好きな子の友達に変身して、
その友達のフリをして、一緒に遊園地へ…。
そこで、”自分のことをどう思うか”
意中の子に確認した結果、
彼は”予想外”の反応をされて戸惑うー…
そしてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ~~~~…」
遊園地で楽しい1日を過ごすはずが、
一転して暗い気持ちになってしまった
美香に変身している久雄ー。
”「ーー絶対、わたしのこと見下してるよねー。
いつも、にこにこしてやってるけど
マジでムカつくー」”
同じ図書委員の天音から言われた言葉を思い出すー。
天音の友達である”美香”の姿に変身して
一緒に遊園地に遊びに来ている久雄ー。
正体を隠したまま、幼馴染の愛唯とも打ち合わせ通り、
”自分(久雄)のことをどう思うか”を、天音に聞いてみた久雄ー。
その答えが、”ムカつく”だったのだー。
いつも、この前も図書委員の仕事を一緒にした時には
”「ーーいつもごめんねー…
任せてばっかりでー」”
なんて、そんな風に言ってくれていたのにー。
「ーーー…俺…見下すつもりなんて全然なかったんだけどなー…」
美香の姿のまま、悲しそうな表情を浮かべる久雄ー。
”わたしが背低いことを見下している”
さっき、天音からそう言われたー。
「ーはぁ…」
トイレの中で、鏡を見つめながら美香(久雄)はそう呟くと、
そのまま、女子トイレの中から外に出たー。
美香に変身していて、今は”女子”とは言え、
なんだかやっぱり背徳感を感じるー。
とは言え、この姿に変身している状態では、
男子トイレに入るわけにもいかないー。
「ーーーー」
壁に寄りかかりながら、スマホを操作していた天音に声をかけると、
「あ!美香ちゃんーおかえりー」と、そう言葉を口にしてから、
「ー今日も楽しかったね!」と、笑顔を向けて来たー。
「うー、うんー」
美香の姿のまま、久雄はそう返事をすると、
天音は「じゃあ、そろそろ帰ろっか!」と、
そう言葉を口にしたー。
遊園地の出口に向かう二人ー。
「ーー大丈夫?さっきから元気なくない?」
天音のそんな言葉に、美香(久雄)は苦笑いしながら
「ちょっと、遊び疲れちゃったみたいー」と、そう言葉を口にすると、
天音は「そっかー」と、静かに頷いたー。
”いつも大人しい白石さん”の素の姿を今日は見ることができたー。
学校にいる時より、明るくて活発で、ちょっと強引でー、
そんな”普段は見せてくれない一面”も見ることができたー。
でもーー
”知りたくないこと”まで知ってしまったー。
自分は、”ウザい”と思われていたのだとー、
そんなことまでー。
「ーじゃあ、また学校で」
遊園地を出て、駅の近くにやってくると、
天音はそう言葉を口にしたー。
「ーーうん。またー」
美香(久雄)は寂しそうにそう返すと、
天音は手を振りながら立ち去って行ったー。
「ーーーふぅー…」
電車に乗る気も失せて、美香(久雄)は少しだけ溜息をつくと、
「ーそうだー」と、
他人に変身できる飴をくれて、今回の”遊園地でのひと時”を
セッティングしてくれた愛唯に連絡を入れるー。
しばらくすると、愛唯から返事が来るー
”お疲れ様~!で、結果はー?”
愛唯のその言葉に、美香(久雄)は
”ウザがられてたみたいでー”と、そう返事を送ると、
愛唯は”あらら~それは残念ー”と、そう返事が戻って来たー。
”ーこのあと、予定通り合流できる?
