<MC>お年玉ちょうだい③~王様~(完)

人にお願いすれば、
必ずお年玉を貰えるー。

それが、洗脳だとも気づかずー
純粋な少年は、成長していく…

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正平の”洗脳”の力は、
使えば使うほど、強まっていたー

正平は、”他人を洗脳している”という自覚のないまま
「お年玉ちょうだい」と周囲にお願いして回りー
その結果ー

行きつけだったカードショップは閉店に追い込まれたー

「----…正平くんに、お年玉あげないといけなかったから…」
店長だった男は、それを繰り返すばかりだったー。

カードショップの常連だった女子高生は
男に身体を売り、お年玉を稼いだー

「んぁっ…♡ あっ…♡」
今では男たちの”おもちゃ”にされてしまっているー。

正平の家族はー
”破滅”したー。
正平に洗脳されて、正平にお年玉をあげるために
あらゆる手段を尽くしたー

父は会社のお金を着服しー
母は違法風俗店に身体を売ったー。
その先に待っていたのは”破滅”
両親ともに逮捕されて、家をも失ってしまったのだー。

そして、正平は親戚の家に引き取られたー
そこでーー
正平に”注意”をした親戚のお姉さんに
正平は”泥棒をやっつけろ”と、はじめてー
”お年玉以外”の洗脳を使ったー。

正平に人を洗脳している自覚はないー

だがー
正平はこの時気づいてしまったー。

”お年玉ちょうだい”以外にも
お願いすればーー
それをみんな、かなえてくれるー。

とー。

「--先生!僕の成績、全部MAXにしてください!!」
正平が叫ぶー

「も~!仕方ないわねぇ~!」
担任の先生が笑うー

それ以降ー
正平のテストは白紙でも100点ー
成績も全部最高の成績がついていたー

担任のコメント欄には
”正平くんにお願いされたから”
と書かれていたー

「なにこれっ!?」
親戚のおばさんが戸惑うー。

しかしー
正平は親戚のおばさんのことも洗脳していたー

”僕を可愛がって”
とー。

それ以降、おばさんは、正平を溺愛するようになったー

正平に洗脳されて、壁に頭を打ち付け続けた挙句、
病院送りになった、おばさんの娘は、
おばさんに見捨てられたー

正平が”泥棒は、嫌いだ”と、叫び続けた結果ー
おばさんも正平に洗脳されて、
実の娘を嫌うようになったー

”僕がお願いしたら、みんな、僕の言うことを聞いてくれるんだ”
正平は次第にそう思うようになったー

「お年玉ちょうだい!」
お年玉を毎年のように、ねだり、
多額のお金を手に入れるー

莫大な金額を手に入れた正平の金銭感覚は
すぐに狂っていくー。

いや、金銭感覚だけではないー。
3年生の時点から
”何でも自分の思い通りになる”
そんな環境で育った正平はーーー

「はははははははっ!はははははっ!ほら!次!」
正平がイスに座っているー

周囲には、5、6人の女子生徒ー。

高校生になった正平はー
性欲が強まりー
次第に女遊びをするようになっていたー

「ほら!咥えろ!」
正平が肉棒を晒しながら言うー

「はい!ごしゅじんさまぁ~」
眼鏡をかけた女子生徒が、正平のそれを躊躇なく咥えて
フェラをするー。

「--下手だなぁ、どけ!」
正平がそう言うと、「はい!申し訳ありません」と
眼鏡をかけた女子生徒が正平の前から立ち去るー。

「--次!」
正平が叫ぶと、ショートヘアーの女子が正平のそれを咥えるー

「ふはっ!いいぞいいぞ!
 いつも彼氏にもやってやってるのか?」
正平がそう言うと、

「はい‥・!」と
ショートヘアーの子が微笑むー

彼女は、彼氏持ちー

ここに集められた女子は
”正平のお気に入りー”

全員、洗脳されているー

高校生になった正平はー
”他人を洗脳しまくって”生きているー

洗脳しているという自覚はー
今もないー

”お願いすれば聞いてくれる”

それだけだー
そしてー
何の苦労もなく育った正平の成長はー
身体は育っても、精神が何も育っていなかったー

「---楓ちゃんは僕のものだ。お前は消えろ」
教室に戻った正平が、
先ほどフェラをさせたショートヘアーの女子・楓の
彼氏に言い放つ。

「----あぁ…消えるよ」
彼氏はその日のうちに学校に退学届けを出して
そのまま正平の目の前から”消えた”

