<MC>お年玉ちょうだい①~力~

ごく普通の少年ー。

しかし、お正月に少年は
あることに気づいてしまうー。

”お年玉ちょうだい”と相手に伝えると、
相手が必ず「お年玉」をくれることに…!

-------------------------—

「----お年玉ちょうだい!」

3年生の則本 正平(のりもと しょうへい)は、
嬉しそうに親戚のおばさんに、そう告げたー

お正月ー
子供にとっては楽しみなイベントのひとつー
それが、「お年玉」だー。

「--……ふふふ、正平くんは、いつも元気ねぇ~」
おばさんはそれだけ呟くと、
財布を開いて、正平に5000円札を手渡したー

「-な、なんかすみません」
正平の父親・昭雄(あきお)は、苦笑いしながら
親戚のおばさんに頭を下げるー。

「いいのよぉ~!正平くんの”命令”なんだから~」
おばさんの言葉に、昭雄は少し違和感を覚えつつもー
「--命令だなんて、そんな。ほら、正平もお礼を言いなさい」
と、正平に対して、お礼を言うように促す。

「おばさん!ありがとう!」
正平が無邪気に微笑むー。

この時はまだー
正平も、父親の昭雄も、母親の美千代(みちよ)も、
まだ”気づいて”いなかったー。

毎年、正平の母親側の親戚がこうして集まる機会があり、
正平自身もそこで、たくさんお年玉を貰えるー。

「----ふ~何を買おっかな~」
無邪気な正平は、お年玉で何を買おうか
頭の中で色々と”空想”するー。

ゲームも欲しいし
お菓子も欲しいー
最新のカードも欲しいしー

と、色々考えながら
「もっとお年玉ほしいなぁ~お金が無限に降ってくればいいのに!」と
正平は呟いたー。

親戚の女の子とたまたま鉢合わせした正平は、
父親や母親が親戚との話で盛り上がっている間ー
その子とお話をしていたー

毎年、お正月にしか会わない子だがー
お正月に会えば、そこそこ話が弾むー
そんな感じの相手だー

ふたりはお年玉の話になるー。

正平は、その話の流れでー

「--ねぇねぇ、亜美(あみ)ちゃんも、僕にお年玉ちょうだい!」
とーー

”冗談”を口にしたー。

「----うん」
すると、亜美が突然、立ち上がると、
亜美が持ってきていた可愛らしいリュックから
小さな財布を取り出して、正平の前に戻って来たー

「--これで…いいかな…?」
亜美は、財布から小銭をかき集めて、
正平にそれを渡すー

「え…???え…?ほ、ほんとにいいの!?」
正平が驚くー。

まさか、自分と同じ年齢ぐらいの子からも
お年玉をも-------------------------—

「----お年玉ちょうだい!」

3年生の則本 正平(のりもと しょうへい)は、
嬉しそうに親戚のおばさんに、そう告げたー

お正月ー
子供にとっては楽しみなイベントのひとつー
それが、「お年玉」だー。

「--……ふふふ、正平くんは、いつも元気ねぇ~」
おばさんはそれだけ呟くと、
財布を開いて、正平に5000円札を手渡したー

「-な、なんかすみません」
正平の父親・昭雄(あきお)は、苦笑いしながら
親戚のおばさんに頭を下げるー。

「いいのよぉ~!正平くんの”命令”なんだから~」
おばさんの言葉に、昭雄は少し違和感を覚えつつもー
「--命令だなんて、そんな。ほら、正平もお礼を言いなさい」
と、正平に対して、お礼を言うように促す。

