復讐心から、人生を”コンティニュー”した男ー。
復讐相手の身体で蘇った彼は
そのまま”復讐”を実行に移すべく
動き出していくー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大好きだった彼女・深夏に裏切られていることを知りー、
深夏の”本命”である男・隆史と、その深夏自身に命を奪われた彼は
”復讐”に燃えていたー。
深夏に憑依し、人生を”その場からコンティニュー”した彼は
邪悪な笑みを浮かべるー。
「ーー隆史、おはよ♡」
深夏として”反吐が出るほど大嫌いな”
深夏と同棲している男・隆史に声を掛けるー。
「ーーーへへー今日も可愛いなぁ深夏はー」
ニヤニヤしながらそう言葉を口にすると、
朝から深夏を抱き寄せて、嬉しそうに顔を赤らめる隆史ー。
深夏は「隆史ー…」とうっとりとしたような声を出しながら、
内心で”お前と深夏の人生を滅茶苦茶にしてやるぞー”と、
そう笑みを浮かべるー。
深夏自体への復讐は既に”憑依”した時点で
達成していると言えばしているー。
深夏からすれば、突然、殺したはずの和昌に身体を乗っ取られて
好き放題されているのだからー。
乗っ取られた時点で、もう深夏は何も分かっていないかもしれないがー、
まず、”復讐の第1歩”と言えたー。
しかし、和昌はそんなことだけでは満足しないー。
深夏の相手の男である隆史に対する復讐はもちろん、
”深夏”自身の周囲からのイメージも滅茶苦茶に”破壊”してやる必要があるー。
そのために、今はただーーー
”耐える”のだー。
「ーーオェッ…うぇっ…」
隆史から離れた深夏に憑依している和昌は、
深夏の身体で、吐きそうになりながら洗面台で苦しそうな表情を浮かべていたー
”深夏”は好きだったはずの男ー
が、今、和昌に憑依された深夏は隆史に密着されただけで
反吐が出るほどの嫌悪感を、身体が示しているー。
「ーーへへー…これだけでも、深夏に復讐してるって感じがするなー」
深夏の身体でニヤニヤと笑みを浮かべる和昌ー。
大好きだった相手のことを、キモいと
”深夏の身体に思わせている”のだー。
深夏本人だったら絶対に抱くことのない感情を深夏の身体に
抱かせているー。
それだけでー、
何だか”復讐”をしている気がしてゾクゾクしたー。
が、裏切られて全てを奪われた和昌の怒りは
こんなものでは済まされないー。
まずはー
”隆史”と結婚するまでー、
ひたすらに耐えて、耐えて、耐えて、耐えて、耐えるのだー。
そして、”復讐が成就するその瞬間”を目指してー
今はただ、その”材料”を集めるのだー。
「ーーー」
LINEの会話履歴を見て、
”犯行”の証拠を記録していく深夏ー。
そこには、隆史と共に和昌を
”自殺に見せかけて処理しようとする”
相談が生々しく残されていたー。
「ーーククーお前たちを必ず地獄に落としてやるからなー」
深夏は、”自分自身”に対してもそう言葉を口にしながら、
自分たちが企てた悪事の証拠を記録するー。
そして、”表”では隆史に愛想よく振る舞いながら、
隆史との仲をさらに深めていくー。
「ーーーーふふー愛してるよー隆史♡」
深夏として、隆史をひたすら愛し続けるー。
もちろん、すべては復讐のためー
「オェッー…うぉぉぉぉぇぇ…」
トイレで嘔吐しながら、深夏は表情を歪めるー。
”あんなやつ”に愛していると言葉を口にしたり、
愛を捧げたりするのは反吐が出るー。
何度吐いても吐いても吐いても、足りないほどに反吐が出るー。
それでも、和昌は恋人であった深夏にー、
そして、その深夏の”本命”の相手だった隆史に復讐するために
それに耐え続けたー。
「ーーーー」
時には、深夏の身体で、夜の街にも遊びに出たー。
「ーーもっと…♡ もっとわたしを楽しませて♡」
深夏として、男との交わりを楽しむ日々ー。
もちろん、和昌自身に”女としての快感を楽しみたい”という
欲望があったのも事実だしー、
それと同時に、これも”復讐”のためだったー
来るべき日に、深夏が愛した”隆史”に対して
”わたし、他にも男がたくさんいるのー”と、そう暴露するためー
そのための”浮気”だー。
復讐と欲望ー
その二つを同時に満たすために、
深夏は夜の街で男と寝て、寝て、寝てー、
欲望の限りを尽くしていたー。
そしてー
そんな中でも”証拠”の写真を自ら撮影、
自ら録音することも忘れてはいなかったー。
「ーはぁ…はぁ… 深夏のやつ、気持ちよさそうに喘ぎやがってー」
