名倉俊之ー。
カップルの女性に憑依しては、その幸せを破壊する悪逆非道の男。
時には、憑依した女性を死に至らしめることもいとわない。
そんな彼を暗殺しに向かった
憑依暗殺部隊。
いつものように、暗殺対象の身近な女性に憑依して、
軽く暗殺するつもりだったものの…。
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「あなたたちの人生、、
終了でございますーー」
可愛らしいメガネの少女ー、
姫香は邪悪な笑みを浮かべた
「えーーーどういうこと?」
直子(ベータ)が意味が分からない、という様子で
姫香に問いかけた。
真須美(アルファ)は
腕を組んだまま鋭い視線を姫香に投げかけた
「まさかーーー」
「---冗談よせよーー」
瑠佳(デルタ)が口を開いた。
今まで瑠佳本人の意識を外に出したまま
だんまりを決め込んでいたデルタも、
異常事態に表に出てきていた。
「---ウフフ…♡
私ね~~~」
姫香が言う。
「--”名倉俊之”になっちゃった!
えへへ♡」
姫香が笑ったーーー。
純粋そうな少女が浮かべたのはーーー
イヤらしい、黒き笑顔ーーー。
「---なっ」
直子(ベータ)が表情をこわばらせた。
「---私を暗殺しに来たんだね…。
でもザンネンでした~!
大切なお仲間は、姫香ごと、
乗っ取られちゃいました~~~!」
名倉が姫香のマネをしながら愉快そうに笑う。
真須美(アルファ)は
考えたーーー。
ガンマはどうなってしまったのかーー。
名倉に憑依され、姫香本人の意識と共に抑え込まれているのかー。
それとも、名倉に憑依された際に、ガンマは”消滅”してしまったのかーーー。
いやーーどちらにせよーー。
「…ガンマはどうした?」
ショートカットの直子が、20代の女性とは思えないような
低い声、鋭い目つきで姫香を見た。
その手にはベータがいつも暗殺で使う刃物が握られていたー。
「--うふふふふ
教えて欲しい??
私が姫香に憑依した時に~~
君たちの仲間は~~
消えちゃった!
あは♡」
姫香がふざけて体をくねらせながら言う。
真面目そうなイメージが台無しだ。
「---」
直子(ベータ)が殺気を放ち、姫香に刃物を突き立てようとする。
しかし…
「-----馬鹿ね」
姫香が指をはじいて音を立てると、
奥の警備員室からうつろな目の警備員が3人ほど現れた。
いずれも、自衛隊顔負けの装備をしている。
「---こいつらは」
直子がうろたえる。
姫香がニヤッと笑った。
「---この人たち?
”名倉親衛隊”よーー。
私ね~憑依して、その人の思考を作りかえることもできるの!
いざと言うときの為に、この人達に憑依して、
”私を守る為だけに存在する”って、脳を書き換えちゃった!
だから~
この3人は、命がけで私を守るよ?」
姫香が愉快そうに言う。
直子(ベータ)は唇を血がでるまでかみしめた。
ーーーこの体は自分のモノではない。
命がけで姫香の首筋に刃物を突き立てることはできる。
だがーー、
この体も警備員たちの反撃に遭い、死ぬかも知れない。
憑依している間にその体が死んだらどうなるのかーーー。
元の体に戻れるのか?
それとも直子の体と一緒に自分も死ぬのかー?
ベータには分からなかった。
そしてー姫香を殺したところで、
中にいる名倉は?ガンマはどうなるのか?
名倉が脱出して、ガンマだけが死ぬなら意味がない。
直子は歯ぎしりをして悔しそうに立ち止まった。
真須美(アルファ)は考えた。
もしも、ガンマが消えたなら、まずい。
残りの自分たちも、名倉に上から憑依されたら
”消えて”しまう…。
その様子を見て
姫香は笑う
「------人間に許された
”幸福”の量は決まっている。
私はそれを”早く使い果たした”ニンゲンたちを
不幸にしているだけ。
”世の中を平等”にしているの。
分かる?
