<他者変身>好きな子の友達に変身したら…①~提案~

幼馴染から”他人に変身できる薬”を貰った彼は、
”好きな子の友達”に変身して、
その子のフリをして、意中の子と一緒に遊園地へと足を運ぶー。

しかしー……
そこで彼は思わぬことを知ってしまうー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーいつもごめんねー…
 任せてばっかりでー」

図書室ー。
戸惑いの表情を浮かべながら
同じクラスの女子生徒・白石 天音(しらいし あまね)が
そう言葉を口にするー。

「いやいや、全然ー
 気にすることないよー」
天音から声を掛けられた男子生徒・栗本 久雄(くりもと ひさお)は、
そう言葉を口にしながら、
本棚の上の方にしまう本を片付けていくー。

久雄は背が高めの男子生徒で、
小柄な天音では、本棚の上の方にはそのままでは手が届かないために、
久雄がいつも代わりに片づけをしたりしていたー。

「ーーわたしが脚立持って来ればいいだけなのにー
 ついわたしも頼っちゃってー」
天音は少し恥ずかしそうにそう言うと、
「ーいいよいいよー。俺が直接片付けた方が早いし、
 そうすれば脚立を移動する分、白石さんは他のことができるだろ?」
と、久雄はそんな言葉を口にしたー。

「ーーうんー…ありがとうー」
天音はそれだけ言うと、図書室のカウンターの方に
戻っていき、作業をしながら手が空いた時には
本を読み始めるー。

久雄と天音は共に”図書委員”として
よくこうして図書室で一緒になることがあるー。

そして、久雄はそんな天音のことが好きだったー。

「ーーーー」

大人しい性格ながら、優しくー、
友達もそれなりにいるタイプの天音ー。

もっともっと仲良くなりたいー。
久雄はそんな風に思っていたものの、
こうして、図書委員の当番が重なった日に喋るー
ぐらいが、今の限界だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーはははー、お前もいい加減あきらめろよ~」

放課後ー。
久雄の友人、高藤 俊(たかとう しゅん)が、
笑いながらそう言葉を口にするー。
俊とは、中学時代からの付き合いで、
高校も同じになったために、今も一番の仲良しだー。

「ーーわ、笑うなよー…
 き、聞いて見なきゃわからないだろー
 白石さんがどう思ってるかなんて」

久雄が少しムッとしながらそう言葉を口にすると、
俊は「はははー…いやいや、どう考えてもムリだろー」と、
さぞ楽しそうに言い放つー。

親友の俊には、同じ図書委員の天音のことが好きだということは
話しているー。

しかし、俊は”白石さんは絶対、お前なんて眼中にないって!”と
いつも笑っているような、そんな状態だったー。

「ーーお前には、俺がいるじゃねぇかー」
俊が笑いながら言うと、
久雄は「友達と恋愛は別なんだよ!」と、
そう言いながらー俊の肩をぺしっと叩いたー。

「ーへへ、冗談だよ冗談ー」
俊はそれだけ言うと、あとは別の話題に話を切り替えて、
いつものように久雄と二人で談笑しながら帰り道を歩くー。

”白石さん”にいつか告白できるだろうかー。
あるいは、何かそういうきっかけが出来たりするだろうかー。

恋愛に関しては奥手な久雄は、
そんなことを思いながら、少しだけ自虐的に笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

がー、その数日後のことだったー。

”転機”が訪れたー。

「ーーこれでよし、とー。」
久雄がそう言いながら、図書室の戸締りを確認すると、
「ーお疲れ様ー 栗本くんー」と、
今日も一緒に当番をしていた天音がそう言葉を口にしたー。

「ーー白石さんもお疲れー」
久雄がそう言葉を返すと、天音は「鍵ーわたしが職員室に戻しておくねー」と、
手を差し出したー。

「ーあ、うんー。じゃあー…お言葉に甘えてー」
久雄がそう言いながら、図書室の鍵を天音に手渡すと、
天音は「また明日ー」と、それだけ言葉を口にして
職員室に図書室の鍵を返すために立ち去っていくー。