「おばさん!ありがとう!」
正平が無邪気に微笑むー。

この時はまだー
正平も、父親の昭雄も、母親の美千代(みちよ)も、
まだ”気づいて”いなかったー。

毎年、正平の母親側の親戚がこうして集まる機会があり、
正平自身もそこで、たくさんお年玉を貰えるー。

「----ふ~何を買おっかな~」
無邪気な正平は、お年玉で何を買おうか
頭の中で色々と”空想”するー。

ゲームも欲しいし
お菓子も欲しいー
最新のカードも欲しいしー

と、色々考えながら
「もっとお年玉ほしいなぁ~お金が無限に降ってくればいいのに!」と
正平は呟いたー。

親戚の女の子とたまたま鉢合わせした正平は、
父親や母親が親戚との話で盛り上がっている間ー
その子とお話をしていたー

毎年、お正月にしか会わない子だがー
お正月に会えば、そこそこ話が弾むー
そんな感じの相手だー

ふたりはお年玉の話になるー。

正平は、その話の流れでー

「--ねぇねぇ、亜美(あみ)ちゃんも、僕にお年玉ちょうだい!」
とーー

”冗談”を口にしたー。

「----うん」
すると、亜美が突然、立ち上がると、
亜美が持ってきていた可愛らしいリュックから
小さな財布を取り出して、正平の前に戻って来たー

「--これで…いいかな…?」
亜美は、財布から小銭をかき集めて、
正平にそれを渡すー

「え…???え…?ほ、ほんとにいいの!?」
正平が驚くー。

まさか、自分と同じ年齢ぐらいの子からも
お年玉を貰えるなんて、夢にも思わなかったからだー。

「うん…正平くんの命令だから」
亜美が言うー

「命令?」
正平が首を傾げると、
亜美は「うん!」と笑みを浮かべたー

「----ありがとう」
正平は深く考えずにお年玉を受け取ったー。

これがーーー
”はじまり”だったー

常軌を逸した”物欲”-
それが、正平に”異常な能力”を身に着けさせたー

そうー
”人を洗脳する力”だったー。

本人に自覚はないが、
あまりにも強大な物欲から生まれる
怨念とも言えるようなオーラは、相手を支配し、
正平の意のままに、正平にお年玉を渡してしまうー。

そんな”超常的な力”に正平は
目覚めてしまったー。
本人も、自覚しないままー。

そうなってしまったのには”原因”があるー。

正平の父親である昭雄と母親である美千代が
”あまりにも節約志向”であることだったー

虐待をしているわけでも
愛情を注いでいないわけでもないのだが、
小さいころから、正平が欲しがるものを買ってあげることは
ほとんどなくー
それ故に、正平の中の”あれが欲しい”という感情が
激しく、高ぶりつづけていたー。

欲しいものを手に入れるためにはー?
子供である正平の中に
その感情が強まり続けー
ついに、正平は、”力”に目覚めてしまったのだー。

「----」
お年玉を亜美から貰うことができた正平は首を傾げるー。

”お願いするとみんなお年玉くれるのかな?”
そんな風に思った正平は、
たまたまトイレに行くために廊下を歩いていた、あまり顔も知らない
親戚のおじさんに声をかけたー

「おじさん!」
正平の言葉に、おじさんが振り返る。

「ん?」
おじさんは、正平の母親の親戚の一人ではあるものの
正平とほとんど話したことがなく、
正平のことも、あまり知らなかったー

当然、正平にお年玉など、用意していないー。

「--おじさん!お年玉ちょうだい!」
正平は、
何の悪気もなく、
純粋な気持ちで、そう呟いたー

ただただ、単純に
お年玉が欲しいー
ピュアな感情でー。

「---はい」
おじさんはそう呟くと、
「ちょっと待ってて」と、ズボンのポケットから
財布を取り出したー

そして、1000円札を1枚、正平に渡すー

「やった!ありがとうおじさん!」
正平にはー
今、目の前のおじさんを”洗脳”した、自覚がないー
ただ、純粋に「お年玉」を貰うことができた、という喜びー。

「----あ~でも、もうちょっとほしいかも!」
正平が無邪気な笑みを浮かべながら言うー。

少年の、単なる、わがままー

正平も、本当に貰えるなどとは思っていないー

だが、おじさんは「わかりました」と呟くと、
5000円札を正平に手渡した。

「えっ、、、えっ…あ、、ありがとうおじさん!」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべる正平ー

