変身薬を使って
大好きなアイドルに変身して、
家の中でこっそりと楽しんでいた男ー。
しかし、ある出来事をきっかけに
変身した状態で家にいるのを見られてしまい、
そこから、”大好きなアイドル”のスキャンダルが広がってしまうー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「へへへへ…」
人気アイドルの氷川 葵(ひかわ あおい)が、
ニヤニヤとしながら、お世辞にも綺麗とは言えない
部屋の中で、鏡を見つめながら
自分の姿に見とれているような表情を浮かべているー。
氷川 葵は、
多くのファンを抱える人気アイドルで、
イベントやテレビ番組への出演などなど、
仕事も絶えないー。
しかし、そんな人気アイドルである彼女が、
まるで”一人暮らしのおじさん”のようなオーラを発する部屋で
一人、自分の可愛らしい衣装に見とれるような、
そんな表情を繰り返しているー。
人気アイドルとは思えないような”裏の顔”だー。
がーー…
それもそのはずー
今、ここにいる氷川 葵は”本物”ではなかったー。
「ーー…へへへへへー
しかし、すごいよなー…
本当に、本物の葵ちゃんにしか見えないー」
鏡の前でニヤニヤしていた葵は、
そんな言葉を口にしたー。
”本物の葵ちゃんにしか見えない”
とー。
そう、今ここにいる葵は本物ではなかったー。
鏡の前でアイドル風のコスプレをして、
色々な可愛らしいポーズを決めては
ニヤニヤしている彼女ー、いや、”彼”は、
氷川 葵のファンである男ー、
30代後半の滝川 光男(たきがわ みつお)ー。
ネットで手に入れた”変身薬”を使って
自身が大ファンである氷川 葵の姿に変身ー、
葵として欲望の時間を楽しんでいるのだー。
「ーーえへへへへへ
このポーズとか、最高過ぎるだろー」
葵に変身している光男は、ニヤニヤしながら
そう言葉を口にすると、スマホを使って、
気に入ったポーズの自撮りを繰り返していくー。
「ーーふふっ♡ むふふふふっ♡」
思わず変な笑い声が溢れ出してしまうー。
葵本人が絶対に浮かべないような、
歪んだ笑顔を浮かべつつ、
「これでよし」と、スマホに保存した
”葵”の色々なポーズを満足そうに眺めるー。
今は、自分自身もその”葵”の姿をしているにも関わらず、
写真を見つめながらドキドキしてしまう葵姿の光男ー。
「ーーおっと、もうこんな時間かー」
ふと、葵の姿のまま光男は時計を見つめると、
お楽しみを終えて、そのまま”変身”を解除するー。
30代後半の光男はサラリーマンとして働いている。
そのため、いくら大好きなアイドルの姿を楽しみたいからと言って、
お楽しみ尽くしな時間を送っていては、
明日の仕事に響いてしまう。
そのため、変身を解除して寝る準備をしようと思ったのだー。
がー
「ーーーってーーーオェッ」
うっかりとアイドルっぽいコスプレ衣装を身に纏ったまま
変身を解除してしまったー。
しかし、変身を解除しても服装はそのままー
”葵”の姿で着ているとキラキラ輝ているように見えた服も、
光男本来の姿で見ると、かなりキツイー。
しかも、サイズが合わないー…
光男の姿の方がはるかに体格が良いために、葵の服で
着ていたアイドル衣装は音を立てて破れてしまったー。
「ーぁあああ…くそっ!!
