いつの時代にも、その時代に適した方法で”憑依”を
試みる人間が存在するー。
マスクが欠かせないその時代にも、
当然ー、”それを利用して”憑依する人間は、存在したー
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20XX年ー
人類を苦しめる”新種の花粉症”が、世間に蔓延していたー。
これまで確認されていなかった新種の植物がまき散らす花粉は、
この時代の社会問題となっていて、
多くの人間がアレルギー症状に苦しめられー
外出の際には、マスクをする光景が当たり前となったー。
新種の植物の正体は現時点では不明ー
地球環境の汚染がトリガーとなり、既存の植物が突然変異を起こした、とする
専門家もいれば、
これまでごく一部の地域にしか存在していなかった植物が
何らかの形で各地に飛来し、育ったとする説ー、
地球外からやってきた植物ではないかとする説ー
様々な説が飛び交っていたー。
だが、原因が分からない以上、人類にできることは
「守る」ことのみー。
人混みの中ー
見渡す限りの人々は必ずと言っていいほど
マスクを着用しているー
それが、この時代の当たり前の光景だったー。
だがー
”悪意”はいつの時代にも拡散するー
その時代に、適した方法でー。
ネットの普及率が上がれば
ネットを利用して悪事を目論む人間が出現するー
個人で手軽に商品を売買することができる時代になればー
それを利用して悪事を目論む人間が出現するー
憑依もまた、同じー。
時代が変われば、憑依の形もまた、変わっていくー。
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「ーーー…はぁ…♡ はぁ…♡ あぁぁ…♡」
目元の綺麗な女子大生がマスクをつけたまま、
甘い息を漏らしているー。
口元は見えないが、美人に見える彼女はー
部屋で一人、自分の太ももをイヤらしい手つきで触りながら
笑みを浮かべていたー。
「ーー…はぁぁぁ…♡ あぁ…♡ たまんねぇ…♡」
女子大生らしからぬ言葉を口にすると、
そのまま自分の身体を抱きしめて笑みを浮かべるー
鏡の方を見つめながら
「キスできないのはちょっと残念だけどなー」と笑うと、
彼女は再び自分の胸を揉み始めるー。
スマホが鳴っているのもお構いなしー
あまりの興奮に、周りが見えなくなってしまっているのだろうかー。
いやー
違うー
彼女は今”憑依”されていたー。
自分が身に着けている”マスク”を介してー。
「ーーはぁぁぁ…♡ まさかこの女…こんな風に
自分が乗っ取られちゃうなんて、夢にも思わなかっただろうなぁ…♡えへへへへへ…」
ニヤニヤー…
いや、マスクをしているため、ニヤニヤしているかどうかは
分からない状態だったが、女は嬉しそうにそう呟くと、
そのまま興奮した様子で、自分の身体を弄び続けるー。
やがてー
興奮のあまり、マスクの紐が外れてしまい、
マスクが取れて、口元が露わになるー
「ぅ…」
そのとたん、女子大生は虚ろな目になって、その場に倒れ込むー。
”チッ”
女子大生に憑依していた男は、
自分の身体に戻ると、舌打ちしたー。
男は、まるでロボットのようなマスクで口元を隠しながら
「ーーマスクをしていないと”支配”できないっていうのは
残念だなー」と、呟いたー
男は、かつて有名大学をトップの成績で卒業した
優れたプログラマーだったー。
そんな男は、卒業後、どの企業に所属することもなく、忽然と姿を消したー。
姿を消した彼は”憑依”の研究を続けたー。
他人の身体を支配する研究だー。
小さいころに、特撮ヒーロー番組を見ていた男は
”一般女性が怪人に憑依されて、悪事を行う”という回を見て、
”憑依”に夢を抱くようになったー
そして、なんとかそれを実現させることができないかー、と
執念を持って研究を続けてー
ついに、それを実現させてしまったー。
世の中では、あらゆる情報をネットに乗せて
