<皮>娘たちが消えていく①~借金~

夫が大量の借金を残したままこの世を去ったー。

しかも、金を借りた相手は危険な男たちで、
返済できなければ
”お前の娘たちを一人ずつ貰っていく”と、
そう宣言されてー…?

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夫・稲葉 輝夫(いなば てるお)が、
大量の借金を残したままこの世を去ったー

残された妻・温子(あつこ)がその事実を知ったのは
夫・輝夫の葬儀など、一通りの行事を終えたあとだったー。

温子と輝夫の間には、三人の娘がいたー。

現在大学生で長女の綾乃(あやの)ー、
高校3年生で受験の最中の次女・若菜(わかな)ー、
そして高校1年生の三女・美波(みなみ)ー。

夫である輝夫が病で急死してしまったことで、
そのことを悲しむと同時に、
三人の娘の母である温子は、”これから三人を支えて行かなくちゃ”と
そう決意した矢先のことだったー。

”その男”は、姿を現したー。

「ーーー稲葉 輝夫さんには、我々から借金があってねー」
薄ら笑みを浮かべた男ー、北里 修吾(きたざと しゅうご)は、
そう言葉を口にしたー。

最初ー、温子は”嘘”だと思ったー。
がー、借金は事実で、しかもこの男ー、北里 修吾が務める金融会社は
いわゆる”裏”の社会の危険かつ、悪質な金融会社だったー

「ーへへー知らなかったのかー?」
驚いた様子の温子を見て、ニヤニヤしながらそう言葉を口にする修吾ー。

「ーーーそ、それで借金と言うのはー」
温子が震えながらそう言うと、修吾は笑みを浮かべながら
借用書らしきものを取り出して、
言い放ったー。

「ーーー3000万。それがお前の夫が残した借金の金額だよー」
とー。

「ーさ、さ、さ、三千万ー!?」
温子が震えながらそう言葉を口にするー。

「ーそうだ。3000万だ。3000円じゃねぇぞ?」
修吾はニヤニヤしながらそう言うと、
「ーまぁ、夫が死んじまったのはショックだろうけどよー。
 俺たちも、商売なんでなー。
 3000万も貸したまま、あの世に逝かれちまったら
 困っちまう。分かるだろ?」
と、言葉を続けるー。

「で、でも、そんなお金ー…」
温子は心底ショックを受けると同時に、青ざめながら修吾の方を見つめると、
「そうだよー温子さんー。3000万ってのはな、
 そうやってツラが青ざめちまうほどの金額だー。
 そのお金を貸したままじゃ、俺の顔も青くなっちまうー」
と、そんな言葉を続けるー。

「ーーーーーで…でもー……ど、どうやってお返しすればー」
温子がそう言葉を口にすると、
「そりゃ、温子さんーあんたが自分で考えることだろ?」
と、修吾はそれだけ言い放つー。

そして、修吾は「そうそう、どうしても返せないって言うならー、
こっちにもアイデアがあるー」と、そう言いながら、
服の中から写真を取り出すとー、
「ーーお前の娘ー綾乃、若菜、美波ー…
 三人ともとても可愛いじゃねぇか」と、
娘三人が映っている写真を見つめながら笑みを浮かべるー。

「ーーむ、娘たちは関係ありません!娘たちには手を出さないで!」
温子は、娘の話題が出ると同時に、
途端に焦りの色を見せ始めながら
必死にそう叫ぶー。

「ーへへー関係ねぇって言われてもなー
 ”はいそうですか”って引き下がるわけにもいかねぇよー
 こっちも3000万がかかってるんだからなー」

修吾は写真をしまいながら言うと、
「ーお前の娘たちには”スキン”としての価値があるー
 まぁー…三人揃えば、3000万分ぐらいは帳消しにできるだろうよー」
と、ニヤニヤしながら玄関の方に向かって行くー。

「ーーー…ち、ちょっと待ってください!」
温子がそう叫ぶと、
修吾は振り返って、笑みを浮かべたー。

「ー今月の25日ー。まずは1000万を用意しろー。
 できなければ、お前の娘をひとり頂くー」

その言葉に、震える温子ー。

「ーそうそう、警察に助けを求めても無駄だぜー?
 そんなことをすれば、”3人全員”が俺たちのものになるー。」

修吾はそこまで言うと、そのまま笑みを浮かべつつー
立ち去っていくのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
母・温子は、夫の残した借金3000万のことを
考えながら、頭を抱えていたー。