また買わないとー」
自分の姿と葵の姿ー
両方で同じ服を着てみると、よく分かるー。
生物的には”同じ人間”であるはずなのに、
そこにはあまりにも大きすぎる”差”があるとー。
「ーー葵ちゃんが着るとこの服、すっげぇ可愛いのに、
俺が着るとキモイだけだよな」
自虐的に光男はそう言葉を口にすると、
少し残念そうに”やれやれ”と言わんばかりに
首を横に振るのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
普段は、サラリーマンとして普通に勤務している光男は、
今日もいつも通り勤務を終えるー。
特別、優秀なわけではないものの
特別、無能なわけでもないー。
”ごく普通”の平凡なサラリーマンだ。
会社からも、特別邪魔者扱いはされておらず
”普通”に勤務を続けているー。
「さて、とー」
職場から出ると、光男は少しニヤニヤしながら
「今日も帰ったら葵ちゃんになるかー」と、
そう言葉を口にするー。
会社から近いデパートで、
”葵”の姿で身に着けたら可愛いであろうアクセサリー類を見つけて
いくつかそれを購入するー。
光男自身、見た目も”平凡”であるために、
女物のアクセサリーを購入しても、ただちに”ヤバいやつ”と
思われてしまうような感じではないー。
ちょうど、年齢的にも”娘がいるのだろうな”と
思われるような年齢であることも、
光男にとっては助かったー。
店員に余計なことを思われる心配もないからだー。
そんな買い物を終えて、
一人暮らしをしているアパートに帰宅すると、
早速、光男は変身薬を一口、口に運ぶー。
光男自身、独身であるために、正社員として既に10年以上
働き続けていることもあって、それなりに”金”には余裕があった。
そのお金を使い、決して安くはなかった変身薬を
大量に購入したー。
一度に使う量も少ないし、この量あれば、
何年、いや、何十年レベルで変身薬を好きなように
使うことができるー。
もちろん、変身薬を”長期保存”しても大丈夫なのかどうか、
と言う点は既に確認済みだ。
変身薬自体は半永久的に保存できるらしく、
少なくとも10年、20年程度であれば
全く問題はないらしいー。
「ーーー」
変身薬を飲んだ光男の姿が”葵”の姿に変化していくー。
”葵”になった自分を見て、満足そうにニヤリと笑みを浮かべる光男ー。
がー、光男のスーツ姿のまま変身薬を飲んだため、
サイズの合わない男物のスーツを着た葵、という状態に
なってしまって思わず苦笑する葵の姿をした光男ー
とは言え、葵としての服を着たまま光男に戻るー…という場合とは違い、
葵の身体の方が小柄であるために、服が破れたり、伸びたりして
だめになってしまうという心配はないー。
「ーーさてと、着替えるかー」
葵の姿をした光男は小さくそう呟くと、
自分のスーツを脱いで、”葵用”に購入した、
メイド服に着替えていくー。
”メイド服姿の葵”
一度、何かのイベントの時にそれを見たことがある
光男は、その姿が忘れられず、葵に変身するようになってから
最初に購入したのがこのメイド服だったー
着替え終えると、満足そうにメイド服姿の自分ー
葵の姿をした自分を見つめる光男ー。
その表情はとても満足そうであると同時に、
ドキドキしているのか、赤くなっているのが分かるー。
「ーー~~~~~へ…へへへー
ホント、何度見ても葵ちゃん、可愛いよなー
へへへー」
メイド服を着た葵の姿のまま
色々なポーズを決めていく光男ー。
大ファンであるアイドルの葵の姿で
好き放題するのは、当然、光男にとっても
多少の罪悪感はあるー。
そして、光男なりに
”徹底している部分”もあるー。
それは、”葵本人には絶対に迷惑をかけないこと”だー。
それ故に、光男は葵の姿に変身している時には
絶対に外に出ないし、絶対に誰にも連絡を取らないし、
SNSで自撮りを載せたりも絶対にしないー。
スマホで自撮りを撮影はしたものの、
あれは自分で楽しむ用で、外にばらまくための
ものではないー。
加えて、コスプレをしたり、色々なポーズをしたりは
しているものの、
胸を揉んだり、Hなことをして一人で最後まで楽しんだりー、
そういったことは”しない”ようにしていたー。
変身薬を使って葵に変身している以上、
やろうと思えば、葵の姿で何でもすることはできてしまうー。
けれども、光男は”自分の中での一線”は
絶対に超えてしまわないようにと、自分自身の中で
固く、そう決めていたー。
「~~へへへへー葵ちゃんを傷つけるわけにはいかないからなー」
メイド服を着た葵の姿でそう言葉を口にする光男ー。
もちろん、葵本人が”わたしの姿に勝手に変身されている”と知れば
良い気持ちはしないだろうし、不安も感じるとは思うー。
けれど、”知らなければ”葵を怖がらせることもないー。
だから、彼は”自分だけしか知りようがない状況”で、
こうして葵の姿に変身して色々と”お楽しみ”の時間を
送っていたー。
「ーーーえへへへ…葵だよ♡」
わざとあざといポーズを取りながら
