<憑依>廃校① ~恐怖の始まり~

女子高生2人が、
十年以上前に廃校になった場所を肝だめしのために
訪れたー。

悲劇は、そこから始まった…。

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満月の夜。

人気のない廃墟のそばに、
二人の女子高生が居た。

「--ちょ、ちょっと…やめようよ美琴(みこと)…」
一人の女子生徒が、ビクビクしながら前を進む
女子生徒に声をかける。

南条 美琴(なんじょう みこと)は、
振り返って「大丈夫大丈夫!」と笑う。

そして得意げな様子で
「オバケが出てきても瑠那(るな)ちゃんの
 ことは私が守ってあげる!」と
自信げに言い放った。

南条 美琴と御崎 瑠那(みさき るな)は
親友同士。

最近、学校で噂されていた、
ある現象について、好奇心旺盛な美琴が
興味を持ってしまい、瑠那がそれに付き合わされる
カタチとなった。

その噂とは、
”廃校から満月の夜に謎の声が聞こえる”というもの。

街のはずれに、廃校になった学校の、
廃墟が残されていた。

その学校は、30年前に、
廃校になった。
理由は分からない。

けれどーこういう噂がある。
廃校になる1年前、とある男子生徒が命を絶った。

それから怪奇現象が多発するようになって、
次々と犠牲者が出たため、廃校になったのだと。

「わたし…怖い…」
瑠那が口元に手をやりながら、
身を震わせる。

気弱な感じの少女、瑠那は、
”守ってあげたくなるような存在”だった。

「---大丈夫だって!
 オバケなんか、居ないわよ!」

美琴が言う。

瑠那とは反対に、
美琴は、明るく、活発な女子生徒だった。

廃校の入口についた二人。

「都市伝説なんて怖くないわ!
 オバケでもなんでも出てきなさいっ!」

美琴が叫ぶ。
瑠那はガクガク身を震わせている。

「ほーら!」
美琴が瑠那の手を掴み、廃校の中へと入る。

30年ー
何故、この廃墟は、解体もされずに
残っているのだろう。

よほど、恐れられているのだろうか。

美琴はスマホで、廃校の様子を撮影しながら、
左手に持った懐中電灯で中の様子を照らす。

「---ふんふん、お化け屋敷より
 楽しいかもね!ワクワクするっ…!」

美琴が嬉しそうに奥に進んでいく。

反対に、瑠那は生気ない顔色で
ただ、ひたすらにおびえていた。

ギュオオオオオオオオオオ・・・

「---!?」
瑠那がビクっとして振り返る。

「--何、今の?」
美琴も少し驚いた感じで振り返る。

歩いてきた廊下から音がした。

「--も、もう帰ろうよ美琴ちゃん!」
瑠那が涙ぐんで叫ぶ。

ギギギギギギぎぎ・・・

不気味な音はー
3-Cと書かれた教室から響いていた。

「--この教室ね!」
美琴が嬉しそうに教室の前に立つ。

「ねぇ、瑠那!
 世の中にある怪奇現象の答え、
 教えてあげようか!

 それはね、私たちの”恐怖”よ。
 恐怖の感情が、わたしたちを勘違いさせるの!

 種あかしすれば、怪奇現象なんて怖くないのよ!」

美琴がご高説を終えると、
教室の扉を開いた。

「--さぁ、音の正体はな~にかな!」

中に入ると…

そこにはーーー

何も、なかった。

「ほーら!風か何かの音だったのよきっと」
美琴が言うと、
瑠那も懐中電灯をビクビクしながら
照らし、教室へと入ってきた。

「あはは、そんなに怯えないで…ね!」
美琴が瑠那に言うが、
瑠那はからだをガクガク震わせたまま立ち止まっている。

「-ちょっとぉ…そんなに怖がらなくても、
 ねぇ…瑠那?」

美琴が瑠那に呼びかけると、
瑠那は口を開いた。

「ね…ねぇ…美琴…わ、、わたし…
 からだ…動かない!」

瑠那が涙を流しながら呟いた。

「え?またまた冗談やめてよ~!
 私を驚かせようとしたって…」

美琴はそこまで言いかけて表情をゆがめた。

瑠那の後ろにーーー
”黒い煙”のようなものが”居る”

「---!?」

「---た、助けて」

ギギギギギギギ…

謎の音が聞こえた。
その男はーー
黒い煙が立てている異音だった…。

「ちょ、、な、何よコレ!」
流石の美琴も慌てはじめる。

ミィツケタァ!

黒い煙が喋った。

「ひっ…!」
美琴が、恐怖でその場に尻餅をついた。

「いやああああああああっ!」
黒い煙が、瑠那の口を無理やりこじ開けて
瑠那の中に侵入していく。

「ああああああああああっ!
 あああああああああああああ!!!」

瑠那が大声で悲鳴を上げている。
からだがビクン、ビクンと痙攣して、
苦しそうに胸のあたりをかきむしっている。

「ひっ……あ・・・」
美琴はあまりの恐怖にからだを動かすこともできず、
ただ、親友の瑠那が”何かをされている”様子を見つめるしかなかった。

「か… は・・・」
瑠那が苦しそうにうめき声をあげて、
だらりと体を垂らした。

腰の曲がったおばあさんのように力無く、
腕を垂らす瑠那。

「る…瑠那…?」
美琴がおびえながら近づいていくと、瑠那が顔を上げた。

「----うふふふふふふふ♡」
瑠那は不気味笑う。

「--あ、、、あの…大丈夫?」
美琴が聞くと瑠那は笑った。

「---うん、だぁいじょうぶだよぉ」
不気味な話し方。

そしてーー
瑠那の目が赤く光った。

マリオネットのように瑠那の体が宙に浮き始める。

「ケラケラケラケラ…」
不気味に首を揺らしながら瑠那は笑った。

「いやああああああああ!」
美琴は叫んで、慌てて、3-Cの教室から飛び出す。

”逃がさないよ”

