金貸しの男に、娘たちが奪われていくー。
夫が残した多額の借金が原因で、
長女が皮にされて乗っ取られてしまったー。
そして、残りの次女や三女にも、魔の手が迫るー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
”結局、どうすることもできなかったー”
次女・若菜は表情を歪めながら、
通っている高校に登校するフリをして抜け出しー、
妹である三女・美波のことを遠目から見つめていたー。
”次は、お前だー”
金貸しの男・修吾は、次は三女の美波を狙うと
そう言っていたー。
あの日から約半月ー。
1000万の返済を要求されている今日ー、10日を
有効的な対策が出来ないまま迎えてしまったー。
母・温子は温子で、
娘である次女の若菜は若菜で、色々な対策を練ったけれど、
やはり、どうすることもできなかったー。
「ーーーこうなったら、あたしがみんなを助けないとー」
若菜は、妹の美波が狙われて皮にされる瞬間を何とか激写して、
”証拠”として警察に駆け込むつもりだったー。
母・温子は危険だと言うけれど、そうでもしないと
このまま全員、滅茶苦茶にされてしまうだけだー。
”美波ーごめんねー…
でも、必ずあたしが助けるからー”
若菜は、美波を皮にされてしまう今日ー、この日まで
どうすることもできなかったことを心の中で詫びるー。
一方ー、次女の若菜に見られていることを知らず、
三女の美波はいつも通り学校に登校していたー。
そして、今日は”刃の鋭いハサミ”を常に持ち歩いていたー。
若菜が”何をしようとしているのか”は知らないー。
けれど、美波も美波で、ちゃんと考えていたー。
それはーーー
”お姉ちゃんみたいにされる前に、怪しい人が近付いて来たらーー
このハサミを首筋に突き立てる”
ことー。
普段物静かな美波ー。
けれど、頑張る時は頑張るし、やる時はやるー。
長女・綾乃のように好き放題されてしまうぐらいならー
”やられる前にやるしかない”ー
美波はそう思って、”返済期日”の今日は特に警戒していたー。
「ーーーー」
そんな美波のことを遠くから見つめているのはー
”証拠”を捕らえようと待ち構えている次女の若菜だけではなかったー。
金貸しの男・修吾の仲間ー、臼井 史郎も既に
人を皮にする小さな針を手に、この近くまでやってきていたー。
”合図”があれば、すぐに皮にできるようにー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーお願いしますー。323万ー。
それと、わたしのことはどうしてもいいですからー」
母・温子は修吾にー…
長女・綾乃の身体でやってきた修吾に対して
そう嘆願していたー。
「だからァ、あんたみたいなババアじゃ金を稼げねぇって」
綾乃は乱暴に323万を取り上げると、
「全然足りねぇじゃねぇか」と、そう言葉を口にしながら
煙草を口に咥えるー。
「ーー綾乃の身体でそんなことしないで!」
温子が泣きながら叫ぶー。
が、綾乃は「ーへへーこいつ、この半月で何人の男と
ヤッたと思うー?」と、ニヤニヤしながら自分の身体を指差すー。
「ーーへへーいい声で喘ぐぞこいつー
お前にも聞かせてやろうかー?」
綾乃が邪悪な笑みを浮かべるー。
温子は涙目で、乗っ取られている綾乃を睨み返すとー、
綾乃は笑いながら「まぁ、金が用意できてねぇってんなら、
二人目を頂くまでだー」と、そう言葉を口にするー
「やめて!!やめてください!」
温子がしがみつくようにして、綾乃の腕を掴むー。
が、綾乃は「邪魔だ!」と、温子を振り払うと、
そのままスマホを手に、静かに言葉を口にしたー
「二人目を頂けー」
とー。
その言葉に、泣き崩れる母・温子ー。
「ー次は25日ー。
その日に、残りの一人も頂くー」
綾乃はニヤッと笑うと、そのままゆっくりと立ち去っていくのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーえっーーー」
次女・若菜は信じられないという表情を浮かべながら
後ろを振り返ったー。
そこにはー、金貸しの男・修吾の仲間の
臼田 史郎の姿があったー。
己の存在感の薄さを利用して暗躍している男だー。
「ーーな……」
若菜は、自分の首筋に針のようなものを刺されたことに気付き、
驚きの表情を浮かべているー。
「ーーつ……次は、美波だってーー…?」
若菜がそう呟くー。
”次は三女の美波”ー
あの時、綾乃を乗っ取っている修吾がそう言ったからこそ、
