もしも”人生をその場から”
コンティニューすることができたならー…?
これは”裏切られて命を落とした男”が、
”相手の身体”で人生をコンティニューする物語ー…。
※「人生、コンティニュー」の続編デス~!
同じコンティニューの仕組みの設定で、
別の人物の物語を描くので、前作を読んでなくても
大丈夫デス~!★
(前作を読む場合はこちらからどうぞ~!)
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「ーーーう…嘘だー…どうしてこんなー」
彼には”死”の影が迫っていたー。
少し前まで、”こんなこと”になるなどとは、
夢にも思っていなかったー。
けれど、彼ー、
青木 和昌(あおき かずまさ)は、
今、その命を散らせようとしていたー。
「ーー深夏(みなつ)ー…!どうして!」
和昌がそう叫ぶと、
深夏は笑みを浮かべながら言ったー。
「ーーふふふーごめんねカズくんー
わたし、”本命”は隆史(たかし)の方だったのー。
ただ、それだけー」
和昌の彼女・深夏は悪びれる様子もなく、
そう言葉を口にしたー。
信頼していた彼女の裏切りー。
学生時代から付き合いがあって、同棲もしていた彼女は、
先月、突然同棲解消を口にし始めて、
そのまま別れを告げて来たー。
理由も分からず困惑していた和昌が調べると、
深夏は元々、羽島 隆史(はじま たかし)という男と
裏で付き合っていて、裏切られていたことが判明したー。
しかも、付き合い始めたのは和昌の方が先で、
大学卒業後、就職先で羽島 隆史に言い寄られているうちに、
深夏はその気になり、和昌を裏切ったのだったー。
「ーーへへへー深夏はお前より、俺を選んだってことだよー」
ゴツく、威圧感のある男・隆史はそう言うと、
深夏は、うっとりとした表情で隆史を見つめたー。
「ーー隆史はね~、
カズくんよりお金もい~っぱい出してくれるしー、
ーーーHなことも、カズくんよりすっごく上手だしー
何より一緒にいてドキドキするのー」
深夏はクスクスと笑いながらそう言うと、
「ーだから、カズくんとはお別れしようと思ったのにー
それなのにー…」と、和昌が乗せられている車の方を見つめるー。
「ーーしつこいから、こうなるんだぜー」
隆史は笑みを浮かべながら言うー。
和昌は深夏の裏切りに怒り、深夏の両親や
深夏・隆史の職場にそのことを報告すると、そんな言葉を口にしていたー。
が、その結果、隆史と深夏に拉致されてしまい、
和昌自身の車で
今、こうして山奥に連れて来られて、
”殺されそうに”なっていたー。
「ーーーへへへへーお前はこれから”自殺”するんだー」
車での”自殺”に見せかけようと、
和昌を拉致した隆史ー。
その準備は万全のようで、今日、和昌は
このまま”自分の車で” ”自分の意思で”命を絶ったかのように
見せかけるための準備を隆史は入念に済ませていたー。
「ーーー…深夏ー…!お前がこんなことするやつだとは思わなかった!
人の命を平気で奪おうとするなんて!」
和昌は心底”失望した”と言わんばかりの表情を浮かべるー。
まさか、”深夏”が、男と共謀して
自分の命を狙うような女だとは夢にも思わなかったー。
”隆史”という男と付き合い始めてから変わってしまったのかー、
あるいは、元々深夏はそういう女だったのかー、
それは分からないー。
だが、少なくとも今、深夏は
”これから自殺に見せかけられて殺される”和昌のことを
助けようとする素振りは一切、見せていなかったー。
「ーー…はぁー人聞きが悪いなぁカズくんはー…
わたしを”人殺し”みたいに言わないでくれる?」
深夏が不快そうに表情を歪めるー。
「へへーそうだぜ。
これは”お前の自殺”なんだからなー」
深夏の”彼氏”である隆史が笑みを浮かべながら言うー。
「くそっ…!ふざけやがって!
