<入れ替わり>それでも君とは付き合えない(完結編)

”付き纏い”の女子と
入れ替わってしまったイケメンの男子生徒。

入れ替わり生活を続ける中、
何とか彼女のことを少しは分かろうとしたものの、
やはり分かり合えないと確信した彼はー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・

”加奈子とは何をやっても分かり合えないー”

加奈子(修太)は
これまでの生活でそんな風に確信してしまっていたー。

”何とか、早く身体を取り戻さないとー”
加奈子(修太)はそう思いつつ、修太(加奈子)には
何とか”友達だからー”と言う言葉を武器に
元に戻るための方法を探す時間稼ぎをしていくー。

しかし、”もう一度階段から転がり落ちて見よう”と提案しても、
修太(加奈子)は”久川くんが怪我しちゃったらどうするの?”も
一点張りで、それに応じようとする様子は全く見せない。

もちろん、もう一度階段から転がり落ちるなんてリスクだらけだし、
もしも元に戻れなかったり、
最悪、怪我でもしてしまったら大変だー。

けれどー……
”入れ替わった状態から元に戻れる方法なんてー…俺にも分からないよー”
と、加奈子(修太)は戸惑いの表情を浮かべるー。

時間を稼ぎつつも、”加奈子”として生活を続けるー。

その日が1日、また1日と長くなっていくにつれて、
修太はだんだんと自分が”女子”でいることに”慣れて”来てしまっていることを
自覚するー。

スカートを履いている時に違和感を感じなくなったし、
自分の身体に”胸”があることをいつの間にか受け入れてしまっているし、
男であることを証明する”アレ”が身体にないことにももう慣れてしまったー

「このままじゃ俺ー…男子じゃなくなるー」
加奈子(修太)は、次第に焦りを覚えながらも、
どうすることもできずに学校生活を続けるー。

そうこうしているうちに、修太(加奈子)は
学校内でさらに孤立を深めて行き、
「わたしには、久川くんがいれば大丈夫だからー」と
心なしか、顔つきもだんだんと暗い表情になり始めたような、
そんな気もしたー。

そしてー、その一方でー…

「ー村岡さん、最近話しやすくなったよねー」
女子生徒の一人が、加奈子(修太)に対してそんな言葉を口にするー。

「ーーえ…あ、そ、そうかなぁ…?」
加奈子(修太)は少しだけ戸惑うような表情を浮かべつつ、
そんな返事を返すー。

加奈子になった修太は、自分が修太であることは誰にも言っていないし、
元々の加奈子の行動を大きく変えるようなこともしていないー。

自分から積極的に話しかけるのは変だと思ったし、
加奈子本人にも何を言われるか分からないために
そういう行動は避けて来たー。

ただ、”加奈子”がしていたような迷惑行為や
周囲から奇妙に見られてしまうような行為はしないようにしていたし、
周囲から”話しかけられた場合”は、ちゃんと返事をするようにはしていたー。

いくら”加奈子のフリ”をするとは言っても、
周囲の迷惑を全く考えないような振る舞いだったり、
話しかけられても無視することがあるような振る舞いまで
真似をするつもりにはなれなかったー。

その一方で、”加奈子のことを菌扱い”するような行為はよくないと、
そうも思ってた修太は、加奈子になってから、
そういうことを言ってくる相手に対して”そういうのはやめて”と、
ハッキリと告げていたー。

そんな行動を心がけているうちにー、
自然と周囲からは”最近話しやすくなった”と
言われるようになったのだー。

「ーーーーーー」

がーー
そんな風に言われた加奈子(修太)のことを、
修太(加奈子)は鬼のような形相で見つめていたー。

そしてーーー
修太(加奈子)の加奈子(修太)に対する執拗な嫌がらせが始まったー。

「ーーーい、いい加減にしろ!!」

”嫌がらせ”が始まって数日ー。

加奈子(修太)はそんな言葉を口にしながら、
修太(加奈子)の方を見つめたー。

が、修太(加奈子)は
「ー裏切者ー」と、そう言葉を口にすると、
「友達って言ったのにー」と、そう続けたー。

加奈子(修太)は戸惑いながら
「ーい、いつ俺が友達をやめるって言った!?」と、
そう言葉を口にすると、
修太(加奈子)は「ほかのみんなと仲良くしてたー」と、
不満そうに言葉を吐き出すー。

「ーー仲良くしてたってー?
 他の子と仲良くしたら、村岡さんと友達じゃなくなるのかー?」
加奈子(修太)がそう言葉を口にすると、
修太(加奈子)は「ー友達なら、わたしのことだけを見てよ!」と、
そう反論するー。

「そんなのー…そんなの友達じゃないー!
 村岡さんー、君が考えてる”友達”って言うのは歪んでる!」
加奈子(修太)がそう言い放つと、
修太(加奈子)は表情を曇らせるー。

「ー君は、自分のことばっかりだ!
 相手のことなんて何も考えてない!