私は正義なんだよ!
ハハハッ!」
姫香が笑った。
そしてー
直子、真須美、瑠佳の3人を見て
勝ち誇った笑みを浮かべたー。
「---”正義”は勝つーーー」
姫香の挑発的な視線を見て、
直子(ベータ)がキレた。
「テメェ・・・」
姫香に向かおうとする直子。
しかし、真須美(アルファ)がそれを制した。
「---撤退する。
ただちに退避行動をとれ」
冷たい視線で真須美(アルファ)は
笑みを浮かべる姫香を見つめると
フッと力が抜けたように倒れた。
「---必ずぶち殺してやるからな」
直子が殺気を込めてそう言うと、
糸が切れたように倒れた。
「----チッ」
瑠佳(デルタ)は、記憶を消去することも忘れ、
そのまま退散した。
倒れた3人を見つめて姫香は笑った。
そして、横暴な態度で、3人の警備員に顎で
退散するように示すと、警備員は警備員室へと
戻っていった。
「---しばらくはこの体を使うか」
姫香(名倉)は呟いた。
正直、ガンマとかいう男がどうなったのか、
名倉自身にも分からない。
自分が姫香の体から抜ければ、ガンマの意識が
戻る可能性もある。
ならばー
しばらくこの体をこのまま利用していた方が
良いだろう。
名倉はそう考えた。
「姫香ー
今日から支配人になりま~す♡ 」
甘い声で姫香はそうささやいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日。
ホテルはいつも通り営業していた。
だが、古株スタッフの
赤城 真須美は、険しい表情だった。
今朝ーー
支配人の名倉がしばらく急病の為、急用すると
そう連絡してきたのだ。
そして支配人代理として何故だが
一番若い、新人スタッフの森永姫香を指名したのだという。
姫香が名倉直筆の署名と伝達文を見せていたから間違えはない。
名倉が姫香を指名したのだろう。
だがーーー
「支配人が戻ってくるまで頑張りましょうね♪」
いつも大人しく控えめなイメージの
姫香が今日は自信に満ち溢れている。
仕立ての良いレディースのスーツを着て、
立派に振る舞っている。
その姿は、まさに名倉を彷彿とさせる。
「----…」
真須美は、前々から名倉に違和感を感じていた。
何故、このホテルでは突然変態的な行動に走る
女性が多いのかー。
最初は偶然だと思っていた。
だがー。
真須美は姫香の方を見る。
姫香はーーー
昨日までとは違う、赤渕のメガネをしている。
そしてー
ロングで下していた髪の毛は、
赤いリボンで束ねられていた。
まるでーー
別人のようーー。
女性が暴走している時、
支配人はいつも”部屋に閉じこもっている”
そして姫香の変貌ーーー
「まさかーー」
真須美は一人呟いたーーー
「-----赤城さん」
真須美はハッとして顔を上げた。
そこには笑顔の姫香の姿があった
「--怖い顔してますけど、
どうかしましたか?」
姫香は満面の笑みだ。
「う、、、ううん、何でもないわ」
真須美が誤魔化すように言うと、
姫香は一層、ほほ笑んだ。
そして、そのまま支配人室の方に姫香は
歩いて行ったーーーー。
「姫香ちゃん、張り切ってるね」
直子が言う。
だがーー
真須美には
”姫香が名倉に見えて”仕方が無かった。
部屋に入った姫香は
自分の手を加えながら
「ウウウウウウウウウーーー」と奇声をあげた。
自分の思い通りに行かない時に名倉がよくする奇行だ。
スタッフの真須美が自分に疑問を抱いていることは
名倉も気づいていた。
だがー彼女は優秀だった。
出来れば、手元に置いておきたかった。
だがーーー
「----処分だな」
姫香は冷徹に、そう呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日の夜。
人通りのほとんどない、車道。
その真ん中で、
一人の女性が服をボロボロにした状態で
一人喘いでいた
「うっ…あっ…あぁぁっ…♡ 」
道路にうつ伏せになり、
胸を道路に押し付けたり、擦り付けたりして
刺激している。
かなり痛みもあるが、
今の彼女にはそれすらも快感だった。
彼女はーーー
昼間まで真面目な表情で仕事をしていた
受付女性ーー、赤城 真須美だった。
仕事終わりに
名倉に憑依され、道路の真ん中で
一人、快感に身を投じていた
「わたし…!
