遺体からその人間の悪の部分を取り出して
他人に憑依させる男…。
彼が、次のターゲットに選んだのは…?
※下記のリクエスト作品デス
”優等生のヒロインがスケバンになって元に戻らないお話”
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とある高校に通う一人の少女がいたー
少女の名は、西本 佐奈(にしもと さな)
とてもまじめで、穏やかで
学校一の優等生と言ってもいい。
先生たちからも、とても信頼されていたし
クラスメイトたちからも信頼されていたー
「---おはよ~」
その日も佐奈は、いつも通り普通に登校したー
いつものような穏やかな1日が始まるー。
1時間目ー
2時間目ー
いつものように授業をこなしていき、
昼休みには、友達の一人と
談笑しているー
佐奈の周りには、おとなしい佐奈に合わせるかのように
比較的おとなしい感じの子が集まっていたー
「--ばいばい~!」
この日も、学校が終わるー。
いつも通り学校に来て
そして、いつも通り帰る。
何も変わらない1日ー
この平和な時間がこれからも続くはずだったー。
”彼”さえ、いなければー。
佐奈の背後からゆらりと姿を現す
シルクハットをかぶった、
日常生活とは少しかけ離れた男ー
検死官・ジョーは、
遺体から”その人間が持っていた悪の部分”を
抜き取る力を持っている。
彼は、それを”悪の魂”と呼んでいるー
そして、彼はその悪の魂を他人に憑依させてー
その様子を見て楽しんでいたー。
悪の魂を憑依させられた人間は
次第に、その悪の心に影響されて道を踏み外すー。
ジョーはこれまでに、100人以上の人間に
悪の魂を憑依させたが、
全員、同じ結果に終わっているー。
一人の例外もなく、
最終的に、悪に染まってしまうのだー。
「---君の白い心もー
黒く染まるのか…
確かめさせてもらうよー」
検死官ジョーは笑みを浮かべるー。
そしてー
佐奈の背後から、”悪の魂”を放り込んだー。
超がつくほどのワルだった学生の
遺体から取り出した悪の魂ー
それを佐奈に憑依させたー
「うぁっ!?」
佐奈が違和感を感じて思わず変な声を出してしまうー
振り返る佐奈。
「---?」
佐奈は首を傾げた。
今、変な衝撃を感じた気がするー。
けれど、背後には誰もいないー
佐奈は
「気のせいかな…?」と
呟いて、そのままいつものように学校から
帰宅したー。
帰宅すると
佐奈は自分の部屋で、
可愛い小物類を見つめてほほ笑んだあとに
昨日から読んでいる本の続きを読み始めたー
学校と私生活では、イメージが
ガラリと変わる子も多いものの、
佐奈は学校でのイメージそのまんまだった。
偽りの穏やかではなく、
裏表のない穏やかー。
それが、佐奈だー。
「---おやすみなさい」
夜になると、佐奈は1日を終えたー。
ごく普通の1日ー
それは、これからも続くはずだったー
・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
翌日も、佐奈はいつも通り普通に
学校に登校したー。
見た目にも、ふるまいにも、
変化はない
「---…」
検死官・ジョーは、その様子を
自身の透明になる能力を使って、
見ていたー。
”今のところは、変化なし、かー”
早い子だと、翌日から目に見える変化が
現れることもある。
だが、今のところ、佐奈には何の変化もないようだ。
佐奈に放り込んだ”悪の魂”は、
どうしようもないほどに素行が悪かった学生のものー。
最後には地元の暴力団がらみの問題を起こして
そのまま死んでしまったー。
そんな”邪悪”ともいえる魂を
放り込まれた佐奈にはー
数日のうちに異変が起きるはずだー。
「--おらぁ!」
教室で、不良生徒といじめられっ子が
何やら騒いでいるー
不良生徒のいじめがエスカレートしたのだ。
「--は、早く先生を呼んできて!」
クラスメイトが騒ぐー
佐奈は、争いとは無縁な性格ー
「---…だ、、大丈夫かな…?」
隣にいる友達と共に、佐奈は怯えていたー
がーーー
同時に、
なぜか”ゾクゾク”したー。
いつもはありえない感覚ー
”-?”