「ーーお母さん、どうしたのー?」
長女で大学生の綾乃がそう言葉を口にすると、
温子はため息をつきながら
「ーーお父さんがいない生活に、早く慣れなくちゃねー」と、
借金のことは言わずに、無理に笑顔を作ってみせるー。

娘たちに心配をかけるわけにはいかないー。
”わたしがどうにかしないと”と、母・温子はそんなことを
心の中で呟くー。

「ーーーー…お金の心配?」
長女・綾乃はふと、そんな言葉を口にするー。

「ーーー…」
温子は少し驚きながらも、苦笑いすると、
綾乃は言ったー。

「わたしもバイトの時間増やして、
 少しでも力になれるようにするから、
 だからそんな顔しないでー ね?」
とー。

優しく微笑む綾乃ー。

温子は「ありがとうー」と、そう答えながらも、
表情を曇らせるー。

娘の綾乃は”お父さんがいなくなって生活が苦しくなることを
悩んでいる”ぐらいにしか思っていないはずだー。

まさか、綾乃から見れば父親の輝夫が
3000万も借金を残して死んだー、などとは
少なくとも絶対に思っていないはずだー。

”ーーー”
綾乃の笑顔を見たら、そんなことは絶対に言えないー。

「ーーーーーーーー」
母・温子はなんとかお金をかき集めようと、
あの手この手で、お金を期日までに集めようとするー。

当然、パートも増やして、
休む間もなく働き続けてー、
自分の母親や父親にも、それとなく相談ー、
さらにはお金を別のところから何とか借りたりすることや、
手持ちのものをとにかく売却して、お金をかき集めることも
考えたー。

「ーーーお母さん、最近働きすぎでしょ~?
 あんま無理しないでね!」
次女で、受験中の若菜がそう言葉を口にするー。

若菜は活発なタイプの子で、
父親が死んだあとからは、受験のためにいったん辞めていた
バイトを再び初めて、”あたしも少しでも家の足しになれるように頑張るから!”
などと、そんなことを言っているー。

「ーーうんーありがとう」
母・温子はお礼の言葉を口にするー。

そして、「受験で大変な時期なのに、ごめんねー」と、そう言葉を口にすると、
次女・若菜は首を横に振りながら「あたしなら全然大丈夫ー!体力無限にあるから!」
などと、自分の腕をぶんぶん振りながら笑うー。

「ーーーーー」
三女で、大人しい性格の美波は
スマホをいじりながら、少しだけ表情を曇らせるー。

温子は、美波の方も見つめながら、
”綾乃にも、若菜にも、美波にも、絶対手出しはさせないからー”
と、そう心の中で呟くと、
改めて娘たちを守ることを決意するのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

がーーー
期日の25日ー。
温子が集めることができたのは、100万円だけだったー。

「100万????
 おいおい、0が1個抜けちまってるじゃねぇかー
 今日までにまずは1000万って約束だったはずだけどなー?」

札束を手に、金融会社の男・修吾は呆れ顔でそう言葉を口にすると、
「渋澤さん100人じゃなくて、1000人必要なんだよなぁ。
 あと900人はどうした?」と、そんな言葉を続けたー

「すみませんーお金は、お金は必ず払いますからー!
 どうしても必要なら、わたしが何でもしますからー!」
温子がそう言葉を口にする。

すると修吾は「へへー温子さんー。残念だけどババアに需要はねぇよ」と、
そう言いながら、「ま、いいやー」と、そのまま玄関の外に
向かって行こうとするー

「ーーーーーーお、お金は必ずー少しずつでもー」
温子は”ま、いいや”という修吾の言葉を、見逃してくれるのだと
勘違いしたのかそう言葉を口にすると、
修吾は笑いながら振り返ったー。

「ー約束は約束だー。まずは長女を頂くことにするかー」
と、そう言いながらーーー。

「ーーー!!!!!!!!!!!!」
温子が青ざめながら、途端に涙目になって、修吾に”見逃してください”と、
そう叫ぶー。

しかし、修吾は温子を振り払うと、笑みを浮かべながら振り返るー。

「ー大丈夫だってー温子さんー
 お前の娘を泣かせたり、悲しませたりはしねぇってー。約束するー。
 娘の”笑顔”は俺が守ってやるー。

 それに、俺も鬼じゃないー。
 まだまだ未来のある娘さんの息の根は止めたりしねぇから安心しな」

それだけ言うと、なおも「お願いします!お金なら、何年かかってでも
払いますから」と、そう言葉を口にするー。

しかし、修吾は聞く耳を持たず、そのまま立ち去ってしまったー。

綾乃、若菜、美波の三人は、
現在大学と高校がもうすぐ終わる時間帯ー。

温子は慌てて、三人に”真っすぐ帰って来るように”
伝えると同時に、怪しい人が近付いて来たら絶対について行ったり
しないようにすること、そして人通りの少ない場所を避けるように
そう伝えるメッセージを送るのだったー。