とっくに電気の通ってないはずの校内放送から、
瑠那の声がした。

”30年前ー。
 女子たちにいじめられて、
 僕の人生は終わったー”

「いや…やめて!」
美琴は必死に廊下を走る

”僕はさ、放課後の3-Cの教室で
 自ら命を絶ったんだよ…”

瑠那の声が、憎しみに満ちている。

「--る、瑠那!瑠那!冗談はやめてよ!」
放送機に向かいながら叫ぶ美琴。

けれどー
瑠那は不気味な笑い声をあげた。

”ひさしぶりのからだだー。
 ふぅん…南高等学校の生徒かぁ…
 面白半分でここに来たんだろ?”

美琴は答えないー
早くここから出ないと。

”女ってのは、今も昔も変わらないやー。
 みんな、壊してやるーー
 みんな、呪ってやるーーーー”

美琴は、瑠那の声を聞きながら
出口付近に辿り着いた。

ごーん ごーん ごーん ごーん…

重い音の不気味なチャイムが響き渡る。
いつも聞く音色。

だが、その音程は”この世の終わり”かのように不気味な音だった。

ーーーー!!

美琴は異変を感じる。

自分のからだが、動かない。

背後から、気配がする…。

そしてーー
瑠那が目の前に現れた。

「友達のわたしを見捨てるなんて、酷い…」
瑠那が赤い目をしながら、美琴を睨む。

「ご、ごめん!瑠那!もうやめて!お願い」

「--やめないよ」
瑠那が口元が裂けそうなぐらいに、
ニヤリと笑った。

唇が切れ、瑠那の唇から血が流れる。

「---怨念…」
瑠那がつぶやく。

美琴はガクガクと身を震わせる。

「---まずはお前からだ」
瑠那はそう呟くと、目を大きく見開いて、
不気味にほほ笑んだ。

「きゃああああああああああ!」

夜の廃校に、悲鳴が響き渡った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

きゃああああああああああああ!

「-----!!」

美琴は、飛ぶようにして起き上がった。

「はぁ…はぁ…」
ベットの上。

いつもの、自分の部屋。

「ゆ…夢…?」

それにしてはリアルな夢だった。
こんな夢を見るなんて。

ふと、スマホの方を見る。

瑠那は、、大丈夫だろうか?
夢だろうけど、心配になった。

慌てて瑠那にラインを送る。

するとすぐに

”どうしたの?元気だよ!”と返事があった。

「はぁ~良かった…」

穏やかな日常。
いつもの1日。

高校について、いつものように、
友達たちと話す。

「ねぇ、瑠那、昨日さ…」
美琴は瑠那に話しかけた。

ひとつ、おかしいことがある。
”昨日の夜の記憶がない”のだ。

「--え?昨日?肝試し?
 美琴、予定があるからって、
 中止にしたよね?忘れちゃったの?」

瑠那が優しく微笑む。

「美琴ちゃんったら!忘れっぽいんだから…!」
可愛らしく笑う瑠那。

いつもの瑠那だ。

「--あ、そ、そうだよね、ごめんね」

座席につく美琴。

そうだー夢だ。
あんな、変な夢におびえるなんて。

登校時間を知らせる、8時30分のチャイムが鳴った。

ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン

ーーー!?

いつものチャイムの音じゃない。

不気味なおどおどしい…
昨日の、廃校で聞いた音ーーー

「ひっ…!」
美琴が悲鳴を上げる。

「どうしたの?」
前の座席の女子生徒、上森 亜子(かみもり あこ)が
振り返る。

「---い、、、いや…こ、、来ないで…!」

突然、赤い光が、亜子を包み込んだ。

「ねぇ、どうしたの?」
亜子はそんなことにも気づかずに、
美琴の怯える様子を疑問に思う。

美琴は、右前方の座席の瑠那の方を見る。

けれどー
瑠那は特に何の反応もしていない。

他の生徒も。

「ねぇ、どうしたの?」
赤い光に包まれていた亜子が、そう言いながら
突然筆箱からカッターを取り出した。

そしてーーー

”自分の首を切り始めた”

「きゃあああああああ!」
美琴が叫ぶと、
周囲の生徒も、亜子の異変に気付いた。

「ねぇ、どうしたの?・・・」
亜子は首からボタボタ血を流しながら笑う。

「---お、おい!」
周囲の生徒が駆け寄ってくる。

「---どうしたのよ…?あれ・・・」
亜子が自分のカッターで、首をズブズブと切っている

そしてーー

「あれ・・・わたし・・・」
亜子はそのまま力無く、その場に倒れた。

「ひぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
周囲の生徒たちが悲鳴をあげる。

「先生ーー!先生!!!」
保健委員の下咲 巴菜(しもざき はな)が先生を
呼びに廊下に出て行った。

「どうして…」
瑠那も寄ってきて、
突然自殺した亜子を見て怯えた様子を見せる。

「---あっ…あ・・・」
美琴は恐怖の視線を瑠那に送った。

”あ、あいつが、瑠那の中に居る・・・”

「---ど、どうしたの?」
美琴を見て、瑠那も怯えた様子を見せる。

直後、
美琴に声が聞こえてきた。

”お前らを、一人ひとり、順番に呪ってやるー”

からだを得た、怨霊は、
そう、呟いたー。

恐怖は、今、始まろうとしていたー

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

呪子高生以来、久しぶりのホラーモノ第2弾です!
最後の結末は予想外なものに…?
ぜひ、楽しんでください^^

憑依<廃校>
憑依空間NEO

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