自殺するつもりのない人をそう見せかけて殺すのは
”人殺し”だろうがー!」
和昌が怒りを露わにしてそう叫ぶー。
が、その言葉は深夏には届かなかったー。
「ねぇ、もううるさいから自殺させちゃってよー」
深夏のその言葉に、隆史は「おうよ」と、そう答えると、
そのまま車に細工を始めるー。
そしてー
「ーへへーじゃあなー
お前はここで一人絶望して死んだ哀れなやつってことになるんだー」
隆史はそれだけ言うと、車の側から離れるー。
深夏も「ばいばい、カズくんー」と全く悪びれる様子もなく
そう言葉を口にすると、そのまま二人は
身動きの取れない和昌を残し、車の中に
ある成分を充満させた状態で立ち去っていくー。
「おい!ふざけんな!深夏!!
俺は絶対にお前を許さないぞ!!絶対にー、絶対に
地獄から蘇ってでも復讐してやる!」
そう叫ぶ和昌ー。
その言葉に、車から離れようとしていた深夏は
少しだけ表情を歪めるー。
「へへー気にすんなよ。
死んだら、人間はそれで終わりさー」
彼氏の隆史がそう言葉を口にすると、
深夏も「ふふーそうだよねー」と、
嬉しそうにそんな言葉を口にしたー。
二人が立ち去っていく音を聞きながら、
和昌は、次第に自分の身体から力が抜けていくのを
感じ取り、苦笑いするー。
そしてー、”俺も、ここまでかー”と、
悲しそうに、そして、悔しそうに
そう言葉を吐き出したー。
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「ーーーーーえっ」
和昌は気づいた時には
”何もない真っ白な部屋”にいたー
「こ、ここはー…?」
そう呟きながらも、和昌は
”俺はあいつらに車に乗せられて殺されたはずー”と、
すぐに思い出すー
「ってことはここはー…」
和昌がそこまで言葉を口にすると、
”その通りですー”と、
背後からそんな声がしたー。
驚いて振り返ると、
そこには”白いスーツ姿”の優しそうな雰囲気の男が立っていたー。
「ーーーーーー…あなたはー?」
和昌がそれだけ言葉を口にすると、
「ーーお疲れさまです」と、白いスーツ姿の男は
ぺこりと頭を下げると、そのまま言葉を続けるー。
「ーあなたは、先ほど”死亡”して、人生を終えましたー。
死因はー」
「ー分かってますよー」
和昌が不満そうにそれだけ言葉を口にすると、
「ーでしたら話は早いですねー」と、白いスーツの男は
それだけ言葉を口にしたー。
「ここはー”あの世”ですー
正式に言えばその中間地点とでも言いましょうかー。
死んだ皆さんはここから”上”か”下”に行くことになりますー
あなたたちの表現で言えば
”上”とは天国、”下”とは地獄でー、
”上”に進んだあとは、しばらく人生の疲れを癒して
そして、十分に休んだらまた”次”の人生に進むことができますー。
”次”の人生になかなか進まない方もいますがー
まぁ、”上”での生活は”平和すぎて”飽きますからねー。
9割の人は、休んだら”次”に進みますー。
”次”に進めば記憶はリセットされますがー
まぁ、それはそれでー…。
青木さんー、あなたの移動先は”上”ですので、
そのままそこの扉にー」
白いスーツ姿の案内人がそう言うと、
「待ってください」と、和昌はそう言葉を口にしたー。
「ーー?」
白いスーツの男が不思議そうに言うと、
「ーー…俺自身の人生には未練はありませんー。
ただー、アイツだけはー深夏だけはどうしても許せないんです」
と、そう言葉を口にしたー。
「ーーー…ふぅ」
白いスーツの案内人はため息を吐き出すと、
「”復讐”とは感心しませんねー。
確かに、あなたの命を奪った二人については、許されないことを
したとは思いますー。
ただ、その二人は死後”下”に向かうことが既に決定していますー。
そこで、”裁き”を受けることになりますから、ご安心をー」
と、それだけ言葉を口にしたー。
しかし、それでも和昌は納得いかなかったー。
「ーつ、次の人生に向かう前に、どうしてもアイツらに
仕返ししたいんですー!」
とー、そう叫ぶ和昌ー。
「ーーー」
白いスーツの案内人は一瞬、”人生をその場からコンティニューできる”
裏技をこの和昌に教えようかと頭をよぎったー。
がー、”以前”それをして彼は結果的に、
不幸な結果を招いたことがあったー。
それ故に、彼は二度と”人生コンティニューをさせない”と決めていたー。
「残念ながら、規則は規則ですー。
”上”に向かうためのゲートはそちらになりますので、
色々と納得できない部分もあるかもしれませんが
どうか、そちらから”上”へとお向かい下さいー。
すぐに”次の人生”を始めれば忘れることもできます」
白いスーツの案内人はそれだけ言葉を口にすると、
和昌も、”どうすることもできない”と察したのか、
そのままゲートの方に向かっていくー。
がー、その時だったー。
「あるぜー?復讐する方法ー」
「ーー!?」
そんな声が聞こえて、和昌が振り返ると、
そこには漆黒の翼を持つスーツ姿の男がいたー
「ーー!」
白いスーツの案内人もそれに気づくも、
「おーっと、あんたは黙ってな」と、黒い翼の男が言うと、
和昌に言葉を口にしたー。
「人生を”他人の身体に憑依して”
その場からコンティニューする方法、あるんだぜー?」
黒い翼の男は笑みを浮かべながら
和昌に対して、そんな言葉を口にするー。
「ーーそ、そんな方法がー?
