憑依暗殺部隊ー。
最後の隊員”デルタ”が指導するー。
憑依した相手の意識を残したまま暗殺を行う、
冷徹な憑依暗殺隊員。
彼の今回のターゲットはーーー。
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「今回の対象はーー
悪徳マネージャー。野崎 辰夫(のざき たつお)
若手アイドルを食い物に色々ときな臭いことをやっている男だ」
リーダー格のアルファが
スクリーンに対象の写真を写しだす。
「そして、今回はこのマネージャーが今、熱心に育てている
アイドル、愛佳(まなか)に憑依して、暗殺を行う」
憑依対象の愛佳がスクリーンに映し出される。
いかにもアイドルらしい、容姿で愛嬌のある笑みを浮かべている。
衣装もアイドルらしく、可愛らしいモノになっている
「---フフフ、俺の出番だな」
デルタが手を挙げた。
彼はメンバーの中でも”もっとも残酷”と評されており、
彼に乗っ取られた子は災難だとまで言われている。
「あ~あ、この子も可哀想に」
ベータがニヤニヤしながら言う
「-ーそうですねぇ」
ガンマがスクリーンの方を見つめた。
アイドル、愛佳ーーー。
”デルタ”に魅入られた時点でもうーーー。
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「このあと握手会があるから」
マネージャーの野崎が言う。
「はい!頑張ります!」
愛佳が可愛らしい仕草で返事をした。
ー別に裏方で愛嬌をふりまく必要はないのだが、
アイドルをやっていると、どうしても誰にでも愛嬌を
振りまいたりするようになってしまう。
「愛佳ちゃんは本当に頑張ってるよ」
野崎が言う。
愛佳は現役の女子大生で、
ある日、街でスカウトされてアイドルの道へと進んだ。
既に2年。
今はまだ地下アイドルレベルだが、
次第にその人気も上がってきており、
いずれは全国区デビューも考えられていた。
「はい、ありがとうございます」
可愛らしく返事をする愛佳。
「じゃ、そろそろいいかな」
野崎が言う。
そして、愛佳は会場へと向かった。
「---おーー愛佳ちゃん!」
会場で待っていたファンたちが一斉に声をあげる。
愛佳は笑顔で手を振った
「みんなーおまたせー!
愛佳のためにありがと!」
最大限の愛嬌を振りまいて
ステージに立つ。
だがーーー彼女は男性が苦手だった。
特に、オタク系が苦手で仕方が無かった。
だが、彼女はスカウトされてからというものの、
本気でアイドルになりたいと考えていた。
だからこそ、自分を殺し、
色々と我慢もしてきたのだ。
「へへー今日も可愛いね」
最初のファンがやってきた。
「ありがとうございます♪」
愛佳は笑みを浮かべながら、
握手を交わす。
ファンが財布を落とし、それを拾う。
愛佳は内心嫌悪した。
わざと財布を落としてチュールスカートを
覗こうとしているのだと分っているからーーー。
その時だった。
「---うっ!」
愛佳が変な声を出した
「ん~どうしたの?」
ファンの男が聞く
すると突然、愛佳で笑みを浮かべて
乱暴に机を倒すと、男を抱き寄せた
「握手だけじゃ…満足できないでしょ?
ホラ…愛佳のサービス♪」
男は顔を真っ赤にしている。
「--え…イヤ!イヤ!
な、、、なに!離れて下さい!」
しかし、突然 愛佳が悲鳴を上げる。
ファンの男は驚いて、愛佳から離れた
「な…なに、、今?私勝手に…」
愛佳が怯えの表情を見せる
「--おいおい、何やってるんだ!」
マネージャーの野崎が愛佳の方へ歩み寄る
「---邪魔すんじゃねぇ!」
愛佳が突然、大声で怒鳴った。
ファンもマネージャーも足を止めた
「---えっ…え、、あれ??
な、、何これ!
今の口が勝手に!」
また愛佳がおびえた様子を見せる
そしてーーー
急に笑みを浮かべると愛佳が言った
「は~い!握手会は中止!
今日はみんなを気持ちよくしてあげるね♡
愛佳の大サービス!!」
愛佳が男を誘うようにスカートを
ふわふわとさせた。
ファンの男たちは鼻の下を伸ばして
一斉に愛佳に近づいた。
だがーーー愛佳の目からは涙があふれていた
「--どうしたの?」
ファンの男が愛佳のスカートをいやらしく触りながら言う
「ううんーーー
うれしくて!愛佳の体でみんな、こんなに喜んでくれるなんて
ホラ!もっと好きにして!」
愛佳が誘うように甘くささやいた。
男たちの興奮は頂点に達した
「~~~
(く、口が動かない…どうして!やめて!
きもちわるい!!やめて!やめて!はなれて!」
愛佳は自由にならない体と口におびえながら
懸命に叫んだ。
だがーーー
「ホラ!もっと~~
愛佳を楽しませて!
愛佳、み~んな大好き!♡」
自分の体は男たちを受け入れ、
体を触られることに快感を感じている。
「ホラ、もっとやっていいよ…」
そう言うと、愛佳は怯えた表情を浮かべながら
自分のアイドル衣装を脱ぎ捨てた。
男たちが歓喜の声をあげる。
マネージャーは戸惑っている。
「……(誰か助けて!)」
愛佳がそう叫んだ瞬間だった。
口の主導権が戻ってきた
「たすけ…あっ!あっ!やめ、、あぁぁあ!
