意中の子と入れ替わろうと画策する男子大学生ー。
しかし、彼はミスで”妹”と入れ替わってしまうー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大学生の松沢 孝雄(まつざわ たかお)は、
ニヤニヤと笑みを浮かべていたー。
”入れ替わりジュース”
そんな、夢のようなアイテムを手に入れることができたからだー。
数日前ー
バイト先の先輩から貰ったのだー。
”入れ替わりなんてあり得ないー”
当然、孝雄はそう思ったー。
だが、バイト先の先輩である亀井(かめい)はー
孝雄が大学生になってバイトを始めたころから
ずっとお世話になっている先輩で、
とても”嘘”とは思えなかったー。
そしてー
亀井は”嘘ではない”と証明してみせたー
その場で、
孝雄との入れ替わりを”実演”してみせたのだー
ごく普通のペットボトル入りのジュースにしか見えない
入れ替わりジュース。
一見すると”オレンジジュース”のようにしか見えないそれをー
入れ替わりたい相手と飲むだけで、その相手と
入れ替わることができるのだー。
亀井に言われるがままに、入れ替わりジュースを
別々のコップで飲んだ孝雄はー
先輩である亀井の身体になったー。
奇妙な経験だったー。
”自分”が目の前にいてー
そして、”自分”が自分ではない他の人の身体を動かしているー
たった1,2分だったがー
生まれて初めて経験する恐ろしくも不思議な経験だったー
元に戻るときは、その相手と一緒に
入れ替わりジュースを飲めばいいー。
実際に、先輩の亀井と孝雄は、すぐに
元の身体に戻ることができているー
”お前にやるよ。
俺、別に誰かと入れ替わりたいとかないし”
先輩の亀井は、そう言ってきたー
「ーふっふっふっふ…ありがとう亀井先輩ー」
ニヤニヤする孝雄ー
まさかー
こんな”夢”のようなものをくれるなんてー。
「ーー何ニヤニヤしてんの~?」
ふと、声がして孝雄は我に返るー。
視線を声がした方向に向けると
妹の久美(くみ)が、こちらを見ていたー
孝雄は実家暮らしで、
両親と妹の久美、自分の4人で暮らしているー
久美は現在高校生ー。
本当はとても可愛いのだが、
”自分の部屋が大好きな女子高生”だー。
学校には行くのだが、
”友達は人生のリスク”と語っており、
堂々と友達0人を貫き、
学校以外は、一切と言っていいほど、外出しないー。
自室で趣味の少女漫画やアイドル、ゲームなどを
楽しんでいるようだー。
性格も、いい加減な性格で、平気で兄の前で服を脱いだりするし、
髪はボサボサだし、夕食後もまるでおっさんのように、ソファーでだらしなく
寝そべったりしていてー
色気もまったくないような妹だったー
そしてー
コミュニケーション能力には問題はないのだが、
とにかく、天然で、時折奇怪な行動を取ることも多いー
「ーーーわたしのエッチな姿でも想像してたの?」
久美がニヤニヤしながら言うー。
「だ、誰がそんなもの!」と叫ぶ孝雄ー
そんなことは考えていないー
だがー
今、考えているのはー
”エッチなこと”であるのは、ある意味で正解かもしれないー。
何故なら孝雄はー
バイト先の先輩から貰った入れ替わり薬をー
大学の意中の子ー、永森 和花(ながもり のどか)に
使おうとしていたからだー
和花は、孝雄の高校時代からの知り合いで、
大学に入ってからはイイ感じで関係が続いているー。
お互いに告白はしていないため、
彼氏・彼女の関係にはなっていないが、
周囲から見れば、もはや実質上、彼氏と彼女のような、
そんな間柄に見えるのも事実だった。
和花はいつもにこにこしているような
お姉さん的タイプの女子大生で、
大抵のことは笑って許してくれるタイプだー。
入れ替わりも、
「あれ?入れ替わっちゃった!?」的な展開にもっていけば
笑って許してくれるであろう、
そんな感じの子だー。
孝雄は、そんな和花と入れ替わることを画策していたー
”既に、その準備はできている”
明日ー
和花と一緒にこの部屋でとある試験の勉強を
することになっているー
「ーーあ~~…俺が永森さんに」
孝雄はニヤニヤしながらそう呟くと、
”入れ替わったあと、何をしようかな~”と、
明日のことを楽しそうに、色々妄想するのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、待望の”翌日”がやってきたー
「ーお邪魔しま~す」
妹の久美とは違う天然な雰囲気を持つ和花が
やってくるー
和花は今までにも孝雄の家に何度か来た事があり、
妹の久美とも面識のある間柄だー。
「ーー松沢くんの家って、なんかわたしの実家を
思い出すし、居心地いいなぁ~」
微笑む和花ー。
和花は大学進学を契機に、一人暮らしを始めていて
今は実家を離れているー。
「ーーはははは そうかなぁ」
照れくさそうにしながらも、孝雄は自分の部屋に