佐奈は自分で自分に違和感を感じるー
クラスメイトの争いを見て
なんだか興奮のような感情を覚えるー
ゾクゾクしているー
「--…あれ…」
佐奈は、”もっと激しく”と、一瞬だけ思ってしまうー
すぐに先生が駆けつけて不良生徒が
取り押さえられて、騒動はおわったー
「---…よかったぁ」
横にいる友達がほっとした様子で呟く。
佐奈も「うん…」と呟くー。
けれど、佐奈はどこかザンネンそうだったー。
もっともっと激しく争ってほしいー
そんな風に、心のどこかで思ってしまうー
「--わたし…疲れてるのかな」
佐奈は違和感を感じて
思わずそう呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した佐奈。
帰宅後の生活もいつも通りー。
佐奈は本を読んでいた。
佐奈の集中力はすさまじく、
佐奈がおもしろいと感じた本を読み始めると
数時間はずっと本を読んでいることも
あるほどだー。
「---はぁ」
けれどー
この日はちょっと違った。
なんだか、本を読んでいると、
無性に落ち着かない。
身体を激しく動かしたい衝動に襲われる。
「--…はぁぁ」
思わず本をその場において
佐奈は部屋の中を落ち着かない様子で
うろうろと歩き始める。
「--…あ~…なんか、、落ち着かない」
佐奈が呟くー
とにかく落ち着かないー
常に、何か楽しいことを目前にしたかのような
ドキドキが身体の中に充満しているー
「--はぁ…」
やがて、そわそわした様子で椅子に座ると
また本を読み始める佐奈。
しかしー
それでも落ち着かずに、佐奈はまたうろうろし始めるー
そんな様子を見ていた検死官ジョーはほほ笑む。
”おや…昨日、悪の魂を憑依させたばかりなのに
もう、リタイアか?”
ジョーは、佐奈の行動を見て確信するー。
既に、佐奈に”悪の魂”による影響が
出始めているーと。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
佐奈は、少しだけスカートをいつもより
短くしていたー
なんだか、自分の足を見ていたら
ゾクゾクしてしまったー。
そして、なんだか”見せたくなった”
自分で自分の身体を見て
少しだけ興奮したー
”おかしい”
そう思いつつも、
スカートを少し短くしてー
いつもと少し違うメイクをしてみたー
「---…」
佐奈は、いつものように教室に行くー
教室では、
ギャルっぽい女子と、その取り巻きのグループが
談笑している。
佐奈とは特別接点のない女子たちだ。
「---」
その女子たちを見ていると…
なんだかとても楽しそうに見えたー
自分も混ざりたいー
そんな風にーー
「--佐奈!」
いつもの友達が声をかけてくるー
”つまんない”
そう思ったー
穏やかな日常をつまらない、と、
そう思ったー
「--あれ?佐奈?どうかした?」
友達がほほ笑むー
「あ、ううん、なんでもないよ」
佐奈はにっこりとほほ笑むと、
いつもの友達たちと一緒に
談笑し始めたー
何か物足りないー、
そう、思いながらー。
そして、昼休みー
佐奈は、気づけば素行があまりよくない女子の
グループに入って、ゲラゲラ笑っていた。
「え~!?ほんとに~?」
佐奈が、いつも見せないような笑みを
浮かべながら、ギャルたちと一緒に笑っているー
「--佐奈?」
友達の一人は、佐奈の様子に違和感を感じたー
帰宅した佐奈は、
とても満足そうに微笑んでいたー
佐奈は椅子に座ると、
だらしない格好で、買ってきたコーラを飲みながら
スマホで、ギャルの子たちとLINEで話し始めたー
本には、手をつけないー
”ほう…”
検死官ジョーは、その様子を見つめながら呟くー
「--だいぶ、影響が出てきたなー」
と。
「あっははははははは~ウケる~!」
佐奈はゲラゲラ笑いながら
深夜になっても嬉しそうにLINEをしている。
いつも規則正しい生活をしている佐奈が
こんなに夜中まで起きていることはない。
これも、”悪の魂”による影響だろう。
ジョーは”この子も、やはり悪に堕ちたか”と呟くー
その表情は嬉しそうでもあり、
どこか、悲しそうでもあったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
佐奈は、困惑するー
”最近、自分がおかしい気がするー”
そんな風に自覚したからだー
「--…わたし…なんか、変…」
憑依させられた不良の魂が
佐奈に影響を与えているー
佐奈も、自分自身が変わっていることを
自覚しているー
けれども、その変化を止めることができない。
自分で自分を抑えることができない。
佐奈は、”怖い”と思ったー
検死官・ジョーによって悪の魂を憑依させられたことを
知らない佐奈はー
自分に何が起きているか、分かっていないー
鏡を見る佐奈ー
鏡の中の佐奈は笑っていたー
”ーーー我慢しててもつまらないよ?”