しかしーー
”もう”遅かったー

「ーーーーぁ…」
大学の敷地内ーー
長女の綾乃が、男から”小さな針”のようなものを刺されて、
その場で膝をついていたー。

手から零れ落ちたスマホには、
ちょうど、母から届いたばかりのメッセージが
表示されているー。

「ーーー…な……なに…これー…」
自分の手から、まるで空気が抜けていくかのように、
しぼんでいくー。

足にも力が入らず、声を上げることもできないー。

「ーーーーーーー」
その背後に立っていたのは、”気配”すらあまり感じない
存在感の薄い”おじさん”ー。
母・温子を脅している修吾と同じ金融会社に所属する男、
臼田 史郎(うすた しろう)ー。

「ーーーぁ……」
綾乃がそのままその場に崩れ落ちて”皮”になると、
それをしていく史郎ー。

そして、修吾と合流すると、
修吾は笑みを浮かべながら「ーへへー絶望の表情のまま皮になってやがるー」と、
そう言葉を口にすると、そのまま”綾乃”の皮を身に着けるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜ー

「ーーねぇねぇ、あたしも探してこようかー?」
次女の若菜がそう言葉を口にするー。

三女の物静かな美波も心配そうだー。

「ーーー大丈夫ー。大丈夫だからー」

長女の綾乃が帰ってこないー。
しかも、連絡もつかない状況に母・温子は激しく動揺していたー。

”まさか、あの男がー”
温子はそんな不安を抱きながら、表情を曇らせるー。

警察に電話することも、頭をよぎったものの、
それをすれば、あの男をさらに刺激してしまうかもしれない、と
そう思ってしまい、何もできなかったー。

がー
そんな時だったー

♪~~~

母・温子は、インターホンで応答もせずに「わたしが出るから」と、
そのまま外に向かうー。

やってきたのが、金貸しの修吾だった場合ー、
インターホン越しに”娘たちに聞こえる状況で”何か言われることを
避けたかったのだー。

玄関を開ける温子ー。

そこにいたのはーー
金貸しの修吾ではなく、長女の綾乃だったー

「ーーあ、綾乃ーーよかったー」
笑みを浮かべている綾乃を見て、心底安堵の息を吐き出しながら、
そう言葉を口にする温子ー。

しかしーーー

「ーー”次はー10日だー」
と、綾乃がそう言葉を口にしたー

「あ…綾乃ー?」
綾乃の言葉に違和感を感じた温子は
表情を曇らせながら、綾乃の方を見つめるー。

すると、綾乃はニヤニヤしながら続けたー。

「ー次は10日ー。
 それまでに1000万、用意できなければー
 次女か、三女を貰うー

 ”この女”のようになー」

長女・綾乃の優しい顔に、悪意がにじむー。

「ーあ、綾乃…?な、なにを言ってるのー?」
動揺しながら、綾乃の方を見つめる温子ー

するとー、
ニヤニヤと笑みを浮かべていた綾乃の頭がー、
まるで、”フードを脱ぐ”かのように
後ろ側にめくれて、その中から修吾の顔が姿を現したー。

思わず悲鳴を上げてしまう温子ー。

その悲鳴を聞いて、次女の若菜と三女の美波も
家の中から飛び出してきてしまうー。

「ーーお、お姉ちゃんー?」
茫然とする若菜ー。

「ーーえ…」
同じく戸惑いの表情を浮かべる美波ー。

「ーーへへへへへー」
”いったん脱いだ”綾乃の顔を再び着こむと、
修吾は綾乃の声で続けたー。

「ー約束通りー、お前の娘は”ちゃ~んと笑ってる”だろー?」
と、乗っ取られて笑顔を浮かべている綾乃の顔を
自ら指さしながら、修吾はそう言い放つのだったー。

②へ続く

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コメント

娘たちが一人、また一人と乗っ取られていく…
そんなお話デス~~~!!
恐ろしいですネ~…!

続きはまた明日デス~!!!
今日もありがとうございました~!★

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