不満そうにそう呟く深夏に憑依した和昌ー。
もしかしたら、和昌が憑依する前にも
”隆史”以外にも男がいたかもしれないー。
”良い子”だと思っていたけれど、
実は深夏はそんな子ではなかったのかもしれないー。
いや、”かも”ではないー。
深夏は悪女だー。
だってー、少なくとも隆史と共謀して
和昌を”自殺”に見せかけて殺したのは
紛れもない事実なのだからー。
普通はそんなことはできないー。
がー、言い出したのはどっちであったにせよ、
深夏はそれに賛同し、あの日、嬉々として
和昌の命を奪ったのだー。
これが極悪人じゃなければ、いったい何なのだ。
そう思いながら怒りの形相を浮かべる深夏に憑依した和昌ー。
姿見に映った”自分自身”の姿を睨みつけながら
”必ず復讐してやるからなー深夏”と、
深夏の身体でそう言葉を口にすると、
深夏は静かにそのまま移動を始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー…」
”あの世”では、
白いスーツの案内人が戸惑いの表情を浮かべていたー
「なんてことをー…」
思わず、そう呟く白いスーツの案内人ー。
「彼は”復讐心”に囚われていますー
そんな彼に人生をコンティニューさせれば
その行きつく先はー…」
戸惑いながら、白いスーツの男がそう言うと、
黒い翼の男が笑みを浮かべながら言ったー。
「ーんなことは分かってるよー
だから面白いんじゃねぇかー」
とー。
「ーーー」
白いスーツの案内人は表情を歪めると、
黒い翼の男は「そんな顔すんなってー」と、
笑いながら、現世にいる”憑依された深夏”の
映像を見つめながら笑みを浮かべたー。
「まぁまぁ、おー、ほら、もうすぐ”祭り”が始まるぜー」
そう言葉を口にしながら、黒い翼の男が笑うー。
”現世とこの世界”の時間の流れは異なるために、
”早送り”のような形で現世の映像を見ることができるー。
深夏に憑依した和昌は、それからも深夏として過ごし、
やがて、彼氏である隆史から”プロポーズ”をされていたー。
その瞬間を、笑みを浮かべながら見つめる黒い翼の男ー。
そんな”あの世からの視線”に全く気付くことなく、
深夏は「うれしいー♡…」と、うっとりとした表情で
そう言葉を口にしたー。
「ーへへー。そろそろ俺たちも、”次”に進まないとと思ってさー」
隆史が笑いながら言うと、深夏は目に涙を浮かべながら
心底嬉しそうに「ーーよろしくお願いしますー」と、
隆史からのプロポーズを受け入れたー。
心底嬉しそうに、目に涙まで浮かべている
”憑依された深夏”ー。
しかし、嬉しいのは、”大好きな人と結婚できるから”ではないー。
”ーーはぁーーー長かったー”
深夏に憑依している和昌は、内心でそう思いながら微笑むー。
嬉しいのはー
”大嫌いなこいつらをようやく破滅させるときが近付いて来た”からだー。
結婚式の当日ー…
憑依された深夏は、これまで用意してきた”全て”をぶちまけるー。
隆史を絶望の淵に落としー、
深夏の評判を地に落としー、
全てを破壊するー。
その復讐を成し遂げる時は、
刻一刻と迫っているー。
プロポーズされた帰りー、
深夏は邪悪な笑みを浮かべながら「やったー…!」と、
今一度、喜びを露わにするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーふふー明日の結婚式、楽しみだねー」
深夏は”入籍”も”結婚式”も同日にしたいと強く希望し、
隆史も深夏がそれを望むなら、と、それに承諾したー。
既にお互いの両親への挨拶を済ませてあり、
明日、”婚姻届を提出してから”結婚式を
行うことになっているー。
「ーーーじゃ、俺は風呂入って来るよー」
隆史がそんな言葉を口にして、
お風呂の方に向かうー。
そんな隆史の後ろ姿を見つめながら
隆史を見送ると、深夏は邪悪な笑みを浮かべるー
”ここまで、本当にーー本当に長かったー”
とー。
一度は死んだ和昌ー。
しかし、あの世で出会った黒い翼の男が
”人生のコンティニュー”をさせてくれたー。
憎き、憎き、この深夏の身体で、
人生の”続き”をさせてくれたのだー。
人生をコンティニューすれば
”次の人生に進むことができない”と、
あの黒い翼の男は言っていたー。
本当であれば、死んだあと、”上”と呼ばれる世界に向かった後、
好きなタイミングで次の人生を開始できたらしいー。
だがー、
和昌は元々”死後の世界”なんてあるとは思っていなかったし、