和花を案内するー。
そして、冷蔵庫に隠すようにして入れておいた
入れ替わりジュースのペットボトルを手にする孝雄ー
先日、別途購入した
バリアースオレンジというオレンジジュースのラベルを
入れ替わりジュースの入ったペットボトルに張り替えておいたー。
こうすることで、
入れ替わりジュースの色がオレンジジュースのような色で
ある以上、飲むまでは”普通のオレンジジュース”にしか
見えないはずだー
「さて、部屋にー」
先に部屋で待ってもらっている和花の元に戻ろうとする孝雄ー。
しかし、ここで少し問題が生じたー
孝雄は、自分のズボンが膨らんでいることに気づくー。
和花と入れ替わったあとの
あんなことやこんなことを妄想していたらー
勃起してきてしまったのだー。
いやー
別に過激なことをするつもりはないー
ただ、憧れの和花に”なる”ことができるというだけで
ドキドキゾクゾクしてしまうー
和花との関係を壊すつもりもないし、
人生を壊すつもりもないー
だからー
和花の身体になっても、
過剰におかしな行動をするつもりはないー
それでも、色々想像していたら
ついついこのような形になってしまったー。
「ーーーーーー」
しばらく台所の椅子に座り続けている孝雄ー。
立つと、アレが大きくなっているのがバレてしまうー
だからー
立ち上がれなかったー。
「ーー何してんの?」
通りがかった母親が、連れてきた和花を部屋に待たせて
一人、リビングの椅子に座っている孝雄を見て
不思議そうに首をかしげるー
「あ、いやー」
孝雄は言い訳に困って、とっさに
「イメージトレーニング…」と、呟いたー。
「ーイメージトレーニング?何それ?」
苦笑いしながら立ち去っていく母親ー。
しばらくしてようやく気持ちが落ち着いてきた孝雄は
椅子から立ち上がると、和花の待つ、自分の部屋に向かったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーお待たせ」
深呼吸しながら部屋に戻ってきた孝雄は、
何食わぬ顔で、入れ替わりジュースを
2つのコップに注ぐー。
「ーーあ、そういえば、久美ちゃん元気~?」
和花が穏やかな口調で喋るー
「あ、うん 元気元気 今日も部屋に閉じこもってるんじゃないかな
ごはんとお風呂とトイレと学校しか部屋から出てこないし」
孝雄が言うと、和花は「挨拶してこよっかな~」と呟くー
「ーーははは あ、はい、ジュース」
孝雄はそう言いながら、和花の前に
”入れ替わりジュース”の入ったコップを置いたー
「うん、ありがとうー」
和花はそう言うと、何も気にするそぶりを見せず、
雑談を始めるー
まだ、ジュースを飲む気配はないー
別に警戒されているとか、そういうことではなく、
単純に”まだ”飲んでいないだけだー
孝雄は緊張した様子でさりげなく自分のジュースを飲むー。
甘い味だが、オレンジジュースの味ではない。
和花も、気づくかもしれないー
だが、一口飲んでさえしまえば、入れ替わることができるのだー。
そして、元に戻るときは、冷蔵庫に置いてある
残りの入れ替わりジュースを使うか、コップに残っている分を飲むか
すればいいー。
「ーーー」
自分の入れ替わりジュースを飲み終えた孝雄は、
和花がコップに手をかけるのを今や今かと待ち続けていたー
そしてーー
ガチャー
「ーー!」
孝雄が、驚いて部屋の入口を見ると、
ボサボサ頭の妹・久美が部屋に入ってきたー
「ーーーーあ、久美ちゃん!」
和花が久美に気づいてニコニコとほほ笑むー。
「あーーー、お義姉さんー…こんにちはです」
久美が頭を下げるー。
妹の久美は、なぜか兄の孝雄が和花と
将来的に結婚すると決めつけており、
和花のことを”お義姉さん”と呼ぶー。
孝雄は最初、和花に平謝りしたが
和花はニコニコしながら「別にいいよ~」と言っていたため、
今でも、久美は和花のことを”お義姉さん”と呼んでいるー。
「ちょ!?ちょ!?何いきなり入ってきてるんだよ!」
孝雄が思わず叫ぶー。
これから和花と入れ替わろうってタイミングに、
急に部屋に入ってくるなんて、タイミングが悪いー
入れ替わる瞬間を見られたりしたら、
何を言われるかどうかー。
「ーーこの前貸したペン、返してもらおうと思って…
使ってたペン、へし折っちゃったから」
久美の言葉に
「ペンをへし折った!?!?いったい何してんだよ部屋で!」と
孝雄は思わず突っ込みを入れるー。
「ーこの世界には知らないほうがいいこともあるよ」
久美が低い声で脅すように言うー
「ひっ!?な、なんなんだよ」
戸惑いながらペンを探して返す孝雄ー。
久美は「ありがと」とだけ言うと、
「それじゃお兄ちゃんとごゆっくり、です」と、
和花に言い放つー
和花はにこにこしながら「は~い」と呟くー。
だが、次の瞬間ー。
突然、和花の目の前に置かれている