鏡の前でそんな言葉を口にすると、
葵の顔で「えへへへへー」と、ニヤニヤが止まらない様子で
足をばたばたとさせるー。
しばらく嬉しそうにそんな行動を繰り返すと、
今度はまた別のポーズを取りながら、
葵のメイド服姿と、そのポーズを堪能するー。
ようやく、それが終わると、
今度はメイド服から、巫女服姿に着替えようと
”葵に変身している時に楽しむためだけに”
購入した巫女服を引っ張り出して、
葵の姿に変身している光男はニヤリと笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな生活を続けていた光男ー。
その日も、
いつも通り仕事が終わると、
ワクワクした様子で”葵”の姿に変身ー、
その姿で”お楽しみ”を始めるー。
今日は、あえて”私服”っぽいごく普通の服装を
色々と着て”普段見ることができない葵の姿”を
楽しんでいたー。
ファンである光男にとって、
普段見る葵の姿は”アイドル”としての葵の姿ー。
それ故に案外こういった”私服っぽい葵の姿”を
見る機会は少ないー。
「ーーえへへへへー
私服でも溢れ出すこのオーラ…
やっぱすごいよなぁ…」
ニヤニヤしながら、葵の姿でそう言葉を口にした
光男はジーンズ姿の葵を嬉しそうに堪能していくー。
ちょっと偉そうなポーズをしてみたり、
得意気な表情を浮かべてみたり、
あえてあまりこの服装に似合わないようなポーズをしてみたり、
考えつく限りの”色々なポーズ”を楽しんでみたー。
「ーへへへへーさて、次はどうしようかなー」
葵がこんな表情を浮かべることができるのか、と
思ってしまうような下品な雰囲気に満ちた表情を
浮かべながら、今一度鏡を見つめる光男ー。
がー、その時だったー。
「きゃあああああああああああああっ!」
外で悲鳴が聞こえたー。
「ーー!?」
葵の姿をした光男は反射的にハッとして、
そのまま玄関から顔を出すと、
アパートの前に、血を流して倒れている男性の姿が見えたー。
その近くには通行人と思われるOLらしき女がいるー。
恐らく、悲鳴を上げたのはこの女だろうー。
「ーー…ど、どうかしまーー…」
葵の姿をした光男はそこまで言葉を口にして表情を変えるー。
自分が今、”葵の姿をしている”ということを
忘れて飛び出してしまっていたからだー。
ーーーが、もう飛び出してしまった以上、
どうすることも出来ない。
このOLが”葵”のことを知らないことを祈りつつ
「何があったんですかー?」と、そう言葉を口にすると、
「前の前でバイクがこの人をー」と、OLが、
血を流して倒れている男のほうを指さすー。
どうやら、バイクによるひき逃げの事故が発生したようだー。
「ーお、落ち着いて下さいー。
今、俺がー…あ、いえ、わたしがー
つ、通報しますからー」
葵の姿をしたまま、光男はそれだけ言葉を口にすると
「スマホ…スマホ部屋に置いてきちゃったので、それで通報します!」と、
そう言いながら足早にその場を離れていくー。
そして、光男はすぐに変身を解除すると、
女物の服を着た状態のまま、
自分の部屋の中でアパートの前でひき逃げ事故らしき事故が
起きたことを警察に伝えるのだったー。
その後、警察と救急車が駆け付け、
怪我をしていた男は緊急搬送、
どうやら無事に命は助かったらしいー。
そして、ひき逃げした男は
自分の犯した罪の重大さに気付いたのだろうか。
その日のうちに自首をしてきたことで、
事態はあっさりと解決となったのだったー。
その翌日ー
テレビのニュースでほんの数十秒、報じられたその事件を
偶然目撃した光男は、
”解決したんだな”と、そう言葉を口にしながら
安心したような表情を浮かべるー。
しかしーー
その直後に流れ始めた次のニュースを見て、
光男は思わず表情を歪めたー。
”速報 人気アイドル 氷川 葵さんに浮気報道 事務所は否定
と、そう流れ始めたのだー。
「ーーーえ…」
光男が困惑しながら、そのテレビの映像を見つめるとー、
”光男の家に入っていく葵”ーーー
先日、アパートの前で事故が起きた時に
うっかりと葵の姿で部屋の外に出てしまった
光男の姿が映し出されていたー。
「ーーな……」
そうー、光男が葵の姿のまま部屋の外に出た
あのわずかな時間でー、
あの近くにいた週刊誌の記者にその姿をこっそり
撮影されてしまって、
既に、一般男性と交際宣言をしていた葵の
”浮気スキャンダル”としてそれがたった今、報道されているのだー。
「ーーー…う、嘘だろー?」
呆然としながら、光男は
自分のせいで、大好きな葵のスキャンダルが生み出されてしまったことに
激しい動揺を覚えるのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
変身能力を個人的に楽しむだけのつもりが
結果的にスキャンダルを生み出してしまった…!
そんなお話デス~!!!
続きはまた次回デス~!!

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