元に戻るための飴、あげるから”
愛唯のそんなメッセージに、美香(久雄)は
ため息をつきながら”もちろん”と、そう返事をしたー。
電車に乗り、近所までやってくると
愛唯が、約束の場所にやって来るー。
「ーーはい、自分の姿を念じながらこの飴を舐めると
元に戻れるからー
あ、ここだと人に見られるかもだから、あっちでね」
愛唯はそう言うと、
美香(久雄)は静かに頷いたー。
言われた通りにして、元に姿に戻った久雄は
愛唯に向かって、今日の出来事を説明するー。
「ーあはは!じゃあ脈なしってやつだね!残念!」
愛唯のそんな言葉に、
久雄は「そんなに笑うなよー」と、落ち込んだ様子で言うー。
「ーあ!今回の”飴”のことは誰にも言わないでねー。
みんなに広まると色々あたしも面倒臭いからー
いい?」
愛唯のその言葉に、久雄は「言わないよー」と、
苦笑いしながら大きくため息をついたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
週明けー
よりによって、図書委員で”白石さん”と、一緒の
当番であることに気付いた久雄は
気まずそうに天音の方を見るー。
が、当の天音は、まさか”遊園地で遊んだ美香”が、
久雄だとは気付いていないのだろうー。
いつものように、大人しく本を読んでいるー。
「ーーー」
返却された本を元の本棚に戻している天音を見て、
久雄は戸惑うー。
いつものように”高いところ”の本を戻すのを手伝うべきか戸惑うー。
がー、”ウザい”と思われていたのであればー
「ーー…お、俺、カウンターの方、整理してくるよー」
いつものように手伝わず、久雄は別の仕事をやると
天音に告げると、天音は「え?あ、うんー」と、
少し申し訳なさそうに返事をしたー。
少し戸惑った様子を見せながら
天音は脚立を用意して高いところの本を元に戻し終えて、
そのままカウンターの方に戻って来るー。
気まずさから余所余所しい振る舞いをする久雄を見て
天音は「あのーーーーな、なんか今日ー…避けてない?」
と、申し訳なさそうに言葉を口にしてきたー。
「えっ!?えぇっ!?いや、いやぁー気のせいだと思うよー」
久雄はそう言葉を口にするー。
まさか”遊園地のときに~”とは言えないー。
”美香に変身していた”なんて言えるわけがないからだー。
「ーーそ、そっかー
わたしが何かしちゃったのかと思ってー」
天音はそう言うと、困惑した様子で
そのままカウンターに座っていつものように本を読み始めたー。
天音の友達の一人が、本を返しに来て
何やら喋っているー。
”ねぇねぇ、今度これの実写版見に行こうよ~”
”ーわたし…怖いの絶対無理だってば~…”
友達が、返却した”ホラー小説”の実写版を見に行こうと
天音を誘っているようだー。
しかし、天音は怯えた様子で無理だと言っているー。
”「だって、その方がなんか可愛く見えるでしょ?
学校ではわたし、猫被ってるからー、ね?」”
遊園地でお化け屋敷に入る前に、天音が言っていた言葉を思い出すー。
久雄は、横でそんな会話を聞きながら
”女の子って怖いなー”と、そんなことを心の中で思うのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、1か月が経過したー。
「ーーーーー…~~~…」
天音は、露骨に余所余所しくなった久雄に戸惑っていたー。
もちろん、何かしてくるわけではないし、
話しかければ話はしてくれるー。
でも、なんだか苦手意識を持たれてしまったようなー
そんな、気がするー
”ーーわたし…栗本くんを怒らせちゃったのかなー?”
しょんぼりする天音ー。
それもそのはずーーーー
あの”遊園地に来ていた天音”はーー
”本物”ではなかったのだからー…。
本物の天音は、久雄を”ウザい”などと思っていないー。
いつも”ありがとう”と思っていたし、
マイナスの感情は一切持っていなかったー。
遊園地に来た天音が”思ったより派手な服装”で、
”思ったより明るく、活発な性格”に久雄が感じたのは
”プライベートと学校の違い”ではないー。
そもそも、遊園地に来た天音は”本人”ではなく、
久雄と同じく”飴”を舐めて天音の姿に変身していた偽物ー。
本当の天音はお化け屋敷は怖くて入れないし、
学校での印象通り大人しい性格だしー、
あの日、そもそも”沼岡 美香”と遊園地に行く約束など最初から
していなかったー。
だからこそ、”本物の美香”が遊園地にやってくる心配もなかったし、
本物の天音はあの日、遊園地になどおらずー、
近所の図書館で本を借りて、家でそれを読んでいたー。
「ーーーーー」
天音は今日も、余所余所しくなってしまった久雄を
横目で確認しながら、戸惑いの表情を浮かべるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー~~あはははは!マジで?すごくない?」
久雄は、幼馴染でギャルっぽくなってからは
あまり話さなくなった愛唯が、友達と話をしている
ところに偶然遭遇したー。
がー、愛唯は久雄のことなど眼中にないかのように
そのまま友達と話し続けるー。
愛唯は、昔はよく話したけれど、
最近はほとんど話さなくなったー。
お互いに、付き合う友達のジャンルが違うし、
次第に話をすることもなくなっていったー。
がー…なぜ、愛唯はあの日ー、
”他人に変身できる飴”などというものを
