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今回は記念短編「ホテルノシハイニン~挑戦者~」をお送りします。
過去のホテルノシハイニンはこちらからどうぞ!
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「----」
新しいからだにも馴染んできたホテル支配人、
名倉俊之は、今日もいつものように、フロントに立っていた。
「ーお前より綺麗な子なんて居ないさ!」
「あら!もう!室柳(むろやなぎ)くんったら!」
イチャイチャしている大学生カップルが
フロントにやってきた。
「---あいつら、予約客か?」
名倉は、受付嬢に尋ねる。
「---さ、さぁ…外見だけではなんとも…」
受付嬢が戸惑いながら言うと、
名倉は、カップルを睨んだ。
「--予約していた室柳ですけど…
って、あれ?なんすか、その目は?
俺の顔に何かついてます?」
茶髪の室柳が、名倉の睨む視線に気づいて言う。
「----いや」
名倉は心の中で思う。
”こいつらの人生は終了させなくてはならない”とー。
「--あ、そっか、おっさん、独身でしょ?」
室柳が言う。
彼女の女が「やめなよ~かわいそうだよ~」と笑っている。
「---」
名倉は平静を装いつつも、無言で室柳のほうを見る。
「お?図星か?
独身?お、もしかして童貞か!?」
室柳が、名倉を煽る。
一番煽ってはならない人間を
煽っていることもしらずに。
「きみは、私を侮辱しているのか」
名倉は怒りに声を震わしながら言った。
「あははははは、阿左美!
見てみろよ!顔に童貞ですっ!って
書いてあるぞ!」
室柳が名倉を指さしながら言う。
「ねぇ、室柳くんったら!
やめなよ!」
阿左美と呼ばれた彼女が言う。
「--ま、そうだな、
おっさんが童貞でも俺には関係ないか
俺には阿左美がいるしな」
そう言うと、阿左美の方を見る。
阿左美は顔を赤らめて、「室柳くん・・・」と
呟く。
真面目そうな容姿の阿左美と、
ちょっと粋がってそうな室柳。
二人はバカップルだった。
「ううううううううう…!!!」
屈辱のあまり名倉がその場で口に手をあって
発狂し始めた。
「お、おっさん!どうした!?
っつーか、早く部屋の鍵を・・・!」
室柳がそう言うと、
名倉は叫びながら支配人室へと走り去ってしまった。
「なんだよ!この童貞野郎!」
室柳が叫ぶ。
「--もういいよ、
ほら、早く部屋に行こうよ♡」
阿左美が言ったその時だった。
阿左美が突然、ビクンと体を震わせた。
「---ん?どうした阿左美?
今なにか…」
突然、阿左美のグーの拳が、室柳の顔面に食い込んだ。
「がはっ!!!!」
そのまま吹っ飛ぶ室柳。
ロビーが騒然とする。
「ふぁあああああ~~~
すっきりした。」
阿左美が乱暴に髪をかきあげながら、
憎しみに満ちた目で室柳を見る。
「--ふふふふ♡
人のこと童貞なんて言うなんて、最低だよね!」
阿左美が笑う。
「--あ、阿左美?」
流血した状態で狼狽える室柳。
支配人室にかけこんだ名倉がー
幽体離脱して、阿左美に憑依したのだった。
「---わたしたちの人生、終了させちゃいまーす!」
阿左美は周囲の利用客に向かって可愛らしくポーズを
決めると、自分の持っていたカバンを乱暴に投げ捨てた。
そして、倒れている室柳の上に馬乗りになると、
室柳を1発、2発、3発と力強く殴り始めた。
「うふ、あは、あはははははは♡
ほらぁ、さっきまでの威勢はどうしたの?
うふふ♡あああああぁぁあああ~最高♡」
「ぐはっ…」
ボロボロになった室柳が阿左美を見る。
「あざ…」
だが、容赦なく阿左美はグーで、
室柳の顔面を破壊した。
騒然とする周囲。
「---ふん、バッカじゃないの!」
そう叫ぶと、阿左美はつばを室柳の顔面に吐き捨てて、
さらにヒールで室柳を顔面を踏みつけた。
「お前の人生終了でございます~」
憎しみのこもった声で言う。
「どうだ!ゲームオーバーだ!
クソ餓鬼がぁ!!!!」
ヒールに力を入れて、グリグリと室柳の顔を踏みにじる。
「--ちょっと!やめなさい!」
近くに居た、OL風の女性が、阿左美を止める。
「どけっ!」
阿左美はOLを突き飛ばし、
さらに室柳に攻撃を加えた。
憎しみに満ちた表情で。
そして、室柳が動かなくなると、阿左美は微笑んだ。
「わたしの人生も終わらせちゃいまーす!」
そう言うと、
服を獣のような表情で引きちぎり始め、
さらには、フロントからハサミを乱暴にひったくり、
自らの髪を容赦なく切り始めた。
「うふふふ♡
ヒトを馬鹿にするようなわたしにはお似合いね!!
あははははははははっ!」
髪を滅茶苦茶に切り捨て、
服を脱ぎ捨てた阿左美は、
そのまま笑いながら、ホテルから立ち去ってしまった。
「--!?」
通行人が突然、髪がボロボロの全裸の女がホテルから
出てきて狼狽える。
「---ーわたしの人生、しゅう~~~りょ~~~~~~♡」
そう叫ぶと、阿左美は、両手を鳥のようにパタパタと
させながら、どこかへと走り去って行った。
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唖然とするホテル。
支配人室から名倉が出てきた。
「し、、支配人…
さっきの大学生が突然、奇行を…」
名倉は受付嬢からの言葉を聞き、
倒れたままの室柳を見つめた。
そして救急車を呼ぶように指示し、
室柳に近づいていく。
「-----か、、、は…」
顔面はぐちゃぐちゃだ。
だが、生きてはいる。
名倉は倒れた室柳に近づき、
耳打ちした。
「---悔しいか?」
と。
そして、
言葉にならないうめき声をあげる
室柳に優しく囁いた。
「あなたたちの人生、終了でございますーーー」
と。
おわり
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コメント
最近、出番が無かったので短編で
ホテルノシハイニンを!
まぁ、いつものパターンでしたね笑
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