”入れ替わりジュース”が入ったコップのほうを見ると、
突然、久美がそれを手に掴んだー
「美味しそうなオレンジジュースじゃん」
久美はそう言うと、それを口に運ぼうとするー
突然、和花に出していた”入れ替わりジュース”を
無許可で飲みだそうとする久美ー
妹の久美の突然の行動に、孝雄は戸惑いながらもー
「あ!おい!それ!!」
と、叫んだー。
だが、もう手遅れだったー。
妹の久美はー
入れ替わりジュースを飲んでしまったー
「ーーーお、、おい…マジかー」
孝雄がそう呟いていると、
突然、気の遠くなるような、
今まで感じたことのない不思議な感触を覚えたー
「ーーー…あっれぇ~?世界がぐるぐる~」
妹の久美も何か異変を感じているのか、
おかしなことを呟いているー
「ーーえ?ちょっと?二人ともどうしたの~?」
穏やかな口調で言う和花ー。
孝雄は、必死に意識を失うまいと、耐えようとしたもののー
耐えることはできなかったー
そしてーーー
「ーーーーーーーーーーー!!!」
孝雄が意識を取り戻したときにはー
孝雄は妹・久美の身体になってしまっていたー。
「ーーーあ……く、、くそっ!」
久美になった孝雄は思わず叫んでしまうー。
「ーーーあれ??」
ほぼ同時に、孝雄になった久美も目を覚ますー
いきなり意識を失った孝雄と妹の久美のことを
心配している和花ー
「ーーふ、二人とも大丈夫?」
不安そうな和花を前に、
久美になった孝雄は、まだ状況を把握できていない孝雄になった久美の
手を無理やり引っ張って、部屋の外に連れ出すとー
手短に状況を説明したー
「え…?」
戸惑う孝雄(久美)ー
久美(孝雄)は
「永森さんが帰るまで、俺のフリをしてくれ。頼むー」
と、必死にお願いしたー
和花を混乱させたくないしー
入れ替わりジュースを飲ませようとした、などと悟られたくないー
「ーーわ、わかった…」
孝雄になった久美はそう言うと、
久美になった孝雄は安心した様子で頷くー
そしてー
和花の待つ部屋に戻った
孝雄(久美)は、笑みを浮かべながら口を開いたー
「ーお義姉さんー、わたし、お兄ちゃんが用意した
入れ替わりジュースで、お兄ちゃんと入れ替わっちゃったみたいですー」
とー。
「ーーーーーーーあ?」
久美(孝雄)は、いきなり入れ替わったことを暴露した
妹の行動に唖然とすることしかできなかったー
②へ続く
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コメント
意中の子と入れ替わろうとしたら
妹と入れ替わってしまったお話デス~!
続きはまた明日デス!!
コメント
今回の話の入れ替わりのためのアイテムはジュースですか。
最近の話は入れ替わりにしろ、憑依にしろ、薬以外の話が多めですね。
もしかして、しばらく前に自分が投稿した、薬ばかりでマンネリ気味というコメントの意見を取り入れてくれたんですかね?
だとしたら嬉しいです。やっぱり、できるだけ、毎回異なる方法で憑依したりする方がマンネリにならず、新鮮でいいですからね。
ところで今回の話読んでて、思ったことがあるのですが、ここの作品もずいぶん作品数が増えて、様々な憑依アイテムとかが出てきてますよね?
そこで思ったのですが、登場人物紹介みたいに、憑依、入れ替わりの話に限らず、すべての話で登場したアイテムなど効果、時間制限などをひとつひとつ解説して、図鑑風にまとめてみるのはどうでしょう?
「暴走憑依男」で登場したような、憑依中和薬(うろ覚えなので、もしかしたら名前違うかも?)とかみたいな直接的な憑依・入れ替わりアイテム以外のアイテムも図鑑に加えると面白いですよね。
もちろん、作者さんの気が向いたらで全然かまいせん。
参考までにですが、アイテムと言いましたが、「狂っちゃえ」みたいに制限時間があるとか、なんらかの特徴がある能力なども含めて一緒にまとめるとなお良いと思います。
あと、名称は同じ憑依薬、入れ替わり薬でも、制限があったりとか、効果などが異なる薬も多いので、効果の違う薬は別のアイテムとして別扱いで図鑑に加えるのが良いかと思います。
愛染の売ってる憑依薬みたいに、「あざ笑う妹」など、いくつかの話で登場してる同じ憑依薬などは、全部一纏めの扱いでいいと思いますけどね。そういう薬などは○○の作品などに登場とか一文加えるとか。
コメントありがとうございます~!☆
以前頂いたコメントも当然参考になっています~!☆
元々、薬以外だったものももちろんありますが、
コメントを頂いたあとに考えたお話では
バリエーションを少し豊かにしてみました!
毎日書いていると、こういったちょっとした変化も
大事ですネ~!
(もちろん〇〇薬のお話も今後も出てきます~!)
アイテム紹介…☆
確かにそれも面白そうですネ…!
小説一覧の解説付きバージョンなどが完成したりして
サイト移転後の調整がひと段落したら、検討してみます~!☆