「ーーふぅー」
久雄は少しだけ寂しそうな表情を浮かべるー。

いつも、図書委員の当番がある度にー
”何かいいことないかな”と、心の中で期待しているものの、
やはりと言うべきか”特に何もない”まま、終わってしまうー。

まぁ、自分から行動を起こさなければ
それは当たり前と言えば当たり前だけれどもー、
何か寂しさを毎回、感じていたー。

図書室の前からようやく歩き出した久雄ー。

が、その時だったー。

「ーーーえへへへー久雄ってばー…
 あの子のこと、好きなんでしょ?」

廊下の影から急に姿を現した
女子生徒の姿に、久雄は思わず
「うわっ!?びっくりした!?」と、そう言葉を口にするー。

茶髪で少し派手な雰囲気のその子はー、
幼馴染の平沼 愛唯(ひらぬま めい)ー。

久雄の幼馴染で小・中・高と学校が同じな子だー。
中学時代までは結構話すことも多かったものの、
最近は、愛唯がギャルっぽくなり始めて、
距離感が生まれてしまい、クラスも別々であることから
お互いに話すこともほとんどなくなり、
愛唯が話しかけてくることもほとんどなくなっていたー。

そんな愛唯の突然の出現に久雄は
驚いたような表情を浮かべながら、
「き、急になんだよー…」と、そう言葉を口にすると、
愛唯はニヤニヤしながら、「白石さんのこと、好きなんでしょ?」と、
言葉を繰り返したー。

「ーい、い、い、いやっ、えっ…!?」
昔から”人を揶揄うのが好き”な愛唯にそのことを知られてしまうのは
今後のことを考えると、正直、あまり良いこととは言えないー。

戸惑いの表情を浮かべながら、
久雄が愛唯の方を見ると、
愛唯は「ー白石さんと、”デート”を疑似体験する方法、教えてあげよっかー?」と
突然、そんな言葉を口にしたー。

「ーーは…はぁぁ…?」
戸惑う久雄ー。

「ーまぁ聞いてよー。
 実はねー。白石さん、来週の土曜日に
 沼岡(ぬまおか)さんと一緒に遊園地に遊びに行く約束をしてるんだけどー…」

愛唯のそんな言葉に、久雄は「へ…へぇ~~」と、言いながらも
それが”デートの疑似体験”にどうつながるのかサッパリ分からず、
首を傾げるー。

”沼岡さん”とは、
別のクラスの女子生徒で、沼岡 美香(ぬまおか みか)という子だー。
天音とは、確かに何度か喋っている姿を見かけたことがあるー。

「ーーーそれでー?
 白石さんと沼岡さんが遊園地に遊びに行く約束と
 俺に何の関係がー?」

久雄は困惑の表情を浮かべながら言うー。

すると、愛唯は笑みを浮かべながら言ったー。

「ーー久雄が”沼岡さん”になるのー」
とー。

「ー????????」
全く意味が分からないー。

「ーーいや、何言ってんの?え??」
久雄が戸惑いの表情を浮かべながら声を出すー。

意味が分からないを通り越すぐらい
意味が分からないー。
いったい、愛唯は何を言いたいのだろうかー。

そう思っていると、
「ー久雄が沼岡さんに変身して、
 沼岡さんのフリをして、白石さんと遊園地に遊びに行くのー」と、
愛唯は具体的に説明を始めたー。

「ーーー…へ、変身ー?
 い、いや、か、揶揄うのもいい加減にー」
久雄がそう言うと、愛唯は周囲をキョロキョロしてから
「ここじゃ、誰かに見られるかもだから、そこの空き教室の中で話そ?」と
そんな提案をして、移動を促したー。