「--ははははははっ!ほら、僕の前で脱げ!胸を見せろ!」
放課後ー

正平が音楽室に呼び出した生徒会副会長の女子を洗脳して、
目の前で制服を脱がせるー

「えへへへへ!すげぇな~!
 そうだ、おっぱいしゃぶらせろ」
正平がそう言いながら「はい…」と嬉しそうにしている
副会長の胸をしゃぶり始めるー

「あはははは!ばぶばぶ~!」
正平が嬉しそうに笑うー

正平の心は、3年生のままー
何も成長していないー

我儘で
世間知らずでー
自尊心が強いー

”洗脳”の力を小さいころに手に入れてしまったことで、
正平は”怪物”と呼べる人間に育ってしまっていたー

下校中ー
正平は横断歩道を赤信号なのに渡るー

「とまれ」
右側を向いて叫ぶー

「-とまれ!」
左側を向いて叫ぶー

車が青信号なのにぴたっと止まるー。

運転手を洗脳しているのだー。

街中で不良を見かけると、
正平は積極的にその中に歩み寄っていくー。

「なんだぁ?おまえは?」
不良が不満そうな表情を浮かべるー

正平は叫ぶー

「僕は正義のヒーローだ!」
とー。

「-悪者は、死ね!」
正平がそう叫ぶとー
不良たちは持っていたナイフで自分を刺しー
そのまま全員死んでしまったー

「はははは!すごいぞ~!
 僕、すごい!!!」
正平は笑いながらそのまま立ち去って行ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

正平の”異様な行為”は当然、
次第に広がっていくー。

洗脳された人間は何とも思わず、正平に従うー
正平自身も「お願い」をすれば、
誰でもなんでもしてくれる、と思っているー

だがー
当然洗脳された人間には家族もいるー
知り合いもいるー

”明らかに人が変わった”ということに気づき、
正平のことを疑問に思う人が出て来るー。

それでも、正平は何か問い詰められたりするたびに
相手に「僕の前から消えて」と、お願いすることで
相手を洗脳し、邪魔者を排除してきたー

とは言えー
正平一人で全ての人間を洗脳するのは難しいー
圧倒的力を持っていても、
一人で全てを支配するのは難しいー

正平の洗脳は、相手のことを”見ている”必要があるー

直接正平と対面していない人間のことは、どうすることもできないのだー

既にー
警察も正平のことを調査しているー

だがー
正平はあくまでも”洗脳”しているだけー。

それを逮捕するのは、難しいのも事実だったー
洗脳された本人が”自分の意思でやっている”ということに
されてしまったらー。

「---僕にヤラせろ!」
ある日ー
正平は、街で見かけた可愛らしい女子大生を洗脳してー
やりたい放題を楽しんだー

正平は「みんなみんな僕にやさしいなぁ!」と笑いながらー
「お年玉ちょうだい!」と、その女子大生から、金も貰ったのだったー

これが、今の正平の日常ー。
けれど、
正平に悪いことをしているという自覚はないー

”僕がお願いすれば優しいみんなは僕のお願いをかなえてくれる”
と、しか思っていないー

3年生の頃から、ずっとそう生活していた正平は、
人間が本来成長する過程で身に着けるであろう
社会的な部分を、何ひとつ身に着けないまま、大人になってしまったー。
身体は大学生でも、心は、
3年生のお正月の時から、ずっとー
”心の針”が止まったままー。

正平は、少しずつー
追い込まれ始めていたー
警察の中にも、正平に疑問を抱く人間がいて、
徹底的な捜査が行われていたー。

”洗脳”ー

それゆえに”証拠”を手にすることができず
正平に手出しできずにいた警察ー。

だがー
それでも、確実に正平は追い込まれていたー

そうとも知らずー
正平は、銀行に入っていくと、
「僕にお年玉ちょうだい!」と銀行員に向かって叫んだー

”洗脳”による銀行強盗ー

「--僕は悪くないよ!
 みんなみんな、僕にお金をくれるんだ!
 僕はお願いしてるだけ!」
唖然としている銀行の利用者たちー

銀行の支店長が金庫のお金を全て
正平に手渡すー

「僕、おっきなおっきな家が欲しいんだ!」
正平が笑うー。

正平はーー
”人のかたちをした悪魔”に
成り果ててしまっていたー

3年生の頃に、洗脳という
常識ではありえない力を手にしてしまったことによるー
”暴走”

誰にも、止めることのできないーー
”暴走”

銀行からお金を取り上げた正平は
笑いながら、自分の家へと向かうー

既にマイホームは持っているが、
今度はもっともっと大きな家に住みたいー

「僕はお城を作るんだ!」

家に帰宅するとー
メイド服姿の女が3、4人、正平を出迎えたー

正平の”お気に入り”たちだー。

「ははは!僕は王様だぞ!」
正平は笑いながら1万円札を女たちに放り投げると
「ほら!口で拾え拾え!」と、
”貴族の遊び”を始めたー。

正平は、知らないー

間もなくー
正平の命運がつきることをー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「---動くな!」
背後から声がしたー。