死んだら死んだで”それでおわり”だと、そう思っていたー。
だから”元々なかったつもりのもの”が無くなるだけー。
次の人生に行けば、”今回の人生”が消えるのだからー、
そんなものはどうでもいいー。
深夏の身体で、隆史と、
そして深夏自身に復讐をするー。
今の和昌の願いはそれだけだったー。
「明日の結婚式ー”お前たち”に地獄を見せてやるー」
鏡に映った深夏の姿を見つめながら
そう呟く深夏ー。
深夏に憑依してから今まで、
深夏の身体で、”深夏と隆史が企てた犯行”の証拠を
自ら記録ー、さらには深夏の身体で男遊びを繰り返し、
自分で”浮気の証拠”も確保したー
それを結婚式で全て暴露するー。
隆史は遊ばれていたことを知り絶望しー、
さらには自分の犯行を、共犯である深夏に暴露されるのだー。
そしてー、深夏自身も自らの犯行と男癖の悪さをその場で
披露し、親族や友達に”深夏ってこんな人だったんだ”と
自ら知らしめるー。
それが、最高の復讐ー。
しかもーー
”先に婚姻届”を提出させることで、
そう簡単に隆史も逃がさないようにするー。
”犯罪者夫婦”として、絶望のどん底に落ちるのだー。
「ーーー」
そしてーーー…
深夏は”復讐の最後”を想像しながら笑みを浮かべると
ゆっくりと歩き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結婚式当日ー。
今日、深夏の”夫”となる隆史と共に
婚姻届を役所に提出しに行こうとする深夏ー。
が、隆史が車の準備をしている最中に、
家の中にいた深夏の前に”それ”は姿を現したー。
「ーー!」
深夏が表情を歪めるー。
そこに姿を現したのは、
深夏に憑依している和昌が殺されたあの時、
”あの世”で出会った白いスーツ姿の案内人だったー。
「ーーー…”コンティニューした人間”には見えるってことですかね?」
深夏が不服そうにそう確認すると、
白いスーツの案内人は「えぇ。まぁそんなところです」と、そう返すと
言葉を続けたー
案内人がー、”コンティニューした和昌のしようとしていること”を
見かねて、現世に警告しにやってきたのだー。
「今なら”まだ”間に合いますー。
馬鹿な真似はやめておきなさいー」
とー。
「ーー馬鹿な真似ー?」
深夏が不愉快そうにそう言葉を口にすると、
白いスーツの案内人は、言葉を続けるー。
「これからあなたがやろうとしている復讐は
多くの人間を不幸にしてしまいますー。
復讐は何も生まないー
残るのは、悲しみと憎悪のみー
あなたも、永遠に”下”へと突き落とされてー、もうー」
白いスーツの案内人がそこまで言うと、
深夏に憑依している和昌は、自虐的に少しだけ笑ったー。
「”そういうの”は必要ないんでー」
とー。
「ーーー」
白いスーツの案内人が悲しそうな表情を浮かべるー。
「ー俺は今日のために準備をしてきたんですー
深夏と、あの男への復讐は”絶対に”成し遂げますー」
深夏の身体でそう答える和昌ー。
白いスーツの案内人は、不満そうに
「どうあってもですかー?」と、呟くー。
「どうあってもーーーです。
俺はもう決めたのでー」
深夏はそれだけ言うと、玄関先から
”車の準備が出来たぞ~”と、そう声をかけてきた隆史に向かって
「うん!今行く~!」と嬉しそうに返事をするー。
「ーー考え直してください」
白いスーツの案内人が言うー。
しかし、深夏に憑依している和昌の考えは変わらなかったー。
「ーー邪魔するならー、あんたでも叩き潰すー」
深夏は恐ろしい形相でそれだけ言うと、隆史の待つ車の方に向かって
笑顔で歩いていくのだったー。
「ーーーー」
白いスーツの案内人は大きくため息を吐き出すと、
そのまま姿を消すー。
”復讐”は今日この日、成就されようとしていたー…
<後編>へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!
毎週火曜日の作品のみ、予約投稿の都合上、
続きはまた来週ですが
楽しんでくださいネ~~!!
今日もありがとうございました~~!

コメント
スゴい展開になってきました…
和昌の暴走は白いスーツの人でも止められないし
今回の場合は信じていた彼女に裏切られて暴走するのは仕方ないかも…ですネ(-_-;)汗
どんな結末になるか…
良い娘に(憑依)して待ってまぁ~~~す(*´艸`)笑
感想ありがとうございます~~!★
復讐に染まってしまってもう引き返せない状態に~★!
最終回もぶるぶるデス…!