仕方がなく、愛唯についていく久雄ー。

すると、愛唯は、持っていた鞄から
飴を取り出しながら言ったー。

「ーこの”飴”ねー、
 変身したい相手を見つめながら舐めると、”その相手”に変身することができるのー」

とー。

「ーーは…はぁ???」
久雄はさらに戸惑うー。

すると、愛唯は”クラスの集合写真”を取り出すと、
「写真でもいけるんだけどー、たとえばー」と、そう言いながらその飴玉を舐めるー。

するとー…
愛唯の姿がみるみるうちに変わっていきー、
クラスメイトの一人、三つ編みが特徴的なプライドの高い女子生徒・加奈子(かなこ)の
姿に変身したー。

「ーほら、すごいでしょ?」
加奈子の姿で、そう言葉を口にする愛唯ー。

「ーーな……」
目の前で”変身”を見せ付けられて、驚きを隠せない久雄は
「そ、そ、そんなものどこで手に入れたんだよ…!?」と、戸惑うー。

”加奈子”の姿をしたまま「秘密~」とだけ言うと、
もう一度集合写真を手に、写真を見つめながら飴を舐めながら、
愛唯の姿へと戻ったー。

「ーーすごいでしょ?
 自分に戻る時は、元に戻りたいって頭に浮かべるだけ
 元に戻れるから、元に戻れなくなる危険もないよ」

愛唯はそれだけ言うと、鞄から飴を取り出して
久雄に対して差し出したー。

「ーこれで、沼岡さんに変身して、
 沼岡さんのフリをして、白石さんと一緒に
 土曜日、遊園地に行くのー。

 普段見れない白石さんの一面とかー、
 あとはホラ、”久雄のことどう思ってるか”とか、聞けるんじゃない?」

愛唯がそう言うと、
久雄は緊張した様子で、ゴクリ、と飴を見つめるー。

来週の土曜日に、
久雄が好きな白石 天音と一緒に遊園地に行く予定の
沼岡 美香に変身して、本物の美香に成り代わって
遊園地に遊びに行くー…

幼馴染の愛唯は、そんな”作戦”を久雄に提案しているのだー。

「いや、でも待ってくれー。
 本物の沼岡さんはどうするんだよー?
 俺が沼岡さんに変身したところで、
 本物の沼岡さんも遊園地に来るだろ?

 そしたら沼岡さんが二人になっちまうー」

久雄がそう疑問を口にすると、

「それは大丈夫ー。あたしに任せておいて!
 本物の沼岡さんにはうま~く、言っておくから」

にこにこする愛唯ー。

「ーーー…本物は当日来ないってことか?」

「ーそういうこと」

愛唯が頷くー。

「ーーー…沼岡さんをどこかに閉じ込めるとか
 そういうヤバいやつじゃないよな?」
不安そうな表情を浮かべる久雄を見て、愛唯は笑うと、
「そんなことするわけないじゃ~ん!」と、そう言葉を口にしたー。

がー、それでもまだ不安はあるー。
当日、遊園地に遊びに行き終わったあとだって、
”沼岡さん”と”白石さん”は会話をするはずだー。

遊園地の時の話を白石さんが沼岡さんに喋ったら、
当然、”沼岡さん”の方は”え?遊園地行ってないでしょ?”と、なるはずだ、と、
久雄は思うー。

「ーそれも大丈夫大丈夫!
 そういうところはあたしが上手くやるから、
 久雄は、安心して沼岡さんに変身して、白石さんと遊園地デートを
 楽しんで来て!」

愛唯の言葉に、久雄は苦笑いしつつも、
既に何か月も”何も進まない”状態であることからー
”何か行動を起こさないと、これ以上白石さんと仲良くはなれない”と、
愛唯の提案を受け入れー、
”来週の土曜日”に、白石 天音の友人である沼岡 美香に変身して
遊園地に行くことにしたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー~~~~~~~……」

そしてー、翌週の土曜日ー。
事前に受け取っておいた”飴”を舐めながら
私服での社会科見学の時の写真を見つめつつー、
”沼岡 美香”の姿に変身すると、
緊張した様子で「ーーほ、本当に沼岡さんになってるー」と、
戸惑いの表情を浮かべるー

「ーー! こ、声までー…やばいなこれー」
ドキドキしながら、美香の姿になった久雄は
愛唯にメッセージを送るー。

愛唯と連絡を取るのは、高校に入ってから初めてで、
前の連絡先ももう忘れてしまっていたがー、
改めて教えてもらうことができたー。

”ーーじゃあ、待ち合わせ場所は遊園地の前だからー、
 現地で白石さんと合流してねー”

愛唯からそんなメッセージが返って来るー。

”ほ、ホントに大丈夫なのか??”
久雄が不安なメッセージを送り返すと、
愛唯は”それは久雄次第でしょ!ちゃんと沼岡さんとして振る舞って”と、
そんな返事が返って来たー。

「ーーー…ふぅ」
緊張した様子で、美香の姿に変身した久雄は、
そのままゆっくりと歩き出すー。

”ってか、スカートも落ち着かないなー…
 なんだこれ…”

そう思いつつ、遊園地に向かって行くー。

やがてー、
遊園地の入口付近に到着するとー…
久雄の意中の相手ー…
同じ図書委員の白石 天音が姿を現したー。

「ーー美香ちゃん~!こっちこっち!」

いつも制服姿しかほとんど見ない天音の私服は
思ったよりもおしゃれで、思わずドキッとしてしまうー。

「ーーーあ…… あ…お、おはよ~」
ぎこちない笑顔を向ける美香に変身した久雄ー。

「ーーどうかした?」
天音が首を傾げながら、そう言葉を口にすると、
美香の姿をした久雄は「い、いや、な、なんでもないよ!」と、
無理に笑いながら、
「さ、早く中に入ろ!」と、誤魔化すようにそう言葉を口にしたー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

好きな子の友達に変身して
一緒に遊園地へ…!

上手く行くのかどうかは…明日以降のお楽しみデス~!

コメント