若菜は、もしも今日まで、何も打つ手が見つからなければ
美波が皮にされる瞬間を、何とか映像に記録して
警察に証拠として提出するつもりだったー。
けれどー…
「ーーー修吾さんは、昔からコロコロ気が変わる人でなー」
史郎はそう言葉を口にすると、
崩れ落ちていく若菜を見つめるー
”ーー美波ーーー……お母さんーーー…お姉ちゃんーー”
若菜は、結局自分も何もできないまま、皮にされてしまう現実に
”あたしはーー無力だったーーごめんー”と、
そう言葉を口にすると、そのままその場所に崩れ落ちたー。
若菜の首筋に突き立てた”人を皮にする針”を抜き取るー。
そして、史郎はそのまま若菜を”回収”して立ち去っていくー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー回収しましたー」
史郎が戻ってくると、金貸しの男・笑いながら
”若菜”の皮を受け取るー。
「ーーククー。この生意気な女も、俺たちのものだー。
見た目は可愛いし、”性格”は、いくらでも
中身次第で変えられるからなー」
修吾はそう言葉を口にすると、若菜の皮を見つめながら
「ーよし、これはーアイツに着せよう」と、そう言い放つー。
「ーーご苦労だったな臼田ー」
そう言いながら修吾は史郎に背を向けるー。
がーーー
その時だったー
史郎の頭が突然ぱっくりと割れたー。
その中から出て来たのはー
物静かな三女・美波だったーーーー
”もしも怪しい人が近付いて来たら返り討ちにするー”
そんなつもりで周囲を警戒していた美波はー、
姉であり、次女の若菜の方が狙われたことに気付いたー。
若菜は若菜で、”美波が皮にされる瞬間を映像に記録して
警察に提出しよう”と考えていたため、
美波が見える場所に潜んでいて、その結果ー、
周囲を警戒していた美波は”若菜が皮にされた”ことに気付いたー。
そしてーーー
皮にされた若菜を回収しようとしている男が、
若菜を皮にする際に”針”を使ってそれを抜いたのを確認した美波はーー
若菜を”持ち帰ろうと”した、臼田 史郎を背後から襲撃したーー
針を奪い、史郎を皮にしーー、
史郎を逆に乗っ取ったー。
史郎の持ち物から、アジトを突き止めて、
美波は、ここに来ていたのだー。
「ーーそういや、残りの一人の美波って娘を乗っ取ったらー、
娘三人で、母親に見せ付けてやろうぜー
三人の身体で愛しあって乱れ合う姉妹をよー」
そう言葉を口にして、修吾は、臼田 史郎がいる方向を
振り返ろうとしたー。
がー
「ーーーぁ…?」
振り返ると、そこにはハサミを持った美波が今ー、
修吾の首筋にハサミを突き立てようとしているところだったー。
そんなギリギリのタイミングで気付いても、修吾は避けられないー。
「ーうっ…!?!?!?ぎゃあああああああああっ!?!?」
首筋から血が溢れ出し、それを必死に抑える修吾ー
事務机に激突して倒れ込むと、修吾は
「な、なんでお前がここにぃ!?!?」と、叫ぶー。
しかしー、美波は
震えながらも、修吾に近付くと言ったー。
「ー若菜お姉ちゃんと、綾乃お姉ちゃんを元に戻す方法は!?」
とー。
「ーーーーーぐ……」
血が止まらないー。
修吾は青ざめながら
”や、やべぇー早く救急車を呼ばねぇとー”と、
そう心の中で呟くー。
しかし、美波は事務所らしき場所の電話を破壊する勢いで
投げ飛ばすと、修吾が取り出そうとしたスマホも踏み潰して破壊したー。
普段、決して乱暴なことをするような子ではない美波ー。
けれど、お姉ちゃんたちを、そして母親を守るために必死だったー。
血が溢れ出し、修吾は青ざめながら
「ま、ま、待ってくれー…き、救急車を呼ばせてくれー」
と、そう言葉を口にするー。
それでも美波は
「だったら、お姉ちゃんたちを元に戻す方法を言って!」と
そう言葉を口にするー。
「教えてくれなければ、この人も元には戻らない!」
既に皮にした臼田 史郎がペラペラになって倒れ込んでいる姿を見つめながら
美波はそう叫ぶー。
「ーーーぁ… ぁ…」
修吾は、みるみるうちに自分の身体が弱っていくのを感じるー。
救急車を呼ばないと、間違いなく死ぬー。
「ーわ、わかーー」
修吾がそう言いかけたその時だったー。
「ーーあららー”美波”ってば、悪い子ねー」
部屋の入口の方から声がしたー。
その方向を見ると、美波の姉…長女の綾乃の姿があったー。
金貸し・修吾の仲間に身体を乗っ取られている状態のようだー。
「ーーお姉ちゃー…」
そう言いかけて、美波はすぐに「だ、騙されないから!」と、
そう叫ぶー
綾乃はそんな美波を笑うと、