すぐさま世界中に拡散することができるー
それを特殊な技術で応用して、
”自分の人格・意識・記憶”そういったものを、
他人の身体に飛ばし”憑依”することを可能にしたのだー。
男が身に着けているロボットのようなマスクー
これが、”彼の人格や記憶・意識”などを飛ばす役割を
担っているー。
だがー
その一方で、他人の身体に自分の意識を送り込み、
”憑依”するためには、
相手の身体に”受信機”のようなものを取り付ける必要があったー。
しかしー
そう簡単に、他の人間に”受信機”の役割を担うものを
つけることは難しいー
そんな時だったー。
偶然、新種の花粉症が流行を始めたのはー。
男は”マスク”を男の意識の”受信機”にできないかどうかを考えたー。
そして、男は常軌を逸脱するレベルの執念でー
完成させたのだー
”ポゼッション・マスク”をー。
マスクには、男が独自に開発した超小型のチップが
密かに埋め込まれており、
そのチップが、男の意識を受信し、マスクを身に着けた相手に
憑依、乗っ取ることができるー。
マスクを外してしまうと、憑依状態は解除されてしまうものの、
ごく普通の一般人に過ぎない男が
やっとの思いでたどり着いた、”奇跡の憑依”がそれだったー。
男は、マスクを各地に”寄付”
いつでも乗っ取ることのできる相手を増やしていったのだー
パソコンを起動する男ー
男は笑みを浮かべるー。
今現在、マスクを身に着けている人間の視点が
表示されるー
厳密に言えば、マスクに特殊なナノテクノロジーで作り出された
”ナノ・カメラ”が搭載されており、
それを通じて、マスクを身に着けた人間の視点を見ることができるー
次に乗っ取る身体を物色する男ー
”可愛らしい部屋だなー”
ある一つの視点に着目して、次はこの身体を乗っ取ろうかと考えるー
しかしー
”マスクに搭載されたナノカメラ”からの映像である故に、
どんな人間がマスクを身に着けているのかは、
しばらく観察しないと分からないー。
鏡に顔が写るかー
あるいは、身体の感じから判断するかー
そうしないといけないのだー。
フィクションの世界のように”憑依薬”を呼ばれるような薬が
あったり、いつでも幽体離脱して気軽に憑依できる能力者がいたりー
そんな、夢のような出来事があればいいー
だがー
この男は、そんな能力もなければ、憑依薬などというものにも
たどり着けてはいないー。
この男がやっとの思いでたどり着いた憑依が、
”マスクを通じた憑依”だったー。
自分自身が、このロボットのようなマスクをしていないといけなかったりー
マスクを身に着けている状態じゃないと支配できなかったりー
マスクを身に着けた人間がどのような容姿なのか確認するのに時間がかかったりー
正直、色々不便な部分も多いー
だがー
男が、やっとの思いで手にした夢のような憑依がー
これだったのだー。
”可愛らしい部屋だな”
そう思い、見つめていた映像ー。
だが、トランクスと毛の生えた足が映り、
男は舌打ちをしたー
”かわいい子”だと思って見ていたが
マスクを身に着けているのはおっさんだったのだー。
「ーー…おっさんに用はねぇ」
映像を切り替える男ー。
現在、男が作ったポゼッションマスクを身に着けているのは、14人ー。
14人の映像がそれぞれ映し出されているー。
姿は、見えないー
マスクの外側にカメラが向いているため、
鏡に本人が映りでもしないと、分からないのだー。
かと言って、マスクの内側にカメラをつけても、
見えるのは肌か、唇だけで、何も情報が入ってこないー
だから、こうするしかなかったー。
「ーーーー」
「ーーーー」
じーっと、モニターを見続ける男ー
やがてー
14の映像のうちの一つにー
人の姿が映ったー
綺麗な髪と目元の女性だー。
年齢などは憑依してみないと分からないが、
男は笑みを浮かべながら、その視点に注目したー。
そしてー
自分が身に着けたロボットのようなごつごつしたマスクの
横についたスイッチを押すと、男は笑みを浮かべるー
