメント
まあ、憑依で女を乗っ取りたい!と公言してる兄なんて、妹からしたら、ただの妄言だとしても、気持ち悪いでしょうから、心底毛嫌いするのも無理ないでしょうね。そういう願望があっても、胸にしまっておけば、そうもならなかったでしょうに。
それにしても本人は妹の人生を壊すつもりまではなかったのに、結果的にそんな感じになってしまったのは、なんとも皮肉ですね。
コメントありがとうございます~!☆
結果的には大変なことになってしまいました…☆
妹からすれば、毛嫌いしてしまう反応も当然なのデス…笑