くれたのだろうかー。
しばらく話す機会もなかったのに、突然話しかけてきて、
いきなり、久雄の恋愛を応援するかのような振る舞いをしー、
あの件が終わって以降はまた、全く話しかけて来なくなったー。
愛唯は、何が目的だったのだろうかー。
久雄にはそれが分からなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーまぁまぁ、元気出せよー」
”白石さんのことは諦めた”と、久雄から聞かされた親友の俊は、
苦笑いしながらそう言葉を口にしたー。
いつも”いい加減にあきらめろよ~”などと言っていた俊だったが、
いざ、諦めたと聞くと思う所があったのだろうかー。
”失恋の慰めにハンバーガー奢ってやるよ”などと言い始めたー。
「ーーま、俺が勝手に盛り上がってただけだしー…
あんな風にウザいとか思われてたらなぁー
それに…白石さん、プライベートだと思ってた感じと
ちょっと違ったしー」
久雄は苦笑いするー。
ギャップは魅力だったけれど、素の白石さんは
ちょっと久雄からすればイヤな感じの子にも思えたー。
「ーーはははー、まぁ…女子ってそんなもんだろー」
俊の言葉に、久雄は頷くと、
俊と一緒にハンバーガーショップに入っていくー。
「ーー俺は先に座席を確保しておくぜー」
俊は、注文を久雄に任せて先に2階に向かうー
”悪いなー久雄ー。”
2階に向かいながら俊は思うー。
”あれは、どっちも俺なんだー”
とー。
俊は”他人に変身する飴”をポケットから取り出して笑うー。
”遊園地にやってきた白石 天音”は、俊が変身した偽物ー…
そしてーー
”久雄に変身飴を渡した幼馴染の平沼 愛唯”も、また俊が変身した偽物ー。
本物の天音は遊園地に行っていないし、
本物の愛唯は、最近久雄と会話すらしていないー。
俊は、愛唯に変身して”他人に変身する飴”を久雄に提供ー、
そして、当日には天音に変身して遊園地で久雄と接触ー、
本物の天音が久雄をどう思っているかは知らないが、
”本当は久雄を嫌っている”というような”嘘”を吹き込んだー。
あの日ー、”天音”の姿のままトイレと偽り、久雄の前から一旦姿を消して
愛唯として連絡を入れたりー、
遊園地から出て、別れたあとにすぐに天音から愛唯に変身して、
その後、愛唯として何食わぬ顔で接触したー。
一連の件は、全て親友の俊が仕組んだものー。
その目的はーーーーー
”お前には、俺がいりゃ、十分だろ?
もしお前が彼女なんて作ったらー…
俺と遊ぶ時間が減るに決まってるー”
俊は、そんな風に思っていたー。
俊は元々恋愛に興味がないー。
以前、久雄にも”俺とお前は生涯独身だよな!”などと
言葉を投げかけたこともあるー。
久雄にはその時スルーされたものの、
俊は勝手に”俺とお前は生涯独身”だと、
そう、思い込んでいたー。
しかし、最近の久雄は図書委員の”白石さん”に夢中に
なり始めたために、
その関係を引き裂いたのだー。
直接、白石天音に変身して”嫌い”と伝えるだけではなくー、
わざわざ周りくどいことをしたのは、
”本人に確認されないようにするため”だー。
ただ、天音の姿に変身して”アンタは嫌い”と伝えただけだと、
後日、久雄が本物の天音にその時の話題を出してしまう可能性があるー。
しかし、”変身飴”を久雄に使わせた上で、
俊が天音に変身して”嫌い”と伝えたことによってー、
久雄は、本物の天音にあの遊園地での話題は出せなくなったー。
久雄からすれば、”遊園地の話題を出す”=”あの時遊園地にいたのは
美香に変身した俺でした”と、伝えることになってしまうために、
天音の前であの日の話題を出すことはできいないだろうからー。
「ーーーーへへーー…
これからも、親友同士で楽しくやろうぜー
久雄ー」
俊は、一人そう言葉を口にすると、静かに笑みを浮かべたー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
最終回でした~!☆!
変身飴をくれた幼馴染も、遊園地にやってきた好きな子も
本物ではありませんでした!~★!
①の、変身飴を”愛唯”がくれた時のシーンで、
”自分に戻りたいときは、元に戻りたいと思い浮かべるだけ”と愛唯(偽)が、言っているのに、
変身のお手本を見せるために別のクラスメイトに変身したあと愛唯の姿にまた戻る時に
写真を見つめているのも、ちょっとしたヒント(?)でした~!
(※自分の姿に戻るには、思い浮かべるだけでいいので、本物の愛唯が変身してるなら
愛唯の姿に戻る時にまた写真を見つめる必要はないのデス…!)
お読み下さりありがとうございました~!☆!
コメント
久雄めちゃかわいそうですネ(;∀;)
俊の計画にハメられましたネ!
でも女の子は怖いのは間違いないデス((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル笑
感想ありがとうございます~~!☆!
TSマニアさまのお名前が…☆笑
↑↑かれんたんの憑依ネタを書こうとしたら
名前が入りましたm(._.)m
ゴメンなさいゴメン
あ!そういうことだったのですネ~!☆
先に前のを見たのでびっくりしました~☆笑
すみませんm(._.)m
以後、気を付けますm(._.)m
むみょうたんって書かないように気を付けます\(^o^)/笑
笑~★
呼び方は何でもいいですよ~★笑
とんでもない呼び方でなければ…★!