「ーーその身体、貸してもらうぞ」
そう呟くと、男は少しうめき声をあげて、
自分の部屋の中で、眠るようにして倒れたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
男の意識が
ネットの世界でデータがやり取りされるかのように、
マスクをつけている相手の元に飛ばされていくー。
男が作った”ポゼッション・マスク”を受信機代わりとし、
相手の身体に憑依、相手を乗っ取ることができるー。
「ーーぅっ…」
何も知らずに、男が作ったマスクを使っていた女性が
うめき声を上げるー。
「ーーー……ん……」
男は、乗っ取った身体を少し動かすと、
「なかなかいい身体じゃないか…」と小声で囁いたー
鏡を見つめる男ー
目元がとても綺麗な感じの女性で、
髪は綺麗な長い髪ー
落ち着いた感じの服装ながら、色気を感じさせる雰囲気で、
何より、声もイイ感じだー。
「ーーー口元が見えないのは残念だな」
乗っ取った身体でそう呟く男ー。
マスクをあまり下に下ろしすぎると、
”受信”状況が悪くなってしまい、
せっかくの憑依状態が解除されてしまう。
そのため、憑依した身体で、食事をとることもできないし、
口元を見ることもできず、
不便な点は多いのだがー
それでもー
「ーーえへへへへへへ…
身体によって揉み心地が全然違うんだよな…
感じ方も…!」
ニヤニヤしながら、自分の両胸を揉む女性ー。
色々な身体を乗っ取って遊んできたからこそ、分かるー。
胸の揉み心地や触り心地、感じ方ー
あらゆるものが、人によって違うー。
男は、そんなことを考えながら
ひたすら胸を揉み続けるー。
”まぁ、男も、人によって色々感じ方は違うだろうし、
当然っちゃ当然か”
ニヤニヤが止まらないー
マスクに涎が垂れてしまうー。
拭きたい、という気持ちも湧いてくるが、
それをするためにマスクを外してしまえば、
憑依状態が解除されてしまう危険性があるー。
連続して自分の意識を飛ばしていると、
自分自身の身体への負担が大きく、
かなり身体の疲労感が増すことから、
マスクを介した憑依を連続で行うのは厳しいー。
長時間憑依していることは可能だが、
自分の意識を、飛ばして、戻って、飛ばして、戻って…を
していると、かなり体力を消耗してしまう…
と、いうことだー。
「ーーうへへへへへへへ…へへへへへ♡♡」
ニヤニヤしながら、あまりの興奮に
その場に膝をついて、さらに胸を揉み続けるー。
その時だったー
「ーー樹奈(きな)…?」
男の声がしたー
「ーーえ?」
マスクを介して憑依されてしまったこの女の名前は
樹奈というのか、と思いつつ振り返ると、
男と、小さめの男の子の姿が見えたー
「ーーこの女、人妻か!」
叫ぶ樹奈ー
ついうっかり叫んでしまったー
「ーー…ん???」
夫らしき男が戸惑いの表情を浮かべるー
突然、妻が「この女は人妻か!」などと
叫んだらそれは戸惑うだろうー
「ーん???っと、今なんて?」
夫らしき男が戸惑いながら言うと、
樹奈は、リビングで膝をついて胸を揉みまくっていた光景を
見られたことを自覚しながら
「ーーいやぁ、なんでもないよ~」と、笑みを浮かべたー
そうか、そうか、人妻かー。
まぁ、それはそれで悪くないなー。
マスクの下でだらしない笑みを浮かべると、
”少しの間、この身体で楽しむか”と、
心の中で静かに囁いたー。
②へ続く
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コメント
マスクを外すことができなかったりと、
色々制限付きの憑依ですネ~!
続きはまた明日デス!
<ちょっとしたお知らせ>
先日「憑依空間のこれまでのアクセス数」を
紹介するコーナーを作りました!
メインメニューから見ることができるので、
息抜きにどうぞ★!
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