そ、それはいったいー?」
「ーー俺は”憎悪”の力で、お前の魂を生きている人間に
憑依させることができるんだー。
”本来”コンティニューは好感度が高い人間にしかできないんだがー、
俺の場合は特別でねー
お前の”憎悪”の力を媒介に、憑依を実現するー」
黒い翼の男のその言葉に、和昌は表情を歪めるー。
そんな反応を見た黒い翼の男は少しだけ笑うと、
「簡単に言えば、お前が憎む女ー”深夏”だったかー?
そいつに憑依して、人生をその場からやり直すことができるんだー」
と、そう説明したー。
「ーーー」
和昌は「ー復讐できるってことかー?」と、確認するー。
「ーあぁ、ただ、
”人生をコンティニュー”した人間は例外なく、その後は
”下”にいくことになるけどなー」
黒い翼の男は”地獄行き”であることを説明するー。
が、それでも和昌は言ったー
「ーやらせてくれー。人生をコンティニューさせてくれー」
とー。
その言葉に、黒い翼の男はニヤッと笑みを浮かべると、
「よしーお前の覚悟、受け取ったー」
と、そのまま和昌に手をかざしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー!!!」
和昌が起き上がると、
和昌はーーー
自分を裏切った”深夏”の身体になっていたー
「み…深夏ー…」
鏡を見つめながら、”深夏の声”で
そう言葉を口にする和昌ー。
が、同時に”憎悪”の感情も沸きあがって来るー。
「ーーくそっー
俺を殺しておいて、よくもまぁのうのうとー…」
深夏の身体でそう言葉を口にすると、
早速”深夏”のことを滅茶苦茶にしてやろうとそう考えるー。
だがー
”深夏~!まだ寝てるのか~?”
そんな声が聞こえてきて、
深夏に憑依した和昌は表情を歪めたー。
確かこの声は、深夏の”浮気相手”の隆史の声だー。
「ーーー…くっ…深夏のやつ、もう同棲してたのかー」
怒りの形相を浮かべながら深夏に憑依している和昌は
ふと、あることを思いつくー。
”すぐに”深夏の人生も尊厳も踏みにじることは簡単だー。
例えばこの場で服を全部脱ぎ捨てて
そのまま玄関から飛び出せば、
深夏は社会的に死ぬー。
がーーーー
それだけではつまらないー。
深夏に憑依している和昌は邪悪な笑みを浮かべるー。
「ーーそうだー…どうせならー…」
どうせならーーー
”晴れ舞台”で全てを壊してやろうー
そう決断した深夏は”今すぐ”人生を破壊することをやめて、
「ーーーあ、うん~~!おきてるよ~~!」と、
同棲する彼氏・隆史に対してそう返事をするのだったー
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「ーーどうして、こんなことをー」
”あの世”では、
白いスーツの案内人が困惑した表情を浮かべていたー。
「ーへへー楽しいからに決まってんだろー
復讐心に燃える人間を”コンティニュー”させると
どうせロクなことにならねぇー。
それを見るのがー、楽しいんだよー」
黒い翼の案内人はそう言うと、不気味な笑みを浮かべながら、
そのまま”人間たちの世界”の様子を見つめ始めたー。
<中編>へ続く
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コメント
「人生、コンティニュー」の、”復讐バージョン”が見たいという
ご希望を以前頂いたので書いて見ました~!!
毎週火曜日は予約投稿の都合上、
続きは来週の火曜日になりますが
ぜひ楽しんでくださいネ~!
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