「美波も早く、わたしみたいに”女の身体”を使ってお仕事しよ?」
と、妖艶な格好のまま、不気味な笑みを浮かべるー。
修吾は真っ青になりながら
「早くー、こいつをどうにかしろー」と、言い放つー。
しかし、美波は、修吾にハサミを付きつけながら
「お姉ちゃんを解放して!みんなを元に戻す方法も!」と、
そう叫ぶー。
がーーー
乗っ取られた綾乃の背後から、
白いスーツ姿の男が姿を現すと、
首を刺されて血が止まらない修吾が言葉を口にしたー
「し、社長ー!」
どうやら、白スーツの男が、この金融会社の社長のようだー。
社長は笑みを浮かべると、修吾と美波に近付いて来るー
「こ、来ないで!」
そう叫ぶ美波ー。
が、人質にされている修吾の方を見つめると、
「あぁ、酷い傷だなーこりゃ救急車を呼んでもダメだー
助からねぇ」と社長はそう言葉を口にするー。
そしてーーー
血が溢れ出す首の傷を触ると、手で乱暴に傷を触りながら
「どれ、俺に見せてみなー」と、そう言いながら、悲鳴をあげる修吾の傷を
滅茶苦茶にしていくー。
その場に倒れ込む修吾ー。
「ーー油断して小娘に刺されるなんざー、お前はクビだ」
社長はそう言うと、美波の方を見つめたー。
人質を失った美波にもう手立てはないー。
「ーーーーー残念だったなー小娘」
”社長”はそう言葉を口にすると、人を皮にする針を手にして
それを美波に突き立てたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー」
母・温子は呆然としていたー。
若菜とも、美波とも連絡がつかないー。
少なくとも、当初の約束なら、今日”狙われる”のは一人のはずー。
それなのにー。
そう思っていると、インターホンが鳴ったー
そこにやってきたのはー、
長女の綾乃と、次女の若菜ー、三女の美波ー。
「ーーー…みんなー」
母・温子がそう言葉を口にすると、
若菜が笑ったー
「ーお母さん!迎えに来たよ!
あたしたちと”また”一緒に暮らしたいでしょ?」
そんな言葉に、
温子は表情を曇らせるー。
「ーーお母さん、ほらー、もうこれ以上苦しまないでー」
長女・綾乃が優しく微笑むー。
「ー”わたしたち”と、同じになろ?」
三女・美波がそう言葉を口にするー
三人とも、既に金融会社の社員にそれぞれ乗っ取られているー。
温子も、それを当然悟るー。
「ほら、お母さんー」
綾乃が手を差し伸べるー。
”娘のふり”をする三人ー
このままついでいけば、温子も無事では済まないー。
けれどーーー
それでも、娘のふりをしている三人を前に、
温子はもう、抗う気力はなかったー。
絶望の現実を前に、現実逃避してしまった温子は
「ーみんなーー…うんー」と、そう言葉を口にすると、
三人の娘に連れられて、車に乗せられていくー。
楽しそうに、雑談をしてくれる綾乃・若菜・美波の三人ー。
三人の”記憶”でも読み取って、そうしているのだろうかー。
温子は、穏やかに笑いながら三人との会話を楽しむー。
そうー、これが最後の晩餐のようなものであることは分かっているー
車の向かう先は、きっと地獄だー。
綾乃も、若菜も、美波もー
もう、”母”の知る娘たちではないー。
娘たちを守れなかったー
現実逃避をして、乗っ取られた三人と話をしていた温子は
目から涙をこぼすー。
「ごめんねーーー」
三人に対して、そう言葉を口にする温子ー。
そんな温子を見て、綾乃・若菜・美波の三人は
穏やかに微笑んだー
「わたしたち、今”とっても幸せ”だからー
謝らないでー」
と、そう言葉を口にしながらー
温子は、目に涙を浮かべたまま頷くー。
車が、到着したー。
きっと、もうー、これで終わりだー。
絶望の扉が開き、温子は意を決した様子で、
”死”に等しい地獄に向かって歩き出したー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
…逆転…は、できずにバッドエンド直行の
お話でした~~!★
唯一の救い(?)は、金を取りに来ていた男だけは
倒すことができたこと…かもですネ~…!
お読み下さりありがとうございました~!★!

コメント
この話、家出したお姉ちゃんにかなり似てますね。
あの話は憑依でこっちは皮ですけど、どっちも母親が娘を奪われて絶望のどん底になるとこは同じですし。
なんにしろ、救いがなさすぎる結末がダークで最高です☆
感想ありがとうございます~~~!★
私も過去作品を思い出しながら、書いてました~!★笑
ダークを楽しんでいただけて何よりデス~!!