正平はーーー

「--もっとちょうだい!」
と、無邪気に叫んだー

するとー
信じられないことにーー
おじさんは、1万円札を正平に手渡したー

「え、、、え、、、えっ!?!?ええええ!?いいの!?」
正平が言うと、
おじさんは「君に頼まれると、ついお金をあげたくなっちゃうなぁ」とほほ笑んだー。

「--え、、、え、、じゃあ、僕が、、僕が全部欲しいって言ったら、くれる?」
正平が言うと、
おじさんは「あぁ、もちろんだよ」と、
正平に財布ごと”お年玉”として手渡したー

「わ、、、わ、、、わわわわ!」
正平は嬉しそうにそれを受け取るとーーー
服の中に財布を隠したー

3年生の正平はー
既に悪知恵も身に着けていたー

こんなにたくさんお年玉を貰ったらー
お父さんやお母さんに怒られたり、
取り上げられたりしてしまいそうー。

そう思ったのだー。

そしてー
”おじさんがくれたんだから、
 僕、悪いことしてないもん!”

と、幼い故の無邪気さからかー
自分が悪いことをしているー、とは
夢にも思っていなかったー

”お願いしたらおじさんがくれた”

それだけのことだー。

親戚の集まりが終わるー
さっき、正平にお年玉をくれたおじさんが
困惑しているー。

帰りの交通費まで正平に渡してしまって、
帰ることができないのだ。

「--あれ…俺…?」
戸惑うおじさんを見て、知り合いの親戚が声をかけるー

「あ、いやー。
 いいんだ。命令されたからさ」
おじさんは苦笑いすると、
そのまま徒歩で数時間かけて、自宅に向かって歩き始めたー。

そんなことも知らずにー
正平はーー
帰宅後、”たくさんのお年玉”で、
カードショップに足を運びー

10万円する中古のレアカードを手にしたー

「--あれ?そんなに高いの買っちゃって大丈夫?」
店長が不思議そうに呟くー

こういったショップの類は、
子供が、あまりにも高額の商品を購入しようとした場合、
こうして口頭で確認することが多いー

そうしないと、
保護者からクレームが入ってしまうことがあるからだー。

法律上で、縛られていなくても、
正平が福沢諭吉を束ねて、10万円のレアカードを買おうとすれば
大抵のお店は声をかけるだろう。

「---お年玉いっぱいもらったんだもん!大丈夫だよ!」
正平は嬉しそうにそう言うと、
店長は困惑したように
「--お父さんやお母さんには、10万円のカード買うって伝えてあるかい?」
と、苦笑いしたー。

「--大丈夫だよ!お金ならここにあるよ!」
正平が1万円札10枚を持って言うー。

店長は少し考えたあとに、
渋々と、正平に10万円のレアカードを販売したー。

「---やったああああ!」
正平は嬉しそうに鼻歌を歌いながら
カードショップの友達やー
同じく常連の少し年上の友達たちとも話をするー。

「--ねぇねぇ、みんなも僕にお年玉、くれる?」

正平は、なんとなくお年玉の話題が出ている最中に
そう呟いたー

まさか、本当に貰えるとは思わずにー

「---ん?あ、そうだな、正平くんにはお年玉をあげなくちゃな」
カードショップの常連の男子高校生が言うー

「--はい、わたしからのお年玉~!」
正平を弟のように可愛がっている女子高生の常連も正平に5000円札を渡すー

「--え、、、ほんとにくれるの!?うわぁ、ありがとう!」
嬉しそうに笑う正平ー

正平はーこの時、
”あれー?僕がお願いするとみんな僕にお年玉くれる!”
という、考えにたどり着いてしまったー

”もっともっとお願いすれば
 僕、もっとお年玉を貰えるかな!”

無邪気な笑みを浮かべながら
正平は、店長のもとに近づいていくと
「お年玉ちょうだい!」と叫んだー

②へ続く

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コメント

お年玉をテーマにした「洗脳」モノを書いてみました~!

お願いされると洗脳されてお年玉を渡してしまう…
恐ろしいですネ~!

今日もお読み下さりありがとうございました!

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MC<お年玉ちょうだい>

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