 相手に”わたしの理想の友達像”を押しつけてー、
 相手に”わたしの理想の恋人像”を押しつけてー

 少しは相手の気持ちも考えないと、
 村岡さんはずっと、今のままだぞ!」

加奈子(修太)はそう言い放つー。

普段、イケメンな見た目と、
明るく、穏やかな性格の修太が
こんなに感情的に人を叱りつけることはまずない。

そんな修太にここまで人を叱らせるほどに、
加奈子の性格は歪んでいたー。

「ーーもういい」
加奈子(修太)はそれだけ言うと、
修太(加奈子)に背を向けるー。

「ーー~~~~~!!!」
修太(加奈子)は、加奈子(修太)に背を向けられて
心底動揺したような表情を浮かべると、
「わ、わたしー…わたし、か、か、変わるからー!」と、
慌てた様子でそう叫ぶー。

「か、か、変わるから!」

修太(加奈子)は繰り返しそう叫んだものの、
加奈子(修太)はついに振り返ることなく、
そのまま立ち去ってしまったー。

「ーーーー……」
修太(加奈子)はようやく自分の過ちに気付いたのだろうかー。
暗い表情を浮かべながら「わたし…」と、少し悲しそうに、
そして静かに呟くのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから1週間ちょっとが経過したー。

加奈子(修太)は、元に戻るための方法を
独自に探していたものの、
それを見つけることは出来ない状態が続いていたー。

修太(加奈子)はますます孤立し、加奈子(修太)は
友達が次第に増えつつあるー、そんな矢先だったー。

「ーーあのー久川くんー」
修太(加奈子)がそう言葉を口にすると、
加奈子(修太)は、”あの日以来初めて”の会話に
少し戸惑いながら振り返ったー。

「ーーー久川くんーー…これー」
暗い表情ながらも、修太(加奈子)は、
悪意のない様子で書類の束のようなものを
手渡して来たー。

それはーーー…

「ーーこれはー…」
加奈子(修太)は少しだけ驚くー。

「ー久川くんに怒られてー
 わたし…自分いできることを考えてみたのー
 それでー」
修太(加奈子)はそう言葉を口にすると、
”入れ替わり現象”について、世界中から文献や、
実際の事例をかき集めた書類の束を見つめたー。

世界各国では、”ごくわずか”ながら
加奈子と修太と同じような入れ替わり現象が発生していたー。

そして”階段から転落した際に入れ替わった”事例では
可能な限り時間帯から服装、状況まで同じ状態を再現し、
もう一度階段から転落することで、
”元に戻ることができた”事例が、
複数存在することが判明したー。

”戻れなかった”事例も存在しているようであるものの、
”階段から落ちた際の状況の再現率が高ければ高いほど”
そして、入れ替わってからの時間が短ければ短いほど、
元に戻ることができる可能性が高い、ということも判明したー

「村岡さんー」
加奈子(修太)はそう言葉を口にすると、
修太(加奈子)は、”久川くんから叱られて、自分にできることを見つけた”と、
言葉を口にした上で、
これがその自分にできることだと、そう言葉を付け加えたー。

「ーーーーーー」
加奈子(修太)は少し驚いた様子で、
修太(加奈子)が集めて来た書類を見つめるー。

ここまで、熱意を持って一つのことを調べ上げることができるー…
…と、言うのは、加奈子の凄いところなのかもしれない。

そう思いつつ、加奈子(修太)は
「ありがとうー」と、そうお礼の言葉を口にすると、
「ー元に戻ろう」と、そう言葉を口にするー。

そして、その数日後の
入れ替わった日と同じ曜日、同じ時間帯に、
階段から転落した場所へとやってきていたー。

”できる限り、あの時と同じような状況”は作ったー。

あとは実際に”もう一度入れ替わり”が起きてくれることを祈るのみ。

「ーー…ごめん。わたしのせいで、久川くんー…
 クラスで孤立しちゃってるけどー」
修太(加奈子)はそう言うと、
加奈子(修太)は少しだけ溜息を吐き出すと、
「正直きついけど、でも、大丈夫ー。頑張るよ」と、
そんな言葉を口にしながら笑顔を浮かべたー。

その上で、「村岡さんの身体でも色々な人と話しちゃったから
そのあたりは戻ったあと、大変だと思うけどー」と、
そう謝罪してから、階段の下の方を見つめたー。

”元に戻れますように”
そう願う加奈子(修太)ー。

”死んだりしませんように”
”大怪我をしませんように”