「----」
女を両腕に抱きかかえていた正平が立ち止まるー。

「---僕は、王様だぞ?」
正平が振り返るー。

背後には、一人の警察官ー。

「---ーー」
正平がその警察官を見つめるー

「--…悪魔め!俺はお前をここで止める!」
警察官が叫ぶー。

正平は女のほうを見ると、
女が正平の前に立ちはだかったー

「---ご主人様に、何をするつもりなの!?」
女が叫ぶー

正平に完全に洗脳されているー。

「-----」
だが、警察官は反応しないー。
女の言葉を完全に無視しているかのようにー

「--お前に、娘を殺されたー」
警察官が叫ぶー。

そして、写真を見せるー

正平が、ちょっと前に遊んだ女の写真だー。
正平も覚えていたー

その女に飽きた正平は、
3ヵ月前ぐらいに「死んでいいよ」と呟いたために
その女はその日のうちに自殺しているー。

「---お前が!人を操ってるのは分かってる!」
警官が叫ぶー

「-僕が?僕はただお願いしてるだけだよ!
 僕がお願いして、優しいみんなが答えてくれる!
 それだけだよ!」

正平が叫ぶー。

「-----」
警察官は反応しないー。

「---人の親切は、断っちゃいけない!って、
 お父さんから教わったんだ!」

正平が叫ぶー

正平は理解できなかったー

僕がみんなにお願いしてー
みんながそれをかなえてくれるだけなのにー
僕は悪魔なの?
なんで?

と、真顔で警官に向かって叫ぶー

それでもー
警官は銃を構えたままー
その手を震わせているー

「---警察は動かないー
 でもなー……

 これ以上、俺みたいな、俺の娘みたいな被害者を
 生み出しちゃいけないー

 俺はどうなってもいいー
 俺が、悪魔退治をする!」

警官が叫んだー

警察はあくまでも動けないー
”洗脳”の物証が得られないためだー
正平に洗脳された人間はあくまで”自分の意思”で動いている、と
そう、判断せざるを得ず、まだ手を出せないー

警察も全力で正平をどうにかしようとしてきたー
けれどー
それでも、どうすることもできないー

「---」
正平がスマホを見つめるー

ちょうど、1月4日ー
お年玉シーズンだ

「--あ、そうだ、ねぇねぇ、おじさんもお年玉ちょうだい」
無邪気に微笑む正平ー

正平が、正平の盾になっていた女を突き飛ばすー。

「--僕に銃を向けるな。
 お年玉をよこせ」
正平が言うー。

「-----」
警官が返事をしないー

それにーー
警官は正平の方ではなくー
変な方向を見つめているー

「----おい」
正平が怒りの形相で叫ぶー

「僕に銃を向けるな!!!
 お年玉をよこせ!!!!!!!!!」

大声で正平が叫ぶと同時だったーーー

警官の銃が火を噴いたー

「ぎゃああああっ!」
正平がーー
撃たれたー

その衝撃で背後に吹っ飛ぶー
路地裏の壁際に吹き飛んだ正平は
口から血を流しながら叫ぶー

「なんで…え、、、なんで!?
 ぼ、、僕のお願い、、聞いてよ!?なんで!?」
正平が泣きながら叫ぶー

「-----」
警官は答えないー

「----なんで!?え!?なんで!?!?
 僕、、僕、、なにも…うあああああ!」
正平が、目から涙をこぼすー

洗脳した女たちは正平からの指示がなくー
立ち尽くしたままー
正平を守ろうともしないー

警官が近づいてくるー

警官はー
正平と目を合わせないようにしていたー

そしてー
耳には、強力な耳栓ー。
正平の言葉を最初から聞かないようにしていたー。

目かーー
音かーーー
どちらかで”洗脳”されると警官は感じていたからだー。

「---君はーーーー
 悪魔だー
 王様なんかじゃないー」

警官は、正平にそう呟くとー
さらに銃を放ったー

「うぎゃああああああああああああ!!!!」
正平が悲鳴を上げるー

「--僕、、、僕、、、
 お父さん、お母さん、助けてぇ!」

大学生になった正平ー

でもーー
正平の時計の針は止まったままー
中身は3年生のまま、何も成長していないー

「--僕、、、僕、、、みんなにお願いしてただけなのに!!
 なんで、、

 死にたくない!!いやだ!!いやだ!!助けて!!!

 僕、いい子にしますからぁ!!」

正平が狂った表情で、叫んだー

警官はーー
そんな正平に目を合わせることもなくーー
そのまま、もう一度銃を放ったー

「-------」
正平が動かなくなったー。

「ーーーごめんな。
 君も、人を操れる力さえ手に入れなければーー
 普通の大学生に慣れていたんだろうな」

動かなくなった正平を前にー
警官は正平に手を合わせると、
娘も何もかも失っていた警官は
「でも…これ以上の被害者を出さなくて、よかった…」と
呟いて、満足そうに微笑んだー

銃声がもう1発、裏路地から響き渡ったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

成長期に、力を手に入れすぎるのも、問題かも…?ですネ~!

皆様は今年はお年玉を貰えましたか~?
それとも、渡す側でしょうか~?

お読み下さりありがとうございました!!

PR
MC<お年玉ちょうだい>

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