鏡の中の自分が、そう囁いているように言えたー
”--堕ちちゃお?”
甘い声で囁く鏡の中の自分ー
「--やめて!わたしは…わたしは…!」
佐奈が部屋で一人叫び始める。
だが、
やがてー
佐奈はくすくすと笑い始めたー
「---………真面目にやってたって…
つまんないもんね…」
佐奈が表情を歪めながら立ち上がるー
佐奈はーー
豹変した。
今までの友達と絡むことはなくなり、
むしろ、友達を見下すようになったー
ギャルたちと絡むようになりー
自分自身も、どんどん変貌していったー
化粧が派手になりー
アクセサリーを身に着けるようになりー
やがて、素行も悪くなっていくー
「あっはははははははは!」
1週間ちょっとがたったころにはー
佐奈はー
クラスでも一番の素行不良の生徒になっていた。
「真面目にやるなんて、バッカみたい!」
佐奈は大声で叫びながら、
教室の椅子を放り投げるー
「きゃはははははははは!」
笑う佐奈ー
困惑するクラスメイトと先生たちー。
検死官・ジョーも、その様子を見つめながら
首を振った。
「--いつものパターンだな」
とー。
「人間は愚かだ。
悪の誘惑に、打ち勝つことはできないー」
自分が、悪の魂を憑依させたことによって
佐奈が闇に堕ちたのに、まったくの他人事のように
呟く検死官・ジョー。
元々真面目だったからだろうかー。
佐奈は、さらに悪の魂に支配されてー
学校一の優等生から、不良生徒に転落したー
素行不良の女子たちですら、
佐奈を恐れるようになり、
やがて、佐奈は、学校にもあまり来なくなった。
家庭内で暴力を振るうようにもなり、
やがて、夜の街で本物のワルたちとつるみだした。
「あっ♡ あぁぁっ♡ きもちいぃ♡ あぁぁ♡」
ワルたちとエッチを繰り返す佐奈。
佐奈の表情はー
同じ人間とは思えないほどに歪んでいた。
佐奈の悪意はさらに増幅されていくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----」
検死官・ジョーは自室で
ワイングラスに入れたぶどうジュースを飲んでいたー
いつものようにー。
妹の写真を見つめるジョー。
彼の妹は、既にこの世にいないー
その妹を復活させるために、彼はー
玄関の扉がノックされる。
検死官ジョーが表情を歪めるー。
ジョーが反応しようとした、その直後ー
ぶどうジュースを入れたワイングラスが
床に落ちー、
無残に音を立てて砕け散ったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
リクエストの内容を元にしたお話でした~!
1話完結の作品として作っても良かったのですが、
前に同ジャンルのリクエストを頂いたこともあったので
今回はその作品と被らないように、
悪の魂と絡めて、少し違うお話になるようにしてみました!
悪の魂のお話のほうは、
これで最後…というわけではないので、
また機会があれば~☆
お読み下さりありがとうございました!!
コメント
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無名さん物語の三部構成辞めて、1話完結で書いてみせんか?
個人的な意見なのですが明らかに単話の方が質が高いです、正直長くなると同じ展開をあえてなぞってらっしゃるのがわかるので本質的に同じ話になることが多いように思います。
構成の手間などマイナスの側面はあるかもしれませんが、展開力や表現力、発想力を鍛える意味でも無名さんは単話で物語を作る方が向いている気がします
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> 無名さん物語の三部構成辞めて、1話完結で書いてみせんか?
> 個人的な意見なのですが明らかに単話の方が質が高いです、正直長くなると同じ展開をあえてなぞってらっしゃるのがわかるので本質的に同じ話になることが多いように思います。
> 構成の手間などマイナスの側面はあるかもしれませんが、展開力や表現力、発想力を鍛える意味でも無名さんは単話で物語を作る方が向いている気がします
ご意見ありがとうございます~!
以前、逆のご意見も頂いたことがあるので、
見る方によって、感じ方が違うみたいですネ…(汗)
うまくバランスを取りながら、ジャンルも含めて
色々幅広く書いていければと思います!