余計なことに感づいちゃったから!
処分されちゃうの!!
えへへ…♡ 」
真須美がだらしない表情でよだれをこぼしながら言う。
体から愛液が噴出している。
汗も、道路にこすったことによる血もーー、
涙も噴出している。
真須美がスマホを見る。
そこにはーー
”彼氏”の連絡先があった
「チッーー」
真須美は舌打ちをする。
”コイツ”も幸せを味わっていたのかーーー。
真須美はおもむろに彼氏に電話を入れた
”最後”の別れでもしておくかーとほほ笑んで。
道路の上に落ちた愛液を
四つん這いになりながらなめる真須美。
「あぁっ…あぁっぁん…
これから……わたし、、死んじゃうのに…
すごい、、嬉しい!
真須美のぜんぶを支配してる!!!
えへへへへぇ…♡ 」
真須美が喘いでいると
彼氏が電話に出た
「どうした?」
彼氏の声。
真須美は
電話に向かって盛大に声を出した
「私たち…もう、、、
幸せ使い果たしちゃったからぁ…♡
あっ、、、あっ、、、、うひ、、ひひ…」
真須美の喘ぎ声が電話越しに聞こえた
彼氏は戸惑う
「おい、、何か、あったのか?」
真須美は笑う
「えへへ…えへ…」
そして、真須美は人通りのないこの道路に”光”が差し込むのが見えた。
車がやってきたーーー。
真須美が寝転んでいるこの道路にーーー。
真須美はより一層、笑みを浮かべた
「えへへへへ…
真須美~これから死んじゃうの!
あはは♡
でもね、、真須美、今、と~~~~っても気持ちイイよ」
真須美は自分の胸を両腕でわしづかみに
して体を震わせた。
車が近づく。
真須美は叫んだ
「真須美の人生~
終了でございまぁ~~~~す♡ 」 とーー。
そしてーーー
電話を持つ彼氏の耳に、
クラクションの音、何かが潰れる音が響き渡ったーーー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
名倉は直前で、真須美の体から抜け出した。
霊体の状態で、現場を見つめる。
真須美は即死だろうーー。
だが、彼女はもう十分幸せだった。
これで良い。
名倉はホテルの支配人室に置いてある
姫香の体に再度憑依した。
名倉は知っていたー。
憑依された人間が意識を取り戻すまでの時間をー。
それは、
憑依されている時間が長ければ長いほど、
目を覚ますまでも長くなる。
姫香には、昨日憑依して丸1日経っている。
だから、最低でも半日は目を覚まさないのだ。
「はぁぁ~~~っ うふっ…
楽しかった~~~」
姫香はそう呟くと、
椅子に眠るようにして座っている
”支配人”の名倉の体を見つめたーー。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「くそがっ!」
憑依暗殺部隊の隊員、ベータが罵声を上げる。
カプセルに入ったまま目を覚まさないガンマを見つめて
苛立っていた。
心臓は動いている。
だが、本人の意識が戻らない
「---まさか、こんなことになるとはな」
デルタが言う。
彼は、姫香…いや、名倉の目に
恐ろしいまでの”殺意”を感じた。
デルタは気おされてしまっていた。
自分も修羅場は相当数くぐっている。
だが、そんな自分でも
あの名倉俊之という男の
狂気は計り知れなかった。
憑依した相手の記憶を消すのも忘れ、
デルタは一目散に退散したのだった。
「---俺がアイツをぶち殺してやる」
ベータが言う。
もう一度、ホテルの受付嬢の誰かに憑依して、
女の体で絶頂を迎える瞬間に、
姫香の喉元を掻き切ってやるーー。
もしもそれで名倉がもとの体に戻ったら、