階段から転がり落ちることにはリスクも伴う。
アニメや漫画の世界のように、
何度も何度も階段から転がり落ちることを”試す”などということは出来ないー。

チャンスは、限られているー。

もしも元に戻れたら、加奈子の身体で過ごすのはこれで最後ー。

正直、加奈子にはかなり迷惑を掛けられたし、
加奈子のことは好きじゃないー。
そして、修太は特別”Hな男子”というわけでもなかったために、
元に戻りたいという気持ちの方がはるかに強い。

とは言え、しばらくの間借りていた身体とお別れするのは
不思議なことに、少しだけ名残惜しい気持ちでもあったー。

「ーーーよし、行こう」
加奈子(修太)は静かに頷くと、
事前に二人で打ち合わせしていた通り、
”あの時と同じような”状況を作り出して、
そのまま階段から転がり落ちるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー

「ーーーーーー」
”修太”は鏡を見つめるー。

そこに写っていたのは、
紛れもなく、”自分の顔”だったー。

「ーーーーー」
修太は自分の顔を少しだけ嬉しそうに見つめるー。

別に修太は自分大好きなナルシストではないし、
自分の顔を”嬉しそうに”見つめたことなど、
今までにはなかったー。

ただー…
最近は、そう思うー。

あんなことがあったからー。

”自分が自分であること”
それは、当たり前のことだと思っていたー。

けれど、ああして身体が入れ替わってしまうだけで、
簡単に自分が自分でなくなってしまう。

死んだわけではないのに、
記憶喪失をしたわけでもないのに、

そこに自分はいるのに、
自分として歩むことができない恐ろしい状況ー。

そんな状況を乗り越えた今だけは、
自分の顔を見て、嬉しそうにするのも
仕方のないことだったー。

「ーーーーよし」

支度を終えると、修太はそのまま
学校に向かうー。

学校に到着すると、修太は
少しだけ戸惑うー。

周囲のクラスメイトとの関係をまだ修復しきることが出来ていないー。

”加奈子”が中身だった時の振る舞いをまずは謝らないといけないー。

既に何人かとは仲直りしたものの、
まだ”完全復活”には少し時間がかかりそうだー。

そんな状況に置かれながらも、それでも前向きな修太ー。
きっと、修太がまた”クラスの人気者”に戻るまでには
そう長くはかからないー。

そんな中、元に戻ったあと学校を休んでいた加奈子が
この日、初めて再び学校にやってきたー。

「本当に、迷惑かけてごめんなさいー」
加奈子はそう言葉を口にすると、
「ーいや、いいさー」と、修太は色々不満はありながらも、
それでも優しくそう言葉を口にしたー。

がー、加奈子は言ったー。

「ーーこれで、友達から恋人になれるね!!」
とー。

加奈子はまだ、入れ替わった直後に
”友達から”と言ったのを覚えていて、
今度は恋人になれるー、と、そう言葉を口にしたのだー。

「ーーーーーー」

”まずは友達から”と、そう言ったー。
あれは、元に戻るまでの時間を稼ぐための言葉だー。

騙したのは悪かったは言え、
少しは心を入れ替えてくれたのかもしれないとは言え、
思い込みが激しくて、ストーカーをしてきていたような子と
喜んで付き合うことは出来ないー。

修太がどんなに優しくてもー、
修太がどんなに気遣いが出来る人間でもー…

今の時点で、”好きになれない”子と付き合うことはできないー

「ごめんー。君とは付き合えないー」
修太はハッキリそう言葉を口にするー。

「ーーーー」
加奈子は沈黙するー。

修太は不安になってすぐに顔を上げると
加奈子の表情を”確認”したー。

がーー
その表情は負の感情を感じさせるものではなく、
どこか吹っ切れたような、そんな表情にも見えたー。

「ーー友達から、恋人になれるように頑張るー」
そう言葉を口にして、加奈子は立ち去っていくー。

一人残された修太は、戸惑いの表情を浮かべながらも
首を横に振るー。

”やっぱり、村岡さんとは永遠に分かり合えそうにないー”

そう思いつつも、修太は
少しだけ笑うと、元の日常に向かって歩み始めるのだったー

おわり

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コメント

前編・中編・後編、そして完結編と
4週間にわたる入れ替わりの物語でした~!!★

「前編」のあとがきにも書いた通り、
リクエスト特典による、飛龍様からのリクエストを
元にした作品ですネ~!!
色々考えた結果、こんな感じの結末になりました…!★
ひとまず、二人とも元に戻ることができて良かったですネ~…!

ここまでお読み下さり、ありがとうございました!!

「それでも君とは付き合えない」目次

作品一覧

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