うああぁ、あ、、ぁ、、やめて、、愛佳、、、このままじゃ♡」
既に愛佳の体は感じてしまっていた。
助けを求めようとするが声にならない。
そして、脳内に声が響き渡る
「(どうだい…体が自由にならない感覚。
新鮮だろう?むはははは!)」
中からけがらわしい声が聞こえる
「あ、、あなたは、、、だれ、、、あな、、あぁぁあ♪
きも、、、きもち、、、気持ちイイ!!
も、、、もうやめて、、まなか… あっ♡」
そして愛佳はそのまま絶頂に達し、
会場に響き渡る大きな声で喘いだ
「あっあああああぁぁあ~~♡」
ファンの男たちは
「まじかよ すげーぜ」
と言っている。
「(見てな…)」
愛佳の中の男が再び主導権を握った。
今しがた絶頂に達した愛佳が立ち上がる。
そして、男たちに言う
「いまから、愛佳のとっておきのショーを始めるね!」
そう言って愛佳がほほ笑んだ。
だがーその目からは大粒の涙が流れている
「---いや、、やめて!」
突然、愛佳が叫び出した
ファンもマネージャーも困惑している。
「いやだ!やめて!私から出て行って」
愛佳はそう叫んでいるが、
その言葉をよそに、先ほど、愛佳に憑依する前に、
この会場に”発送”しておいた小包を乱暴に開けた。
その中にはーーー
輝くナイフが入っていた。
愛佳は下でそのナイフを舐めた。
可愛らしい愛佳が妖艶にー
ナイフを舐めている。
ファンの男たちは興奮した
「私に何させるの!やめて!お願い!助けて!」
愛佳がそう叫びながら、
マネージャーの方へ向かう。
「へーーー?」
マネージャーが間抜けな声を上げた
次の瞬間だった。
愛佳がマネージャーの首にナイフを突き立てた。
「やめてぇーーーーーー!
いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
愛佳が泣き叫ぶ。
だが、その表情は笑っている。
そしてーーー
「あははははははははーーーー!
愛佳の殺人ショー♪
あは!あは!たまらない!!」
ファンたちが悲鳴をあげて一斉に逃げ出した
そして、愛佳は冷たくなった野崎の姿を見つめた
「まなか、人を刺しちゃいました~」
笑いながら言う愛佳。
そして、
「…うっ…うっ……
どうして……」
愛佳がただただ泣きじゃくった。
そしてその愛佳の表情が再び笑みを浮かべたものに変わる
「--俺はよぉ、
こうやって対象を始末しながら、
同時に自分ではしたくないことをさせられる絶望?
それを見るのが大好きなんだよ!
今回の君みたいにな。
純粋な子の絶望。それが俺を興奮させるんだよ。
はっはっはっ」
愛佳が愛嬌のある声で汚らしく笑う。
「ま、心配すんな、
君は”楽”にしとくからよ」
愛佳がデルタの意思でそう呟くと
「えーー?」
と言葉を発し、
突然痙攣し始めた。
白目を剥き、痙攣する愛佳ーー。
そして痙攣が落ち着いた頃ーーー
愛佳はそっと目を覚ました
「---うあーーー?」
愛佳はーー何も覚えていなかった。
この世に生まれた時からのことを全てーーー
「あーーー、、あぁ…」
腑抜けた顔でよだれを垂らしながらその場で
茫然とする愛佳にーーー
元の面影はなかった。
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「どうだったよ?」
”帰還”したデルタが言う。
「---ひどすぎだろ」
ベータが言う。
”人に暗殺をさせている”という点でひどいのは4人とも同じだろう。
だがーー
ベータはデルタのやり方に恐怖していた
”本人の意識を残したまま暗殺させる”
そして、”最後に無意味に憑依相手の記憶を全て消す”ことにーーー。
「ーーー悪趣味ですねぇ」
ガンマもその様子をモニターで見ながら、そう呟いていた。
ーーー彼らの”仕事”は終わらない。
そしてーー
彼らには”大きな仕事”が迫りつつあった。
おわり
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コメント
憑依暗殺部隊 完結です!
と、言っても次回作
「憑依暗殺部隊の大仕事」を少し間を開けて掲載予定です。
次のターゲットは大手ブラック企業の経営者一族。
会長、長男、次男、三男。
4人を暗殺するため、
アルファら4人は、
経営者一族のプライベートパーティの日に、暗殺を決意します。
経営者一族の妹、
経営者一族の豪邸のメイド、
一族の長男の婚約者。
そして会長の愛人。
それぞれ憑依した4人は、
4人同時暗殺作戦を決行しますーー。
お楽しみに^^
憑依暗殺部隊、ひとまずは終了デス
お読みいただきありがとうございました
明日は悪の魂 の続きです。
そろそろジョーさんが退屈してるので(笑)
コメント
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続編楽しみ。もちろん悪の魂の続きも楽しみ
暗殺部隊どれもいい仕事っぷりでした
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ありがとうございます!
どちらの続きも頑張ります!
> 続編楽しみ。もちろん悪の魂の続きも楽しみ
> 暗殺部隊どれもいい仕事っぷりでした