名倉の喉元も続けて掻き切ってやる
「---待て」
アルファが冷静に言った。
「---私がやる」
アルファが静かに言う。
だが、ベータは反論した
「隊長、今回ばかりは譲らないぜ。
名倉の野郎はこの俺が…」
「----私がやる」
アルファが鋭い視線をベータに投げかけた
「-----!!!」
ベータは、この世の恐ろしいモノの片鱗を見た。
アルファの目はーーーーー
”修羅”と化していた。
アルファはベータよりも以前から
暗殺任務に従事していた。
潜り抜けた修羅場は誰よりも多いだろうーーー。
「---り、、、了解」
ベータがそれだけ言うと、
アルファがカプセルに入り、
言った
「すぐに戻るー。」
アルファはそう言うと、”憑依”すべく、意識を体の外へと飛ばした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日。
「今日も決まってるぅ~♡ 」
姫香は鏡を見て、ほほ笑んだ。
大人しく控えめだった姫香は、
今やすっかり強気になっていた。
「私はーーー名倉俊之なんだから…
うふふふふふっ♡ 」
そして、姫香は自分の思考を少しずつ
変えていっていたーーー。
”自分は名倉のしもべ”
そう何度も何度も、心の中で呟いた。
自分の体に戻った時、
姫香を処分しないでおくには仕方のないことだ。
「私はーーー
名倉様の忠実なしもべーー」
姫香は何度も何度もそう呟いた。
「名倉様に全てをささげますーーー」
そして姫香は笑った
「あはははははあ!かわいそ~~
姫香、まだ若いのに、
奴隷になっちゃうなんて~~~
あっははははは~~♡ 」
一方、受付では
姫香から
「赤城真須美さんが自殺したみたい…」と
聞かされた受付嬢の
直子と瑠佳は動揺していた
「赤城先輩が自殺なんてーーー」
直子が悲しそうな目で言う。
「そうね…」
瑠佳が言う。。
ふいに直子が変な声を出した
「かはっーーー!!」
直子がふらっとする。
瑠佳が「どうしたの!」と叫ぶと、
直子は冷たい視線で瑠佳を見た。
直子の殺意の込められた視線。
瑠佳は突然の事に言葉を失った。
ふいに直子が立ち上がり、
支配人室の方へと向かって行った。
「ちょーーー
そっちは姫香の部屋よ!
勝手にはいったら…」
瑠佳が言うと、
直子は
「----黙れ」
と、そう呟いた。
殺気のこもった目ーーー
あまりの恐怖に瑠佳はその場に
腰を抜かした
「なーーー、、なおこ…?」
そして直子は名倉の部屋の前に立った。
あらかじめ用意していた、
ピッキング用のツールで、直子は扉の鍵を簡単に開けた。
そしてーー
中に入る。
そこにはーーー
自分の胸で遊んでいる姫香の姿があった。
「-----支配人」
直子が静かに呟く
「---あら?また来たの?」
姫香(名倉)は、先日の暗殺者がまた来たのだと
理解した。
「----」
直子は姫香の姿を見つめた。
赤渕メガネに、結ばれた髪ーー。
この前とは違うイメージだ。。
「---何の用?」
姫香が高圧的に尋ねる。
直子は言ったー。
”皮肉”も込めて、
奴の言葉をまねてーーー。
「名倉俊之ーー
あなたの人生、終了させて頂きますーーー」
と。
③へ続く

コメント
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続きが楽しみです!
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> 続きが楽しみです!
ありがとうございます^^
次回で決着ですね~!